MOVIE      2013年映画館で観た感想 (基本的にレンタル等の鑑賞は含みません)

 



キャプテン・フィリップス 
きっと、うまくいく 
風立ちぬ 
凶悪 
大統領の執事の涙
 


世界にひとつのプレイブック 
図書館戦争 
L.A.ギャングストーリー 
舟を編む 
カルテット!人生のオペラハウス 
シュガーマン 奇跡に愛された男 
ハッシュパピー バスタブ島の少女 
ザ・マスター 
ボクたちの交換日記 
声をかくす人 
夢売るふたり 
別離 



闇金ウシジマくん 
草原の椅子
ゼロ・ダーク・サーティー
最終目的地
ローマ法王の休日
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
砂漠でサーモンフィッシング
グッモーエビアン!
恋のロンドン狂騒曲
007 スカイフォール
鍵泥棒のメソッド
ホビット 思いがけない冒険






2013/11/30 【 キャプテン・フィリップス 】
キャプテン・フィリップス」を観た。
2009年に、アメリカ船籍のコンテナ船、マークス・アラバマ号がシージャックされた事件がベースとなって船員の救出と引き換えに4日間にわたって海賊の人質となった船長の運命と、海軍特殊部隊ネイビーシールズによる救出作戦。
ソマリア沖の海賊問題は今も現在進行中という意味でもその背景に何があるのか、何故漁師が海賊になるのかの裏事情も描かれている。
たまたま貧しいソマリアで生まれたための選択に「他に道はあるのでは」と言えてしまうのは富める国に生まれた者だからの言葉。「アメリカ国民なら」のその答えが全て。結局善悪や道徳を言えるのはその余裕があるということで、ソマリアの漁村で生きるには、選択肢がないという対極の立場の両者の事情を描くことで深みを与えている。
キャプテンを演じたトム・ハンクスの慟哭の演技もハンパないながら、ソマリア海賊を演じた面々の迫力が素晴らしい。特にリーダーのムセ役(バーカッド・アブディ)はリアリティさに圧倒される。なななんとこれが映画デビューというから驚く。実際にソマリア出身とのことなので命懸けの海賊を全霊で訴えた功績も大きく全編を通してスリリングで緊張感があふれている。アカデミー賞の助演男優賞ノミネートおめでとう!!!





2013/11/28 【 きっと、うまくいく 】

きっと、うまくいく」を観た。
2010年インドアカデミー賞史上最多16部門独占しインド映画歴代興収No.1達成作。
スピルバーグが3回観るほど熱狂し、世界各地でリメイク決定だとか。評判の高さは気になっていたけれど地元での上映はなく、スクリーンでの鑑賞をあきらめかけていたら六本木シネマートで上映に間に合った。
世界中が感動したというだけあって、まちがいなくここ数年のbestムービー。
原題「3idiots」のまさに’3バカトリオのエリート大学生ランチョー・ファルハーン・ラージュにぐいぐい引き込まれて笑って泣いて観終わった時にはスピルバーグじゃないけれどまた観たくなる作品。
エリートエンジニアのタマゴが通う超難関理系大学を舞台に、ミステリー仕立ての10年後を同時に描く。
インドの学歴競争、格差社会、新入生の洗礼、親からのプレッシャー、花嫁の持参金、ボリウッドならではの踊りと歌、ラダックの湖etcどれもこれもインドならでは。
社会を厳しく描きながらユーモアとAal izz well=All is wellのおまじないで誰もが幸せになれる。
主役のランチョーを演じたアーミル・カーンは44歳で24歳の役を見事に演じきった。愛すべき3バカトリオとそれを囲む脇役の個性派揃いの面々も素晴らしい。
170分間(3時間弱)は飽きることもダレルこともなく過ぎて沢山のパワーをもらった。この映画に出会えて本当に良かった。
後日DVDも購入。





2013/11/4 【 凶悪 】

凶悪」を観た。
死刑囚の告発をもとに、未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。
凄惨な事件をおこしていくピエール瀧と影の首謀者リリーフランキーを中心にした悪行三昧がハンパない。
バレなくて金になるならという損得でしか世界を捉ていなく、この薄っぺらい価値観が的確に薄気味悪い現実の悪の本質を狙っている。
老人虐待シーンはハイテンションで不謹慎ながらまるでパーティー気分で進行。
ピエール瀧のキャスティングは申し分なく「ぶっこむ」という台詞が全編に効いていてインパクト大。被害者老人を演じたジジ・ぶぅが実年齢56歳とは思えない見事な迫真の演技でリアルにぶっこまれていた。
身内だけは大事にするというアットホーム的なシーンを交差させるのも、記者(山田孝之)の家庭の事情を盛り込んだのも、悪は日々の世界のすぐ隣に地続きの空間にいて、自分たちも必ずしも善サイドではないというメッセージと思われる。が、家庭の事情がちょっと説明的というか冗長すぎてあまりにくどかったのが残念。





2013/8/16 【 大統領の執事の涙 】
大統領の執事の涙」を観た。
LAで観た時の原題は「the butler」。う~~ん日本公開でのこの邦題はなんともセンスがない。「the butler」=執事で良いと思うのだけれど…。
ホワイトハウスで1950年代から80年代に7人の大統領に仕えた黒人執事がいたという事実に基づいて製作されたという。
一人の黒人執事の人生を描くことで、1920年代からの黒人差別、公民権運動といった、アメリカの負の歴史にスポットライトを当てたオバマ大統領が誕生するまでの現代史としても、そこに父と子の確執を絡めた人間ドラマとしても見応えあった。
なんといってもカラーパープルで強烈な印象を残し今やアメリカのトーク番組の女王となったオプラ・ウィンフリーが主人公の妻役で出演というのでオプラ目当てでの鑑賞。仕事一筋の主人公(フォレスト・ウィテカー)と息子の板ばさみになる妻役は絶妙でさすがの存在感。
歴代の大統領が実名で有名俳優が多数登場するオールスターキャストともいうべきメンツが顔を揃えている。鑑賞当時はアカデミー賞の有力候補となっていたのにオバマ大統領のシンパ的要素が逆に政治色として嫌われたのかアカデミー賞の時期にはノミネートを逃した外のは残念。





2013/5/19 【 世界にひとつのプレイブック 】
世界にひとつのプレイブック」を観た。
心が壊れた二人の再起と全財産を賭けたダンス大会の結果というのが見どころだろうけれど、精神病というシリアスなものを扱っていながらのドタバタのコメディ要素の側面の方が断然楽しめた。
主要登場人物がフツウじゃない。「躁うつ病」になった状況は気の毒ながら根拠のない復縁を信じて夜中だろうが病院だろうが大騒ぎして暴れる男(ブラッドリー・クーパー)、喪失感を埋めるためなら何でもありで外食先だろうがブチ切れると大声を出しテーブルの上をひっくり返す不機嫌なやさぐれ女(ジェニファー・ローレンス)、それにこの親にしてこの子ありの思い込みが激しくギャンブル依存症の父親(ロバート•デ•ニーロ)・・・こういう面々が家族や職場にいたらと思うとウンザリ。
だけれどこのイタい面々があまりに非常識でしょーもないので観る側としてはハードルが下がって困った系人間の可笑しさを一歩さがったところから楽しめる。
ただイケメン過ぎるせいで病んでいる感じを出すために着ているゴミ袋姿もさほど違和感なかったのは計算外かも(笑)。エキセントリックな両人だけに何に魅かれたのがわかりにくいのと、裏切った奥さんの非をぼかしていて立ち位置がどうにもスッキリしないのは残念。
原題は「Silver Linings Playbook」でSilver Linings は希望の光playbookとはアメフトの作戦図だとか。
主人公がたちまち情緒不安定に陥るトラウマ・ミュージックはStevie Wonderのメローなバラード♪My Cherie Amour♪。主人公は不機嫌になるけれど甘酸っぱくやわらかいメロディが何度も登場するのはうれしい。





2013/5/8 【 図書館戦争 】

図書館戦争」を観た。
予告編の段階から図書を守る為日本人同士が命をかけ銃撃戦をするのかぃ?という違和感でスルーのつもりが、なななんと意外にも評判がそこそこ良いらしいので、期待値ゼロで鑑賞することに。
よくよく考えたら戦前も戦時下も検閲が当たり前に行われ本を自由に読むことができなかったし、戦後の昭和30年代でさえラジオや新聞は検閲で骨抜きにされていたため実態がよくわからなかったというから、この映画の架空の「メディア良化法」自体は、一笑できるものではないのかも。
だとしても最終手段として図書隊vsメディア良化法側の戦争というのならまだしも、のっけから武力闘争ありきの検閲の設定はどうもすんなり入ってこないし説明不足のような・・・。
銃撃戦はかなり見応えあるけれど、何度もある絶体絶命シーンでもお約束の展開が待っているので安心して観れた(-_-;)
それにしても何より意外だったのが、鬼教官を演じた岡田准一。岡田クンといえばジャニーズだしアイドルグループV6だしイケメンオーラ放っているし・・・なのに、女性から「チビ」と罵られるような役はアリ???もしかして低身長なのかもしれないけれどここは触れていけない空気というものが業界全体にありそうなのに・・・。この映画で低身長のイメージが定着していいのぉ?というような驚きが・・・。
原作では岡田クンが演じた図書隊の教官は‘怒れるチビ’で165㎝、榮倉奈々が演じた図書隊員は‘熱血バカ’で170㎝という設定だとか。因みに岡田クンだけでなく、榮倉奈々と栗山千明の身長差もかなりで、改めて栗山千明が小柄なことを発見。
図書隊の創設者祖、稲嶺指令には原作者の強い希望で故児玉清をキャスティングしていたのはイメージ的にはど真ん中。
サントラもなかなか良かった。
それにしても訓練生と教官という設定から思い浮かんだのが「スチュワーデス物語」。1983年だから30年も前?我ながら古っ。





2013/5/4 【 L.A.ギャングストーリー 】
L.A. ギャング ストーリー」を観た。
1940年代のロサンゼルスに暗躍したギャング、ミッキー・コーエンvsロサンゼルス市警の警官たちの極秘部隊(ギャンスター・スクワッド)を描く。原題はそのものずばりGANGSTER SQUAD。
警察や政治家をも意のままに操るほどの力を持つコーエンに対抗するために、警察のバッチを外しまるで‘警察がギャング化’…これが実話ベースとはなんともすっごい話。
アメリカのギャングといえばなんと言っても有名なのがシカゴのアル・カポネで、サンフランシスコでアルカトラズに行った時にもついアル・カポネばかりに関心が行っていたけれど、歴代の有名囚人のパネルにこのミッキー・コーエンもあったらしい。アルカトラズ行く前にこの映画観ていたらなぁと思わずにいられない。
映画では非情の限りの人物像が映し出される。敵や失敗した部下を殺すにしてもやり方の残虐さが異常とも言えて、15-R納得のエグ過ぎシーンは正視に耐えられない。ショーン・ペンはこの極悪非道なカリスマを怪演している。
リーダー的な熱血警官オマラ(ジョシュ・ブローリン)と優男系のジェリー(ライアン・ゴズリング)を中心に正義感ある異端児の面々がそれぞれのスキムを活かして対抗していくのは爽快。
ただ…ジェリーが怖い者知らずにも敵の女性と知ってて恋仲になるっていうのは使い回されたありがちな展開だけに残念。
ラストのオマラとコーエンのガチの血みどろのタイマン勝負は、ド派手な銃撃戦やら爆破シーンの後だけにちょっと予想外。
全体的に113分とコンパクトにまとめたのは良かったし、エンドロールのノスタルジックなL.A.を描いたイラストもレトロ感いっぱいでかなり楽しめた。





2013/5/3 【 舟を編む 】

舟を編む」を観た。
昨年の本屋大賞1位の三浦しをんの作品が原作。
首をかしげるタイトルは、「辞書は言葉という大海原を航海するための舟である」というコンセプトのもと、『大渡海』という辞書(舟)を編集する(編む)の意味。
まずはともあれツボだったのが、主人公の馬締(マジメ)演じた松田龍平その人より、住まい。古い下宿は、旧社屋におしやられた感の編集部と同様に本の山。書棚が廊下にまで整然と置かれて書庫というかまるで古本屋のよう。天井の低さも薄暗さも猫を招き入れる木枠窓も月の光が美しくみえるベランダもなんとも味のある空間になっている。言わば、この坂道に立つ時代から取り残されたような下宿屋「早雲荘」自体がまるで馬締という人間そのもの。
松田龍平はこれまでイマドキの冷めた目線の役が多かっただけに今回の真面目一辺倒の役で新境地を見るよう。
物語は主人公の恋も絡めて1995年から15年かけて完成させた辞書つくりに地道に取り組んでいく人々を描き出す。気の遠くなるような地道な作業を描きながらも登場人物の描き方が丁寧なせいか単調にならない。
相棒のチャラ系の飄々とした行動派の西岡(オダギリジョー)の対比が絶妙だし、柔軟で信念に満ちた加藤剛や飾らない下宿屋の大家の渡辺美佐子の安定した存在感もとても良かった。
馬締の書いた『恋』の語訳・・・「ある人を好きになってしまい、寝ても覚めてもその人が頭から離れず、他のことが手につかなくなり、身悶えしたくなるような心の状態。 成就すれば、天にも昇る気持ちになる。」
西岡の書いた『ダサい』の語訳・・・「時代遅れ。田舎臭い。鈍臭い。恥ずかしいくらい主流派。要は格好悪い。用例 酔ってプロポーズとかマジダサいよね。」

これらは両者とも説得力あり過ぎで受けるっ。




2013/4/23 【 カルテット!人生のオペラハウス 】
カルテット!人生のオペラハウス」を観た。
かの名優ダスティン・ホフマンが75歳にしての初監督作。
TV番組でこの映画のモデルとなったミラノに実在する音楽家のための老人ホーム「音楽家のための憩いの家」が紹介されていた。そこでの‘見た目フツウ’のご老人達がバリバリの現役かと思うような美声で歌っていたりする様子に、プロの音楽家が最期まで自らの尊厳を保ち誇りを持って生活していることに感銘を受けた。
ダスティン・ホフマンもまさにここから「映画を作るならいまでしょう」のインスピレーションを得たというから期待大。
映画では舞台をイギリスに移し、英国の演技派俳優たち、本物のミュージシャンたちが豪華に集結している。
チラシでは「近々行われるコンサートが成功しなければ老人ホームがつぶれちゃう」とあったのだけれど、優雅な暮らしぶりばかりが優先していて存続にかけての危機感はあまり描かれていなかった。
確執のあった人間関係の気持ちの変化についても、アレレいつの間に?って流れで説得力に欠ける。
コメディタッチという点でも個々の味のあるキャラは活かされていたけれど、会話自体それほど面白くなかった。
コンサートは本物だけに素晴らしいものの・・・肝心の伝説の四重奏(カルテット)シーンは本来一番の見せ場となるはずが肩すかし。吹き替えでも良いから演出なんとかならなかったものか。
というわけで、ほのぼの系で良い材料がそろっているのにどうも詰めが甘いような。
エンドクレジットでの出演者の若い頃の写真を映し出すサプライズは監督の優しい目線も伝わってきて楽しめた。




2013/4/22 【 シュガーマン 奇跡に愛された男 】

シュガーマン 奇跡に愛された男」を観た。
第85回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞受賞作。
なんかすっごぃものを観たぁ~。
オスカー獲得の「アルゴ」も良かったけど、こちらがアカデミー賞の作品賞でも良かったかもというくらい大満足。
アメリカでは6枚しか(正確な数字ではないと思うけれど)売れなかった無名ミュージシャンのロドリゲスが、南アフリカで50万枚も売り上げ大ブレイクしていたという。いやぁこういうサプライズがあるから人生って面白いっ。
デトロイトの場末のバーで歌うロドリゲスと大物プロデューサーとの出会いをへて、商業的には成功せず姿を消すも、関係者の知らないところで海賊版として海を超えていく。折りしも、70年代の鎖国状態の南アフリカで反アパルトヘイト運動をするリベラルな若者が感化されて、なんと国を変えるほどのムーブメントを牽引する。
南アフリカでは ‘ドラッグの過剰摂取で死んだ’‘ステージで焼身自殺など…都市伝説のごとくが行きかっていた死亡説の‘死の真相’を調べているうちに想像を超えた展開が。
物語の終わりと思ったら始まりだったというこの一連の流れを映し出す中、挿入されるロドリゲスの曲があれもこれもそれもどれも良いっ!!!
感動的な話+心に残る曲 ということ以上に魅かれるのがこのロドリゲスの人間性。
家族を養う為肉体労働者として働く中、半信半疑で南アフリカに降り立つと待っていたのはリムジンとスィートルームと5000人の大観衆。そしてステージに立った時の最初の一言が「生きていたよ」とは・・・。Cool
アメリカに帰国後は何事もなかったようにいつもの生活へ戻り、公演で得たお金は家族や友人へ。ありゃ~~~参った。
誰にも聴かれなかった曲が回りまわって世界のためになるって・・・まるで大大大好きな邦画「フィッシュストーリー」のノンフィクション版そのもの。まさに奇跡。

後日談として「奇跡体験アンビリバボー」によると、アカデミー賞の会場に現れなかったことを聞かれ「俺には映画の賞なんて関係ないからさ。仕事の方が大事だろ」と、世界的に注目されるようになっても決して浮かれることなく謙虚な生き方は変わらない様子を放送していた。生き様自体がカッコいい!
85分とコンパクトなのも良いっ。
スタンディングオベーション!!!





2013/4/22 【 ハッシュパピー バスタブ島の少女 】
ハッシュパピー バスタブ島の少女」を観た。
新人監督が低予算で手がけ、ハッシュパピー役のヒロインもその父親役も演技未経験だという本作で、各映画賞で受賞が相次ぎ、特に主演のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんが史上最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ話題になっている。
まぁ何はともあれこの野生児ハッシュパピーの可愛らしさにメロメロ。髪が爆発しているのも良いっ。
厳しい現実に向き合う力強さを持ちつつ、地球温暖化や氷期で滅んだ筈の大型牛オーロックスを絡めた心象的な不安のアンバランスさがナチュラルな6歳の少女像を映し出す。
バスタブ島を襲うハリケーンが過酷な環境に追い打ちをかけ自然への畏怖は計り知れないけれど、それでも人々はノー天気なのか動物的というか、(-_-;)良く言えば生命力に満ちている。
ボートはまるで「ノアの方舟」で語り口はあくまでファンタジックながら、飲んだくれの自由人の父親との2人のバスタブ島でのゴミ溜めの中での極貧暮らしは常軌を逸していてその異様さはハンパない。
劣悪な環境である程、それでもたくましいハッシュパピーを描こうとしたのかもしれないけれど、ズブズブした不衛生な湿地帯・毛虫・動物の死骸・死んだ魚・工場廃液etcあまりにあまりで(-_-;)ゲンナリ。
まぁそれでもバスタブ島の人々は「住めば都」なのか、それでもここが好きっていうオチ。
同様に、ぶっ飛んだというかイカレタ父親なんだけど、ぶっきらぼうながら娘を愛する父と娘の関係はそれなりにバランスが取れていて結びつきが深い。
安定や安全にとらわれず、むしろ超越した人間の絆がここにある。
映像は低予算のせいか?16mmフィルムの手持ちカメラが揺れるぅ~~~。




2013/4/21 【 ザ・マスター 】
ザ・マスター」を観た。
マスターと呼ばれる新興宗教の教祖(フィリップ・シーモア・ホフマン)と戦争体験や酒などによりメンタル面でかなり問題のある元兵士フレディ(ホアキン・フェニックス)の出会いからやがて離れていくまでの人間の結びつきを濃密に描く。
この教祖は、トム・クルーズやトラボルタなど有名人に信者の多い新興宗教サイエントロジー創始者をモデルにしたものだというけれど、この映画では、この宗教の是非はあまり問題にはしていない。
ホント~にフレディは屈折していてかなり人間として壊れかかっている。こんなアブナイ人物に対して見捨てる方が良いという周囲の意見にもかかわらず、マスターは「見捨てれば、救えなかったことになる」と独特の療法で寄り添っていく。
結果それで何がどう変わり何が起きたのか?などというような劇的な結末がなく、催眠療法のようなカルトちっくな治療シーンも加わり、全体的に解り難い感も否めない。
フィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスはアカデミー賞の主演男優と助演男優に共にノミネートも納得の圧巻の演技で、この2人にばかり目が行っていたけれど、本作が「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のトーマス・アンダーソン監督が脚本から作ったものだという視点から考えると、その色がよく出ている。感情移入できない人物を登場させ、宗教を絡めながらその対極の人間をうきぼりにして、人間の不可解さを突き放して骨太に描いているため、観終わってぐったりとなるもの前作と同じだった。





2013/3/27 【 ボクたちの交換日記 】
ボクたちの交換日記」を観た。
原作は、放送作家の鈴木おさむの「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」。脚本・監督はウッチャンナンチャンのウッチャンこと内村光良。
交換日記を通し次第にコミュニケーションをとるようになっていく芸人コンビ“房総スイマーズ”の夢と葛藤を描く。
前半は真面目で不器用な田中(伊藤淳史)vsチャラ系な甲本(小出恵介)ゆえのビミョウな間合いに苦笑したけれど、後半は隠された真実に切なくジーンとなった。売れない芸人という設定だけあってタクシーネタ以外たいして面白くないのが妙にリアルだったりする。ライブシーンは緊張感が伝わってきて観客として楽しむというより関係者として感情移入してしまった。要所要所で桜の景色が印象的に使われ‘サクラ’が特別な意味合いをもっている。
ベタとも言える笑って泣ける展開の中、ラストの甲本の状況設定はいかにもお涙頂戴でちょっと狙い過ぎなのが残念ながら、それでもお笑いという特殊な世界ということも相まってシビアな現実に向かうそれぞれの生き方に胸が熱くなった。




2013/3/22 【 声をかくす人 】
「声をかくす人」を観た。
ロバートレッドフォード監督がリンカーン暗殺事件に関わったとしてアメリカで初めて死刑になった女性とその弁護士を通じて、民間人が軍法会議で裁かれ理不尽な扱いを受けた暗部を描く。
有罪か無罪かが問題ではなく、公平に裁かれたかどうかに重点を置いている。
母として息子が絡む引き合いに応じる証言をしないという意味で「声をかくす」という邦題はわからないでもないけれど原題は、「THE CONSPIRATOR (陰謀を企む人・共謀者)」なので、まるで正反対なニュアンスになっている。
彼女の台詞にあるようにこの弁護士の彼女を見る目が当初はいかにも敵対する人々と同じだったのが、次第にまさに身を挺して孤立無援の戦いに挑んでいく。
それにしても被告を無罪にすれば世間を敵に回し有罪にすれば弁護能力を問われるという四面楚歌状態で、いくら刑事事件における基本的な弁護士のあり方を説かれたとしてもこの時代背景でよく弁護を引き受けたもの。
後日談としてこの弁護士はその後ワシントン・ポスト紙の初代社会部部長になったという。そりゃそうだよね。こんな経験しちゃったらもう弁護士なんてやってらんないよね。
これがきっかけで改善された点はあるにしても国家の力に流される構図は現代でも起こり得るってことを声をかくすことなく語りかけている。




2013/3/19 【 夢売るふたり 】

夢売るふたり」を観た。
阿部サダヲと松たか子の夫婦による結婚詐欺。冒頭にこれから騙されるであろう女性たちが次々に登場。
シリアスながらもだます男が阿部サダヲという真面目がゆえのとぼけたユーモアのキャラということもあって憎めない。
被害者側は結婚に憧れる寂しい心の隙があるとはいえ各自ある意味自立していて、加害者側は台詞にもあるように妻でありながら「夫の人生に乗っかっている」という対比も興味深い。
本音を吐露しない妻に「お前の足りんは、金やなくて腹いせの足りんたい」という核心にせまる夫からの一言が重い。
特に印象深いのが、自転車で出かけた夫に何かただならぬ焦燥感を感じた妻が後ろ姿を追うシーン。何かの変化を予言しているかのように振り向いた夫の姿を重ねることでお互いのざわざわ波立つ心情を描きあげる。
かもめを見上げるラストシーンもしかりで、「ゆれる」の西川美和監督だけあって、大事なところは、敢えて饒舌なセリフに頼らないで描く手法が際立っているし、タイトルも上手い。





2013/3/18 【 別離 】

別離」を観た。

アカデミー賞、ゴールデングローブ賞でともに外国語映画賞を受賞のイラン映画。
ある夫婦の離婚調停のシーンから始まる。外国に移住したいという妻と、アルツハイマーの父親を置いて外国には行けないという夫がそれぞれ主張をしている。
アルツハイマーの父の介護や娘の安全など現代日本にも通じる問題も入れながらベールにつつまれたイスラムの日常の暮らしぶりに格差や宗教観や男女の力関係をあぶり出しているのは興味深い。
ヘルパーのある事件から雇用主と使用人が真実をめぐり引くに引けない大人の争いへと展開していく。
何が真実かをめぐりそれぞれ追い込まれていく登場人物がそれぞれに主張せざるお得ないスタンスの人間模様を描き出す。
こう書いていると面白かったかのように思われるかもしれないけれど、全体的に淡々としてとにかく退屈の極み。
真実はどう解決されたのか、加えて娘の選択は…?。敢えて明確な答えを出さないままのラストのビミョウな終わり方も不完全燃焼。





2013/3/15 【 闇金ウシジマくん 】

闇金ウシジマくん」を観た。
真鍋昌平原作の累計600万部のベストセラーコミックの映画化。
闇金というアングラな題材で、追い詰められた人間圧倒的なリアリティで日本社会の現実を描く。深夜放送のドラマ版も見ていたし、原作はかなりはまって全巻突破(*_*)
映画は原作の「ギャル汚くん」と「テレクラくん」と「出会いカフェくん」をmixさせたような内容になっていた。
ギャル汚くんの話では演じた林遣都がイメージよりフツウっぽかったのでもっと盛って欲しかったけれど、原作の強烈な気持ち悪いラストが映画でもそのまんま再現されていてちょっと感動()
それに比べえ汚れ役にもかかわらずきわどいシーンが皆無にせざるおえなくなった大島優子のキャスティングは残念としか言いようがない。「ヒミズ」に続いてのロクでもない母親を演じた黒沢あすかは、まさかのたるみ気味のお腹からして体当りだっただけに、娘役は黒沢あすかに見合うだけのキャスティングにして欲しかった。
主人公の丑嶋君の山田孝之に対峙する相手として申し分なかったのが肉蝮を怪演した新井浩文。特殊メイクだというけれどボロボロの歯といい不気味なたたずまいも忠実で完璧に原作のキャラを再現してくれた。
それにしても原作にある丑嶋社長の迷言「俺は客を粗末に扱ったりはしねェ。最後の一滴までキッチリ搾り取る」の通り非情ながら一貫してぶれない冷静沈着なそのキャラに美学のようなものまで感じ目が離せない。





2013/3/1 【 草原の椅子 】

草原の椅子」を観た。
どこにでもいるような50歳のサラリーマンの主人公を中心に大人たちが傷ついた少年と出会って新たな人生に踏み出していく。
鍵となるのが知り合いのフリーカメラマンのパキスタン・フンザを写した自費出版写真集。
それにしても前日に鑑賞した「ゼロ・ダーク・サーティー」で描かれるパキスタンとは大違いなのがなんとも。片やビン・ラディン討伐だし拷問だし(-_-;)こちらは“世界最後の桃源郷“だし・・・。
主演の佐藤浩市が「決して説教くさい映画でないので是非」と宣伝していたけれど、出演者が何から何まで全て台詞で語っているたいへんな雄弁ぞろい。唯一フンザの仙人のような長老の「正しいやり方を繰り返しなさい」という言葉が抽象的な分印象的だった。
草原の椅子はフンザにもあるのだけれどタイトルのものは障害者に合わせた世界でたった一つの椅子で場所は瀬戸内海だった。
人が良いキャラ設定が多いだけに、心が病んでいる親を演じている中村靖日と小池栄子の怪演は異常さが際立っていて見もの。
遠間(佐藤浩市)と富樫(西村雅彦)と貴志子(吉瀬美智子)の大人3人が場所を変えお酒を飲むシーンが多用されていて意外なことに本筋と離れているのに実はそれが一番良かったかも。





2013/2/28 【 ゼロ・ダーク・サーティー 】
ゼロ・ダーク・サーティー」を観た。
一人のCIA情報分析官の目を通したオサマ・ビン・ラディン殺害作戦の背景を描く。
関係者への綿密な聞き取り調査を元にしたというけれど、全世界に衝撃を与えたニュースの背景だけに、映画のための脚色を含むことに加えてアルカイダとの戦いはまだ終わっていないため信憑性に関してはどうもすっきりしない感は残る。
上映時間が158分と長く、前半はうんざりする拷問と尋問とよく理解できない人脈図でたるかったけれど、潜伏先を特定してからは一気に臨場感があふれ後半40分の特殊部隊によるビン・ラディンの隠れ家急襲作戦は息をもつかせない。
それにしても特殊部隊シールズの手際良い作戦実行と撤収はお見事。とはいえ、「テロに屈しない」アメリカの正義のためとはいえ、娯楽映画ならともかく、他国に乗り込んで拘束ではなく殺害しまくった挙句に証拠隠滅して去っていくって是でしょうか?パキスタンで上映禁止というのも、当事国として許せるものじゃないってことなんでしょう。
目の前で血縁者を殺された子供達の傷は計り知れなく、決してこれが終わりではないだろうと報復の連鎖を考えると複雑。
ラストの主人公の涙はキャスリン・ビグロー監督の前作「ハート・ロッカー」の爆発処理班の男が戦地から戻ったスーパーマーケットで感じる空虚感とぴったりとリンクしている。ということで今更ながら超ハードな張りつめた非日常をドキュメントタッチで描く手法がこの監督の味だと再認識。
ちなみにタイトル「ゼロ・ダーク・サーティ」は米軍の用語で午前0時30分、要するに特殊部隊の突入時間を指すとのこと。




2013/2/21 【 最終目的地 】
最終目的地」を観た。
主人公は自殺した作家の伝記を書くために作家の家族の許可をもらおうとウルグアイに向かう。
この未知のウルグアイっていうのがミソで作家の自宅周辺の牧歌的な田園風景がなんとも心地良い。そこに暮らすのは作家の妻・愛人と幼い娘・兄・兄のパートナー。弱味を見せない妻・ふわっと捉えどころのない愛人・若いパートナーを解放しなくてはと思う兄・自然に寄り添うその恋人の描き方は極めて淡々としていて、大きな盛り上がりもないので全体的にスローで地味。兄にアンソニー・ホプキンスそのパートナーに真田広之というキャスティングも興味深い。
それぞれが絶妙な距離感で静かに暮らしているだけに、アメリカからやって来た主人公の恋人のそのストレートさが対照的に際立つ。
それぞれが行き着いた最終目的地は、誰もが自分の居場所をみつけ収まるべきところに収まった感があった。




2013/2/17 【 ローマ法王の休日 】
ローマ法王の休日」を観た。
次期法王に決まった枢機卿が就任直前にまさかの現実逃避で、いったいどーなっちゃうの?という目線からコメディタッチだとばかり思っていたら、クスリとする場面は皆無。(-_-;)
ちょっと予告編に騙された気分。コンクラーヴェやシスティーナ礼拝堂などの様子は興味あるとしても映画自体は残念な出来。
ボイコットしたくなるほどのプレッシャーというのを差し引いても突発的な主人公にドン引き。そもそも枢機卿達が主人公に対してどう思っているのにも焦点が当たっていなく消化不良。モレッティ監督自身が、カウンセラー役で登場するものの存在価値は疑問。
ただでさえ退屈な内容なのに、逃亡先で絡んでくる舞台劇がチェーホフとのことで更に退屈度マックス。
ラストの主人公の行動に至っては不自然で法王以前に人間としてどうなのか疑問に思う。




2013/2/2 【 ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 】
ライフ・オブ・パイ/ トラと漂流した227日」を観た。
何と言っても圧巻の映像美に参った。オレンジ色の朝焼け・満天の星空・神秘的なクラゲ・トビウオの群れ・巨大なクジラのジャンプ・波・落雷・不思議な浮島etcDによるところもあるけれどどれもこれもCG映像であるはずなのにリアリティを感じさせつつ、でもリアルでは出すことの出来ないこの世のものとは思えない幻想的な美しさ。これだけでも観る価値あるほどの完成度。
前半主人公の少年の生い立ちでは、「パイ(π)」という名前の由来・円周率のエピソード・一緒に漂流するトラのリチャードパーカーとの叶わなかった親交・キリスト教イスラム教ヒンズーの神々の信仰・カナダへ移民するいきさつ・船で出会った人々・ボートに乗り合わせた動物達etcが語られていき、それがこの後々の伏線となっている。
漂流中に何度も「もう降参です」と言いながらも神を求め続けた少年が、漂流の果て流れついた先で、調査員に求められ、語り出した別のストーリーとは・・・。
どちらの物語を選択するのかは「それはあなた次第」。




2012/1/27 【 砂漠でサーモン・フィッシング 】
砂漠でサーモン・フィッシング」を観た。
無理難題な「中東のイエメンに鮭を泳がせろ!?」という切り口がコメディタッチで期待大。水産学者のジョーンズ博士の「ばかばかしいっ」から始まりいつの間にかビジネスパートナーのハリエットと国家プロジェクトとして取り組んでいく前半あたりはかなり面白かったけれど、後半は恋がからんでくるのは良しとしても肝心の2人がこのプロジェクトのために何をしたのかがかなりぼやけて失速気味。
支持率を上げる為なら何でもやります的首相広報担当官のマクスウェルのどたばたが強烈で笑わせてくれるものの、
中東のきな臭い情勢も絡めていて全体的にコメディとは路線が離れてしまったような。
この映画の最大の収穫は、アラブの大富豪シャイフ役のアムール・ワケド。超がつく程ハートも良くイケメンで非の打ちどころなく目の保養。主役のユアン・マクレガーが真面目で不器用でちょっと野暮ったい博士という役柄のせいかシャイフ首長に比べてオーラ薄っ。




2012/1/21 【 グッモーエビアン! 】
グッモーエビアン!」を観た。
冒頭の「あなたが生まれたとき あなたは泣いて まわりはみんな笑っていたでしょうだからあなたが死ぬときは まわりが泣いて あなたが笑っているような そういう人生を歩みなさい」という言葉にぐっときた。
ヤグ(大泉洋)とアキ(麻生久美子)は事実婚しているらしいバカップルで、アキの娘ハツキを中心に家族を描く。
思春期の娘を演じたハツキがストレートに心情をぶつけられるのと反対で、おっとりして内に悩みをかかえている親友トモちゃんを演じた能年玲奈がとても良い。
麻生久美子のはじけ具合は自然体なのに、ヤグは大泉洋の本来のキャラを生かしたものながらやり過ぎ感がありいくら自由人といってもちょい鼻についた。
なんとなく全体的に説明的な台詞が多く説教くさいかも。
ラストのライブシーンは確かに楽しめるのだけれどTHE BLUE HEARTS」のものまねを見ているような気分もしなくもない。
これに比較するのもナンだけれど改めてバンドが登場する映画「フィッシュストーリー」の完成度の高さを実感。
タイトルは「グッドモーニング、エブリワン」をネイティヴ風の発音にしたもの。




2012/1/20 【 恋のロンドン狂騒曲 】
恋のロンドン狂騒曲」を観た。
ウディ・アレンがロンドンを舞台に老夫婦と、その娘夫婦の2組のカップルを軸に、いい大人たちが恋の幻想に振り回される様子を描く。それぞれ新しい恋に向けて現在の関係を解消していく先にあったものとは何だったのでしょう?
アンソニー・ホプキンス・アントニオ・バンデラス・ナオミ・ワッツetcとキャストが豪華。
ラブコメとしてかなり期待したのだけれど、これが予想に反してつまらなかった。若いオネエちゃんに走るにしても元妻への認識が甘過ぎる身勝手老人をよりによってあのレクター博士が演じちゃうところがツボなんだろうけどなんだかねぇ。娘は密かにあこがれるボスのこと勝手に妄想しているし、娘の旦那の売れない作家の自意識の甘さはそれ以上だし、それにほだされる女も女で、みんなそれぞれ墓穴ほっていく中で、意外な人物がちゃっかり良いポジションを確保するっていうところにウディアレンのシニカルな視点を感じるけれど、どうにもこうにも皆愚かなほど自己中でどうにも感情移入できなかった




2012/1/16 【 007 スカイフォール 】
007 スカイフォール」を観た。007シリーズ誕生50周年記念作品にして23作目。
オープンニングでまず見せ場がある。ハンパないアクションが続いた後でボンドが誤射されて川の中へ。ええっと思わせるこの展開に重なるタイトルバックが実にスタイリッシュ。やがて上司のM(ジュディ・ディンチ)の話に繋がっていく。ハビエル・バルデム扮する敵役シルヴァがボンド同様Mに仕えていた‘もう一人のボンド’という設定も良い。
今回ボンドガールの登場もごくわずかで存在感は非常に薄く、実質のボンドガールはMだった。敵を倒しボンドガールと仲良くするプレイボーイのジェームズボンドではないというのもこれまでの定石を覆している。
タイトルの‘スカイフォール’はスコットランドのボンドの生家がある土地の名前でボンドの生い立ちも紹介しており、確かにこれまでの集大成の作品となっている。
主題歌♪ Skyfall (byアデル)もドラマチックでイメージにぴったり




2012/1/9 【 鍵泥棒のメソッド 】

鍵泥棒のメソッド」を観た。
几帳面なコンドウ(香川照之)、ズボラな桜井(堺雅人)、感情表現が苦手な婚活中の香苗(広末涼子)というちょっとズレ気味の3人が出会うことで始まった予測不可の物語。
ダメ男ながら根は良い人っていう境雅人も、無表情で「健康で、努力家の方であれば。」という広末涼子もはまり役だけれど、何と言っても記憶をなくす前と後でまったくの別人に変身する男を怪演した香川照之に尽きる。
「胸がキュン」というのもミソで実はラブストーリーとしても楽しめる。この先を読めない展開はかなり良いのだけれど、役名の水嶋香苗が木嶋佳苗に似ているだけに最後に更にもうひとひねりあると思ったのは私だけ?





2012/1/1 【 ホビット 思いがけない冒険 】
ホビット 思いがけない冒険」を観た。
ロード・オブ・ザ・リング3部作のピーター・ジャクソン監督による、同シリーズの60年前を舞台にした小説「ホビットの冒険」の映画化。
「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビットの冒険」は登場人物も被るし主人公は見た目が相当地味だし(-_-;)…ということであれを超えるとは思えなかったけれど、なんと意外にも今回の方が面白いかも。
というのも「ロード・オブ・ザ・リング」のテーマが‘世界を救う’という壮大なもので重いイメージに比べ、こちらの方が一ドワーフの国‘故郷’を取り戻すテーマでスケールが縮小された分、全体的に明るく肩ひじ張らないのがなかなか良い。
次々に見舞われるトラブルもテーマパークでジェットコースターにでも乗ったようなスピード感満載のスリルで、もう笑うしかないと思えるほど楽しい。学生時代に英語の授業のテキストが「ホビットの冒険」だったこともあり人一倍思い入れも強いのかもしれないけれど・・・。原作にもある「いとしいしと」ゴラムとのなぞなぞもなんだか良くわからないながら違和感はなかった。
ビルボを演じたマーティン・フリーマンは美形のイライジャ・ウッドのフロドに比べどうかとも思ったけれど、笑いを伴うドタバタさに馴染んでしっくりきている。
ということで続編の2部3部がとても楽しみ。




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