MOVIE      2015年映画館で観た感想 (基本的にレンタル等の鑑賞は含みません)

 

007 スペクター 
サバイバー 
リトルプリンス星の王子さまと私
コードネーム U.N.C.L.E 
マイ・インターン
ナイトクローラー
女神は二度微笑む
バケモノの子





セッション 
龍三と七人の子分たち 
エイプリルフールズ 
おみおくりの作法 
ジヌよさらば〜かむろば村へ〜 
シェフ 〜三ツ星フードトラック始めました〜
マクファーランド
アリスのままで 

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 
ベストマン −シャイな花婿と壮大なる悪夢の2週間− 
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 
ブラック・オア・ホワイト 
イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 
96時間/レクイエム 
アメリカン・スナイパー 
グローリー/明日への行進 
ホビット 決戦のゆくえ








2015/12/27 【 007 スペクター 】

007 スペクター」を観た。
オープニングは女性とタコがぐにゃぐにゃしていてグロいんだけれどアーティスティック。なんでタコ?の謎はタイトルにもある悪の組織スペクターのマークということで後ほど明かされていく。
サム・スミスによる主題歌は前作「スカイホール」のアデルの歌声と同様に今回もとってもダイナミックでスタイリッシュな世界観へ誘う。
なにはともあれ最初の舞台のメキシコの‘死者の日‘のシーンが迫力満点。ゾンビ風に化粧した群衆で埋め尽くされているお祭りをクレーンと空撮で丸ごと収める映像に圧倒された。ここがあまりにすごくてその後、ローマのカーチェイスやオーストリアの雪山アクションやモロッコの列車アクションがフツウに見えてしまったような。
ダニエル・グレグは相変わらず華麗でまた再会できてそれだけでもうれしいんだけれど、細かいところでつっこみどころも気になる。
脳への拷問シーンはいくらなんでもいただけない。ダメージあり過ぎてその後のアクションには?だし、本作の2人のボンドガールが微妙。最年長というモニカ・ベルリッチの出番が一瞬で後の展開に絡んでこないし、もう一人のボンドガールがなんだかイマイチ印象が薄くこの人に惹かれるのが理解できなかった。
今回ボンドが対峙していくのが自分の過去なのでこれはやはり前作「スカイホール」の流れを汲んでいてそれが本作で完結していることや、ラストシーンでボンドが取った行動も相まってやはり噂通りに本作でダニエル・クレイグ版007は最後になるのかもしれないと思わされた。





2015/11/23 【 サバイバー 】
サバイバー」を観た。
ロンドンの米国大使館で働く女性外交官が爆破テロの濡れぎぬを着せられた上に、国家と警察と殺し屋から追われながらもアメリカに迫るテロに向かっていく。
主人公がきわどいところをかわしながらきちんと逃げていくのは逃亡サスペンスでは予定調和のストーリー。
主人公を演じるのがミラ・ジョヴォヴィッチだからなのかイメージそのままのスーパーウーマンぶりはいつも通りなんだけれど、よくよく考えると査証発行業務という外交官が何故こんなに強くて殺し屋に立ち向かえるものなのか疑問。
友人を9.11で失っているという設定やNYをテロから守るという大義名分はあからさまでちょっと狙いすぎなような。
ラストの舞台をを大晦日のNYタイムズスクエアのカウントダウンのボールドロップにしていたので、思わずロマンティック・コメディ「ニューイヤーズ・イブ」を思い出した。
今年も残り少ないし一足先にあの一大イベントの喧騒を味わえたのは良かった。
今年も無事にカウントダウンを楽しめますよ〜に。





2015/11/22 【 リトルプリンス星の王子さまと私 】
「リトルプリンス星の王子さまと私」を観た。
なんて長ったらしい邦題なんでしょう。原題は「THE LITTLE PRINCE」。
サン=テグジュペリの名作「星の王子さま」をベースに、少女を主人公にして「星の王子さま」の後日談を描いたものなので「星の王子さまと私」だけで十分なような。
少女とおじいさんを中心にした現実は3DCGアニメで、、「星の王子さま」の物語はストップモーションアニメでその分けた世界観が素晴らしい。
絵本の世界のあったかさ純朴さがダイレクトに伝わってきた。
今どきの教育ママと娘の規則的な暮らしぶりと隣家のおじいさんの自由な暮らしぶりが対極。
星の王子さまが‘子供の心を失ってしまった大人に向けての示唆’なのでこのおじいさんそのものが‘失っていない大人’の象徴になっているし、冒険に出た少女が見た‘その後の王子さま’は、もはや子供でなくなった大人の象徴になっている。
この後半の展開が意外だったので意見がわかれそうだけれど、そこの部分こそがいつの間にか子供の心を失った大人たちにこそ向けられた物語となっている。




2015/11/21 【 コードネーム U.N.C.L.E. 】

コードネーム U.N.C.L.E.」を観た。
1960年代に大人気を博したTVシリーズ「0011 ナポレオン・ソロ」を、ガイ・リッチー監督が映画化。
タイトルのU.N.C.L.E.とはUnited Network Command for Law and Enforcement=法執行のための連合網司令部。
CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)と、KGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)の米ソ2人組みスパイコンビが大活躍。
ソロは高級スーツを着こなしプレイボーイでお調子者、片やイリヤはタートルネックがトレードマークで生真面目な努力型で怒りっぽいとキャラ分けが出来ていてこの2人の掛け合いが楽しい。ヒロインは鮮やかなファッションが似合ってチャーミング。
3人ともそれぞれ魅力あるのだけれどなんと一番印象に残ったのが悪役のヴィクトリア(エリザベス・デビッキ)だった。すんごい存在感でパリス・ヒルトン系のお高くとまった顔立ちをゴージャスにした感じでその冷たい美しさに目が釘づけ。エゴイズムの塊みたいな悪女にモノトーンのファッションが似合ってるったらない。これもしシリーズ化されてもこの悪女にもう会えないのは寂しい限り。
1960年のおしゃれなファッション・レトロなヴィンテージカー・美しい街並み・豪華なホテルとどこを切り取ってもラグジュアリーな世界観が楽しめる。
ラストで明かされるのが、この映画がU.N.C.L.E.の結成秘話を描いているということでこれが「0011ナポレオン・ソロ」に繋がっていく。





2015/10/25 【 マイ・インターン 】
マイ・インターン」を観た。
若い女性経営者とそこにやってきた70代のシニア・インターンを描く。
‘恋に仕事に頑張るあなたに捧ぐ’ということで明確に女性をターゲートにしているし、アパレル会社が舞台ということもあり確かにおしゃれ感満載ではあるけれど、ある意味シニア・インターンの物語ともなっている。
というワケで高齢男性がこの手の映画を好むかはさておいて女性ばかり狙うのはもったいない。なんたって一点の曇りもない‘理想のインターン’を演じているはあのロバート・デ・ニーロだし。前向きでユーモアと優しさと気配りがあって立ち位置をわきまえた完璧な紳士像で出来過ぎとはいえ観ていて癒される。
鑑賞に当たって何も身構えたり肩肘張ったりしなくて良いし、基本的に良い人しか登場しないので精神的に一息つきたい時に向いている。




2015/9/1 【 ナイトクローラー 】

ナイトクローラー」を観た。
タイトルは‘パパラッチ’の通称。
報道パパラッチとして成り上がっていく一人の男ルーのブラック色にまみれたサクセスストーリー。
学歴もコネもない自分の天職に頭角を現していく中で倫理観を逸脱してどんどんやばい方向に向かう薄気味悪さ。
高視聴率の為に過激映像を欲しがるTVのニュースディレクターのニーナもそれに応えようとするルーも同類なんだけれど、手放しで批難できないのは、その裏には刺激的な映像を求める視聴者の一人として自分もいるわけで、なんというか封鎖しておきたい心の病みに心当たりがあるからなのかも。
マスコミに対して真実を報道すべきというのが正論だけれど報道サイドでは視聴者が望むものをというのも曲論。
ルイスがビジネスの成功哲学を実践していく上での台詞の「My motto is if you want to win the lottery you have to make the money to buy a ticket.」や「I’ll never ask you to do anything that I wouldn’t do myself」がまともなだけにオブラートで包まれた中身が逆に不気味。
確かにこれまでみたことのないようなエンディングでアカデミー脚本賞ノミネートも納得。
ルー演じたジェイク・ギレンホールは根拠の無いプライドと野心だけはある貪欲な恐るべき主人公を怪演している。





2015/8/31 【 女神は二度微笑む 】
女神は二度微笑む」を観た。
踊らない歌わないだけでそれ自体話題になるのがインド映画でこれも脱線なしのサスペンス。
一ヶ月前ロンドンからコルカタに出張に行って突然失踪した夫を探しにきた妊婦ヴィディヤが主人公。
コルカタ?馴染みのない地名だけれど大都市でどうやらカルカッタのことらしい。
インド特有のごちゃごちゃ感とも言える猥雑さがたまらないスパイスになっている。単なる夫探しのハズが探せば探すほどに夫の正体が謎めいてきてテロ犯罪・スパイ・諜報員となにやらとんでも展開になってくる。伏線がはりめぐらされ利用したつもりが利用されていたという練られたストーリー。
急展開を見せるラストでの赤と白のサリーを纏った人々によるドゥルガー・プージャーの祭‘が重要な役割となっていて、ここでの展開は見事。
この映画がハリウッドでリメイクされるというけれど、ここらへんはどうなることやら。ニューオリンズのマルディグラ祭なら、さしずめ紫緑金だけれど(^_^;) 
原題は「KAHAANI」で’物語‘とのこと。なんだかなぁという邦題は、ドゥルガーはヒンドゥー教の戦いの女神で、優雅な容姿と激烈な気性を兼ね備えたその極端な二面性をベースにしたというけれど、とってもわかり難い。
主人公をベースに考えると「女神は二度泣く」が正しいような。




2015/8/12 【 バケモノの子 】
バケモノの子」を観た。
サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」の細田守監督なので期待大。
人間とバケモノの世界における少年九太の成長を描く。
人間界の‘渋谷’と偶然見つけた出入口の向こうのバケモノ界の‘渋天街’のディテールの細部にわたる描写はお見事。
渋天界を舞台に荒っぽく不器用な熊鉄とヤンチャな九太の奇妙な師弟関係に絆が築かれていき両者が成長していくのが描かれる。
熊鉄の悪友2人の声を演じたリリー・フランキーと大泉洋がとてもしっくりきていた。
が、九太が久々に再び人間界に戻ってからは、う〜ん全体的に散漫になってきたような。渋天街の後継者争いや高校生の恋や父息子の確執などあれもこれもでつめこみ過ぎた感がある。こーいう話につじつま合わせを期待するのもそもそもナンだけどいつの間にか自由に人間界とバケモノ界を行ったり来たりできるようになっているのも謎だし。
クライマックスの闇の象徴の一郎彦との戦いも唐突だし重要な意味を持つ「白鯨」もどうもピンとこなかったのが残念。




2015/8/1 【 セッション 】
セッション」を観た。
名門音楽校に入学した主人公と伝説の鬼教官の師弟関係を描く。
原題「whiplash」は実際映画で練習されるジャズの曲名でもあり「鞭で打ちまくる」という意味もあり、この映画の‘狂気’を示す似た発音のタイ語の「whip pa laad」もあるというのでそのままでも良かったかも。
教官フレッチャーを演じたJ.K.シモンズがアカデミー賞で助演男優賞受賞。確かに有無を言わせない悪魔的役作りで申し分なく、同時に驚いたのが、主人公ニーマン演じたマイルズ・テラーの熱演も素晴らしいし、若きデイミアン・チャゼル監督が長編一作目というのも驚くに値する。
今までの観念を覆すとんでもないぶっとんだ作品。
とかく師匠が弟子をしごきまくるというのは敢えて憎まれ役の鬼になってつき離しその悔しさから学ばせて成長させその根底には愛情があってこそだし、音楽という崇高なものを極めようとする人は感性が鋭く人間的にも感受性豊かというイメージがあるのだけれど、ととととんでもなかった。
ここにあるのは虐待・パワハラ・極悪非道・暴虐無人・復讐etc 本当にコワ〜い。でもでも本当は良い人かも という淡い期待も望みも救いも通用しない。こんなの嫌〜って内容なんだけど全く予想できないラストは鳥肌もので圧巻。
全てが昇華されるかのような音楽のすごさに打ちのめされる傑作。




2015/5/8 【 龍三と七人の子分たち 】
龍三と七人の子分たち」を観た。
北野武監督ということで連日による出演者による宣伝も派手。
元ヤクザの老人達が結束した‘一龍会’vsオレオレ詐欺などの犯罪グループ‘京浜連合’ 。
何はともあれ主演の藤達也をはじめとする平均年齢72歳のベテラン俳優陣が嬉々としている。この映画ならではの一同に会した顔ぶれがここまでやっちゃう的なコント要素のサービスショットも北野武ならではということなのかも。
年老いて一人でいる姿は孤独がつきまとうだけに集まってはしゃいでいる姿を見ているのは楽しそうで何よりなんだけれど、子供じみていてそれほど笑えないのがななんだかなぁ。
親分の女装シーンも、なんとあの藤竜也がハイヒールにシャワーキャップ姿になっちゃいます的にそれ自体が目的だったんじゃないかとさえ思える。
龍三親分・若頭のマサ・はばかりのモキチ・早撃ちのマック・ステッキのイチゾウ・五寸釘のヒデ・神風のヤスというキャラ設定もなんかストーリーに活かしきれていなくなんだか惜しい。




2015/4/16 【 エイプリルフールズ 】
エイプリルフールズ」を観た。
豪華出演者よりも「ALWAYS 三丁目の夕日」 「キサラギ」 「リーガル・ハイ」など実績のある古沢良太脚本に惹かれての鑑賞。が、期待が大きかったせいかあまりに散漫で拍子抜け。
「レストラン大惨事」「ロイヤル夫婦の休日」「ヤクザによる誘拐」「占い老婆」「宇宙人の少年」「42年ぶりの生還」「2人の大学生」の7つのオムニバスが微妙にからんでくる。とはいっても「キサラギ」のようにいくつもの伏せんがつながって行くアッと驚くストーリー展開にはほど遠い。
それぞれのエピソードになんらかのつながりはあるにはあるけれど面白くない。あり得ない報道番組の嘘報道も指名手配中の人物がレストランで堂々と食事なのも豪華なデートするのにわざわざ皇族を名乗るのも無理がある。一般女性が銃を撃つのも?だし、あのラストは本当にhappy endと呼べるのかもかなり疑問。
感情移入できない上にバカバカしく騒々しい場面が多いのもマイナス。




2015/4/14 【 おみおくりの作法 】

おみおくりの作法」を観た。原題は「Still Life」一見邦題によって「おくりびと」のイギリス版かとも思わせるようなマーケティングが見え見え。
死に関わる地味な職業の役柄ながらも「おくりびと」はイケメンのキャスティングなのに対しこちらは外見ばかりじゃなく内面も徹底的に地味。
自己主張せず‘ひとり’だけど孤独じゃない主人公ジョン・メイを演じたエディ・マーサンは賞賛に値する。効率を求める上司に疎まれながらも誠実で丁寧に仕事をし、故人を見送るために音楽を選び弔辞を読み写真をアルバムに収め故人一人一人に向き会う。
職業柄もあるにせよちゃんと眺めも日当たりも良い絶好の場所にお墓の準備もして‘その時’に備えているのもいかにもジョン・メイらしく、たとえ人生予定通りいかなくてもそれは決して不幸なことじゃないというのも目から鱗。
ジョン・メイは自分が納得するやり方で仕事をしたにすぎないのだけれど人の為に生きるっていうのはそれが故人のためであっても自分の幸せにつながってくる。

人知れず良いことをしても報われなく誰にも認められないことが多々ある人生だけれど、実は誰かがそれをちゃんと見ていてくれているんだよというあったかいメッセージも含まれていて、悲しいハズのラストなのに幸せな気持ちになれる素晴らしい作品。





2015/4/12 【 ジヌよさらば〜かむろば村へ〜 】

ジヌよさらば〜かむろば村へ〜」を観た。
「ビッグコミック」で連載された、いがらしみきおの漫画「かむろば村へ」を映画化。
もともと漫画が原作だからそれに忠実なのかもしれないけれどせっかく良い材料がそろっているのに全体としてとっちらかった感があり軸がなくぼやけた印象。
良い材料というのは‘触れない使えない欲しくない‘お金から逃げるように田舎へやってくるという設定やワケありの登場人物なのだけれど、展開が途中から暴走していく上に、キャラの作りこみがあまりに漫画チックでコントのようでどうも浮いている。
監督・脚本そして謎の男として主演までしている松尾スズキ色を出す為なのか一癖も二癖も加えたために逆に迷走したような。
お金に固執しないというのはできそうでできないことだけにもっと胸に響く問いかけをくれるような作品であって欲しかった。





2015/3/30 【 シェフ 〜三ツ星フードトラック始めました〜 】
シェフ 〜三ツ星フードトラック始めました〜」を観た。
2015年に、マイアミ・ニューオリンズ・ロスと行ってきたばかりということもありズバリこの3地点を押さえたロードムービーというのはそれだけで運命的なものを感じてしまう。
何もかも失った料理人の再出発をアメリカ南部の各地域性も入れながら父息子の距離感の変化も描く。
主人公の元妻がラテン系で自身の故郷マイアミが再出発の地点となるだけあり、全般的にラテンの明るさに溢れているのが良い。
ボロボロのトラックを洗ってペイントしてのフードトラックの新たなスタートにワクワク。
‘キューバサンド’ってあまり一般的じゃないけれど、マイアミではキューバレストランがめちゃ多くそして大人気。なのでネーミングにキューバと付くこと自体が美味しそうなスパイスになっている。
製作・監督・脚本・主演を務めたのがジョン・ファヴローで、その経歴ゆえの人脈か他のキャストも豪華。
今どきの話としてBlogTwitterYoutubeが絡んでくるのがミソ。
この映画ではレストランやシェフが料理評論家や一般人による批評に敏感になっていることが、実は監督自身のいる映画界にそのまま当てはまるだけに、主人公カールの「傷つくんだ」という台詞も切実に伝わるような。
人知れず10歳の息子が制作した思い出のつまった動画にジ〜ンとなってしまった。
元気をくれる前向きな明るい作品。




2015/2/22 【 マクファーランド 】

「マクファーランド McFarland, USA」を観た。
実話に基づいたディズニー映画。
ケビン・コスナーの主演映画「Black or White」とともに良作にもかかわらず何故かこちらまで日本未公開。何故???
バラバラだった生徒達を時には音楽で時にはスポーツでまとめあげ成果を出すという映画は相当数あり、プロットとしては王道ながらも心を打たれた。
タイトルのマクファーランドはカリフォルニアにあり主にメキシコ系の移民の町。地理的には近くのベイカーズフィールドの所謂アメリカ白人のコミュニティとは一線を画している。
ハンバーガーを食べたくてもそれさえなくタコスなどメキシコ料理というのも象徴的。
先生役のケビン・コスナーが、白人コミュニティにも属さず、住んでいるメキシコ系コミュニティにも属さないという異質な中途半端な立場から自身を確立している姿が、まとまっていく生徒の成長とともにリンクしながら描かれている。
この現代に親の農業を手伝いながらアメリカの田舎町で走って学校に通う生徒達がいるというのも驚きで、アメリカの移民問題の一端を表している。
エンドロールではすっかり‘おじさん’となった映画のモデルとなった実際の生徒達の‘今‘が映し出され胸が熱くなった。





2015/2/21 【 アリスのままで 】
アリスのままで」を観た。
ジュリアン・ムーアがアカデミー主演女優賞を受賞。
若年性アルツハイマーに見舞われた主人公アリスと家族の苦悩を描く。
人一倍インテリで仕事と家庭を両立しエクササイズなど自分のケアも欠かさない順風な中での発症だけに、医者の「高学歴ほど・・・ 遺伝が・・・」は、あまりにストレートで実際そんなものだとしても容赦なくドライ過ぎるような。
自分ではどうしようもない症状の進行への不安や恐怖は正当派手法で淡々と描かれていく。
学者だけあって自分の今後を先読みした故の付せんに基づいてのある行動のシーンは思わず息をのんだ。
ただアルツハイマー患者がおかれる環境という点では、経済的に問題なくサポートしてくれる家族もいてかなり恵まれている例といえる。
「癌の方がマシ」という台詞は是非がありそうだけれど強烈に印象に残った。




2015/2/15 【 フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 】
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を観た。
全世界で累計1億部を超える大ベストセラー小説の映画化。
日本では全く受けずに不振に終わったというけれど各国で興行成績1位を記録。これほど人気とは思わず行ったマイアミの映画館も超話題作で超満員。
こちらは女友達を鑑賞したけれどカップルも相当多かった。カップルは映画の帰りにロープでも買ったりしてネと軽口をたたいていたら 翌日、語学学校の先生もカップルで鑑賞していたことがわかり大笑い。まぁこーいう面にオープンな国ではある意味需要が多いのかも。
女子大生アナと若く有能だがサディストの性的嗜好を持つ大富豪のグレイとの恋愛。
タイトルはこのワケあり男の名前を入れて「50通りに歪んだグレイ」とわかりやすい。
大抜擢されたのがモデルなどの経験を持つ正統派美形ジェイミー・ドーナン。
夢みる女子大生に高級車やらファーストクラスをプレゼントするやら、ヘリコプターで夜景遊覧やらグラインダーやら あり得ない程のお金持ちのイケメン王子様が一癖あったというハーレクインの世界。
やたら何度も登場する 契約書contractという言葉を覚えたことが大きな収穫。




2015/2/8 【 ベストマン −シャイな花婿と壮大なる悪夢の2週間− 】

「ベストマン −シャイな花婿と壮大なる悪夢の2週間−」を観た。
原題は「The Wedding Ringer」。
アメリカと日本の結婚式の違いもあり馴染まないせいか或いは後半のドタバタの中のあるシーンが問題なのかどうか日本未公開。
とにかくノリの良いコメディでなんとリピートして鑑賞。
アメリカの結婚式には双方のお友達で構成される付添い人のグルームズマンとブライズメイドがいて、お揃いの衣装を着てかなり式の重要な役割を果たす。ってことで2週間後に結婚式をひかえているお友達のいない花婿ジミーが所謂付添い人エキストラの斡旋会社に依頼することに。この道のプロがタグ(ケビン・ハート)でその手腕は確かにハンパない。
ケビン・ハートはかつてのエデイー・マーフィーを彷彿させる軽妙なマシンガントークが冴えていてこの人の一挙一動を見ているだけで明るくなれる。
この根っからの喜劇人キャラと友達のいないジミー演じたぱっとしないジョシュ・ガッドの異質の存在感の対比が絶妙。
ある意味お決まり路線ながら笑えてちょっと胸が熱くなった。





2015/2/7 【 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 】
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観た。
この無駄に長いサブタイトルはワケワカメ。原題は「Birdman」とシンプル。
今回はアメリカ滞在中の鑑賞で珍しくアカデミー候補作品もほぼ鑑賞済みという中でこれが一番つまらなかった。なのになのにこれがオスカーとは・・・。がっくりというか納得できない。
評価高いのはカメラワークだのドラムスだけの音楽といった撮影技法のようだけれど重視されるのはそっち?よくわからない劇中劇や台詞に加えて妄想も被ってCGシーンも全く面白くない。演劇界や映画界の通向けで観る人を選ぶってことかな。
ラストで娘が見たのは果たしてバードマンだったのかどうかはっきりとされていないけれど表情が明るかったのが救い。




2015/2/7 【 ブラック・オア・ホワイト 】
「ブラック・オア・ホワイト Black or White」を観た。
日本未公開。確かに親権を争う構図が黒人vs白人なのは馴染みないとはいえ、ケビン・コスナー主演だし孫娘の親権を争うというシリアスな内容ながらユーモア交えてほんわかするシーンも多く何故にこれが日本未公開作なのか疑問。
白人祖父役のケビン・コスナーと黒人祖母役のオクタヴィア・スペンサーの対峙が見所。
アル中の祖父とジャンキーな父親とどっちもどっちなところもなんとも言えないけれどこの映画は数々の対比を描きながらも根本は差別じゃないところがミソ。祖父は肌の色が原因で争っているのではなく純粋に娘を傷つけた男を嫌っているだけだし、双方ともかわいい孫娘を愛する気持ちは変わらない。
孫娘のチリチリボンバーヘアに苦戦するケビン・コスナーのシーンには苦笑。
それにしても子役がチャーミング。




2015/1/25 【 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 】
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を観た。
アカデミー賞脚本賞受賞。
英国政府が50年間も隠していた天才数学者アラン・チューリングの実話。それにても邦題長すぎる。あまり馴染みのない人物ということもあるのか副題が‘エニグマと天才数学者の秘密’というあまりに説明的でなんとセンスないことか。原題はシンプルに「The Imitation Game」。
字幕なしのブリテッィシュ英語は本当にきつくぼやっと内容はなぞっただけという理解度なので多くは語れない。
ちょっと変わり者の主人公は実はアスペルガー症候群だったということで、そのあたりは繊細なことだけに異質ぶりをユーモアを交えて描いたのは良かったと思う。カンバーバッチの名演が凄い。
‘エニグマ’の解読への過程もスリリングで、この人ありきの現在のコンピューターにつながっているまさに「天才数学者」ながらも、ある‘秘密’も含めて悲運の人生を歩んだことが不条理すぎる。
生まれる時代が悪すぎた。




2015/1/24 【 96時間/レクイエム 】
96時間/レクイエム」を観た。原題は「Taken3」
リーアム・ニーソンってここんとこ、何かに追われながら真相を突き止めるみたいな似たイメージの役柄が多くて、ある意味予定調和。
今回は娘を助ける父親という設定なのはわかるけど、じゃ娘さえ助けられたら何でもアリなのかというくらい一般人の犠牲には目もくれない。
どんな絶体絶命にも不死身なのも、そもそもでITに長けている元CIAが勝手にスマホをいじられるほど不用心なのもまぁご都合主義。
フォレスト・ウィテカー演じるドッツラー警部はなかなか味があるものの証拠のベーグルって食べちゃっていいの???だし、きりがないくらいこーいうつっこみどころは全般にわたっている。
映画の本筋とはちがう次元でこれはこれで楽しめるからまっいいかっ。





2015/1/18 【 アメリカン・スナイパー 】
アメリカン・スナイパー」を観た。
アメリカ軍で160人以上を殺した最も強い狙撃手と言われる実在したクリス・カイルの自叙伝を元にしている。
ピンとはりつめた戦場の容赦ないシーンに胸がつまる。
アメリカの映画館で鑑賞したこともあって、ライバルのムスタファとの息をもつかせない戦いに決着が下りた時は歓声と拍手がおきた。
本作は敵サイドの市井の人々の状況も描かれていて、敵=ゾンビのように捕らえていないのも良かった。
唯一気になったのはネットでも盛り上がっているように赤ちゃんがいかにも人形な点でこのフェイクbabyの不自然さはもったいないことこの上ない。
想像もつかなかったクリスの‘その後‘はある意味ドラマティックすぎるとも言えるものであったけれど、そこを敢えて実際のニュースフィルムを流すことで間接的に描いたのは無音の効果もあって強烈にずしんとくる。
160人以上を殺したヒーローということでステレオタイプのアメリカ万歳的かというと とんでもなくそれとは対極の「殺されるも地獄、そして人を殺すも地獄」という“反戦映画なのがクリント・イーストウッド的とも言える。




2015/1/13 【 グローリー/明日への行進 】
グローリー/明日への行進」を観た。
正確には滞在先のアメリカでの鑑賞なので原題は「Selma」。セルマといってもピンとこないのは確かながらも邦題が「グローリー 明日への行進」と仰々しいのが気になる。
たまたまこの鑑賞の半月前にアトランタのキング牧師国立歴史地区にて公民権運動時代の活動の写真などを見学し、その際にアカデミー賞にノミネートもされている本作についても耳にしていたので、これはまさにタイムリーだった。
1965年アラバマ州セルマで起きた血の日曜日事件を題材に描いた実話。
人種隔離政策が徹底されたセルマで黒人たちの命懸けの大行進。
ただ歩くということがどれほどほど当時困難で大きな勇気ある行動だったのか、この時代が今からほんの50年前ということに今更ながらショックを受ける。
教会の爆破シーンから始まる冒頭がインパクトあった。
敢えてラストにキング牧師に襲い掛かる悲しい暗殺事件を描かなかったことは、権利関係を所持する遺族の意向が関係していたのもしれないけれど意外。
最近も人種差別による事件が繰り返されるのを聞くに付け、これは大きな1歩であることは間違いないながら根の深さにやりきれなさを感じた。




2015/1/10 【 ホビット 決戦のゆくえ 】

ホビット 決戦のゆくえ」を観た。
五軍の戦いいよいよファイナル。予想通りの手法ながら待ちに待ったスマウグとの戦いも見届け、様々な種族の駆け引きとそれを超えた愛をからめながら、ビルボは目覚しい成長をしていく。
「ロード・オブ・ザ・リング」のフロド(イライジャ・ウッド)と比べてもなんだかぱっとしないという印象だった主人公(マーティンフリーマン)も逆にそのフツウさ故に感情移入しやすかったかも。エンターティメント性が高くこのシリーズは完成度の高いまさにアトラクション映画。
トーリンが示すごとく忠告も震源も届かない欲への弱さを描きながらも欲にからんだ者には天罰が下るというお約束に十分すぎるほどの心地良さを味わい尽くせた。
乗り越えたとろこでのガンダルフとビルボのツーショットシーンには言葉はいらない。
この壮大な世界観を「ロード・オブ・ザ・リング」とは違う角度で見事にまとめてくれたピータージャクソン監督に拍手。





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