2010/11/9 | 【 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 】 |
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」を観た。 ジョニー・トー監督の香港とフランスのフィルム・ノワールの強力タッグにノックダウン。 フランスからやってきた娘一家を犯罪組織に殺された初老の男の復讐を描く。主人公と絡む香港の殺し屋の‘仁義’にすっかり魅せられた。 当初フランス人おやじ役はアラン・ドロンで進行していたながらを脚本に失望したということで「列車に乗った男」のジョニー・アリディになったという。このジョニー・アリディの痩身のスーツとサングランス姿はいかにもさまになっていてアジアの混沌の中での異邦人という意味でも存在感ばつぐん。 香港の裏組織の3人アンソニー・ウォン、ラム・ガートン、ラム・シュの生き様もダンディズムでな〜んてcoolなことか。 冴えない長い邦題のタイトルは原題の「Vengeance」のまま「復讐」の方がずっとスマートだと思うし、女性警察官の存在感・捜査の進展・敵からの差し入れ・ボスへの忠誠心・ビックママの変装etc・・・なんか奇妙でアレレレって箇所は多い。それでもそれを払拭させるのに充分な至高のハードボイルドに仕上がっている。 月明かりや降りしきる雨の効果を最大限に活かしたカメラワークや食事をしながらの銃談義・従兄のゴミ収集場・自転車への射的・圧縮梱包のキューブの紙ゴミなどの各シーンも見応えあって大満足。 |
2010/11/8 | 【 トイレット 】 |
「トイレット」を観た。 もたいまさこのあの独特の存在感を海外バージョンの中で活かしたかったのだろうけれど、ただただ違和感しか感じなかった。孫たちが一生懸命話し掛けて来るのに、それを無表情で対応するのはいくら、もたいまさこの味であろうと変でしかない。 外人の孫+英語がわからない祖母+エアギター+おたく+引きこもり+ピアノ+日本のトイレetcなんとなくネタは豊富なのになんとも中途半端。バス亭の奇妙なおばさんをあの「西の魔女が死んだ」サチ・パーカーが演じているというのにその存在もビミョウ。 ただ全編カナダロケということでかわいらしいトロントの街並みは良かったけれど、あちらの暮らしの中で住宅にはやはり夢があるので‘小じんまりした家’ という設定でせっかくの欧米自宅が日本の住宅メーカーのようなせこせこしたステレオタイプの家だったのがちょっとつまらない。 タイトルが「トイレット」だけあってTOTOの宣伝としては上出来。 |
2010/10/1 | 【 13人の刺客 】 |
「13人の刺客」を観た。 三池崇史監督による1963年のオリジナルのリメイク作品。三池監督+「斬って斬って斬りまくれ」で浮かぶのが、同監督の「IZO」。なんかIZOの時の無茶ぶりが予想されて果たしてどうかなと不安ながらの鑑賞だったけれど、オリジナルがあるせいなのか意外にもオーソドックスな作りだった。 涼しい顔をした非道な将軍の弟斉韶をSMAPの稲垣悟郎が演じている。巷ではかなりこの悪役ぶりが好評のようだけれど、決して上手いとは言えない棒読みの台詞も冷血漢にはぴったり合っていてアイドルが演じる役柄としてはギャップが良かったということかも。 13人の選ばれし刺客達の半分くらいまでしか把握できなかったけれどそれでもラスト50分のえいえんと続く死闘の迫力は相当なもの。13人の刺客vs300の明石藩軍勢の行方は・・・!!宿場全体に仕掛けられた迷路・爆薬・炎の猛牛・弓矢etcの様々な罠が興味深い。と、それにしても・・・仕掛け攻撃が終わってからの刀での死闘は、相手が130人くらいなので1人当たり10人で済むハズなのにどー見てもそんな数じゃなく斬っても斬っても、無傷の敵がわんさか現れるのは計算が合わないような・・・。 13人の中でも松方弘樹の太刀捌きがずば抜けて上手い。野人の伊勢谷友介の不死身ぶりは無茶ながらあのラストには何か暗示があったのでしょうか? チャンバラ大活劇の魅力に満ちた見ごたえあるエンターティメントだった。 |
2010/9/22 | 【 悪人 】 |
芥川賞作家・吉田修一の同名長編小説を映画化した「悪人」を観た。 それにしても祐一(妻夫木聡)と光代(深津絵里)に共通する、どこにも行きようのない場所での生活の閉塞感と孤独感はよく描かれていた。鬱屈を抱えた中「本気で誰かに出会いたかった」と言って出会い系サイトに本当を求めたという現実が痛々しい。 |
2010/9/18 | 【 瞳の奥の秘密 】 |
第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「瞳の奥の秘密」を観た。 受賞作という以外の予備知識なしだったので特に期待もなく鑑賞したのだけれど、なんとまぁここここここれは・・・すっごい見応えある映画ではないですか。何気ない小道具から台詞まで張り巡らされた伏線も巧み。アルゼンチンからとんでもなく重厚な映画が届いた。 長年勤めた刑事裁判所を退職した主人公が25年前に担当した未解決殺人事件をモチーフに小説を書きはじめたことであぶりだされていく、25年前の関係者とそして今とは・・・。 現在と過去を何度も交差させ主人公の書き始めた小説の場面と思われるシーンも交え幾重にも重なった時間枠の中、過去に気持ちをおきざりにしたままの主人公がやっと向き合うようになっていく様と事件の全貌を、ミステリーとラブストーリーを絡みあわせて描く。 事件が起きた当時の混乱した社会情勢に切り込み無茶苦茶な司法状況も、犯人の追跡を熱狂に渦巻くサッカースタジアムにしているのもアルゼンチンという国の断片をうまく捉えている。 Aが壊れたタイプライターの「怖い」という単語に過去を克服する主人公を映すとはななな〜んて洒落ていることか。 それにしても、よく苦しい時は ‘執着を手放す’と良いとか言われているけれど、手放せるってこと自体まだまだマシなのかも。それぞれの瞳の奥には胸に秘めた思いがあるという大人の琴線に触れる味わい深い映画だった。 |
2010/9/12 | 【 やさしい嘘と贈り物 】 |
「やさしい嘘と贈り物」を観た。 鑑賞前は良い邦題だなって思ったけれど、‘やさしい嘘’の部分がある意味サスペンス風になっているのでそこをタイトル=ネタバレにしちゃうのはダメでしょう。原題「LOVRLY,STILL」から悪い意味でニュアンス広げ過ぎ。 実は単なる老人のラブストーリーではないので、とても現実はそう甘くないのかもしれないけれど、悪い人間が1人も登場しないのも悪意のない嘘も含めて、映像はそり遊び・馬車・雪・イルミネーションetcクリスマスシーズンの淡い時間を絵本の世界のようにあくまでファンタジックに描いている。 デジタルな映像で表現した錯綜する脳が現実なのかもしれなく哀しくシリアスな背景がありながらも家族の願いが暖かく満ちあふれている。 |
2010/9/8 | 【 BECK 】 |
「BECK」を観た。 仲間たちとバンドを組み、メジャーデビューを目指して奮闘する高校生たちが、さまざまな試練を乗り越えていく姿を描く。若手イケメンのキャスト集結ってことでも話題になっているけれど、イケメン以前に演技が下手な水嶋ヒロに唖然。脇役のカンニング竹山のほうがよっぽど上手い。 コユキ(佐藤健)の‘奇跡のボーカル’ という設定がこの映画を難しいものにしているので、生半可なものは披露できないというのは理解できるけれどこれじゃ映画化する意味がない。 最初は観客の表情やイメージ画像で想像力をふくらませる手法もOKだろうけれど、クライマックスまでもそれってあり? なんでも原作者の意向だったということなのでコユキに罪はないけれど、ここは吹替えでも構わないから、コユキのボーカルを聴かせてもらいたかった。ここまで白けさせ落胆の対象となってしまった佐藤健がある意味可哀そう。 そんな中、この映画の登場人物の中で圧倒的に存在感を放った桐谷健太のラップのパフォーマンスは文句なく圧巻だった。 |
2010/9/3 | 【 ソルト 】 |
「ソルト」を観た。 最初はトム・クルーズを想定して書かれた脚本を女スパイに変更したという。二重スパイの容疑をかけられたCIAエージェントが、CIAの追跡をかわしながら真犯人を探し出すまでを描く。真相はよくわからないけれど「ロシアの美人スパイ事件」も記憶に新しくタイムリー。とにかくアクションに次ぐアクションで、文字通り息つく暇もない。 男顔負けの大活躍を見せる中でもトラックの屋根から屋根へ飛び移りやエレベーターの飛び降りは超人化の域でまるでアメコミのヒーロー映画のよう。現代版変装術は女性ならではのポイントを押さえてある。 正体については二転三転してそれなりに楽しませてもらっただけに、どうやら続編がありそうな終わり方が気になる。本作でソルトの正体がわかったためもう本作のテーマの「彼女は、何者なのか?」が使えない。 余計なお世話かもしれないけれどこの手のスパイ映画は「007」「ボーン」シリーズがあるだけに二番煎じとならないことを祈ります。 |
2010/9/3 | 【 春との旅 】 |
「春との旅」を観た。終の棲家を探す老人と孫娘の旅を描く。 仲代達矢が「約150本の出演作中、5本の指に入る脚本」と明言して挑んだという頑固な老漁師には、過去に確執があり疎遠となった4人の姉兄弟に自分の世話を頼まなくてはならない情けなさと惨めさがあふれる。 脇をかためる大滝秀治・淡路千景・柄本明・香川照之etcと名優陣にひけをとらなかったのが、孫娘を演じた春(徳永えり)で、田舎から1歩も出たことがない純朴さと祖父ゆずりの頑固さを持ったガニ股でどこか野暮ったい18歳の少女像が見事。 2人の気持ちをよく投影しるものとして旅の途中に何度もある食事シーンが丁寧に描かれている。そして何といっても、冒頭に北海道の辺境から乗る電車の中で祖父が孫娘を邪険に振り払うシーンがあり、対となってラストの同じ路線と思われる電車でいろいろあって全てを許し合った2人が横並びに座ったシーンがあるのが秀悦。 背景に高齢化・不況・過疎化といった社会問題も絡めて家族の存在を再確認した作品。春の心の成長には柔らかな後味が残った。 |
2010/7/28 | 【 告白 】 |
「告白」を観た。 2009年本屋大賞に輝いた湊かなえの同名ベストセラー小説を映画化。先を読むのがもったいないほど引き込まれた原作+独創的な映像と大胆な演出によるもの中島哲也監督ということで期待度マックス。 冒頭の教室のシーンでほとんど誰も話を聞いていなく自分勝手なことをしていた生徒達が次第に静まり返っていくそのシャープな空気感ったらすすすごぃ!それだけにラストの体育館の2人の対峙シーンのリアリティのなさが残念。でも、中島監督が与えたという原作にはない台詞は効果的だったような。 全体的に極めて原作に忠実ながらも映画はぐっと血なまぐさいシーンが多くこの生理的恐怖はある意味ホラーに通じるかも。なぜこんな事件が起きてしまったのかなぜこんなつかみどころのない子供達なのかを母親との関係から説得力をもってあぶりだしている。 憎しみや復讐といった人間の暗部がテーマなので晴れやかな後味とは程遠いけれど、それにもかかわらずテンポ良く色濃くスタイリッシュな音楽と共に進行していく映像は満足度が高い。 |
2010/7/15 | 【 ニューヨーク、アイラブユー 】 |
「ニューヨーク、アイラブユー」を観た。 ニューヨークを舞台に、各国の多彩な監督11人が参加したアンサンブル・ムービー。監督には大ファンのチアン・ウェンや岩井俊二も。そしてキャストはイーサン・ホーク、ナタリー・ポートマン、クリスティーナ・リッチ、オーランド・ブルーム、アンディ・ガルシア、ヘイデン・クリステンセンetcと何気に豪華。 一番良かったのはシャイア・ラブーフがホテルのボーイを演じたエピソード。苦悩に満ちた寂しげな表情が新境地を見せてくれ、なんとも不思議で美しかった。 NYの風景を織り交ぜてさまざまな愛を描く短編集のようなものかとおもいきやそれ以外は、ほとんどがどーでも良いストーリー。わけわかんないエピソードも多し。全体的には散漫でひたすらつまんなかった。期待度高っただけにすっかり裏切られた気分。 |
2010/7/10 | 【 クロッシング 】 |
「クロッシング」を観た。 本作は、脱北者に冷淡だったノムヒョン政権下で危険を冒しながら極秘裏に撮影され、イ・ミョウンバク大統領に政権交代した後、2008年6月ようやく韓国で公開し、ついに2010年に待望の日本公開に至ったもので100人近い脱北者への取材を基にしたという。 あまりに救いようのない北朝鮮の実態に近いものや脱北者の味わう苦難の数々を描いたことも話題になっていたので、実は鑑賞するかに迷いがあった。悲惨な史実を映画で観る時にどこかで過去となったことに救われることも少なくないけれど、今回は現在進行ing形というのがあまりにヘヴィなのよね。同じように感じていたという方からのお誘いがあって鑑賞に至った。 これまでも北朝鮮の生活については報道等で目にすることもあったけれど、それにしても生きること自体が困難な生々しさに言葉を失う。この国をなんとか出来ないものでしょうか。 繰り返し使われる効果的な雨のシーンは、どんなに明るい人でも、寂しかったり、悔しかったり、辛かったり、人生の起点を表現する監督の人生観を表現し、また大変な思いをする主人公にいつでも空(神)から降り注ぐ雨があることを表現したものだという。砂漠の映像はあまりにも美しく残酷。 |
2010/7/7 | 【 息もできない 】 |
「息もできない」を観た。 まさに衝撃の一作。見ているだけで相手をビビらせるすごみがハンパなく冷徹で粗暴な主人公サンフンを演じたヤン・イクチュンに打ちのめされた。なななんと主演ばかりか監督・脚本・製作・編集をこなしたというからこの人の才能に驚きを隠せない。 やはり家族愛とは遠い同じニオイを持った女子高生ヨニとの出会いを通じたサンフンの心の軌跡を描く。韓国語はわからないながら「シバラマ」(クソ野郎)という言葉を覚えてしまったほど主人公が数え切れない程口にする。 口汚く相手を罵る台詞があふれる中、容赦ない暴力・悲惨な生い立ち・乾ききった心・閉塞感etc奈落の底まで突き落とされるようなシーンが続く。だからこそボロボロな2人の切ない一体感があふれる漢江の河辺のシーンと一見フツウのことを手にすることがどんなに困難なのかを思い知らされるラストの何気ない食事シーンが秀悦。 暴力の連鎖を前面にその裏に家族と韓国の社会的背景の闇もきっちりとらえたなんとも重みのある映画だった。 |
2010/7/4 | 【 パーマネントのばら 】 |
「パーマネントのばら」を観た。 西原理恵子原作の帯には「どんな恋でもないよりましやん――。」との言葉。これがずばり本作のテーマ。地方の村の小さなパーマ屋さんを舞台に、そこに集う女たちの恋心を描く。主人公の仲良し3人組って設定も友達の男運がハンパなく悪いってのもまるで西原理恵子原作の前作「女の子ものがたり」とリンク。 ってことで今回のは、まるでちょっと設定を変えた別バージョンの女の子ものがたり。 その最強?仲良し友達に引けをとらないのが主人公の母and村のパンチパーマのおばちゃんandゴミ屋敷のばあちゃんetcの‘恋バナ’。その不幸な恋愛の強烈さはシニカル。 あくが強いキャラの面々の中で、主人公なおこ(菅野美穂)のあまりに静かで押さえた演技の不思議感は秘められた哀しみにつながっていた。 原作で何度も登場する「好きやずっとなんてどこにもないから、私は毎日ウソをつく」の意味深な吐露をはじめとして全てをあくまでふんわりオブラートに包んでいたものを映画では敢えて謎解きのようにクリアにして秘密を明かしていく。というわけでわかりやす〜いシナリオになってような。 「どんな恋でもないよりましやん――。」ってビミョウだなぁ。言えちゃう女はたくましくそして切ない。 |
2010/7/1 | 【 ザ・ウォーカー 】 |
「ザ・ウォーカー」を観た。 文明が崩壊した世界で‘ウォーカー’と呼ばれる男が30年間、世界でたった1冊だけの本を西へ運ぶ孤独な旅を続ける謎を描く。何はともあれその濃淡を強調したメタリックな色彩の映像に魅了された。光と影が織りなすその退廃した世界観はかなり好き。 さまざまな武器を使いこなす主人公イーライ(デンゼル・ワシントン)の悪党との死闘はまるで西部劇や日本の時代劇のよう。あの荒廃した中で悪党のボス(ゲイリーオールドマン)のキャラもかなり異彩を放っていて、知的で美意識のあるクールさがただならぬ存在感を出していた。 本の正体は途中で気が付くもののラストで明かされるイーライの秘密も本のオチも確かにビックリだれど・・・あの本の価値というのは日本人には伝わり難いものかも。 あっ最後まで謎だったのが「西」・・・絶海の孤島のあの場所に何か宗教的な意味でもあるのでしょうか?わかる人いたら教えて下さい。 |
2010/6/18 | 【 RAILWAYS 】 |
「RAILWAYS49歳で電車の運転士になった男の物語」を観た。 仕事に追われ、家族を省みることのなかった49歳のエリートサラリーマンが、ふと人生を振り返り少年の頃の忘れていた夢を追い求めるストーリー。一体世の中のどれだけの人が心からやりたい仕事に就き満足しているかというと・・・かなぁ〜り少数派なのでは。現実はいろんな縛りでがんじがらめで、もう一つのあったかもしれない別の人生に踏み出す勇気も余裕もないものかもしれない。本作ではそこに一石を投じるというのではなくあくまで‘こんなケースもあるんだよ’ってさりげなく提示している。 夢の仕事に就いた主人公肇(中井貴一)と夢をあきらめてなんとなく仕事に就いた宮田(三浦貴大)の対比も織り交ぜて描く。 それにしてもまぁ主人公の変化はわっかりやすい。就活中のムスメにかける言葉ひとつとっても「うかうかすると就職できねえよ」から「焦る事はない。ゆっくり考えたらいいまぁのんびりやるさ」になっちゃうんだもん。 そして何と言ってもこの映画の見所は舞台となった80年前の電車が現役で走っている島根のローカル私鉄「一畑電鉄」通称バタ電。加えて、肇が訓練を受ける京王電鉄などの払い下げ車両「デハニ50形」の木製の車体も鉄ちゃんには魅力らしい。舞台となった一畑電車でロケ地の島根の風景を旅するツアーも人気だとか。 |
2010/6/12 | 【 クレイジーハート 】 |
TOHOシネマズシャンテにて「クレイジー・ハート」を観た。 アカデミー賞で主演男優賞(ジェフ・ブリッジス)と主題歌賞の2部門受賞作品。 かつての栄光にすがる落ち目のもう若くはない主人公の再生っていう意味ではミッキー・ロークの「レスラー」に通じるものがあって、誰でもその気になれば人生を立て直すことができるっていう応援歌にはなってはいるものの・・・・・ どん底を経験したからこそ生まれた‘鍵’となる曲が、カントリー好きには最高かもしれないけれど・・・良い歌詞ながらも大感動とまではいかなかったのがネック。ジェフ・ブリッジスとコリン・ファレルは実際に歌声を披露していて確かに上手なのも評価高い一因なのかもしれないけれど、プロレスと違って音楽って感性に訴えかけるものだからそーいう意味では難しいわねぇ。とやっぱり個人的には「レスラー」ほどインパクトなかったような。 意外にも心残りを感じるようなちょっとほろ苦いハッピーエンドのラストは賛否両論かもしれないながら もしかしたら最も現実的なのかも。 |
2010/6/11 | 【 孤高のメス 】 |
「孤高のメス」を観た。 07年に出版され累計90万部を超えるベストセラーとなった同名小説を映画化。脳死肝移植というタブーに挑む1人の医師の信念を描いた医療ドラマ。思い切り正統派人間ドラマを真正面から描いている。 看護婦が「美しい」と表現した主人公当麻(堤真一)のその見事な手際の良さも印象的で臓器もきっちり映す手術シーンは順天堂医学部の完全協力があったそうで嘘っぽさを感じさせず見ごたえある。 看護婦(夏川結衣)の視点から当時の日記により20年前を回想するという手法で、当麻の仕事ぶりに触発されこの看護婦自身が仕事に対してポジティブになっていくというのがリアリティをもって描かれ、1989年版‘赤ひげ先生’当麻を鮮明に浮き彫りにしていく。 この当時法が未整備でタブーとされた脳死肝移植も ‘患者の命を最優先’であれば淡々と挑むのみ という医療のかかえる問題に警鐘をならす直球の社会派ドラマだった。 |
2010/6/11 | 【 プレシャス 】 |
「TOHOシネマズシャンテ」で「プレシャス」を鑑賞。 |
2010/6/10 | 【 マイレージ、マイライフ 】 |
「マイレージ、マイライフ」を観た。 アカデミー賞主要5部門6ノミネートという割に、なんとも焦点のぼやけた中途半端な印象。年間出張322日マイレージ依存症の辣腕リストラ宣告人(ジョージ・クルーニー)が主人公。 1000万マイル貯めることを夢に、人とのつながりを求めず「バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない」と言い切り、上客ということでワンランンク上のサービスを受けて優越感に浸りながら独自のクールなスタンスを貫いている。仕事ではネットでの合理化案には疑問を持ったり、プライベートでは妹の婚約者への「幸せだった時を思い出してごらん。一人だったかい?寂しさに震えたとき、側に誰か居たかい?」との言葉で自らも説得されちゃっうなど動揺しちゃう面も見せ、ちょっと人間味を醸し出す。でも、仕事の方は夢のマイレージ達成が危うくなることへの危惧だろうし、プライベートのほうもその場しのぎの白々しさも感じられちゃうので感情移入できない。やっと夢のマイルがたまった時のビミョウな表情が全てを語っている。 全体的に盛り上がりに欠けていた中で、荷づくりやら登場手続きの出張ノウハウは興味深かった。 |
2010/6/10 | 【 シーサイドモーテル 】 |
「ヒューマントラストシネマ渋谷」にて「シーサイドモーテル」を観た。 海もないのに「シーサイド」という名の山奥のさびれたモーテルを舞台っていうだけで何やら怪しげ。 4つの部屋で起きるそれぞれの騙し合いを11人の豪華キャストで描く群像コメディー。宿泊客が朝を迎える時、「無事チェックアウトするのは誰だ」というのが鍵でそれが極上のラストシーンにつながっている。 借金取りは喘息持ちだし、セールスマンはインチキだし、etcそれぞれの事情に小ネタをちりばめた上に、温水洋一や古田新太でお約束の笑いを取って、ラストのオチも良かった にもかかわらず、何故か全体的になんとなく散漫で何か物足りないのは4つの部屋のつながりが‘絡まり合う’と言えるレベルではなく中途半端なせい。 主題歌♪ランナウェイ♪byシェネルズはいつ聴いても良いっ! |
2010/6/9 | 【 セックス・アンド・ザ・シティ2 】 |
「セックス・アンド・ザ・シティ2」を観た。 前作同様、品川プリンスシネマでのレイトショー。やっぱ仕事帰りと思われるおしゃれな女性が圧倒的に多く、しかも上映中、熱狂的ファンは歓声やら拍手まで・・・。ここは日本??? それはそうとして、今回はアブダビのホテルオーナーに無料招待され、同国を訪問するというまさに夢のようなストーリー。 何はさておきコンパートメント風ファーストクラス・1人1台のリムジン送迎・専用バトラー付きのロイヤルスィートホテル・砂漠でのピクニックetc確かに不景気を吹っ飛ばすこれでもかというゴージャス三昧シーンがてんこもり。あのファーストクラスは「エティハド航空」のものでエミレーツ航空と並ぶ中東を代表する航空会社だそうで映像で堪能できたのは収穫。ライザ・ミネリやベネロペ・クルスの登場も豪華さに一役。 砂漠をハイヒールでというオバカさも抑圧された中東の女性もブランド大好きみたいなくだらないオチもまぁ許せるものの、この話でやっぱり違和感がぬぐえないのが我儘奔放な女性に対して物分かりの良すぎる男性陣。けたはずれの豪華アブダビ旅行はアラビアンナイトの夢物語だとしても、男性陣のささやかなる抵抗が中途半端で甘いっての。 |
2010/6/6 | 【 川の底からこんにちは 】 |
「川の底からこんにちは」を観た。 都会で働くOLが実家の家業‘しじみ工場’を継ぐことを余議なくされる。まぁよく聞く話ではあるけれど、この主人公のキャラが鍵。口癖の「しょ〜がない、大した女じゃないし、どーせ中の下だし」が、このキャラをわかりや〜すく表している。まるで上昇思考とは縁遠い主人公だけにどう対応していくか興味が持たれる。 結局主人公がこれまでの自分を反省し変わっていくというありがちなサクセスストーリーではないのがミソ。あくまでダメ人間の自分を受け入れそのまま‘開き直り’で「頑張るしかない」となることがある意味自然な説得力を持っている。 独特のユーモアもちりばめられていてクスクス。冒頭の腸内洗浄と実家での汲み取り肥料ってリンクしているのだろうけれどちょっとわかり難かった。 主人公を実力派の満島ひかりが演じているのも魅力ながら、まぁ唯一の難点は「中の下」が全く説得力ないほど可愛いこと。しじみ工場のおばちゃん達は納得したけれど「どーせ私たちは中の下」もそのカワイイ顔には言われたくないって気がしちゃうけど(-_-;) |
2010/6/3 | 【 ミレニアム ドラゴンタトゥの女 】 |
スウェーデン映画「ミレニアム
ドラゴン・タトゥーの女」を観た。 何の予備知識もなくたまたま時間的都合だけで映画館に入ったものの、なななんと観客はアタシだけ・・・ なんだかタイトルからしていかにもB級っぽいしポスターも不気味だし やばいかも・・・。と、せっかくの貸し切り映画館なのに出入り口に近い最後列のはじっこに座った(-_-;) で、映画はなななんと予想外に153分という時間を全く感じさせないくらいのエログロありの本格的ミステリーサスペンスでその面白さにぐいぐい引き込まれちゃった。 そして特筆すべきはドラゴン・タトゥーの女主人公リスベット。なんたって強烈。鼻ピアス・全身タトゥー・黒づくめの革ジャンというパンク系の中性的な外観で、人に媚びない表情が潔くなんともすっごくかっちょ良いのぉ。やられたらやりかえすってのも見ていてすかぁ〜っとするし。しかもリスベットの武器は卓越したハッカー技術。 期待も何もなかった分この映画に出会えて思わぬ拾い物をした気分。なんでも世界的大ベストセラーとなったミステリー「ミレニアム」の3部作の映画化だとか。ということで今後の続編が待ちきれない。 |
2010/5/22 | 【 オーケストラ! 】 |
仙台「チネ・ラビータ」にて「オーケストラ!」を鑑賞。 パリでは「マイケルジャクソンTHIS IS IT」をおさえオープニングNo.1を記録したという。 もうかつての面影もないボリショイオーケストラの面々が偽って乗り込んだパリでのコンサートの行方は?この作品がフランス映画だということを忘れるほど、いかにものロシア的なドタバタが描かれる。 リハーサルそっちのけの勝手気ままぶりもかなりなもんだけれど一番ツボだったのがパスポートの件。このいいかげんさが大陸的だよね〜。 それでいてユダヤ人迫害の史実なども踏まえシリアスな要素もきちんと描いている。そういえばクラシックの名曲をしっかり入れながら、陽気なジプシー音楽もしっかり楽しませてくれるのもこの手法に通じるのかも。こーいう意外性が効いているせいか随所にメリハリができて笑いあり感動ありの作品になっている。 ラスト12分間のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はさすがに圧巻。ひとクセもふたクセもあるおじさんの中で、透明感のある美しいヒロインを演じたメラニー・ロランもはまり役だった。 |
2010/5/9 | 【 ジュリー&ジュリア 】 |
「ジュリー&ジュリア」を観た。 50年前に仏料理を一般のアメリカ家庭に紹介したジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)と、そのレシピを1年で全部作りBlogに公開した現代に生きるジュリー(エイミー・アダムス)の2人を交差して描く。 実物とそっくりと話題になったというメリス・ストリープの役作りの中で、デカ女の外見も大らかでいてパワフルな人柄も良かったとは思うけれど、酔っぱらい?と思えるような独特の台詞まわしは違和感があり、何度も言われる「ボナペティ」が気に障ってしまった。(-_-;) ただ、時代を問わず大奮闘しながらお料理することも、美味しいものを食べる人々の笑顔もそれだけでほほえましくで気持ちがなごむ。 お互いのかけがえのない旦那様との夫婦愛もきちんと描いていた。まっ‘料理は愛’ってことでしょう。ジュリアの最大の理解者の夫役を演じているのが記憶に新しいラブリーボーンの殺人鬼スタンリー・トゥッチだったのが印象的。 ラストにビターなシーンを入れたのは賛否両論かもしれないけれど、ある意味甘いだけじゃないってことでそれはそれで良かったかも。 |
2010/5/6 | 【 パレード 】 |
「パレード」を観た。 都会でルームシェアをしている若者の日常を描く。順番に各自にスポットを当ててそれぞれかかえる悩みやトラウマetcが浮き彫りになっていく。一見ありそうな若者の日常を淡々と描いている中で、あれっと違和感を感じたのが大学生の良介(小出恵介)。良助の先輩の訃報を聞いた時のルームメイトへの反応がこの映画全体のテーマともいえる‘本心とうわべ’を表す上で一番わかり易い。どうせなら他のメンバーもこの路線で描いてくれたらと思わないでもない。 4人の前に現れた少年サトル役の林遣都がこれまでの爽やかスポーツ少年とは真逆の役で新境地を開拓しているのが印象的。 ‘生きる知恵’とも言えるこの部屋の中のつかず離れずのbestな距離感をチャットや掲示板になぞらえるあたりが時代を映す。そんな中1人の「嫌なら出ていくしかなくて、居たければ笑っていればいい」という何気ない台詞がどんなに重みを持つものなのかをラストのラストで知ることになる。 この映画を称して「怖い」という表現を多く見かけるけれど、確かにラストシーンは「えっ そうくる・・・」と薄ら寒くなるような毒があった。うわぁこのインパクトは半端ない。加えて、この慣れ合いの生活がいつまでも続くのかそれとも崩壊を予兆したものかを観客に委ねこの後どうしたのかは語られないところが、またコワイ。 |
2010/4/29 | 【 シャッターアイランド 】 |
「シャッターアイランド」を観た。 スコセッシ監督とディァプリオのコンビという意味では前作の「ディパーテッド」がアカデミー作品賞にも関わらず個人的には不満タラタラだったけれどさて今作は・・・? 主人公が時々見る回想シーンも幻想的だし、切り立った崖・船着き場・洞窟・廃墟・暴風雨etcがこの隔絶された孤島の得たいのしれなさを妖しげに映すし、薄暗い病棟内はまるで「羊たちの沈黙」の医療刑務所を思い出す程不気味な閉塞感がダークでミステリアスに重く描かれている。 と映像面ではかなり楽しめたけれど肝心の謎解きは・・・、上映前の‘これからご覧になる方へ’の注意事項が逆効果。 「この映画のラストはまだ見ていない人にはけっして話さないでください」が出るのは、まっ本作が「衝撃のラスト」という触れ込みでの宣伝だけに特に意外ではないけれど、今回はご丁寧に「人間の脳は都合の良いことしか解釈しない。登場人物の表情や手の動き目線や仕草にも注目しましょう」という旨まで。で、このテロップのお陰であのラストもさらに二重三重の展開があるのかもな〜んて深読みしちゃうもんだから意外にあっけなく肩すかしって感じ。 映画館を出てから中に携帯電話を忘れてきたという影武者さんと探しに戻ったらどこにもない(;_;)この次の上映回はお隣の劇場に変更になる為「シャッターアイランド」の看板が移っていたのに気が付かず鑑賞したお隣の劇場を探していたらしい。仰々しいテロップが余計だと文句言ったそばから「人間の脳は都合の良いことしか解釈しない」を実感することになるとはねぇ 人間は思い込みから逃れることはできないのネ。とほほ。 |
2010/4/19 | 【 ハート・ロッカー 】 |
「ハート・ロッカー」を観た。 今回の第82回アカデミーではそれぞれ最多9部門のノミネートを受け「アバター」と「ハート・ロッカー」の対決が注目された。対照的な「3DのSFファンタジー」vs「硬派な戦争社会派」というだけではなく、ジェームズ・キャメロン監督VS元妻のキャスリン・ビグロー監督というので関心が集まった。傍から見てもオスカーを競う元夫婦ってのもすごいもんだけど、当人同士はどんな気持ちなんでしょうねぇ。結果この「ハート・ロッカー」が作品賞の他にも計6部門を制している。 タイトルの「The Hurt Locker」とは文字通りの「傷ついたロッカー」という意味で俗語として「激しい痛みの場所」あるいは「棺おけ」という意味もあるとか。 イラク戦争下でのアメリカ陸軍爆発物処理班の38日の勤務が捉えられる。冒頭のテロップ‘War is a drug’に違和感を感じつつも本作のテーマはそこにあることが次第にわかってくるので、意外にもラストは驚愕どころかすんなり受け入れられた。 一歩極限を超えた次元に身を置きそのスリリングな高揚感に取り憑かれた主人公から対テロ戦争の過酷な異色性が浮きぼりにされる。この映画ではショッキングな日常の中、現在もあの過酷な任務Hurt Lockerと隣り合わせにいる兵士が黙々と任務を果たしイラク国民を救う姿を描くに留まっている。その状況を作り出した国のイデオロギーやイラク戦争の原因そのものに一石を投じるまでは踏み込んでいない点が本国アメリカにとってはポイントなのかも。 |
2010/4/18 | 【 ゴールデンスランバー 】 |
「ゴールデンスランバー」を観た。 「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」に続き伊坂作品を中村義洋監督が映画化。脇を固める濱田岳・大森南朋・渋川清彦のお馴染みメンバー出演もうれしい。 首相暗殺の濡れ衣を着せられた宅配ドライバー青柳(堺雅人)の決死の逃亡劇。 今回は何故1市民がスケープゴードに仕立てられたのかその事情がどうもなんだかよくわからないままだったのが消化不良で逃亡劇のサスペンスとしては疑問が残る残念な部分もあったけれど、前記の2作品同様にラストのラストまでパズルが合わさっていくような面白さも健在。 伊坂作品には多い学生の描写に今回は70年代のCMソングや「よくできました」のスタンプetc懐かしいアイテムも効果的に加わりノスタルジックな気分にも浸れるあたりがポイント。 現在と過去を交差させながら伏線をめぐらしちゃんとオチもあるあたりもさすが。 |
2010/3/30 | 【 しあわせの隠れ場所 】 |
エア・カナダの機中にて「しあわせの隠れ場所」を観た。 裕福な白人一家に助けられたが貧しい黒人少年がフットボールの才能を開花させていくというサクセスストーリーが、ななんとラストにわかったことながらこれは実話だそうで逆にビックリ。 あまりに美談として話が出来過ぎで途中から引いてしまった。あの家族はすんなり過ぎて本当にこの少年を家に受け入れるのに葛藤がなかったのでしょうか? 主演のサンドラ・ブロックはアカデミー主演女優賞受賞。まぁ他の作品と比べ何が突出していたかはよくわからないけれどめちゃくちゃ良い人を演じたのは確か。っていうかこの作品は、白人一家だけじゃなく関係者が総じてみ〜んな良い人なんだけど・・・。マイケル君も劣悪な環境にも関わらず悪に染まらず優しく純粋そのもの。 事実だとしても良い人のオンパレードに嘘っぽさを感じてしまう自分って・・・複雑。エンドロールで流れる写真にだけは素直に感動。 |
2010/3/30 | 【 恋するベーカリー 】 |
エア・カナダの機中にて「恋するベーカリー」を観た。 |
2010/3/30 | 【 ラブリーボーン 】 |
エア・カナダの機中にて「ラブリーボーン」を観た。 全世界30か国以上で1,000万部以上を売り上げた原作の映画化。「私は、14歳で殺された。」というショッキングな冒頭の台詞のつかみは良い。14歳で殺されてしまった少女が、残された家族や友人たちが立ち直っていく姿を天国から見守り続ける。 |
2010/3/30 | 【 NINE 】 |
エア・カナダの機中にて「NINE」を観た。 「シカゴ」のロブ・マーシャル監督だしアカデミー賞受賞者をこれでもかと共演させたまぁキャスティングの豪華なことか。 ダニエル・デイ=ルイス演じる映画監督をめぐる女性陣にマリオン・コティヤール、ソフィア・ローレン、ジュディ・リンチ、ニコール・キッドマン、ステイシー・ファーガソン、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン・・・名前を羅列しただけで豪華絢爛でピカピカ。 それぞれの女優が各自の出番にセクシーな色気をこれでもかと魅せあう。特に70代のジュディ・リンチが旬の30代の女優に並ぶステージを魅せたことには脱帽。どの女優もさすがにダンスも歌もそれぞれ半端ない。最初はすごっと感心もしたのだけれどでもそのうち各自のパフォーマンスにもだんだん飽きが・・・なんとなくまるで繰り返し肉食系の各女優のPVを観ているような。 主人公があっちにもこっちにも調子の良い八方美人の‘だめんず男’なのに女性にモテまくるっていうのもストーリーとして全く面白みなし。っていうかストーリーはあってないようなもんだけど・・・。 というわけでやたらゴージャスなのにもかかわらずなんか盛り下がってしまった。 |
2010/3/13 | 【 アリス・イン・ワンダーランド 】 |
公開がカナダでも春休み中ということもあり平日でもsold outという中、なんとか観れたのが「アリス・イン・ワンダーランド」。 ルイス・キャロルのアリスを独特の毒気のある世界観を描くティム・バートン監督が手掛けるとなるとそれだけで不思議世界にワクワク。 が、ある程度なじみのある話とはいえ、イギリスアクセントとキャラを際立たせた独特の英語が全然わからない(;_;) こここんな難解なものとは・・・。 しかもラストにはロボット的なドラゴン登場に口ぽか〜ん、ファンタジーっていうよりSFチックな戦いになっちゃってるしぃ。子供の頃から焼きついているアリスの世界観とどーも違う。 かと言ってイマジネーションあふれる映像だけでも楽しめたかというと・・・3D映像に関しては満喫できた「アバター」と比べ、こちらは3Dにしている意味さえないような。 インパクトある豪華出演者達にもかかわらず楽しむレベルではなく30分くらい寝てしまいました。 |
2010/3/11 | 【 ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式 】 |
日本公開は2009年ながら見逃していた「ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式」をカナダで観た。 字幕がなくてもこのブラックユーモアのつぼは直球だったようでいつの間にかゲラゲラ笑えたのが何より。 この映画を日本では「海外版おくりびと」って宣伝しているようだけれどテイストが違い過ぎ。どっちかというと伊丹十三監督の「お葬式」に近い。 お葬式っていう厳粛であろうとする場だからこそ、タブーのギャップに笑える。あたふたしながらもこっそりと亡くなった父親の秘密に対処する兄弟と、安定剤を飲んだサイモンのはちゃめちゃぶりを交差させ、それぞれの登場人物の思わぬアクシデントやら思惑やらが絡んでありえな〜い展開になっていく。 舞台がロンドンということもあって、不謹慎ネタのドタバタのオンパレードが英国らしさのテイストに上手く味付けされて余計にシュール。 全て裏目に出た上で、ギリまでいった喪主のラストが良い。形式的な言葉のなんて味気ないことか。思いがけない状況下で出た心からの言葉こそが人々の心を温めていく。 なななんと、評判が良かったからか、アメリカでは同じ原題「DEATH AT A FUNERAL」で、すでに舞台をアメリカにして黒人家族の物語にしたリメイクが公開されているとか。早いっ! |
2010/1/1 | 【 アバター 】 |
今年お初映画は「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督が12年ぶりに発表した、最新3D映像による「アバター」。 |
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