は行      99年夏以降 劇場で観た新作映画の感想です (基本的にビデオ・DVD鑑賞した作品は含みません)
ハート・ロッカー 
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 
パーフェクトストーム

パーマネントのばら
パール・ハーバー
パイレーツ・ロック
ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式
バガーヴァンスの伝説
ハゲタカ 
バケモノの子 
博士の愛した数式
パコと魔法の絵本
橋の上の娘
バスを待ちながら

初恋のきた道
ハッシュ 
ハッシュパピー バスタブ島の少女 
パッション

パッチギ
パッチギ!LOVE&PEACE
バッテリー 
バッドマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生 
バッファロー’66
バトル・シップ 
花より男子ファイナル
母たちの村
ハプニング
バベル
ハムナプトラ3呪われた皇帝の秘宝








ハリーポッターとアズカバンの囚人
ハリーポッターと賢者の石
ハリーポッターと謎のプリンス
ハリーポッターと秘密の部屋
ハリーポッターと不死鳥の騎士団
ハリーポッターと炎のゴブレット
春との旅
パレード
パンズ・ラビリンス
バンテージ・ポイント
ハンニバル
ハンニバル・ライジング
ハンティング・パーティ
ピアニスト
P.S.アイラブユー
P2
ピーナッツ 
英雄HERO
ビッグフッシュ
瞳の奥の秘密
ヒトラー 最後の12日間
ヒトラーの贋札
ビバビバ・キューバ

火火
ヒミズ 
百万円と苦虫女
ヒューゴの不思議な発明 
ビューティフルマインド
昼下がり、ローマの恋 
ピンポン

ファミリー・ツリー 
フィクサー
フィッシュストーリー 
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 
50/50 フィフティ・フィフティ 

ブエナビスタ・ソシアルクラブ
胡同のひまわり
フェリシアの旅

不都合な真実
仏陀再誕
舟を編む 
譜めくりの女
ブライズメイズ 史上最悪のウェデイングプラン 
プライスレス素敵な恋見つけ方
フラ・ガール
ブラザーズ・グリム
ブラザーフッド 
ブラック・オア・ホワイト 
ブラック・ダリア
ブラックブック
ブラックホーク・ダウン
ブラッド・ダイヤモンド
フランシスコと2人の息子
ブリジットジョーンズの日記
ブリッジ
ブルージャスミン 
プルートで朝食を
故郷の香り
プレシャス
ブレス
フレンズ
ブロークバック・マウンテン
フローレス
 
フロスト×ニクソン
プロデューサーズ
ヘアスプレー 
ヘイトフルエイト 
ペイフォワード

ベオウルフ 呪われし勇者
ベストマン −シャイな花婿と壮大なる悪夢の2週間− 
BECK
別離 
ベニスで恋して
北京ヴァイオリン
ペネロピ
ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜 
ヘルタースケルター 
ベンゴ
ベンジェミン・バトン 数奇な人生
ヘンダーソン夫人の贈り物
亡国のイージス
ボウリング・フォー・コロンバイン  
HOME 愛しの座敷わらし 
ボーイズドントクライ
 
ポーラーエクスプレス
ボーン・アルティメイタム
ボーンコレクター

僕達急行 A列車で行こう 
ぼくたちのムッシュ・ラザール 
僕が9歳だったころ
ぼくたちと駐在さんの700日戦争
ボクたちの交換日記 
僕のニューヨークライフ
ぼくんち 
墨攻
ホタルノヒカリ 
ホテル・ルワンダ
ホテル・ハイビスカス
ホビット 思いがけない冒険 
ホビット 決戦のゆくえ 
ホビット 竜に奪われた王国 
微笑みに出会う街角  
ホルテンさんのはじめての冒険
ボルベール帰郷
ホワットライズビニース







2016/3/26 【 バッドマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 】
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」を観た。
前作のスーパーマン「マン・オブ・スティール」はLAで字幕なし鑑賞だったのでなんとな〜く観たカンジ(^_^;)だけだし、バッドマンは「ダークナイト」とAXNで放送中のTVドラマ「GOTHAM/ゴッサム」のみというこれまでのお付き合いがとっても浅い身にはわかり難い。
今更背景の説明の必要もないようなファン層をターゲットにしているとしか思えず、まるで一見さんお断りの常連さん向け作品。
バッドマンとスーパーマン以外になななんと‘ワンダーウーマン’なるお初のキャラの登場も「誰?」という謎のまま(^_^;)
スーパーマンの宿敵
レックス・ルーサーJr.役の金髪ロン毛のジェシーアイゼンバーグは、不自然にテンションが高くぺらぺらと早口でしゃべりまくる様子がウザくつかみどころがない。本作でのイメージを一新するラストのスキンヘッドでやっと馴染みの悪役キャラになった。
バッドマンとスーパーマンの母親の名前が両者の戦いで大きな鍵となるのもどうも説得力ないような。
ゴッサムシティ特有の暗鬱な世界観や2代ヒーローのビジュアルな映像は魅力的。




2016/3/1 【 ヘイトフルエイト 】
ヘイトフル・エイト」を観た。
猛吹雪の中のロッジに居合わせた8人による密室ミステリー。
全部で3時間近い長尺で6章構成になっている。3章で店にたどりついて以降は各自の駆け引きで事態は思わぬ方向にという全く予測のつかないノンストップ展開ながら、2章までの店に着くまでの駅馬車シーンがあまりに長いのが残念。
癖者揃いで何が真実で何が嘘なのかわからない怪しさ満点の会話の応酬に加え、タランティーノ監督らしい血どばっのバイオレンス色いっぱい。
ちょっとした会話から糸がほぐれていくような過程で南北戦争という時代ならではの思わぬ繋がりのある各自の背景も過去と現在を巻き戻りながら描いている。
舞台となっている「ミニーの紳士服飾店」の不味いコーヒー・シチュー・主のない椅子・メキシコ人の留守番等々 それぞれが重要な役割をもっていて伏せんがきちんと回収される展開は見事。
賞金稼ぎのサミュエル・L・ジャクソンの「リンカーンの手紙」が効果的なスパイスとなってくる。
どの登場人物も存在感たっぷりで見ごたえ十分な中、紅一点のお尋ね者ジェニファー・ジェイソ・リーの演技は圧巻でアカデミー助演女優賞にノミネートされたのも納得なだけにどーせならオスカー受って欲しかった。




2015/8/12 【 バケモノの子 】
バケモノの子」を観た。
サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」の細田守監督なので期待大。
人間とバケモノの世界における少年九太の成長を描く。
人間界の‘渋谷’と偶然見つけた出入口の向こうのバケモノ界の‘渋天街’のディテールの細部にわたる描写はお見事。
渋天界を舞台に荒っぽく不器用な熊鉄とヤンチャな九太の奇妙な師弟関係に絆が築かれていき両者が成長していくのが描かれる。
熊鉄の悪友2人の声を演じたリリー・フランキーと大泉洋がとてもしっくりきていた。
が、九太が久々に再び人間界に戻ってからは、う〜ん全体的に散漫になってきたような。渋天街の後継者争いや高校生の恋や父息子の確執などあれもこれもでつめこみ過ぎた感がある。こーいう話につじつま合わせを期待するのもそもそもナンだけどいつの間にか自由に人間界とバケモノ界を行ったり来たりできるようになっているのも謎だし。
クライマックスの闇の象徴の一郎彦との戦いも唐突だし重要な意味を持つ「白鯨」もどうもピンとこなかったのが残念。





2015/2/15 【 フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 】
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を観た。
全世界で累計1億部を超える大ベストセラー小説の映画化。
日本では全く受けずに不振に終わったというけれど各国で興行成績1位を記録。これほど人気とは思わず行ったマイアミの映画館も超話題作で超満員。
こちらは女友達を鑑賞したけれどカップルも相当多かった。カップルは映画の帰りにロープでも買ったりしてネと軽口をたたいていたら 翌日、語学学校の先生もカップルで鑑賞していたことがわかり大笑い。まぁこーいう面にオープンな国ではある意味需要が多いのかも。
女子大生アナと若く有能だがサディストの性的嗜好を持つ大富豪のグレイとの恋愛。
タイトルはこのワケあり男の名前を入れて「50通りに歪んだグレイ」とわかりやすい。
大抜擢されたのがモデルなどの経験を持つ正統派美形ジェイミー・ドーナン。
夢みる女子大生に高級車やらファーストクラスをプレゼントするやら、ヘリコプターで夜景遊覧やらグラインダーやら あり得ない程のお金持ちのイケメン王子様が一癖あったというハーレクインの世界。
やたら何度も登場する 契約書contractという言葉を覚えたことが大きな収穫。




2015/2/8 【 ベストマン −シャイな花婿と壮大なる悪夢の2週間− 】

「ベストマン −シャイな花婿と壮大なる悪夢の2週間−」を観た。
原題は「The Wedding Ringer」。
アメリカと日本の結婚式の違いもあり馴染まないせいか或いは後半のドタバタの中のあるシーンが問題なのかどうか日本未公開。
とにかくノリの良いコメディでなんとリピートして鑑賞。
アメリカの結婚式には双方のお友達で構成される付添い人のグルームズマンとブライズメイドがいて、お揃いの衣装を着てかなり式の重要な役割を果たす。ってことで2週間後に結婚式をひかえているお友達のいない花婿ジミーが所謂付添い人エキストラの斡旋会社に依頼することに。この道のプロがタグ(ケビン・ハート)でその手腕は確かにハンパない。
ケビン・ハートはかつてのエデイー・マーフィーを彷彿させる軽妙なマシンガントークが冴えていてこの人の一挙一動を見ているだけで明るくなれる。
この根っからの喜劇人キャラと友達のいないジミー演じたぱっとしないジョシュ・ガッドの異質の存在感の対比が絶妙。
ある意味お決まり路線ながら笑えてちょっと胸が熱くなった。





2015/2/7 【 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 】
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観た。
この無駄に長いサブタイトルはワケワカメ。原題は「Birdman」とシンプル。
今回はアメリカ滞在中の鑑賞で珍しくアカデミー候補作品もほぼ鑑賞済みという中でこれが一番つまらなかった。なのになのにこれがオスカーとは・・・。がっくりというか納得できない。
評価高いのはカメラワークだのドラムスだけの音楽といった撮影技法のようだけれど重視されるのはそっち?よくわからない劇中劇や台詞に加えて妄想も被ってCGシーンも全く面白くない。演劇界や映画界の通向けで観る人を選ぶってことかな。
ラストで娘が見たのは果たしてバードマンだったのかどうかはっきりとされていないけれど表情が明るかったのが救い。




2015/2/7 【 ブラック・オア・ホワイト 】
「ブラック・オア・ホワイト Black or White」を観た。
日本未公開。確かに親権を争う構図が黒人vs白人なのは馴染みないとはいえ、ケビン・コスナー主演だし孫娘の親権を争うというシリアスな内容ながらユーモア交えてほんわかするシーンも多く何故にこれが日本未公開作なのか疑問。
白人祖父役のケビン・コスナーと黒人祖母役のオクタヴィア・スペンサーの対峙が見所。
アル中の祖父とジャンキーな父親とどっちもどっちなところもなんとも言えないけれどこの映画は数々の対比を描きながらも根本は差別じゃないところがミソ。祖父は肌の色が原因で争っているのではなく純粋に娘を傷つけた男を嫌っているだけだし、双方ともかわいい孫娘を愛する気持ちは変わらない。
孫娘のチリチリボンバーヘアに苦戦するケビン・コスナーのシーンには苦笑。
それにしても子役がチャーミング。






2015/1/10 【 ホビット 決戦のゆくえ 】

ホビット 決戦のゆくえ」を観た。
五軍の戦いいよいよファイナル。予想通りの手法ながら待ちに待ったスマウグとの戦いも見届け、様々な種族の駆け引きとそれを超えた愛をからめながら、ビルボは目覚しい成長をしていく。
「ロード・オブ・ザ・リング」のフロド(イライジャ・ウッド)と比べてもなんだかぱっとしないという印象だった主人公(マーティンフリーマン)も逆にそのフツウさ故に感情移入しやすかったかも。エンターティメント性が高くこのシリーズは完成度の高いまさにアトラクション映画。
トーリンが示すごとく忠告も震源も届かない欲への弱さを描きながらも欲にからんだ者には天罰が下るというお約束に十分すぎるほどの心地良さを味わい尽くせた。
乗り越えたとろこでのガンダルフとビルボのツーショットシーンには言葉はいらない。
この壮大な世界観を「ロード・オブ・ザ・リング」とは違う角度で見事にまとめてくれたピータージャクソン監督に拍手。





2014/5/30 【 ブルージャスミン 】
ブルージャスミン」を観た。
近年ヨーロッパを舞台にした作品が多かったウディ・アレンが、今度はNYとサンフランシスコを舞台に「虚栄」を皮肉たっぷりに描く。
哀れな主人公のその世間ズレを冷めた視点からのおもしろおかしい味付けの手腕には感心させられる。現在と過去が交差しながらのNYのセレブ生活から一転したサンフランシスコの庶民生活の対比も巧妙。
全て無くしてもセレブ気分が抜けきれない身の程知らずの女の笑い話として、似たような勘違い女はどこにでもあれど、独特の自慢気質や虚言や批判など常識的を超えているあたりが実にアメリカ的。
主人公を演じたケイト・ブランシェットがとても良い。ジャスミンという名前に関しての「名前を変えたの、ジャネットなんて平凡だもの」って台詞もこの虚栄心そのものを凝縮しているようで実に上手い。
彼女の武器はシャネルのベルト+エルメスのバッグ+染み付いた虚飾etc またセレブリティ生活に返り咲こうとするあたりはリアリティがある。
薄っぺらいけれど哀しい姿は他人ごとじゃなく、突き放したようなラストには自戒を込めて考えさせられた。





2014/3/24 【 ホビット 竜に奪われた王国 】
ホビット 竜に奪われた王国」を観た。
前作「ホビット 思いがけない冒険」に続くJRR・トールキンの小説を実写映画化した『ホビット』3部作の第2章。
この世界の壮大さは3D映像もあいまってもう迫力満載。森を抜け山を越え「この世のものとは思えない幻想的な風景」が次から次へと出てきて様々な敵と対峙次々する見応えある映像のオンパレードで2時間40分の長さも感じさせない。
ジェットコースターのような樽の川下りも目が離せないしクライマックスの竜スマウグとの戦いもハンパなく迫力満点見所満載。
『ロード・オブ・ザ・リング』ではお馴染みのレゴラス(オーランド・ブルーム)の登場もあるけど、キーリ(エイダン・ターナー)のイケメン度はかなりの高さ。
エルフの女性とキーリのロマンスも、ガンダルフのピンチも、無敵のスマウグの戦いも、ドワーフが故郷を取り戻せるのかも、地味ながら高感度の高いビルボの活躍とともに待ちきれない。





2013/5/3 【 舟を編む 】

舟を編む」を観た。
昨年の本屋大賞1位の三浦しをんの作品が原作。
首をかしげるタイトルは、「辞書は言葉という大海原を航海するための舟である」というコンセプトのもと、『大渡海』という辞書(舟)を編集する(編む)の意味。
まずはともあれツボだったのが、主人公の馬締(マジメ)演じた松田龍平その人より、住まい。古い下宿は、旧社屋におしやられた感の編集部と同様に本の山。書棚が廊下にまで整然と置かれて書庫というかまるで古本屋のよう。天井の低さも薄暗さも猫を招き入れる木枠窓も月の光が美しくみえるベランダもなんとも味のある空間になっている。言わば、この坂道に立つ時代から取り残されたような下宿屋「早雲荘」自体がまるで馬締という人間そのもの。
松田龍平はこれまでイマドキの冷めた目線の役が多かっただけに今回の真面目一辺倒の役で新境地を見るよう。
物語は主人公の恋も絡めて1995年から15年かけて完成させた辞書つくりに地道に取り組んでいく人々を描き出す。気の遠くなるような地道な作業を描きながらも登場人物の描き方が丁寧なせいか単調にならない。
相棒のチャラ系の飄々とした行動派の西岡(オダギリジョー)の対比が絶妙だし、柔軟で信念に満ちた加藤剛や飾らない下宿屋の大家の渡辺美佐子の安定した存在感もとても良かった。
馬締の書いた『恋』の語訳・・・「ある人を好きになってしまい、寝ても覚めてもその人が頭から離れず、他のことが手につかなくなり、身悶えしたくなるような心の状態。 成就すれば、天にも昇る気持ちになる。」
西岡の書いた『ダサい』の語訳・・・「時代遅れ。田舎臭い。鈍臭い。恥ずかしいくらい主流派。要は格好悪い。用例 酔ってプロポーズとかマジダサいよね。」

これらは両者とも説得力あり過ぎで受けるっ。




2013/4/22 【 ハッシュパピー バスタブ島の少女 】
ハッシュパピー バスタブ島の少女」を観た。
新人監督が低予算で手がけ、ハッシュパピー役のヒロインもその父親役も演技未経験だという本作で、各映画賞で受賞が相次ぎ、特に主演のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんが史上最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ話題になっている。
まぁ何はともあれこの野生児ハッシュパピーの可愛らしさにメロメロ。髪が爆発しているのも良いっ。
厳しい現実に向き合う力強さを持ちつつ、地球温暖化や氷期で滅んだ筈の大型牛オーロックスを絡めた心象的な不安のアンバランスさがナチュラルな6歳の少女像を映し出す。
バスタブ島を襲うハリケーンが過酷な環境に追い打ちをかけ自然への畏怖は計り知れないけれど、それでも人々はノー天気なのか動物的というか、(-_-;)良く言えば生命力に満ちている。
ボートはまるで「ノアの方舟」で語り口はあくまでファンタジックながら、飲んだくれの自由人の父親との2人のバスタブ島でのゴミ溜めの中での極貧暮らしは常軌を逸していてその異様さはハンパない。
劣悪な環境である程、それでもたくましいハッシュパピーを描こうとしたのかもしれないけれど、ズブズブした不衛生な湿地帯・毛虫・動物の死骸・死んだ魚・工場廃液etcあまりにあまりで(-_-;)ゲンナリ。
まぁそれでもバスタブ島の人々は「住めば都」なのか、それでもここが好きっていうオチ。
同様に、ぶっ飛んだというかイカレタ父親なんだけど、ぶっきらぼうながら娘を愛する父と娘の関係はそれなりにバランスが取れていて結びつきが深い。
安定や安全にとらわれず、むしろ超越した人間の絆がここにある。
映像は低予算のせいか?16mmフィルムの手持ちカメラが揺れるぅ〜〜〜。




2013/4/5 【 ピーナッツ 】

「ピーナッツ」を観た。
脚本・監督・主演の3役は内村光良(ウッチャンナンチャン)で、出演者は自身のバラエティ番組「内村プロデュース」のさまぁ〜ず・TIM・ふかわりょうetc。内輪でおふざけ半分盛り上がった自己満足映画かと思ったら大間違い。
タイトルの「ピーナッツ」は草野球のチーム名。絡んでくるエピソードの土地開発・寂れた商店街・試合当日の手術・警察沙汰・賭け試合etcがまぁどっかで観たことがあるような鉄板ベタ設定だらけ。なのに、出演者を知り抜いているからこその各キャラをうまく引出した上でユーモアをちりばめているし計算されたような間の取り方は絶妙。加えて、ふかわの実の両親登場は笑いのツボだった。
演技力のぎこちなさはあるものの出演者たちの情熱やピュアな思いが伝わってくるのでものすごくハートフルなドラマになっている。ほのぼのした優しさいっぱいで後味も最高。
2006年の映画ということで、その後いろいろあった出演者もいるだけに、なんとなく古き良き時代的な感傷にも浸ってしまった。





2013/3/27 【 ボクたちの交換日記 】
ボクたちの交換日記」を観た。
原作は、放送作家の鈴木おさむの「芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜」。脚本・監督はウッチャンナンチャンのウッチャンこと内村光良。
交換日記を通し次第にコミュニケーションをとるようになっていく芸人コンビ“房総スイマーズ”の夢と葛藤を描く。
前半は真面目で不器用な田中(伊藤淳史)vsチャラ系な甲本(小出恵介)ゆえのビミョウな間合いに苦笑したけれど、後半は隠された真実に切なくジーンとなった。売れない芸人という設定だけあってタクシーネタ以外たいして面白くないのが妙にリアルだったりする。ライブシーンは緊張感が伝わってきて観客として楽しむというより関係者として感情移入してしまった。要所要所で桜の景色が印象的に使われ‘サクラ’が特別な意味合いをもっている。
ベタとも言える笑って泣ける展開の中、ラストの甲本の状況設定はいかにもお涙頂戴でちょっと狙い過ぎなのが残念ながら、それでもお笑いという特殊な世界ということも相まってシビアな現実に向かうそれぞれのき方に胸が熱くなった。




2013/3/18 【 別離 】

別離」を観た。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞でともに外国語映画賞を受賞のイラン映画。
ある夫婦の離婚調停のシーンから始まる。外国に移住したいという妻と、アルツハイマーの父親を置いて外国には行けないという夫がそれぞれ主張をしている。
アルツハイマーの父の介護や娘の安全など現代日本にも通じる問題も入れながらベールにつつまれたイスラムの日常の暮らしぶりに格差や宗教観や男女の力関係をあぶり出しているのは興味深い。
ヘルパーのある事件から雇用主と使用人が真実をめぐり引くに引けない大人の争いへと展開していく。
何が真実かをめぐりそれぞれ追い込まれていく登場人物がそれぞれに主張せざるお得ないスタンスの人間模様を描き出す。
こう書いていると面白かったかのように思われるかもしれないけれど、全体的に淡々としてとにかく退屈の極み。
真実はどう解決されたのか、加えて娘の選択は…?。敢えて明確な答えを出さないままのラストのビミョウな終わり方も不完全燃焼。





2012/1/1 【 ホビット 思いがけない冒険 】
ホビット 思いがけない冒険」を観た。
ロード・オブ・ザ・リング3部作のピーター・ジャクソン監督による、同シリーズの60年前を舞台にした小説「ホビットの冒険」の映画化。
「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビットの冒険」は登場人物も被るし主人公は見た目が相当地味だし(-_-;)…ということであれを超えるとは思えなかったけれど、なんと意外にも今回の方が面白いかも。
というのも「ロード・オブ・ザ・リング」のテーマが‘世界を救う’という壮大なもので重いイメージに比べ、こちらの方が一ドワーフの国‘故郷’を取り戻すテーマでスケールが縮小された分、全体的に明るく肩ひじ張らないのがなかなか良い。
次々に見舞われるトラブルもテーマパークでジェットコースターにでも乗ったようなスピード感満載のスリルで、もう笑うしかないと思えるほど楽しい。学生時代に英語の授業のテキストが「ホビットの冒険」だったこともあり人一倍思い入れも強いのかもしれないけれど・・・。原作にもある「いとしいしと」ゴラムとのなぞなぞもなんだか良くわからないながら違和感はなかった。
ビルボを演じたマーティン・フリーマンは美形のイライジャ・ウッドのフロドに比べどうかとも思ったけれど、笑いを伴うドタバタさに馴染んでしっくりきている。
ということで続編の2部3部がとても楽しみ。




2012/8/6 【 ぼくたちのムッシュ・ラザール 】
ぼくたちのムッシュ・ラザール」を観た。
84回アカデミー賞外国映画賞にノミネートということで楽しみにしていたのだけれどなんとも地味な映画だった。
カナダのケベック州の小学校が舞台。教室で首を吊った先生の代わりにやってきた主人公のラザール先生は、アルジェリア出身。問題児扱いされている児童の心の傷に気が付き自殺の背景に正面から向き合おうとしていく。
時代遅れながら実直なラザール先生と、事なかれ主義の校長の対比が如実。
体罰禁止はもちろん体への接触(日焼け止めを塗ることすら)が極端に禁止され、担任より権威のあるカウンセラーのシステムなどカナダの先生も大変。「学校はしつけではなく勉強を教えて」という親などは日本にも通じて教育現場の問題的にもなっている。
アルジェリアでのラザールの哀しい背景も絡めていて、多文化・多民族国家. 「人種のモザイク」と呼ばれるカナダらしい映画ともいえるかも。




2012/8/2 【 ヘルタースケルター 】
ヘルタースケルター」を観た。
良くも悪くもあれは演技なのか地なのか・・・という意味では「別に」発言で定着した沢尻エリカのイメージを更に圧縮したような役柄だった。
確かに露出的には体当たりなんだろうけれど、クランクアップ後に「役が抜けきれないとかで体調不良で仕事をお休み」というような報道があったけれど・・・これってそれこそ‘別に’のノリで特に役作りの必要もなく地そのままじゃなの・・・とも思えるキャラだった。・・・(-_-)/~~そーいう意味ではキャスティングは無難というか正解と言えるかも。
逆に主役以上に体当たりと思えたのがマネージャー役の寺島しのぶ。こちらこそよくぞあの役をしかもスッピンで引き受けたものだと感心。新井浩文さんのオネエも新鮮。
蜷川実花監督のあの強烈な色彩の世界観を背景に完璧な整形美女りりこの毒々しさが際立っていたのでバランスは良かったかも。タイトルの意味は「しっちゃかめっちゃか」だそう。




2012/8/1 【 ファミリー・ツリー 】
ファミリー・ツリー」を観た。
妻の不慮の事故から人生を振り返り、再生していくストーリー。
仕事に追われる毎日とはいえ家には妻と二人の娘、仕事は弁護士だし住んでいるのはなんたってハワイだし ってことで一見は順風満帆に見える主人公が、妻の不慮の事故をきっかけに人生最大の危機を迎える。
ジョージ・クルーニーがあたふたと迷える優柔不断な中年男の主人公をうまく演じている。
これに先祖代々からの土地の問題をからめていてそれが妻の問題と絶妙にリンクしていく展開も、反抗的だった長女や軽薄なボーイフレンドも次第にその良さが出てなじんでくるあたりも自然で脚本が上手い。
なんといっても何気ない日常を映し出すラストシーンのさりげなさが絶妙で後味良好。




2012/7/7 【 ホタルノヒカリ 】
ホタルノヒカリ」を観た。
原作はひうらさとるによる大人気コミック。TVドラマでめでたく結ばれたホタルとぶちょおのその後イタリア新婚旅行編が本作。
予告編でのスペイン広場の階段での「レッツごろごろ」を観た時点であれを面白いと思える人は、綾瀬はるかのウェディングドレス姿でのドジョウすくいも藤木直人の女装ダンスも楽しめるのかもしれないけれど・・・よくぞこんな役を引き受けたもんだと面白がっているのは製作者サイドだけであって、こっちからしたら、たいしたサプライズにはなっていない。
誘拐?覚せい剤?つっこみどころ満載でゆるゆるのストーリー。
あちこちのTV番組での映画宣伝だけはハデハデにやっていたけれどイタリアロケを活かされず観光地の映像を見てもイタリア旅行気分にさえ浸れない。
お揃いのストライプジャケットを着て勝手にズキュン、バキュンとか言ってローマ観光を楽しんで下さい。




2012/5/27 【 ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン 】
ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」を観た。
アカデミー賞では助演女優賞と脚本賞にノミネートされたというから楽しみにしていたんだけれど・・・。そもそもブライズメイドいう花嫁介添人の風習が日本にはないのでピンとこないのが根本的なネック。
ヒロインの心理葛藤や友情よりも、今回初めて知ることになったブライズメイズのあまりに大変な役割ばかりが強烈で「こんなにめんどうな風習が日本に無くて良かった〜」ということばかりが印象に残る。
女同士で本当の親友を競い合うってのもいかにもアメリカ的。女版「ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」だそうで邦題もそっちを意識したものになっているけれどスカッと笑えるハングオーバーに比べて、女のプライドに焦点があってなんともいちいち面倒くさい。全体的に思ったほど笑えなく肩すかし。
ただ軽薄男VS警官という2人の対照的な男性を丁寧に描いていてこちらの対比は楽しめた。




2012/4/28 【 HOME 愛しの座敷わらし 】
HOME 愛しの座敷わらし」を観た。
原作は朝日新聞に連載された荻原浩の小説「愛しの座敷わらし」で、東京でぎくしゃくしていた家族が田舎の古民家で暮らすうちに絆を取り戻す物語。
見どころはやはり岩手の遠野にあるという築200年の古民家。去年「遠野ふるさと村」に行ったことがあるけれど、あんなに立派だったかと改めて黒光りのする柱や梁・磨きかけられた板の間・囲炉裏・茅葺屋根etcその味わい深い佇まいに魅かれてしまった。
座敷わらしとはこの世にうまれながら間引かれた子どもの化身だという。子供らしくイタズラはするけれど遊びも美味しいお菓子の味も知らず、その運命のゆえか、その家の人たちに福をもたらすという。オーディションで選ばれたという無邪気さと哀しい過去もった座敷わらし役の子供がとても愛らしい。
父親の左遷・母親のストレス・娘のいじめ・息子の喘息・祖母の認知症とそれぞれかかえる問題についてちょっと中途半端。岩手の自然についても、牧歌的なきれいどころだけ映しているけれど、東北は厳しい冬もあってこそ本来なのでどうにも片手落ち。




2012/4/22 【 バトルシップ 】
バトルシップ」を観た。
ユニバーサル映画100周年記念作品だけあって超ど派手なエイリアンvs人類の海洋SFアクション大作は、浅野忠信やらリアーナなど話題性のあるキャスティングも興味深い。冒頭に主人公が一目ぼれする美女ブルックリン・デッカーの登場が、去年観た「ウソツキは結婚のはじまり/JUST GO WITH IT」にそっくりなのが笑えた。印象的な脇役の戦場で両足を失った兵士役のグレゴリー・D・ガドソンは、実際に戦場で大ケガを負いあの義足はほんものだという。
まぁ、エイリアンの出てくる映画にリアリティを求めるのもどうかというワケで、全体的に無茶ぶりのある大味のアメリカン色全開モードで突っ走っていながらも、いくつかの張られた付せんもちゃんと回収されていて想像以上に楽しめた。伏せんのひとつとしてちらっと映った退役軍人たちの姿も後に活かされていて戦艦「ミズーリ」がミソ。真珠湾を舞台にアメリカの海軍と日本の海上自衛隊が手を組むというのも良かった。




2012/3/31 【 ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜 】
ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」を観た。
どーしても観たかったのはなんと言ってもミシシッピーだから。20代で1年ほど暮らしたミシシッピーで去年懐かしい友人との再会を果たし、その待ち合わせはこの映画の舞台のまさにミシシッピー州の州都ジャクソンだった。
1960年代にはKKK絡みの事件も起こっている人種差別の根強い地域での白人家庭で仕事をする黒人メイド達の実態を暴いた実在する同名の本が出版されるまでの経緯を描いた作品。
白人のトイレを使った疑惑で解雇される家政婦を演じたオクタヴィア・スペンサーが第84回アカデミー賞で助演女優賞を受賞。
白人主婦が黒人家政婦を差別し黒人家政婦は家で夫に虐げられているという差別の連鎖社会。この図式にとどまらずにさらに白人女性間での仲間外れや母娘の確執も描き、ちゃんとしたリベラル派も登場させることで、白人主婦=allビッチ とならないよう全体的に均衡を保てるようにもなっている。
問題の根は深いし女性の陰湿さはドロドロしがちだけれどあくまで押しつけがましくなくユーモアも交え描いている。60年代のファッションもそして美味しそうな南部料理も見どころ。
子育ても家事も黒人家政婦に任せながら、黒人メイド専用屋外トイレという発想自体が矛盾しているけれど、こーいう曲がった価値観がまかり通った時代があったことを忘れてはならない。




2012/3/24 【 僕達急行 A列車で行こう 】
僕達急行 A列車で行こう」を観た。
昨年201112月に61歳で亡くなった森田芳光監督の遺作。主演の松山ケンイチと瑛太が人の好い鉄道オタクを演じる。
「ドラゴン・タトゥーの女」のオープニングで毒々しく流れた♪移民の歌がこちらでは松山ケンイチ演じる鉄ちゃんが列車風景と音楽をコラボするきっかけのジェットコースターシーンで流れるのは嬉しいサプライズ(本作では本家のby Led Zeppelin)。どんな映画でもこのカッコ良くてインパクトある名曲が流れるとテンションが上がるというもの。ここで鉄道にそれほど興味はないながらつかみはOK
登場人物の勤務先名が「のぞみ地所」「コダマ鉄工所」加えて各役名が小町・小玉・北斗・いなほ・あずさetcネーミングまでこだわっている。出来過ぎ感のあるストーリー展開なのでつっこみどころ満載ながらあくまでほのぼの系なので安心して観ていられる。たまにはのんびりローカル列車の旅を楽しむようなゆる〜い空気感が心地良い。




2012/3/8 【 昼下がり、ローマの恋 】
昼下がり、ローマの恋」を観た。
若者、中年、老年と世代の違う3つの恋の物語。1話目で結婚間近の弁護士の出張先のトスカーナでの恋・2話目が有名キャスターと精神的に壊れた女との恋・3話目が元歴史学者とその親友の娘との恋。
話題性から言っても、ロバート・デ・ニーロとモニカ・ベルッチの共演の第3話目が最大のアピール所なんだろうけれど、個人的には第2話のストーカー女性のイカレ具合に翻弄されるキャスターの受難コメディが一番面白かった。本作はデ・ニーロにとって記念すべき純イタリア映画の初主演だそうで、ベルッチとの年の差も違和感なくとてもお似合いだったのはさすが。
どの話もストーリー重視ではなく、恋ならではの楽しさや空気感をあくまでさら〜っと軽やかに描いている。




2012/3/3 【 ヒューゴの不思議な発明 】
ヒューゴの不思議な発明」を観た。
冒頭のシーンに一瞬にして引き込まれた。駅の時計台・歯車・パリの街並み・駅構内・・・縦横無尽の滑るようなカメラワークはまるで遊園地のアトラクションのような錯覚さえ覚える。
前半の少年ヒューゴの日常風景と機械人形の謎にどんな冒険がはじまるかと期待も高まるのだけれど、次第にと映画のSF映画の先駆者「映画の父」ジョルジュ・メリエス監督のエピソードが描かれていき、ファミリー向けファンタジーというより往年の大人の映画ファン向けとなっていく。この後半こそがスコセッシ監督の映画への敬意ともいえるその思いを描いたものかもしれない けれど ストーリー的には面白さが減速し、冒頭であんなに心をわしづかみされたにもかかわらず途中何度も眠気が襲ってきてしまった・・・。
邦題の「ヒューゴの不思議な発明」はヒューゴは何も発明していないのでイメージだけが先走った感。原題は「Hugo」。




2012/2/26 【 ヒミズ 】
ヒミズ」を観た。
冒頭に1年前のあの大震災の荒廃した街と瓦礫の山が映し出される。
タイトルの「ヒミズ」とは不見日土竜(ひみずもぐら)。実際主人公の住田少年がモグラのように泥まみれになってもがくシーンもある。
大震災と重なるのは救いようのない境遇にこれでもかとたたみかける悪の連鎖で15歳の住田少年の底知れない絶望感を象徴している。それにしても先のヴェネツィア国際映画祭にて新人俳優賞を獲得した主演の住田(染谷将太)と茶沢(二階堂ふみ)は見事。
大震災以降、教師が授業で話した「夢や希望」が空々しく薄っぺらに思えるのと同じで、「頑張れ!」っていうのはともすれば言葉だけが上すべりする可能性もありとてもセンシティブなものだけれど、本作でのラストシーンでの住田と茶沢の2人による「頑張れ!」の叫びと全力疾走は、確かに底知れない力強さで魂に響くものがあった。
「頑張れ住田」は「頑張れ被災地」「頑張れ東北」「頑張れ日本」を投影している。全身全霊で表現したこのような重みのある「頑張れ」に圧倒された。




2012/2/22 【 50/50 フィフティ・フィフティ 】
50/50 フィフティ・フィフティ」を観た。
27歳生存率50%のガン宣告を受けた青年が主人公。と言ってもいわゆる闘病映画とは異なり、明るさが特徴。
これは主人公アダム役のジョセフ・ゴードン=レヴィットのひょうひょうとしたケロっとしたキャラによるところが大きいのだけれど、この映画は何と言っても主人公の友人カイル役セス・ローゲンに尽きる。シリアスな闘病中にあるアダムに対してよそよしくなる周囲の中、ただ一人変わらないカイルの悪ふざけなやりとりは不謹慎なようでいて実は重苦しくなりがちな空気を未然に防ぎ、この行動の裏にあった深い友人への思いに胸がつまった。
なんでもこのセス・ローゲンの親友がガンを克服したこの作品の脚本家だというから男同士の友情は実体験ということで説得力があったのかも。
自分が同じことをできるかというと難しいケド、こんな親友がいたらなぁと思わずにいられない。後味ばつぐんのハートフルな作品だった。




2010/9/18 【 瞳の奥の秘密 】
82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「瞳の奥の秘密」を観た。
受賞作という以外の予備知識なしだったので特に期待もなく鑑賞したのだけれど、なんとまぁここここここれは・・・すっごい見応えある映画ではないですか。何気ない小道具から台詞まで張り巡らされた伏線も巧み。アルゼンチンからとんでもなく重厚な映画が届いた。
長年勤めた刑事裁判所を退職した主人公が25年前に担当した未解決殺人事件をモチーフに小説を書きはじめたことであぶりだされていく、25年前の関係者とそして今とは・・・。
現在と過去を何度も交差させ主人公の書き始めた小説の場面と思われるシーンも交え幾重にも重なった時間枠の中、過去に気持ちをおきざりにしたままの主人公がやっと向き合うようになっていく様と事件の全貌を、ミステリーとラブストーリーを絡みあわせて描く。
事件が起きた当時の混乱した社会情勢に切り込み無茶苦茶な司法状況も、犯人の追跡を熱狂に渦巻くサッカースタジアムにしているのもアルゼンチンという国の断片をうまく捉えている。
Aが壊れたタイプライターの「怖い」という単語に過去を克服する主人公を映すとはななな〜んて洒落ていることか。
それにしても、よく苦しい時は ‘執着を手放す’と良いとか言われているけれど、手放せるってこと自体まだまだマシなのかも。それぞれの瞳の奥には胸に秘めた思いがあるという大人の琴線に触れる味わい深い映画だった。




2010/9/8 【 BECK 】
BECK」を観た。
仲間たちとバンドを組み、メジャーデビューを目指して奮闘する高校生たちが、さまざまな試練を乗り越えていく姿を描く。若手イケメンのキャスト集結ってことでも話題になっているけれど、イケメン以前に演技が下手な水嶋ヒロに唖然。脇役のカンニング竹山のほうがよっぽど上手い。
コユキ(佐藤健)の‘奇跡のボーカル’ という設定がこの映画を難しいものにしているので、生半可なものは披露できないというのは理解できるけれどこれじゃ映画化する意味がない。
最初は観客の表情やイメージ画像で想像力をふくらませる手法もOKだろうけれど、クライマックスまでもそれってあり? なんでも原作者の意向だったということなのでコユキに罪はないけれど、ここは吹替えでも構わないから、コユキのボーカルを聴かせてもらいたかった。ここまで白けさせ落胆の対象となってしまった佐藤健がある意味可哀そう。
そんな中、この映画の登場人物の中で圧倒的に存在感を放った桐谷健太のラップのパフォーマンスは文句なく圧巻だった。





2010/9/3 【 春との旅 】
春との旅」を観た。終の棲家を探す老人と孫娘の旅を描く。
仲代達矢が「約150本の出演作中、5本の指に入る脚本」と明言して挑んだという頑固な老漁師には、過去に確執があり疎遠となった4人の姉兄弟に自分の世話を頼まなくてはならない情けなさと惨めさがあふれる。
脇をかためる大滝秀治・淡路千景・柄本明・香川照之etcと名優陣にひけをとらなかったのが、孫娘を演じた春(徳永えり)で、田舎から1歩も出たことがない純朴さと祖父ゆずりの頑固さを持ったガニ股でどこか野暮ったい18歳の少女像が見事。
2人の気持ちをよく投影しるものとして旅の途中に何度もある食事シーンが丁寧に描かれている。そして何といっても、冒頭に北海道の辺境から乗る電車の中で祖父が孫娘を邪険に振り払うシーンがあり、対となってラストの同じ路線と思われる電車でいろいろあって全てを許し合った2人が横並びに座ったシーンがあるのが秀悦。
背景に高齢化・不況・過疎化といった社会問題も絡めて家族の存在を再確認した作品。春の心の成長には柔らかな後味が残った。





2010/7/4 【 パーマネントのばら 】
パーマネントのばら」を観た。
西原理恵子原作の帯には「どんな恋でもないよりましやん――。」との言葉。これがずばり本作のテーマ。地方の村の小さなパーマ屋さんを舞台に、そこに集う女たちの恋心を描く。主人公の仲良し3人組って設定も友達の男運がハンパなく悪いってのもまるで西原理恵子原作の前作「女の子ものがたり」とリンク。
ってことで今回のは、まるでちょっと設定を変えた別バージョンの女の子ものがたり。
その最強?仲良し友達に引けをとらないのが主人公の母and村のパンチパーマのおばちゃんandゴミ屋敷のばあちゃんetcの‘恋バナ’。その不幸な恋愛の強烈さはシニカル。
あくが強いキャラの面々の中で、主人公なおこ(菅野美穂)のあまりに静かで押さえた演技の不思議感は秘められた哀しみにつながっていた。
原作で何度も登場する「好きやずっとなんてどこにもないから、私は毎日ウソをつく」の意味深な吐露をはじめとして全てをあくまでふんわりオブラートに包んでいたものを映画では敢えて謎解きのようにクリアにして秘密を明かしていく。というわけでわかりやす〜いシナリオになってような。
「どんな恋でもないよりましやん――。」ってビミョウだなぁ。言えちゃう女はたくましくそして切ない。





2010/6/11 【 プレシャス 】

TOHOシネマズシャンテ」で「プレシャス」を鑑賞。
アメリカの黒人の現実の中に人生の哀しみや未来を浮き彫りにした映画というと何と言っても「カラーパープル」が浮かぶ。(余談ながらミシシッピーの片田舎で黒人のルームメイトと鑑賞した「カラーパープル」は当時の青春?の思い出と重なり生涯のベスト作品)
あの名作「カラーパープル」で主人公セリーの義妹を演じたオプラ・ウィンフリー(今やトークショーの名司会者)が、なんと今回「プレシャス」の製作総指揮をとっていて、アカデミー賞でも熱いスピーチをしていただけにすっごく上映が楽しみだった。
無名の新人(ガボレイ・シディベ)が主人公の87年のNYハーレムで暮らす不遇の少女プレシャスを演じている。演技がどうこうとは思えないながら(-_-;)あの外観だけでインパクトあることは確か。
そして何と言っても圧巻なのが身勝手で悪意に満ちて理不尽な救いようのない人間のクズを演じアカデミー賞助演女優賞した母親役のモニーク。すすすごぃっ!参りました。なんとまさにオプラのトークショー番組でモニークの兄が昔、妹に性的虐待をしていたことを告白したというから、あの真に迫る慟哭の演技の背景にどんだけの思いがあったかと馳せると複雑。脇役としてマライア・キャリーもスッピンで出演しているのも話題。
一時的にせよ虐待の現実逃避なのが解離的な‘空想癖’というのがプレシャスの心象風景をうまく表している。プレシャスのような弱者には現実的な力の基盤となるのは‘教育’だと示唆しそれが大きなメッセージとして伝わってくる。
先は相変わらず前途多難でもそれでも自分の力で踏み出そうとする姿は力強い。





2010/5/6 【 パレード 】
パレード」を観た。
都会でルームシェアをしている若者の日常を描く。順番に各自にスポットを当ててそれぞれかかえる悩みやトラウマetcが浮き彫りになっていく。一見ありそうな若者の日常を淡々と描いている中で、あれっと違和感を感じたのが大学生の良介(小出恵介)。良助の先輩の訃報を聞いた時のルームメイトへの反応がこの映画全体のテーマともいえる‘本心とうわべ’を表す上で一番わかり易い。どうせなら他のメンバーもこの路線で描いてくれたらと思わないでもない。
4人の前に現れた少年サトル役の林遣都がこれまでの爽やかスポーツ少年とは真逆の役で新境地を開拓しているのが印象的
‘生きる知恵’とも言えるこの部屋の中のつかず離れずのbestな距離感をチャットや掲示板になぞらえるあたりが時代を映す。そんな中1人の「嫌なら出ていくしかなくて、居たければ笑っていればいい」という何気ない台詞がどんなに重みを持つものなのかをラストのラストで知ることになる。
この映画を称して「怖い」という表現を多く見かけるけれど、確かにラストシーンは「えっ そうくる・・・」と薄ら寒くなるような毒があった。うわぁこのインパクトは半端ない。加えて、この慣れ合いの生活がいつまでも続くのかそれとも崩壊を予兆したものかを観客に委ねこの後どうしたのかは語られないところが、またコワイ。





2010/4/19 【 ハート・ロッカー 】
ハート・ロッカー」を観た。
今回の第82回アカデミーではそれぞれ最多9部門のノミネートを受け「アバター」と「ハート・ロッカー」の対決が注目された。対照的な「3DSFファンタジー」vs「硬派な戦争社会派」というだけではなく、ジェームズ・キャメロン監督VS元妻のキャスリン・ビグロー監督というので関心が集まった。傍から見てもオスカーを競う元夫婦ってのもすごいもんだけど、当人同士はどんな気持ちなんでしょうねぇ。結果この「ハート・ロッカー」が作品賞の他にも計6部門を制している。
タイトルの「The Hurt Locker」とは文字通りの「傷ついたロッカー」という意味で俗語として「激しい痛みの場所」あるいは「棺おけ」という意味もあるとか。
イラク戦争下でのアメリカ陸軍爆発物処理班の38日の勤務が捉えられる。冒頭のテロップ‘War is a drug’に違和感を感じつつも本作のテーマはそこにあることが次第にわかってくるので、意外にもラストは驚愕どころかすんなり受け入れられた。
一歩極限を超えた次元に身を置きそのスリリングな高揚感に取り憑かれた主人公から対テロ戦争の過酷な異色性が浮きぼりにされる。この映画ではショッキングな日常の中、現在もあの過酷な任務Hurt Lockerと隣り合わせにいる兵士が黙々と任務を果たしイラク国民を救う姿を描くに留まっている。その状況を作り出した国のイデオロギーやイラク戦争の原因そのものに一石を投じるまでは踏み込んでいない点が本国アメリカにとってはポイントなのかも。





2010/3/11  ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式 】
日本公開は2009年ながら見逃していた「ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式」をカナダで観た。
字幕がなくてもこのブラックユーモアのつぼは直球だったようでいつの間にかゲラゲラ笑えたのが何より。
この映画を日本では「海外版おくりびと」って宣伝しているようだけれどテイストが違い過ぎ。どっちかというと伊丹十三監督の「お葬式」に近い。
お葬式っていう厳粛であろうとする場だからこそ、タブーのギャップに笑える。あたふたしながらもこっそりと亡くなった父親の秘密に対処する兄弟と、安定剤を飲んだサイモンのはちゃめちゃぶりを交差させ、
それぞれの登場人物の思わぬアクシデントやら思惑やらが絡んでありえな〜い展開になっていく。
舞台がロンドンということもあって、不謹慎ネタのドタバタのオンパレードが英国らしさのテイストに上手く味付けされて余計にシュール。
全て裏目に出た上で
、ギリまでいった喪主のラストが良い。形式的な言葉のなんて味気ないことか。思いがけない状況下で出た心からの言葉こそが人々の心を温めていく。
なななんと、評判が良かったからか、アメリカでは同じ原題「DEATH AT A FUNERAL」で、すでに舞台をアメリカにして黒人家族の物語にしたリメイクが公開されているとか。早いっ!





2009/12/20 【 パイレーツ・ロック 】
パイレーツ・ロック」を観た。
数年に1度、とんでもなく面白いイギリス映画に出会ってきているので(前回は3年前のキンキーブーツ)今回もそれに続くか?そもそも1966年のブリティッシュロックだし主演はフィリップ・シーモア・ホフマンだし・・・ある程度面白さはお約束されたようなもの。
親の目を盗んで深夜ラジオに耳を傾けるってのは通ってきた道であれそこ青春って感じで懐かしくもあり。
本編でのラジオはのっけからフィリップ・シーモア・ホフマンのDJによる♪All Day And All Of The Night( KINKS)だもの。他の曲もストーンズフームーディーブルースヤードバーズと懐かしさ全開。名曲プロコル・ハルムの♪A Whiter Shade Of Pale青い影♪で、しっとりさせるあたりも王道か。
他のDJのメンツも芸達者の実力派揃いだし、当時の女子のファッションもミニ全盛でそれはそれはカラフルでおっされ〜の域。真面目さ故の政府高官の可笑しさ ・・・これら最高の下地があるにもかかわらず 政府X海賊ラジオ曲・恋愛・DJ同士の戦い・タイタニック要素etcあれこれ盛り込み過ぎで全体的なまとまり感に欠けるような。イケメン青年の存在感も半端でなんとなく誰を軸にしているのかも伝わりにくい。
加えてそうそうたる60年代ヒットの中での違和感の極めつけはエンドロールの♪Let's DanceDavid Bowi)いくらダンスシーンはあるとはいえ何故にこれを使ったのか理解に苦しんじゃう。これは60年代というより80年代を代表する曲でしょ。あ〜惜しい。





2009/10/24 【 仏陀再誕 】
仏陀再誕」を観た。
大川隆法(幸福の科学)が製作総指揮として、自らのベストセラー を息子の大川宏洋脚本でアニメ化したものだという。
劇場に足を向けたのは、公開後の興行成績がなななんと2位と大ヒットしていたという驚きから。
つい観客に興味がいってしまいきょろきょろしたけれど、信者さんらしき方以外に学生も多く、もしかしたらこれは宗教映画としてよりアニメとして一般受けしていたのかもしれなく、確かに実力派声優陣と業界有数のVFXスタッフをそろえた点ではクオリティは高い。
内容的には宗教ということで文学的な落ち着いた作品かと思いきや、ロマンスに加えなんとUFO・大津波・電波ジャックetcSF要素まで盛り込んでいたとは想定外。
大川隆法がモデルと思われる人物が美形に描かれていて、決して好みの外見ではないけれどハニカミ王子こと石川遼に似ていると思ったのは私だけ?対する操念会のトップはいかにもおやじギッシュに描かれているのがあまりにも露骨で苦笑。
一番受けたのが、仏教なのに天使がいっぱい しかもスーパーモデル並みの天使まで登場するくだり。
韓国人歌手によるエンディングテーマ曲「悟りにチャレンジ」はもしかしたら韓流ファン狙い?いやぁ手ぬかりない。エンドロールのすっごい数の自営業を含むスポンサー企業名にも見入ってしまった。
これだけお金をかけた大作が作れるのであれば、宗教映画じゃないところでもアニメやっていけば選挙やるより良いのではないでしょうか。





2009/8/4 【 ハリーポッターと謎のプリンス 】
シリーズの映画版第6弾の「ハリー・ポッターと謎のプリンス」を見た。
主人公達もお年頃ってことで、これがハリーポッター映画ということさて置いて恋愛ものの色合いが濃い。意外にも苦戦するハーマイオニーや意外にもモテモテのロンを中心に描かれる。
またマルフォイはこれまでずっと嫌な同級生として登場してきたけれど、本作で重大な使命に苦悩する様子を丁寧に描いていてスポットが当たっている。まぁここらへんまではキーパーソンとなるホラス先生の登場に伴ってそれなりに謎解きとしての面白さもあったのだけれど、失速したのは、ラストのダンブルドアとスネイプの決闘シーン。
なんというか凝った映像から一転して舞台が安っぽいというか・・・あのダンブルドアならではの法術が乏しかったというか・・・。これは最終章「死の秘宝」につながるとはいえ、今までにないくらいあまりに中途半端。
ってことでこの不満は次回への期待にさせてもらいます。





2009/7/1 【 ハゲタカ 】

NHKテレビドラマの劇場版「ハゲタカ」を観た。
大手自動車メーカーに中国系ファンドが買収を仕掛ける。天才ファンドマネージャー「ハゲタカ」こと鷲津(大森南朋)vs中国系ファンドを率いる「赤いハゲタカ」こと劉一華(玉山鉄二)。
この激しいマネーゲームの手法やホワイトナイトとかの知識はなくても実際のニュースで現実に起こった金融危機に沿って素人にもわかりやすく描いている。ありがちな恋愛なども一切なくあくまで経済ドラマを軸として劉のミステリアスな生き方を絡め骨太。
「人生には悲劇が二つある。カネのない悲劇と、カネのある悲劇」が、劉と派遣社員の青年とのばらまかれた札束のシーンでも印象的に描かれ、この2人の`その後‘も意外性で良かった。
ただテレビドラマを観ていないと銀行の貸し剥がし・貸し渋りで辛酸をなめた栗山千明や何故か旅館で働いている松田龍平の立場がわかり難いかも。





2009/5/25 【 フロスト×ニクソン 】
フロスト×ニクソン」を観た。
昨年度のアカデミー賞で作品賞を始めとする主要5部門にノミネート。
コメディアン出身でジャーナリストでもないフロストと政界復帰を狙うニクソンによる77年に実際TVで放送され4500万人が観た歴史的インタビューの映画化。
「勝てば英雄 負ければ愚か者」のとんでもない賭けに出たフロスト役のマイケル・シーンも良かったけれど、それ以上にニクソンを演じたフランク・ランジェラは舞台版でもニクソンを演じトニー賞を受賞しているだけあって役作りの見事さといったら・・・。
ウォーターゲート事件の真相などに触れてはいないけれどニクソンの語り口にはその器の大きさが現れていて`策士‘として風格十分。映画でこそ、一人の時間を過ごす両者の心の闇も描いていて人間くささを感じられたけれど、やっぱリアルタイムで実際のインタビューを見たかった。





2009/3/27 【 ホルテンさんのはじめての冒険 】

ル・シネマにてノルウェー映画「ホルテンさんのはじめての冒険」を観た。
‘真面目’としか言いようのない勤勉社会人ホルテンさんが定年ラストDAYにちょっとしたhappeningに見舞われ歯車がどんどん狂いだし非日常といえる出来事に遭遇していく様を描く。
ほとんど表情を変えることもない超実直男だけにトホホな場面でもマイペースというのはそれだけで何かしらユーモアがあるものだけれど正直言ってエピソードが弱いかも。クスクス感はそれほどでもなく思った以上に淡々としていたような・・・。
でもホルテンさんの鉄道マンとしての生活のリアリティーや送別会や表彰式シーンも含めこの映画の別の見どころの名列車とも言われているというノルウェー鉄道「ベルケン急行」のトンネルを抜けて大雪原を走るシーンは素晴らしく世の鉄ちゃんには興味深いものかも。
ラストに何故かキーワードとなってくる‘スキージャンプ’は北欧発祥でノルウェーではとてもポピュラーなスポーツだそうで、ベント・ハーメル監督はスキー・ジャンパーだった母を偲び本作を「亡き母とすべての女性スキージャンパー」に捧げている。
思いがけない出来事があるから人生は面白いもの。平常心を乱した出来事が何やら良いことありそうなホルテンさんの新たなスタートへの応援歌となっていた。





2009/3/27 【 フィッシュストーリー 】
シネクイントで「フィッシュストーリー」を観た。
「アヒルと鴨のコインロッカー」と同じく伊坂幸太郎原作+中村義洋監督ということで、やっぱこのコンビは予想を上回る面白さだった。
一見別々のような1975年、1982年、1999年、2009年、2012年の5つの時代が交錯してストーリーがつながっていく。
いい曲なのに売れないとわかっているバンドメンバーの「曲が回りまわって、世界のためになる。そういうこともありえるってこと」という台詞がこの映画を一言で言い表している。発売当時だれにも聞かれなかった曲が、時空を超えて人々をつなぎ、世界を救う! 
後に原作を読むと何ページもないようなショートストーリーだっただけに映画化にあたってこれほど壮大に世界感をふくらましたとはもう驚くしかなくただただ脱帽。
「アヒルと鴨・・」にも出演していた相変わらずの気弱な大学生の濱田岳・伊藤淳史・森山未来・大森南朋etcと魅力的俳優陣の中でも特に目が釘付けだったのがパンクバンド逆鱗のボーカル高良健吾。レコーディングのシーンは鳥肌もののカッコ良さ!どっかで見たことあるなぁと思ったら「ZEN禅」の俊了役じゃん。
幻のパンクバンドといえば今年観た「少年メリケンサック」があることだし今年はパンク年?
それにしても斎藤和義作のテーマ曲「フィッシュストーリー」はカッコ良い!♪俺の孤独が魚だったら、巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出す きっとそうだ オレは死んでないぜ オレは死んでないぜ 音の積木だけが 世界を救う♪ この映画に登場するバンド逆鱗がスクリーンから飛び出しデビューしたというCDを即買い。
音楽も含めて本当にストライクの作品でした。





2009/3/8 【 ベンジャミン・バトン 数奇な人生 】
ベンジャミン・バトン 数奇な人生」を観た。
原題「The Curious Case of Benjamin Button」とスペルが同じ‘バトン’と‘ボタン’をかけていて、主人公の父親の「ボタン工場」の職業を表しているのは上手い。
ブラピの老けメイクと若返りメイクはこの映画の最大の見どころで、特に10代のメイクはお見事。
でもなにせこの映画は167分(2時間47分)という時間以上に長く感じた。いろんなエピソード (時計職人の話・船乗り・ロシアでの恋愛・第二次世界大戦etc)をもっとサクサクまとめて欲しかった。
冒頭の時計職人の話に関しては「時間を逆に」ということで主人公の人生とリンクさせているのだろうけれど、このエピソードが直接に主人公の誕生とはつながっていないのもなんだかなぁ。
相手役のケイト・ブランシェットも相当な幅の年代を演じきっているのはさすがだけれど、若い頃が高慢ちきで調子こいているヒロイン像なので、それでもベンジャミン・バトンがずっと想い続けるのかが理解できなかった。でもまぁ後年でその分の埋め合わせは出来た人生だったのはヒロイン像として救いかも。





2008/10/28 【 P.S.アイラブユー 】
P.S.アイラブユー」を観た。
いきなりの夫婦喧嘩のシーンから始まった。ヒロインが一方的にプンプン文句あれこれで性格的にきっつそ〜ってのが冒頭で伝わってくる。
これに反して旦那役のジェリー演じたジェラルド・バトラーが、エンターティナーだしユーモアあふれて優しいし何より奥様にぞっこんだしぃ・・・「300」でローマ帝国を背負ったたくましさ健在だし 非の打ちどころがなくアイルランド男の魅力全開。
ジェリーの故郷のアイルランドでの二人の出会いのシーンは、こーいう風に恋が始まるってのが伝わってきてなかなかなんだけど、やはり冒頭のシーンを既に観ているだけになんだかねぇ。なんかヒロインが口うるさく旦那をなじりまくるようになっても愛されていたことに結び付かない。良い妻といえなかったことが呵責となって死後立ち直るのに苦悩したってのを描きたかったのかな?でもヒロインがどんなに悲しくつらかったとしても、この映画はよっぽど恵まれているパターン。それが本物の愛かどうかはともかく、フツウは次の出会いとかそんな簡単にあるもんじゃないでしょ。
後半どーにもならなくなったヒロインに母親が言った「一人で歩いていかなきゃいけないけど一人なのはあなただけじゃない」みたいな台詞だけは思い切りストライク。
ヒロインの衣装は今年の流行らしいチェックを意識したもので素敵だった。





2008/10/3 【 百万円と苦虫女 】 
百万円と苦虫女」を観た。
「資格なし 特技なし 友達なし 前科あり」の主人公が、100万円を目安として自分を知っている人間がいない知らない土地への逃避行に出る。不器用に流れのままなんとなく生きている主人公のとほほさと頼りなさがとてもリアルに描かれていた。
予告編で観た感触では、もっとあちこちの風物詩を楽しめながら日本縦断するくらいのロードムービーかと思っていたのだけれど海→山→地方都市の3箇所だけだったのはちょっと肩透かし。
主人公の蒼井優と関わり合う桃農家のピエール瀧も恋人役の大学生の森山未来も共に生き下手というか根は良いんだろうけど感情表現が苦手というのが共通していてなんか身近。
100万という目安はあるにしてもなんとなく人間関係がややこしくなっての移動というのは「百万円貯まったら、この家を出て行きます」の当初のスタートと同じく逃げの延長。その主人公と重なるように学校でいじめにあっている弟の姿が映し出される。その弟からの1歩踏み出した手紙を読んだ主人公が、それまでの自分を振り返り100万貯まる前ながら、逃げの旅ではなく次のステップを踏み出そうとする。この時の力強い足取りとさばさばした表情が良い。ポジティブに姉弟の成長をさりげなく描いている。





2008/9/15 【 パコと魔法の絵本 】
パコと魔法の絵本」を観た。
予告編ではお子様向け?と思わないこともなかったけれどなんせ中島哲也監督だから外せない。
「ゲロゲーロ ゲロゲーロ ガマの王子はわがまま王子」に描かれる絵本の世界は3DのフルCGと実写の合成とかでいまだかつてない斬新なもの。「嫌われ松子の一生」の時のカラフルでポップなビジュアルが更にパワーupCG映像も慣れてしまって多少のことじゃ驚かなくなりつつあるけれど、圧倒されるほどビックリ。これが中島哲也監督の世界観かぁ。畏れ入りました。
そんなファンタジーな世界での登場人物がなんだか壊れ気味の強烈な曲者キャラで豪華キャストがみんな弾けきって演じている。
思い切りデフォルメしてドロドロ感たぷりの面々の中の少女パコちゃんのな〜んて純な存在感といったら・・・。確かにクソジジイを変えてしまうだけの説得力はあるなぁ。
「先生、涙ってのは、どうやって止めるんだ?」「簡単です。いっぱい泣けば止まります。」などのじーんとさせるシーンやそれぞれのかかえた苦しみも描きながら、だいたい冒頭からしてなんでフラダンス?なんで♪「人間なんて、ララ〜ラ〜ラララ、ラ〜ラ〜」?なんでジュディオング?etcこのある程度の年齢層にキャッチする小ネタが冴えていて気がついたら笑って泣いてまたワラってとフルコースで楽しませてもらった。





2008/8/20 【 ハムナプトラ3呪われた皇帝の秘宝 】
ハムナプトラ3呪われた皇帝の秘宝」を観た。前2作はTV放映での鑑賞なのでハムナプトラで初めて劇場鑑賞。
今回、どーしても連想して比べてしまったのが「インディー・ジョーンズ4」。「ハムナプトラ3」と「インディ4」って登場人物が入れ替わっても違和感ないんじゃないのぉ?両親と息子という設定も同じだしぃ。「インディー4」のラストにがっかりした分、ハムナプトラの方がまだ良かったかも。
オリンピックでタイムリーな中国が舞台ということで、ジェット・リーやミッシェル・ヨーがキャスティングされていた。こーいうおふざけギャグの要素がある映画でまさかこの2人を観ることになるとはなんか複雑・・・。
まぁ細かいところをつっこむんでも意味がないかもしれないけれど特に気になったのが英語と中国語の使い分け。母娘の会話や奴隷のミイラを甦えらせる言葉に英語は変。
雪男やら七変化する皇帝の演出はなんでもアリという感じで過剰だったような・・・。でもまぁこーいう系はハリウッド大作らしいスケールのアクションを楽しむものなので、観終わって特に何も残らなくても こんなものでしょう。





2008/8/1 【 ブレス 】
キム・ギドク監督の「ブレス」を観た。
自殺未遂を繰り返す死刑囚と孤独な主婦の愛。キム・ギドク色満載で、今回も最小限の説明と台詞が良い。
なんでもかんでも台詞で説明しがちな映画とは対極。このそぎ落とし感と奇想天外な発想が今回も描き出される。鬼才といわれるが本当にこの監督の作品は今回も例にもれず先が読めない。
死刑囚はどんな理由で家族を殺しこうなったのかの背景は語られることがなかったけれど端正な顔立ちはどっかで見覚えある・・・と思ったら「呉清源/極みの棋譜」のチャン・チェン。台湾のチャン・チャンが日本語の次は韓国語まで話す・・・?かと思いきや一切の台詞はなかった。
一方の主婦ヨンはとても美人とはいえない女優(チア)を採用したのが功を奏している。夫の前では寡黙で表情も暗いだけに刑務所でのギャップに笑わせてくれる。♪ぼん ぼん ぼん 春がきた♪には口ぽか〜ん。その刑務所での展開には驚くが、それを見守る看守役がキム・ギドク自身だというのにも驚いた。やはりキム・ギドクの映画はただものじゃない。





2008/7/31 【 P2 】
P2」を観た。
タイトルのP2とは「地下2階の駐車場」。
美人の主人公が白いドレス姿で、ストーカーから逃げ惑う。
ビルの地下駐車場で正門が閉鎖され、電灯が消え、携帯も通じないって大都会の死角。実際にあったフランスでの事件を元に考えられたというから そう日常にかけ離れたのもでないことがコワい。
いつも何気なく利用している駐車場って確かに人気がないと不気味。そーいえば横浜在住時に長後駅付近の日中でも薄暗い駐車場をドキドキしながら利用していたことを思い出した。
本来ホラー系の心臓バクバク映画は苦手なので、この作品のギャーギャーキャーキャーのヒロインの叫び声と、来るぞ来るぞと思わせる効果音に結構びびった。
血しぶきもありで こーいうの苦手(-_-;)





2008/7/28 【 ハプニング 】
ハプニング」を観た。
あの「シックス・センス」のナイト・シャラマン監督ということで期待したのだけれど、よくよく振り返るとシャラマン監督の作品で満足したのは「シックス・センス」だけで、その後の「アンブレイカブル」「サイン」「ヴィレッジ」と軒並み外しているような(-_-;)。(レディ・イン・ザ・ウォーターは未見) 
今回もなんかがっかり。この異常現象は何だったのか が さらりと根拠なく予測として述べられるだけ。何故東海岸に限定されたのか 何故大人数から被害にあうのか etc 謎は謎のまま。これじゃナンだってありじゃん。しかも人間嫌いの1人暮らしの老女宅で無駄に怖がらせるしぃ。
生き延びた人は何故生き延びたのかもわからず 一連の事件から3ヵ月後に飛んだラストがまたしても謎のまま。消化不良。





2008/7/25 【 譜めくりの女 】
仏映画「譜めくりの女」を見た。
審査員であるピアニストのとある行動が少女を傷つけ、それから10年後・・・・・。成長した少女が再びピアニストに再会して専属の「譜めくり」となってどう復讐するのか・・・というミステリアスな話。
相手の家庭に入りこんでの復讐劇で思い浮かぶのは「キング罪の王」だが、今回の手法はちょっと予測がつかなかった。プラス「キング罪の王」の復讐は理由にうなずけるものがあるが、こちらはその原因にインパクトがなかった。
確かに少女は傷ついただろうけれど、ピアニストに悪意がなかっただけにあの一件でここまで引きずられるって、この‘譜めくり’はコワすぎ。
透明感のあるきれいな女性が静かにひたひたとでも確実に人の心に入りこんでくるところなんかの心理劇は興味深かった。
85分に無駄なくまとめられた展開はフツウには最も難しい方法と思えるだけに、譜めくりの計画通りに運んだとしたら・・・あまりに上手いこと行き過ぎているような・・・。





2008/7/9 【 花より男子ファイナル 】
花より男子ファイナル」を観た。
神尾葉子による原作は5800万部の日本1の売上の少女コミック。
そーいえばムスメここあもこのコミックにはまり、知らぬ間に部屋に隠し持っていた。Canadaに発つ時にダンボールに入れてクローゼットの中にしまいこんだハズ。
私は原作もTVドラマも観ていない。今回の映画の前売券の発売枚数が1ヶ月で史上最高となる東宝配給作品実写映画記録となったと聞いても、なにしろ主演が松潤と井上真央だしぃ・・・全く興味を惹かれることもなくスルーしようと思っていた。が・・・、公開を待っていたかのようにCanadaからのメール「花男観たい観たい観たい」と数ヶ月ぶりの国際電話でも「花男花男花男」callで重い腰を上げた。
展開は一言で「有り得ない」。つっこみどころ満載。だけど、漫画の1ページ1ページが想像できるようなシーンの連続は意外と面白かった。F4の面々は少女コミックならではのboys像をそのままなぞっていてキャラの完成度はたいしたもの。無理なストーリー展開はさておき、ラスベガス・香港・無人島・日本と駆け巡るコミックの空気感プンプンの世界観は楽しめた。





2008/6/11 【 ハンティング・パーティ 】

ハンティング・パーティ」を観た。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が終結して5年後のサラエボでアメリカ政府が500万ドルの懸賞広告を出した戦争犯罪人フォックスを巡る再起をかけた戦場ジャーナリスト・相棒カメラマン・新米プロデューサーの3人の命知らずの旅。とは言ってもカメラマンの「冒涜かもしれないが戦争を報道する死と紙一重のスリルは病み付きだ」とあるように自分で決めた選択。
この3人の会話が結構笑えるので社会派ドラマと言ってもユーモアを感じられる。
実在するジャーナリストがボスニアで体験した驚愕の事実にフィクションがミックスされたというが、エンドクレジットでどれが事実で誰が実在するのか明かされる。エンドロールといえば♪戻るも行くもおまえの自由♪という歌詞のアフガンミュージシャンによる歌が渋い。
でも、この3人が考えたフォックスの処遇にはなんだかがっかりしちゃった。あんなんで良いの?あそこまで危険おかしてあれじゃ詰めが甘いような・・・。
フォックスは実在するラドソン・カラジッチという人物がモデルらしいけれど、何故今も逮捕されないのかという数ある理由には驚いた。これはある意味アメリカへの内部告発に近いのかも。アメリカって意外と自国の傲慢さを批判している作品を描いているものが少なくないのは風潮なのかな。
今でもフォックスが捕まらないのは国連やCIAがビン=ラディンのことで忙しいからだろう。な〜んて説明もあったけれどもしオサマ・ビン=ラディンがまだ捕まっていない裏にも似たような複雑な駆け引きが絡んでいるとしたらやってらんないなぁ。





2008/6/8 【 ヒトラーの贋札 】
2007年度アカデミーで外国語映画賞受賞「ヒトラーの贋札」を観た。
ナチス・ドイツの強制収容所で行われた「ベルンハルト作戦」という偽札作りの実話。タイトルに合えて「贋札」の漢字を使っているこだわりに感心する。
主人公サリーは仲間を含めた命を助ける為にも「今日銃殺されるより明日を」の考えの中行動する。
この映画では緊迫感に包まれた追い詰められた同胞の苦しみや葛藤を描いているので、そんな異常な状況下でも正義を唱える仲間の1人ブルガーの勇気は 一人よがりの異端児にさえ見えちゃう。
それだけになんと、そのブルガーがこの原作者とは驚いた。でも原作者と対極のサリーを主人公におくことで‘正義’より‘生’をというメッセージがより伝わっているのよね。
強烈だったのが、主人公が家族の死を泣く仲間に「ナチの野郎が喜ぶだけだから、泣くのは止めろ!」と言った台詞。抜け目なく立ち回っているようでいて終始表情を崩さない主人公の心の奥を覗いたようで胸がつまった。
冒頭とラストにモンテカルロのカジノに興じる姿があるけれど、そこには勝っても負けても全然動じないサリーがいた。命の尊厳がかかった経験をした者にはもうお金で心が動くことはないのでしょう。う〜ん深い。





2008/5/21 【 ぼくたちと駐在さんの700日戦争 】

ぼくたちと駐在さんの700日戦争」を観た。
(半分)実話だという原作は人気ブログ小説。1979年とある田舎町を舞台に高校生達と駐在さんのイタズラを巡る攻防…ということで、ある意味内容はしょーもないとも言えるのだけれど注目はインベーダーゲームが大流行し共通1次試験が始まったこの1979年という年代。ぬぁ〜んて懐かしい。冒頭から♪夢想花♪飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで回って回って〜〜だしぃ。当時の時代背景がこれでもかと再現される。余計な心配かもしれないけれど、市原隼人主演でポスターにも1979年があまり強調されていなかったのでこれにノスタルジーを感じられる世代へのアピールの仕方が足りないのではないかと感じた。
イタズラ7人組に引っ張られて、やられたらやりかえす大人気ない駐在さんを佐々木蔵之介が好演。
気に食わない相手に陰湿な行為をしがちな今の時代から見るとイタズラの発想がとても健全で楽しんでいるのが微笑ましかった。卒業まで彼らの熱いバトルはまだまだ続くようで〜す。





2008/5/3 【 ペネロピ 】

ペネロピ」を観た。
ブタ鼻ヒロインのファンタジー。このペネロピワールドが最高。名家というペネロピのお屋敷がすっごい。寝室もお見合いルームも内装が凝っていて楽しい。幽閉部屋とは思えないグリーンの壁に赤い木etcなんてポップでカラフルなんでしょう。キュートなのはセットだけじゃなく、ペネロピのファッションも。家にこもっている時も外に飛び出した時もカラフルで超カワイイ。
雄大な別世界を描いたスケールのファンタジー映画が多い中こーいう現代を舞台にしたおとぎ話はなんか新鮮。
脇役陣も憎めないキャラ揃い。敵となるべく記者役の小人症のレモンがもしかしたらペネロピを一番理解していたのかもしれない。カメラを向けながらやめたラストに人間味を見せてくれた。
呪いのせいでブタ鼻になり隠遁生活を送るペネロペが1歩踏み出していくのに勇気をもらう。コンプレックスにとらわれず自分のありのままを受け入れることで白馬の王子様を待っているのではなく自分が王子様になるというものすごくポジティブな内容だった。





2008/4/23 【 プライスレス 素敵な恋の見つけ方 】

プライスレス 素敵な恋の見つけ方」を観た。
本国フランスでは200万人を動員したラブ・コメ。
「プライスレス」で思い浮かぶのが「pricelessお金で買えない価値がある、買えるものはMaster Cardで」のCM
ということで冒頭からMaster Cardでブランド品買い物しまくり。スポンサーがMasterCardだしぃ。
ヒロイン(オドレイ・トトゥ)は玉の輿を狙って生きる女ジゴロ。むっちゃ豪華でセクシーなドレスは大胆すぎる気もするけれど・・・(-_-;)
美しいリゾート地でヒロインに翻弄され成り行きでジゴロになっていく高級ホテルのウエイターがなんだか気の毒でいながらユーモラスに描かれる。ヒロインのレクチャーで次第に洗練されていく変身ぶりが見もの。このウエイターが確信犯的な意地悪さも含めて女ジゴロのヒロインをありのまま受け入れている。
で、この2人を取り巻くセレブな人々が半端なく、特にエルメス主体のおフランスのマダムの貫禄はさすがだし、マダムからの戦利品の3万ユーロ高級腕時計(ジャガー・ルクルト)は、ななななんと約435万円だとか。モナコの超名門ホテルの最高級「オテル・ド・パリ」を舞台にしていることもあり、実在の絢爛豪華なレストランでのキャビアetcあれもこれもが、ハイ目の保養になりました。
一流品のオンパレードの中、1ユーロのコインが鍵となっているのが味わい深い。





2008/4/20 【 フィクサー 】

フィクサー」を観た。
タイトルのフィクサーとは‘もみ消し屋’。悪徳企業の社員も弁護士も、組織の1コマとしての正義がある。それは生きていく為の善悪では割り切れないサラリーマンの限界というものなのだろう。どんなに腑に落ちない仕事でも組織に従うことは自分を守ることでもある。
主演のフィクサー弁護士(ジョージ・クルーニー)も敏腕弁護士(トム・ウィルキン)も農薬会社の宣伝総括(ディルダ・スウィントン)も同じ穴のムジナ。生活を捨てても自分の正義を通すかどうかが人間性の鍵になっている。
だからこそ敏腕弁護士が長年の良心の呵責に耐え切れずとった勇気は半端ないことと思いながらも、公判中に服を脱ぐとか原告の女性への態度とか悪徳企業への脅迫電話とかetc行動が幼稚なのが う〜ん(-_-;)
一方アカデミーの助演女優賞を受賞したディルダ・スウィントンは告発される会社の宣伝総括として、隙のない企業の顔でいながら実は仕事のプレッシャーでの苦悩を体現している。
主演のフィクサーはもみ消し屋として敏腕なところが発揮されなかったせいか存在感が弱く、感情移入もし難かったような・・・。





2008/3/16 【 バンテージ・ポイント 】
バンテージ・ポイント」を観た。
タイトルの意味は「視点・観点」。
「大統領を撃ち抜いた1発を、あなたは8回目撃する。」というキャッチコピーにあるようにそれぞれ見たものが食い違う8つの視点を描く。
事件が起こった23分間にそれぞれが体験した事実を異なった視点から追っていく。その都度時間は巻き戻され少しずつ新たな真相が現れ徐々に真実がみえてくる。上質なミステリーを見ているような気分。
巻き戻しは5人目に大統領の視点になりその後はスピード感あふれる追撃やカーチェイスでテンポよく1時間40分はあっという間。
プラカードをかかげアメリカの対テロの陰に経済戦略があることなど米国側の責任へ批判的な群衆の様子も織り込んでいるのが興味深く、アメリカの読みを上回る裏の裏をかくという脚本は面白い。
豪華な出演者の中注目していたのがシークレットサービスのデニス・クエイドの同僚役のマシュー・フォックス。米ドラマ「LOST」主演しているが、先の読めない展開という意味ではドラマとリンクしている。あ〜「LOST」の続編が待ちきれないゎ。





2008/1/19 【 パンズ・ラビリンス 】

パンズ・ラビリンス」を観た。
2006年度アカデミー賞で撮影賞・美術賞・メイクアップ賞の3部門受賞の他に各地の映画賞に輝いた映画。
「ダーク・ファンタジー」と言われる本作はPG-12指定が大いに納得で、子供が観る可愛いファンタジーの類ではない。正視に堪えられない程「現実」は残酷で地獄絵。行き場を失った現実から幻想の国で永遠の幸せを探そうとする少女が課せられた迷宮への試練も過酷。ベトベト・グロ・etcダークな映像をてんこ盛りにして残酷な現実と怖いおとぎ話が絶妙なバランスを保っている。
因みにタイトルにもある‘パン’は牧神。
少女の無垢さと大人のエゴをこのような観たこともない世界観で作り出したメキシコ出身というギレルモ・デル・トロ監督は凄い!。
あまりにも妖しく美しく哀しく痛々しく切ない作品だった。





2007/12/9 【 ベオウルフ 呪われし勇者 】

ベオウルフ 呪われし勇者」を観た。ロバート・ゼメキス監督が、「ポーラー・エクスプレス」同様のモーション・キャプチャー技術を用いて西欧では良く知られた神話をアニメーション化したもの。一見するとまるで実写。
総じて透明感のあるお肌と肉体美が強調される中、見所の一つアンジェリーナ・ジョリーの姿は焦点の定まらない眼差しだけが浮いていたような。全体的にも最新テクノロジーの映像世界はすごいが必要な部分だけCGを使うほうが相乗効果があるかも。
あちこちのレビューにもあるように怪物グレンデルの戦いで、ベオウルフがなんのかんのともっともらしい理由を言いながらヌードになるのには絶句。なんじゃいこのシーンは・・・ぶっ 笑えたしぃ。
私が観たのは2Dバージョンだったが、一部の劇場では3Dメガネをかける3D版で上映しているそうなのでその立体感を体感できなかったことは残念。





2007/11/30 【 ボーン・アルティメイタム 】

ボーン・シリーズ三部作の最終作「ボーン・アルティメイタム」を観た。

劇場公開直前にTVで前2作を放映したのを観たので、記憶も新しいまま鑑賞できた。

世界の諜報戦に驚きつつ、その裏をかく完全無欠の立ち回りは目が離せない。何しろ暗殺者を送り込むのがCIAというのがミソ。

ロンドンのウォータールー駅の雑踏・モロッコタンジールの迷路のような街並み・NYのカーチェイスなど次から次と世界をかけめぐっては土地柄を活かし見せ場を作っている。

ジェームズ・ボンドと同じようにジェイソン・ボーンという役名を聞くだけで惹かれるカリスマ性のあるボーンに魅了された。猿顔マット・ディモンは抑えた表情と少ない台詞でcoolで好感が持てた。

但し、ボーンの資金源は?という大きな謎は残ったまま。





2007/10/28 【 ヘアスプレー 】

ヒット・ミュージカルを映画化した「ヘアスプレー」を観た。

舞台は人種差別が残る60年代のボルチモア。「ハマる!ハジケる!ハチキレる!?」の言葉通りにハイテンションで元気になる作品だった。

ヒロインは1000人を超えるオーディションから選ばれたという主役の女の子(ニッキー・ブロンスキー)で、少し前までアイスクリームショップでバイトしていたという。この作品自体がおデブちゃんのサクセスストーリーだけにまさに実生活もヒロインを地でいくシンデレラ。当時の人種差別などの問題も取り入れ、天真爛漫でおしゃれでポジティブ思考のヒロインは本当に魅力的。
母親役のジョン・トラボルタはメイクに5時間もかけ13`もの肉布団を着たというからこちらも見事な存在感。軽やかに踊る姿は「サタデー・ナイト・フィーバー」!!
母娘をやさしく見守る父親役のクリストファー・ウォーケンも敵役のミシェル・ファイファーなどの豪華な脇役陣も含めキャステングが申し分なく楽しめた。





2007/10/6 【 ボルベール<帰郷> 】

アルモドバル監督の「ボルベール<帰郷>」を観た。

これはこの監督の「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」に続く女性賛歌三部作の最終章になるらしい。

まるでこれはベネロペ・クルスのプロモーションかぃ。主演だけ華やか顔で色彩豊かな衣装を着て、巨乳を強調して、半端なく歌が上手い。脇役の女性陣があまりにも地味。この対比があまりにも露骨。3世代の女性が似たような辛い境遇というのは感慨深い。ながら・・・肝心な点を娘や母親の自らの台詞によって明らかにさせる手法はいただけない。よくサスペンスでも犯人自ら告白みたいな展開がとても嫌いなだけにこの映画もそれが最大のネック。予想がつく展開だけにそれが尚更気になった。





2007/9/7 【 ハリーポッターと不死鳥の騎士団 】

シリーズ第5弾「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」を観た。 
内容はともかく注目したのが今回の登場人物で2人。
1人はもしかしてハーマイオニーを食っているんじゃないかというくらいルーナ役の不思議少女。そしてもう1人はホグワーツ教師のアンブリッジ役のイメルダ・スタウントンで「ヴェラ・ドレイク」の大女優。リボンや猫ちゃんだらけの部屋やピンクの服の可愛いらしさと本人の嫌な性格のギャップがコミカルで、「ヴェラ・ドレイク」から想像もつかない嫌われ者を完璧に演じていて圧倒された。
他ではシリウスがハリーを見て「ジェームズ」と言ったシーンはポイント高い。もはや子供ではない生徒達の成長ぶりには毎回驚くにしても、ハリーとチョウとのキスシーンはなんか妙に生々しかったような気がするのは私だけ?
あっそうそう予告編の「ついに明かされるハリーの秘密」って?
観終わってもわからなかった(-_-;)





2007/7/21 【 ブリッジ 】
毎年900万人の観光客が訪れるサンフランシスコの象徴、ゴールデンゲート・ブリッジが観光地であると同時に世界最大の自殺の名所ということを描いた「ブリッジ」を観た。
1937年の建設以来、約1300人が自殺したといわれる ってことは・・・なんとびっくり2週間に1人の割合らしい。
橋のたもとにカメラを添え2004年から2005年までのこの橋を撮り続けた中リアルな自殺者が映し出される。ある者は躊躇なく、ある者は迷っているらしく歩き回った後に・・・。
自殺者の理由は様々だ。残された遺族や友人が亡き人を語る様子もまた様々ながらも、残されたものは自分自身が何かできたのでは・・・と、一様に大きな傷を負ってしまう。
この残された人々の話を聞く限りではこんな理解ある人が近くに居ながら何故・・・と思ってしまう。それでも届かない生への絶望を持ってこの橋の上に立つ人々と、対照的にレジャーを楽しんでいる美しいだけの観光名所のゴールデンブリッジとのあまりの落差。
残念ながら秋田県の自殺率は、12年連続で全国ワースト1になった。(尤も自殺だけではなくあれもこれもワースト1が並んだケド)。
何が最善の自殺防止になるかは断定できないながら、まずは残された者が背負っていく痛みを知ることかもしれない。





2007/6/8 【 ブラックブック 】

女性ユダヤ人が復讐のためにレジスタンスに入り、敵であるナチス将校に近づいていく話「ブラックブック」を観た。

冒頭、イスラエルのキブツが映し出される。スクリーンにキブツと出た瞬間、20代の頃ヨーロッパ方面を周って来ると言った友達から届いた絵葉書の中に「今イスラエルのキブツで働いています」というのがあったのを思い出した。彼女が居たキブツってどんなところだったのだろうということがほんのちょっとでも目にできたのは個人的に嬉しい。

オランダを舞台にレジスタンスの中にも裏切り者がいるということを描いていてサスペンスタッチになっている。

聞き流しそうな台詞のあちこちが伏線となって先が読めないのも面白かった。

何年も調査をし史実に基づいているというだけに、これでもかというくらい痛いシーンは目を覆う。凄惨という以外にも露出もこれでもかというくらい多かったのでR12指定でもゆるいかも。

イスラエルのキブツでの主人公の回想で始まり、生き延びたのが不思議なほどの苦労を描いた後で、再び描かれる冒頭とは全く違うキブツの状況を映し出す演出は素晴らしい。





2007/6/1 【 ヘンダーソン夫人の贈り物 】

2005年度アカデミー賞で主演女優や衣装部門でノミネートされた「ヘンダーソン夫人の贈り物」を観た。

資産家未亡人がイギリス初ヌードレビューを登場させたという実話に基づいている。なのでヌードシーンはバンバンですがホントにまさにアートのようで「芸術」と証する台詞に違和感がない。が、ボブ・ホスキンを初めとする男性人のスッポンポンには正直ビックリ。これを制作したBBCって国営放送じゃなかったけ・・・す すごい。でもまぁ全くいやらしくないけど。(ボブ・ホスキンズはどっかで観たことがあると思ったら「フェリシアの旅」のおっさんでした)。

イギリス英語は徹底していて、主人公を演じたジュディ・デンチのスピーチは大女優の貫禄で圧巻。

この2人の名優のあーいえばこーいう的な掛け合い気が絶妙。

ステージもので最近観たアメリカ映画の「今夜フィッツジェラルド劇場で」のアメリカンジョークが全く楽しめなかったのと比べてもこちらのユーモアは充分に楽しめた。意外だったのが予備知識がなかったとはいえこれは実は堂々たる反戦映画だったということ。





2007/5/19 【 パッチギ!LOVE&PEACE 】
ネットでの鑑賞レビューがあまりに酷評だらけで、なんだかためらいながらも「パッチギ LOVE&PEACE」を観た。酷評のほとんどが間違った韓国サイドの主張に沿う歴史を湾曲したものだということと井筒監督によるプロバガンダ映画だというものだった。
この作品の藤井隆以外の日本人は、徹底的に在日韓国人を差別する。確かに今の韓流ブームが想像もつかないくらい日本と朝鮮半島の間には溝があり在日が苦労したのは本当だと思うが、ここまで容赦なく日本人が酷かったとしたらあまりに胸苦しく、けな気な在日に対する日本人の容赦ない差別用語に頭が痛くなった。
一方韓国では「よくぞ制作してくれました」と間違いなくヒットするだろうな。ケンカのシーンが多いし、在日の皆さんがこれを観たらますます日本を嫌いになるだろうなと思えるだけに何故LOVEPEACEなのか・・・とってつけたようなこの単語が意味不明。監督はその奥に愛のPEACEが見えれば良いと言っているけれど見えないのよ。
子役が愛らしいだけに残念なのが、不治の病という設定がステレオタイプだったとこ。





2007/5/9 【 不都合な真実 】
元アメリカ副大統領アル・ゴアが地球温暖化の危機を訴えた「不都合な真実」を観た。
アカデミー長編ドキュメンタリー部門でのオスカーの他に、なんと「ドリームガールズ」を抑えてのオリジナル歌曲賞「I Need to Wake Up」(メリッサ・エセリッジ)でも受賞している。
世界中で1000回以上のスライド講座をこなし精力的に環境問題を考えるこのアル・ゴアという人格に圧倒される。政治家の中にここまで地球単位でものを考えられる人物がいるということに驚き惹きつけられた。
1997年当時副大統領だったゴア氏が京都議決書にサインしたにもかかわらず、ブッシュ政権になってアメリカは議決書から離脱した。2000年の大統領選挙で得票数ではブッシュを上回っていた上にし、勝敗の鍵となったフロリダでの投開票は疑惑を持たれている中での落選だっただけに、もしこの人が大統領となっていたら・・・と思わずにいられない。少なくても京都議決書は締結されたことだろう。
やはり考えてしまうのはブッシュを認めたアメリカ国民の選択は果たして正しかったのかということだ。この映画の説得力はやはり利権主義代表のブッシュと戦った正義代表のゴア氏ならではによるものだろう。エンドロールのメッセージを個人単位で実戦しようと思う。





2007/4/29 【 バベル 】
2007 年のアカデミーでは6部門ノミネートされ無名の菊地凛子を一躍‘時の人’にした「バベル」を観た。
神の怒りにふれ違う言語を使うようになった人類だが、異なる国で起きたことが最終的にリンクしてくるという演出は好きなので楽しみにしていた。が、あれほど話題になった菊地凛子はトラウマを抱えた障害者というよりアタマがおかしいとしか思えなく、今どきの女子高生像が想像を超えるとしてもこれは行き過ぎだ。現実がこ〜んなに腐っているとしたら世紀末だ。
この監督の「アモーレス・ペロス」「21グラム」が好きだっただけに今回は失望。名古屋でこの映画で吐き気を催した観客が複数出たとニュースになっていたが、音楽ガンガンの目がチカチカするクラブシーンが長かったのは確かに苦痛。
モロッコとメキシコはともかく日本のエピソードは必要性があるのか?菊地凛子のこれでもかと露出するシーンも含めこれは全体的に無駄が多く行き過ぎと思えた。





2007/4/22 【 ハンニバル・ライジング 】

「羊達の沈黙」「ハンニバル」「レッド・ドラゴン」に続きハンニバル・レクターのルーツが明かされる「ハンニバル・ライジング」を観た。

知的な精神科医と冷酷な殺人鬼をあわせ持つ人食いレクターの人格がどうやって形成されたかが哀しい過去とともに描かれていた。

アンソニー・ホプキンスの印象が強すぎて若き日のレクターを演じるギャスパー・ウリエルはどうかと思ったが予想以上に知的でcoolで良かった。ただ人格形成に重きを置いた分、残念ながら描ききれなかったのが、何故美術への造詣が深く、何故美食家で、何故頭脳明晰なのかだ。

コン・リーが演じた日本人Ladyムラサキは豪華でレトロなFENDYの衣装を見事に着こなして、「武士道」をレクターに伝授したキーパーソンとなっている。が、日本的?なあの家の演出は日本人が見たらアレレレだ。先祖供養に拝むのは鎧かょ(-_-;)





2007/4/13 【 ブラッド・ダイヤモンド 】
ブラッド・ダイヤモンド」を観た。
アカデミーでの「ディパーテッド」ではディカプリオは猿顔にしか見えなく作品賞オスカーがどーしても納得できなかったが、この作品は間違いなく「ディパーテッド」を超えていると思う。ずーっと謎だったディカプリオ人気もこの作品では納得。今更ながら「ディパーテッド」が作品賞オスカーをgetしたのもこの作品が作品賞候補にさえノミネートされなかった背景(利権)を思うと複雑だ。でもまぁダイヤのデ○アス社の告発も含めた本作が制作できただけでもすごいと言うべきかもしれない。
とにもかくにもローデシア(ジンバブエ)で生まれた南アフリカで育った傭兵役のディカプリオは素晴らしい。アフリカ訛りの英語も、隠された哀しい生い立ちも全身全霊で表現できていた。
そして息子を思うジャイモン・ハンスウも圧巻だ。
未だにアフリカでは少年兵が20万人いるという。ドラッグを使ってまで子どもが洗脳され殺人傭兵にされていく様子を目の当たりにしてショックを受けた。シエラレオネという聞きなれない国でこんな内戦による殺戮が行われていたとは、今更ながら何も知らないトホホな日本人そのものの自分の無知さを実感する。この大作はありがちなラブシーンがなかったのも功を奏して、2時間半だれるところもなく一気に話は進んでいく。





2007/4/6 【 フランシスコと2人の息子 】

本国ブラジルで500万人以上が鑑賞し映画史上最高の興行成績を上げたほか、アカデミー賞外国語映画賞のブラジル代表作品の「フランシスコと2人の息子」を観た。

このモデルとなったゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノって、ブラジルでは誰でも知っている超人気兄弟デュオだそうだ。
この成功までの家族の苦労はパンパない。貧困と家族愛と夢と喪失と努力etc・・・。ちょっとやり過ぎではあるけれど人からどう見られようが言われようが信念を持って子どもに愛を注ぐ父親が後半とった行動にはこれが親ってものかと感動した。幼い時から父親に応えようとする2人の息子の一生懸命さも、優しく見守り黙って夫についていく母の姿も良かった。貧しさと困難の中で家族はとても愛にあふれている。父親のお陰でヒットした曲もとても良い。
ラストシーンは圧巻。拍手だ!!もっと聴いてみたくなった





2007/3/11 【 バッテリー 】

文庫5巻が累計380万部を突破した、あさのあつこの人気小説を映画化。児童文学ながら年代を問わない感動ドラマ。

野球について興味も知識も無くても充分楽しめる。映画館は坊主刈の野球少年でいっぱいだった(^^)

3000人のオーディションから選ばれたという強い眼差しの主人公の巧のもちろん、現役キャッチャーだという永倉豪役は「投げろ、巧!俺が全部、受けちゃる!」が頼もしく、笑顔が素敵で主人公を支える存在感間が抜きん出ている。弟役はあくまでも純真で天真爛漫。なんといってもキャステングが素晴らしい!!決してプロではないはずのこのメンバーの演技に脱帽。

敢えて言うなら、中学の野球部監督が恩師を訪ねた際にたまたま聞いていた弟の台詞があまりにタイムリー過ぎた点と、終盤の試合に来た人物の応援の演出が大げさと思われるシーンはあったものの、素晴らしいロケーションを背景に、野球を軸にした家族の葛藤や誰もが辿ったような中学時代の校則や教師への反発、部活での上下、淡い気持ち等を描いていて笑って泣ける清々しい作品だった。





2007/2/12 【 墨攻 】

伝説のコミック「墨攻」が映画化。中国・香港では驚異的な興行記録を出したそうだ。

紀元前の中国の戦国時代の墨家といわれる思想集団の「墨家」という思想集団のひとりの革離という男が主人公。正直この革離を演じたアンディ・ラウが目当て。期待以上のなんてぴったりのはまり役。この主人公の命懸けで平和を説く人間的な魅力にはカリスマ性を感じる。

4千に対する10万の兵を持った国に、たった一人の知略で戦いを挑むという難題に知恵を駆使した防御戦が見もの。墨家十論の中で特に「兼愛」という言葉が繰り返し登場する中で、恋愛は無理やりつっこんだようで違和感が残った。説明不足なのは、墨家の人々は梁救出に反対したにもかかわらず何故革離は1人でやって来たのか?梁を占領した趙の将軍が死ぬことになったのか?etc大事な随所に疑問は残るものの次々と情勢が変わる展開に目が離せない。

原作は日本漫画でスタッフも日本人、監督は香港のジェイコブ・ジン、俳優陣には中国・韓国・台湾を多数器用ということでアジアの粋を集めた超大作。中国4千年の歴史を垣間見たよう。もしシリーズ化してくれるならアンディ・ラウが出る限りは観たい。





2006/11/5 【 フラ・ガール 】

久々に長女と一緒に映画を観ることに。で、観たのは「フラ・ガール」。
昭和ブーム真っ只中、今回も時代は昭和40年ということで、風景や家屋を見てもノスタルジック。廃坑寸前の閉鎖的な常磐炭鉱を舞台にかのハワイアンセンターができるまでの人々の絶望と苦悩と希望。
最近TVで短期間であっという間に社交ダンスを上達する芸能人をよく目にする中、今回は3ヶ月という練習期間ということでやっぱこれが芸能人なのか・・・。圧巻のダンスをたっぷり見せてくれるのも嬉しい。
煤けた炭鉱町の中、松雪泰子の赤・青・緑・白という鮮やかなファッションがなんとも映える。特筆したいのは違和感ないどころか存在感のあった南海キャンディーズのしずちゃん。ほわわぁ〜んとしたキャラできっちり見せ場を作ってくれた。
そういえば実家の自分の部屋には親が社内旅行で行ったお土産のフラガールの置物があったっけ。それを考えても当時のハワイアンの一代ムーブメントは計り知れない。
サクセス映画にありがちなベタというかステレオタイプな作品ながらもじ〜〜んとなった。





2006/10/25 【 ブラック・ダリア 】

1947年に実際に起きた「ブラックダリア」と呼ばれている猟奇殺人事件をモチーフに作家ジェームズ.エルロイが小説化したのものを、ブライアン..パルマ監督が映画化。
1940年代という時代背景の中、全体的に抑えた色彩の渋さや、生前のブラック・ダリアを映すモノクロのビデオ映像は渋くてなかなか良い。
が、世界一有名な死体ということで期待させておいて、何故被害者がブラック・ダリアと呼ばれたかの描き方があまりにあっさりし過ぎ。
2人の刑事ファイアーとアイスの名前(ブランチャードとブライカード)が似ていて混乱+ニックネームでの呼び方も加わって更に混乱。ヒラリースワンク演じる令嬢マデリンが被害者とそっくりと何度も台詞に出てくる割に全く似ていない。当時の時代背景のひとつなのかどうか地震のシーンの意味は?最後は犯人(共犯者)自らの口によるネタ証し・・・。う〜〜〜〜ん(-_-;) 





2006/9/30 【 胡同のひまわり 】

胡同(フートン)のひまわり」を観ました。「こころの湯」のチャン・ヤン監督作品とうことで期待大。

今回も「こころの湯」とリンクするように近代化の影で失われゆく古き良き中国の側面が描かれています。父子の愛と衝突を軸に文化大革命をはさみ毛沢東の死や四人組の粛清などを絡めた30年。
近代化の象徴が高層アパートなら、無くなっていく運命は四合院(北京の代表的民家)の建物。驚くことにセットだということですが、この民家の生活感を見れただけでも感動ものというぐらい良かった。入り組んだ路地のあちこちから監督の変わりゆく中国への想いが伝わってきます。胡同の街並みが打ち壊されていく中でこれでもかと描かれているのは、ダンスや運動で健康を維持しようというお年寄りの姿。これも近代中国の一面として丁寧に描いています。
子供にとって良かれと思ってとはいえ厳格で過干渉な父親は度を越えちゃっているけれど頑固一徹の父親を演じたスン・ハイインは見応えありました。
この映画は好みの中国ヒューマンドラマなのでツボを押させているのですが、不満は先に観た予告編。「30年経って、僕は初めて父の隠された思いを知った」なーんていうから一体どんなすごい秘密が隠されているのかと楽しみにしていたのに・・・秘密ってそれ?という感。しかも息子の奥さんの退院の日の映像まで予告編で流しているし・・・。あそこを予告編で流す意図が全くわからない。本編は良かったケド予告編の過剰ナレーションとサービスシーンが残念。





2006/9/15 【 プルートで朝食を 】

ニール・ジョーダンの最新作「プルートで朝食を」を観ました。IRA問題が絡んでいる点や型にはまらない哀しい性を持った主人公の登場は「クライング・ゲーム」とリンクします。とある映画評に「英国版嫌われ松子の一生」ってありました。ヒロイン(ファッションすごく可愛いからヒロインと呼ばせていただきます)は、次々と困難と辛い経験をしているのに悲惨さが感じられないのはまさに松子と一緒で、何があっても自分らしく生きるヒロインは魅力的。
小説のように第1章〜36章に分かれていて、ベルボトムにロンドンブーツにグラムロックという1970年という時代背景が興味深かった。
そして何よりミスター・ダンディズムと呼ばれるブライアン・フェリーの出演が嬉しい。その昔Roxy Musicのコンサートに行ったら見事にヒット中の♪more than thisを演ってくれなかった(-_-;)のが今でも忘れられない(へそまがりっ)。すっかりおじさんでしたが怪しさが妙に納得。
でも全体的には長く感じ、あまり感情移入できず母親探しも中途半端だったような。
ところで「プルート」って冥王星のこと。そういえば折りしも今夏8月の国際天文学連合の総会で、冥王星は1930年以来維持してきた惑星の座を失い、惑星でない矮惑星に位置づけられたばかりなのも記憶に新しい。

この作品は「コマドリ」が要所で登場するのですが、劇場では「秋田版コマドリ」が飛びまわっていました。この話は次回に・・・。





2006/8/26 【 母たちの村 】

カンヌ映画祭「ある視点部門」グランプリ受賞作「母たちの村」を観ました。
電車を何回も乗り換えて岩波ホールまで行かなくても、家を出て15分後には映画館でこのような良質な岩波上映作品を 先週の「家の鍵」に続いて観られることは本当にありがたい。でも観客4人のみというのは寂しい限りです。秋田の皆さん明日まで上映しているから行ってみてぇ〜。
セネガル映画(仏との合作)ということで西アフリカのなんとものどかな村が舞台。
「割礼」って宗教的に男性がするモンだという先入観があったのですが、この映画は女性への割礼。うひゃぁ 古くからの風習とはいえひっどい現実。そうこれ昔話かと思いきや、アフリカでは今でも30カ国で女性の割礼が行われ、そのために命を落とす子どもたちが後を絶たないというまさに現実の告発的メッセージの強い作品。これぞ男尊女卑という強硬派の長老陣に加勢している実行グループが女性軍団なのも興味深かった。
パワー溢れる歌声にマッチするようにのどかで素朴な村の風景と家々にカラフルな衣装や雑貨が映えていますが、敢えて言わせてもらえば極力虫や糞を抑えたことで映像キレイ過ぎかも。





2006/5/16 【 ホテル・ルワンダ 】
ホテル・ルワンダ」を観ました。

1994年アフリカのルワンダで3ヶ月に100万人が殺害され300万人が国外逃亡したというフツ族によるツチ族の虐殺。たった12年前の実話。主人公は最初からヒーローだったわけでも気高い思想に基づいたわけでもなく、家族を守ることだけを考えていた1人の父親。あくまで成り行きで1200人を救うことになったというのがなんか親近感みたいなのが持てる。国連から見放され、食料も尽き、いつ皆殺しになるかわからない状況下でも、ビシっとネクタイをしめホテルマンとして振舞う主人公のプロ意識がとても印象的で、ドン・チードルが壮絶な光景を観た後、それでも平常にネクタイを締めようとするシーンは圧巻。
ルワンダの虐殺の報道があっても日本や欧米諸国が無関心を決め込み、ルワンダ駐在の国連の平和維持軍はあまりに無力だったけれど、これを簡単に批判することはできない。というのもジャーナリストの「この映像を世界に流してもみんな‘怖いね’というだけでディナーを続けるんだ」の台詞にあったようにそれは私自身にもあてはまるから。自分もまぎれもなくルワンダを見捨てた一員なのでしょう。その痛い現実に気付かせてくれるからこの映画は観るべき作品といえるかも。





2006/4/21 【 僕が9歳だったころ 】

韓国ベストセラー小説「9歳の人生」を原作した「僕が9歳だったころ」を観ました。今は既に学校から体罰がなくなり1対1の喧嘩を制したガキ大将もいなくなり・・という時代だけに1970年代に9歳だった人が見ると、良い悪いは別にしても自分の体験と重ねられ、韓国の小学生というより自分の体験として懐かしく思えるかもしれません。但し日本と違うのは子どもでも徹底した儒教精神をまとっている点。それにしても9歳って体は子どもでありながら話すことは一人前なのね。なのに思慮が足りなくて残酷でモノを知らなくてとってもアンバランス。興味深かったのは、どんなに高慢で性格が悪くても、男ってのは女を見た目で好きになるっていう片鱗はもうこの9歳という年齢でちゃんと形成されつつあるってのがよーくわかったこと。しょーがないなぁ() 当時の9歳は現在どんな大人になっているのでしょうか。





2006/4/14 【 僕のニューヨークライフ 】

ウディ・アレンの「僕のニューヨークライフ」を観ました。ビリーホリディをはじめとしてノシタルジックなjazzが流れ独特の雰囲気が味わえますが満足度としては微妙。というのも今回ウディアレンは作家兼学校教師役で 悩める青年にアドバイスするのですが、その際の哲学的な書籍の名言を引用したジョーク交じりの答えは字幕で追うのがやっとで特に前半はついていけなかったから。なかなか含蓄ある内容ながら所謂マシンガントーク故にちゃんと堪能するには語学力が大事かもと痛感。主人公が、仕事とプライベートで、恋人やその母親や、マネージャーやらに振り回されまくるのを今のニューヨーク色をとっぷり入れてコミカルに描いています。911テロ以後はライフルの逸話もまた夢カウンセリングもニューヨーカーの今なのでしょう。但しクリスティーナ・リッチ演じる節操のない身勝手な恋人像がもし実際のニューヨーカーを象徴しているとしたらかなりコワイけど・・・(-_-;)。なんでもウディアレンは日本公開ではこれを最後に長年暮らしたNYを離れてロンドンに拠点を移したそうです。そういう意味でも街並みのシーンは最後にウディが胸に刻みたかった場所だったかのかも。そういえば主人公達が繰り出すお店はジョン・コルトレーンやビル・エバンス等の数多くの名演が生まれたジャズクラブの老舗「VILLAGE VANGUARD」でした。いつか私も行ってみた〜い。





2006/4/9 【 プロデューサーズ 】
2001年にトニー賞を12部門受賞したブロードウェイのミュージカルを映画版として完全リメイクした「プロデューサーズ」を観ました。大金を手にする為に2人のプロデューサーが「最低の脚本」「最低の演出家」「最低の役者」が揃った「最低のミュージカル」の為に東奔西走するコメディーミュージカル。笑えるかというと私は笑えなかった。それはネタがベタだとかそーいうことではなく笑うより登場する濃いキャラクター達のあまりの芸達者ぶりに口ぽかん状態だった為。2人のプロデューサーは実際にトニー賞の際にブローデウェイの舞台で主役を演じていたオリジナルキャストのコンビだそうで驚くような存在感。また最低の演出家のゲイ役の面々もしかりで、芸の見本を観ているようでした。今まで気にしたことはなかったユマ・サーマンも良いスパイスです。P.S.先程笑えなかったと書きましたが笑ったところありました。それがエンドロール。あっエンドロールが終わってからも楽しめるので最後の最後まで席を立たないでくださ〜い。





2006/4/7 【 ブロークバック・マウンテン 】

ゴールデングローブ賞主要4部門受賞、2005年ヴェネツィア国際映画祭グランプリなど獲得し、アカデミー賞の最有力と言われながら監督賞にとどまった作品。20歳の時にブロークバックという山で知り合った2人の男性の約20年の困難な愛。主人公はストレートなジャックと無口で朴訥とした不器用なイニス。それぞれ年齢を重ね家庭生活を送りながらの哀切がとても丁寧に描かれています。「ゲイ=死」という背景も気の毒ですが事実を知ったヒースの奥さん悲しさも計り知れない。余談ですがヒースレジャーと奥さん役のミシェルウィリアムズは実生活でもカップルだそうです。一方ジャックの奥さん役は若い頃はともかく20年後の金髪が似合わないこと。美人なのでしょうがまるでドラッグクィーンのようなけばさでした。影武者さんはこの映画を観に行くことに断固抵抗しましたがこーいう男性は多いようです。私からすれば新宿2丁目に行った時にこちらの心配をよそに新宿公園のトイレに平然と行けたのに何の体裁を考えたのかよくわかりません。エンドロールの1曲目♪He was a friend of mine♪のウィリーネルソンの歌(ボブディランの曲)がまさにこのイリスの心境そのものを歌っていてあまりに切なくてジ〜ン(:_;)





2006/1/29 【 博士の愛した数式 】

小川洋子の大ベストセラーを「雨あがる」「阿弥陀堂だより」の小泉監督が映画化。前作のように淡々としながらも移り変わる季節の映像がお見事。素数・友愛数・完全数・オイラーの法則にピタゴラス・フェルマー・デカルトも登場する吉岡秀隆先生の授業を受けながら、博士とその家政婦と子の話が展開していきます。この手法も授業そのものも面白かった。ただ80分の記憶しかないという設定の単位は1日単位くらいにもっと長く感じたのと、出演者の中で義姉役の浅丘ルリ子がどうも存在感あり過ぎて浮いている気がしたのは私だけでしょうか。暗闇の窓の外にたたずんでいる姿はホラーのようで怖かった。この監督の前作もそうでしたが今回も登場人物がピュアで良い人なので地味ながら心がほっとあったかくなれました。






2005/12/30 【  ハリーポッター炎のゴブレット 】
私は4作の中では良かったと思ったのですが(特に1と2がつまらなかった)、それにしてもハリーポッターを始めロンやハーマイオニーの成長ぶりにはビックリ。どっから見てももう子供じゃないのね。腕も背中もたくましい若者。ハーマイオニーも可愛いというより女性ですね。今回も原作は未読の映画鑑賞でしたが、映像でこれだけ??があるのに原作が相変わらず人気とは恐れ入ります。今回は字幕バージョンで鑑賞しましたが、日本語吹替えに小さなお子さんが長蛇の列を作っているのを見てみんな私より遥に頭が柔らかそうで頼もしい。ってかマジでこの内容を理解できているのでしょうか?映画観ても難しいんですが・・・(-_-;) さてグリンチのワールドカップやら年末のダンスパーティーで前半は楽しめましたが、後半の悪のヴォルデモートの復活は重要なシーンながらなんだかよくわかりませんでした。だいたい肝心なときに助けてくれたのが既に死んだハリーポッターの両親の霊ってのは、どーなんでしょうか。それってちょっとずるくないでしょうか。監督が変わるとか変化はあるものの毎回似たパターンで今回もラストは悪者復活で「ハイ、ハリーポッターのシリーズはこの後も続きますよ」の感で終わっていたのには苦笑。  






2005/12/02 【 ブラザーズ・グリム 】
良かったのは前半。いかさまグリム兄弟のあやしさが楽しめたし、所々に挿まれる「赤ずきんちゃん」「ヘンゼルとグレーテル」etc期待も高まったのですが、これらは後半の何の複線にもなっていませんでした。何だったのでしょう。冒頭の作り物の魔女はもーのすごい出来でとても怖かったのですが、後半のリアルな妖怪は怖いどころかつっこみどころ満載で、特に泥の妖怪はディズニーランドのジンジャーマンみたいで笑えました。テリーギリアムらしさが集約されさすがと思われるのは鬱蒼とした森の湿った感じや気持ち悪い虫の大群で申し分なく思い切り気持ち悪い。それ以外の人物関係等は総じて中途半端。数年前に「本当は怖いグリム童話」というのが流行しましたが、そっち系の内容だと良かったなぁ。






2005/9/18 【 ヒトラー〜最後の12日間〜 】
今年のアカデミー外国語部門でスペインの「海を飛ぶ夢」、フランスの「コーラス」と並びドイツからはこの作品がノミネートされました。 東京では平日でも連日行列ができる人気ぶりだったそうです。 これの日本版って 「日本で一番長い日」 ということになるのでしょうが,私は恥ずかしながら未見です。 他国の歴史を知る前に自国の歴史を学べという声も聞こえてきそうですね。  2002年に他界したヒトラーの専属秘書ユンゲの証言に基づいた興味あるヒトラーの真実の話。 死の直前に結婚式を挙げたエヴァ・ブラウンが奔放で明るかったことは意外です。 またナチスに陶酔していたゲッベルズ一家の運命などはとても見ごたえありました。 このゲッベルズ夫人はヒトラーに「ドイツの母」として一目おかれるだけに芯があって気丈で凛として美しく最後の最後まで上品で、 それだけに観ていてつらい。 主人公のヒトラー演じたブルーノ・ガンツは 狂気の指導者と人間的な側面を見事に演じていて迫力です秘書が明かりもない部屋にいるヒトラーをみかけたシーンが印象的でした。





2005/8/7 【 亡国のイージス 】
子供が興味を示す何かがあるのでしょうか。 長女が不在中に次女と観たら長女が相当悔しがっていました。 福井晴敏の小説「亡国のイージス」を自衛隊の全面協力で総制作費12億円かけてスケール大きく映画化。 主人公の真田広之は良いとこ取りの大活躍ヒーロー。 豪華出演陣はほぼそれぞれの俳優のイメージ通りに配役されて、温厚な寺尾聡が悪役?と思ったらやっぱり・・・という展開で苦笑。 冒頭からよくわからないシーンが出てきて、後からリンクしていくような構成になっているのですが、正体不明の女テロリストとかへの謎は原作読まなきゃだめみたい。





2005/6/19 【 パッチギ 】

タイトルの「パッチギ」は突き破る乗り越えるという意味のハングル語で「頭突き」の意味もあるそうです。 1968年の高校生とは年代が違うし、フォーク・クルセダーズの幻の名曲と言われている♪イムジン川♪も知らないので懐かしいとは畏れ多くて言えないのですが、喧嘩の成る町、立川で育った影武者さんは身近に朝鮮学校もあり学校間の紛争のあけくれ的なものには郷愁を感じるらしい。 一緒に観た長女は今の韓流ブームで育っている中だけに一瞬即発的に敵対する当時の様子に驚いていたようですが同じ高校生という立場で通じるものがあったようです。 私はこの監督の「ゲロッパ」がちっとも面白くなかったので実はあまり期待していませんでしたが、予想外にノスタルジックなものを楽しめました。 ラストの♪あの素晴らしい愛をもう一度♪も良かった!





2005/5/2 【 微笑みに出会う街角 】
「渡る世間が鬼ばかり」が面白い人にはこの映画の良さがわかるのでしょう。 人情話は色々作れるでしょうし、それに伴ったカメラワークも色々批評の対象になるでしょう。ソフィア・ローレンって「ひまわり」以降どのような活動をしてこの100作目に出演したのか経過をよくわかりませんが、その昔スズキの原付バイクのCMに出ていたような記憶があるのみです。 古過ぎ〜 イタリア人ってあーいうトウの立った顔が好きなのでしょうか? 3人の女性がどこで接点を持つのか興味深く観ましたが、鍵になる少女も3人に共通のトラウマとなる心情を上手く表現できていたかと思うにはイマイチ。

 

2005/4/8 【 故郷の香り 】
山の郵便配達」のフォ・ジェンチー監督作。ということで2作に通じるものが沢山。 絵のような素朴な中国の農村地帯の風景や雨、水流、水瓶etcあらゆる描写がため息が出るほど美しいです。 「山の・・」に通じるものとしては なんだかセンスあるんだかないんだか?の若いコには決して受けないと思わせる地味なタイトルも。 タイトルに関しては原題の「暖(ヌアン)」の方がヒロインの名前と「暖い」をかけていて良いように思えます。 10年ぶりで帰郷した主人公とかつての恋人とその夫を中心に回想シーンを混ぜながら静かに話が進みます。 現在の夫役ヤーバは香川照之が演じていますが泣かされました。 これって「ナビィの恋」でのおじぃに泣けたのと通じるものがあります。 最後のヤーバの言いたいことは十分伝わっただけに、言葉として主人公に伝えた子供の台詞は無い方が良かったかも。

   

2005/3/6 【 火火 】
ローカルTVで映画アピールの為来秋していた高橋伴明監督と映画のモデルとなった神山清子さんが出演しているのをたまたま見てはいたのですが、さほど興味がわかないまま何も期待せず映画館へ。 ところが、予想外に泣けて泣けて・・・完璧に圧倒されていました。 あのTVで見た地味なおばちゃんの背後にこんなすさまじい人生があったのかと思うと言葉がありません。 息子役を窪塚俊介(洋介の弟)が演じていますが、兄を超えそーと期待させてくれました。 映画が終わってホールに出ると神山清子の作品が展示即売されていました。 映画の中で見たものを実際目にできたのは嬉しかった Blogにも書きましたが売約済のは50万という値段でした。 原作本「母さん子守歌うたって」は購入。 余談ですが私も学生時代一時期陶芸部に所属していたことがあります ← どーでもいいですね。

   

  

2004/12/18 【 ポーラー・エクスプレス 】
ターゲットは子供だけではなく、全ての大人かもしれません。クリスマス時期には毎年この映画を観たいので、DVDが出たら買おうかなと珍しく思えた作品でした。一家に一本というくらいクリスマスの定番になることでしょう。ものすごいCGの技術です。肌のうぶ毛さえリアルでCGであることにはっと気づいては改めて感心させられました。夢と魔法の王国のディズニーランドの世界に通じるようでこの歳でも観終わって「ありがとう」と言いたくなるようなピュアな気持ちになれました。映像は完璧だしジェットコースター気分も堪能。

   

2004/6/26 【 フレンズ 】
90分という短い上映時間だったし新映画館のopenイベントで無料だったので便乗させていただきました。 山城新伍監督のネオシネマ(劇場公開を経ずに直接、ビデオ・DVDで発売)です。 パチンコの攻略情報を雑誌などで提供している実在の会社「梁山泊」を題材にしたシリーズ第3弾だそーです。 そのパチスロ関連の社員があまりにも強面揃いで瞬間湯沸かし器みたいなもんでやっぱカタギとはいえその筋の方とは紙一重なんだなぁとこの歳で学びました。 巨大化した梁山泊内に起こる内部抗争を扱ったもので、主演は、最後まで部下を信じる幹部・大和田役の曽根晴美。 43年ぶりの主演作ということです。 この曽根おじさんが顔に似合わず温和な人情派を見事な存在感で演じています。 大谷直子とのちょっといい関係もこっちが歯がゆくなるくらい。 他に、清水宏次朗、松村行基、竹中直人、大沢逸美、芦川よしみ、松方弘樹、そして山城新吾監督自身etcが出演しています。 この手の映画はまさに監督の趣味思考だと思いますが何も劇場公開しなくても・・・。非常に分かりやすい内容だし楽しめましたがまともなお金払ってまで観ようとは・・・・・。

  

2004/7/6 【 ハリーポッターとアズカバンの囚人 】
前作2つともちーっとも面白いと思えずなんでこんなに騒がれているのか見終わって??だったので今回も過剰な期待がなかったのが功を奏したのかどうだか今までで一番楽しめました。 監督が変わったのが大きいかな。冒頭のデブおばさん風船がばかばかしくて好き。私ずっとこのデブおばさんを見ていたかった。アタシの感想も幼稚園生並みです。アズカバンの囚人の個性や過去の経緯やらを何の為に脱獄するのに何年も我慢していたのか等含めてもう少し丁寧に描いてほしかった。つうことでなんだかよくわからない点もままありますがこれが物語りってものなら何でもアリなんでしょう。 前作で見ていて疲れたクィディッチシーンも縮小されたのは嬉しかった。主人公も13歳になり成長してきた分、ストーリーもダークな色合いもちょっぴり脱お子様風でなかなか良い雰囲気を出していました。 

 

2004/6/29 【 ブラザーフッド 】
韓国では、初日からの3日間で1,777,466人を動員し、オープニング新記録を樹立。 泣けるってことでは前評判が高かった通りのっけからじんときて後半は涙あふれて止りませんでした。 「一緒に帰ろう」って台詞が印象深い。 でも、かつてガンおたくの影武者さんによると主人公の持ってたライフル銃は装弾数8発で最後にクリップがカキンカキンと飛び出すもので撃ち尽くすまでは途中で段若弾薬の補充ができないM1ガーランドなのにあんなに連続何発も撃てるもんじゃないそーです。 そこいらも忠実に演出してもらわないと泣ける場面も泣けなくなるしB級アクション映画のヒロインそのものにみえたということです。 余計な知識って映画観る邪魔になるのね。 だからおたくは嫌〜ね。 先駆けて主演のチャン・ドンゴンとウォンビンが来日して熱い注目を浴びていたのも記憶に新しく、とある機関に登録した韓国人男性との結婚を望む日本人女性の数が去年の8倍になっているそうですが、この映画の根底にある韓国の儒教思想や気質を現実的に考えると私は引いてしまうので、陰ながらチャン・ドンゴンを応援しているくらいがちょうどいいのだわ。

 

2004/5/27 【 ビッグフッシュ 】
子供が大人になっていく過程で、親の大ぼら話をいつしか嫌悪するようになって、仲たがいしていた親子が、父親の末期に、そのほら話は いくらかの誇張はあるものの、いかに家族を愛し、周りの人々に慕われた、素晴らしい人生だったを知るという話。多少細部でつじつまは合わないが、壮大なメルヘンチックな寓話と思えば、何でも許せる、傑作です。これを読んでネタばらしと思う人は ぺけ× 映像に酔いしれ〜。 さっすがティムバートン!

 

2004/5/3 【 パッション 】
アメリカやブラジルでこれを見た人が ショックで死んだとか言う、前評判でしたが・・・。まあこれは敬虔なキリスト教徒であるから感情移入したゆえであると思います。 もっと残虐な映画はいくらでもあるわけで、まぁつくり物と思えば残酷シーンなど、何でもありません。 ただ細部にわたって確かに良くできた映画であることは事実で、監督がコメントにもあるように細部にわたって、キリストの最後の12時間を撮ったわけで、観ていて飽きることはありませんが、奇跡とか復活とか期待していくと 拍子抜けするのは、信心深くないせいでしょうか?

    

2003/08/26 【 英雄 HERO 】
本国中国をはじめアジア各国で観客動員数や興行記録をビシバシ塗り替えたという待ちに待った作品。 ここ数年、好んで素人っぽい作品ばかり撮っていたチャン・イーモウ監督でしたが今回は西のマトリックス東のHEROといわれる超大作。 今年この監督の映画は「キープ・クール」に続き2作目になりますがホントこの監督映画はどれもこれも大好き。 あちこちで絶賛されているようにとにかく映像がきれい。 赤、藍、白、緑、黒という色分けは画面だけじゃなくワダ・エミの衣裳にも見られるけどあまりに色が綺麗なので衣裳デザインがどこれもこれも同じくみえてしまったのはしかたないかな。 紀元前3世紀の中国が舞台なんだけどこの時期日本は弥生時代・・・ってことは中国から米づくり、青銅器、鉄器が伝わって竪穴式住居に住んでいた???中国おそるべし・・・。 史実に基づいたものといえば「始皇帝暗殺」があって秦王は独裁者的なイメージでしたが今回はとても聡明に描かれています。 刺客の1人で悟りをひらいた男が、「自分は恋人の故郷に帰り普通に暮らしたかった」という男心も覗かせていて刺客同士の恋愛もポイントでした。 ってわけで全般に夢幻的でロマン色が濃いのも特徴。今回の刺客たちは、ビジュアル系で、どことなく夢の世界からやって来たような人たちです。 ただ美男軍団の中で主演のジェット・リーの肌荒れが気になったわ。 地が良いのだからエステにでも行ってネ。あれですべすべお肌なら言うことなし! 

  

2003/08/26 【 ホテル・ハイビスカス 】
かの大好きな「ナビィの恋」の監督だし舞台はまたまた沖縄だしナビィの時のおばぁとおじぃの双方に再会できたのは嬉しかったけどなんか期待ハズレ。 キムジナーとかいう耳慣れない言葉が頻繁に出てきて???だったし沖縄の方言は字幕無しではかなり辛い。 まか不思議に満ちた世界観もあってアニメのジブリ映画を彷彿させるかのような感覚の映画でした。今回のヒロインは小学3年生の女の子なんだけどおてんばって言葉がぴったり。ここまで奔放に育てたられたら親の功績だわ。実際おおらかな沖縄そのものを象徴しているかのような両親は素的でした。 小学生の目からみたボロホテルを舞台とした一家のあれこれだけじゃなく、沖縄ではフェンスの向こうで爆音が響く軍事練習が行われているという現実を改めてつきつけられます。 ところでABCの替え歌が懐かしかったぁ♪ABCで海岸でぇ〜・・・♪世代を超えてこれほど日本中に浸透している替え歌って・・・畏れ入りましたぁ

 

2003/06/30 【 北京ヴァイオリン 】
才能ある息子との父子モノということでかの名作「リトルダンサー」の中国版とも言われているようですがあくまで実力を重視している「リトル・・」に対してこちらは「才能だけじゃだめなのよ〜コネもお金も必要なのよ〜ん」てとーっても現実的要素が加わっているし、結末も意外な展開で単なるサクセクストーリーで終っていないので…これは想像してたのより深かった。 息子役は上海音楽学院に通う13歳でたまたまコンクールで助監督の目に留まったそうですがそこはかとなく漂う品の良さはなるほどです。 都会的とか洗練とかとまるで縁のない父親がすんごい味があってこの2人の対照が面白い。 息子の為に不器用ながら東奔西走する姿はあまりに一途で笑えちゃう半面切なくなってきちゃう。 ところでこの映画の女性軍は年齢の差こそあれそれぞれみんなたくましい。 中国のオンナは強いです。

  

2003/04/21 【 ぼくんち 】
「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載された西原理恵子の漫画を映画化。 パートナーから教えてもらって読んだのですが、ほとんど全部に感動しまくりで子供も交えて我家のバイブルとして何度も読み返しているものです。本当に胸が苦しくなってくる漫画です(大泣)。 とことんツキから見放されたどん詰まりの底辺で暮らす貧乏なうらぶれた港町を舞台に母親にも見捨てられた3人の子供の話。 お姉ちゃんはピンサロ、中のお兄ちゃんはちんぴらやくざの下っ端という設定で下品で激烈なパンチの効いたギャグが満載です。 頑張ってもどうにもならず、どうしょうもならない運命に翻弄される登場人物達に生きていくことを教えてもらえるすんばらしい傑作です。が、が、映画は案の定原作を越えることはできませんでした。 [不満その1]トルエンを売ったりしてやばい商いをしている上のお兄ちゃん(一太)を映画では小学生が演じていて幼過ぎて違和感  [不満その2]お姉ちゃんと下の子(ニ太)との関係を原作と違うものにしている為主題が逸れた  [不満その3]映画化するなら採用して欲しい場面、名台詞がことごとくカットされている  [不満その4]子供を捨てて次々男に走るズベのお手本のような母親は生活に疲れ果て額にバンソウコくらい貼っていて欲しいのにピシーッとスーツで決めた鳳欄じゃイメージ違いすぎ。[不満その4]作者がピンサロ嬢で出演しているけど出たがり性分がイヤ(笑)  まぁ映画は原作と同じじゃないきゃいけないってことないから別物として考えると問題ないのかもしれませんが何しろ期待大きかったもんで・・・すいません・・・まだ読んでいない方是非書店に言って取り寄せてでも手に入れて読んで下さい。西原のまわし者じゃございませんが是非一家に一冊。で読まれた方はBBSにて大いに語り合いましょう。

    

2003/02/06 【 ボウリング・フォー・コロンバイン 】
1999年コロラド州コロンバイン高校で先生1人生徒12人が犠牲となった生徒2人による銃乱射事件を発端にして映画監督でもありジャーナリストでもあるマイケル・ムーアがアポなしカメラ片手の突撃取材をしていくドキュメンタリー。 事件を起こした少年が好んでいたマリリン・マンソンの挑発的な歌のせいだという風潮に「では何故犯行当日の朝6時からやっていたボウリングのせいにはしないんだ・・・」というのがタイトルの由来にもなっています。 毒々しい化粧のマンソンの理論がとってもまともな半面、NRA(全米ライフル協会会長)のチャールトン・ヘストンの「アメリカは色んな人種がいるからな」っていうおそろしい本音には幻滅だしそれに加えて何度も出てくる強気のブッシュ大統領はヒステリックでアメリカの銃社会が何故こんな風になってしまったかの象徴にも見えてゲンナリ。 もうチャールトン・ヘストンもブッシュもどっか行けってかんじ。 TVなどで文化人と呼ばれる方々に笑って泣ける記録映画だと大絶賛されていますが私は別に笑えも泣けもしなかった。けど人は見かけによらないとはよく言ったもので巨体によれよれ服に無精髭の朴とつとしたマイケル・ムーアのぴしゃりと的を得た発言が最高に心地よかったぁ。 言いたいこと全部言ってくれて痒いとこに手が届くような快感〜。おそれを知らないジャーナリズム精神がひたすら痛快。

     

2002/12/25 【 ハリーポッターと秘密の部屋 】
 前作でもこの映画は観る前に原作を読んだほうがbetterだと思いましたが今回も同じ。 繰り返し読んでストーリーが入っている子供は体を乗り出して目を輝かせて食い入るように楽しんでいましたが私は今回も読まずに臨んだのが原因か否か一言で表すと疲れた。 横文字の名前・名称が頭に入ってこないし よく意味の分からないシーンが山ほどあったのは日頃頭を使っていないせいかなぁ・・・。夢と魔法の王国のディズニーの世界を凝縮したような映画だから大抵の人は楽しめるはずなんだけど・・・そういえばディズニーにしてもこの映画にしても雰囲気満点の建物や調度品には心をすっかり奪われちゃう半面、絶叫系のアトラクションが苦手なようにこの映画でクィディッチ なるスポーツやらスリルある場面も楽しむどころか見ていてぐったり。 原作に忠実ってことだからやむ終えないけど詰め込みすぎじゃないのかなぁ。 第4巻目に至っては本も2冊だしどうなることやら・・・ オープニング2日間成績で動員160万人と日本映画史上空前の新記録を作ったそうなので今さらネタばれでもないから言うけど私の一番苦手なクネクネうじゃうじゃには完全に参りましたぁ。 いつも類稀な美肌のパートナーだけを見つめているからキモイのを見るのに慣れていないのよね ってことにしておいて。 

     

2002/08/12 【 ピンポン 】
 松本大洋の漫画「ピンポン」の映画化。 言っちゃ悪いけど原作ってどーもみょう〜〜な画風だし苦手なスポ根だし連載物として特にどーこーいうもんでもないし・・・なのに原作に忠実な映画を意外なほど楽しめました。 愛だの恋だのと無関係で挫折あり、苦悩あり、友情あり、情熱ありのこれぞ正しい高校生っていう図って潜在的に誰もが抱いている理想的な青春像かも。湘南が舞台なので見慣れている風景にこの映画が一気に身近に。 ところで主演は何故人気あるのか今もってわかんない棒読み風台詞の言い方が相変わらずな窪塚洋介ですが、いえあのぉ良かったですよ つかみどころのない主人公のすこーんとしたところがお上手で (すいません フォローになってなくて キライなのよ顔が)言ってしまった(笑)。 CGを多様した卓球の試合は引き込まれたし収穫はインテリ風クールな高校生ARATA君。こーんなにかっこよくてモテモテなのにそんなじゃれごとヘともしない我が道を行くってのがたまらない。 窪塚ファン以外の女性にとってはこっちが主役よねぇ。 のっけからビックリこいたのはあの夏木マリがオババ役。いつの間にかバアさんに・・・感慨深いわぁ。 最後になりましたがこの漫画は小学館ビックコミックスピリッツに連載されていました。 ビックコミックスピリッツといえばかの名作 「ぼくんち」の映画化も決まっているようですね。 読んでいない方は即行読んで下さい。哀愁に泣けます。近くにいる長年の愛読者とともにこっちも楽しみにしています。 

  

2002/08/12 【 ハッシュ 】
 二人のゲイカップルと一人の女性が提案する新しい家族のかたち。ゲイの片割れの兄夫婦が先祖、家を守るのでコリコリに固まった保守的なのが対象的。 兄嫁が考える家族の形が現実なんだろうけど冷たいのよね。 正しいかたち、当たり前の家族のかたちって一体誰が決めたのよって言いたくなっちゃう。 かく言う私もこの手の常識人は最も苦手。 先祖や家よりもっと大事なモンあるだろー。 ネタばれになるからこれ以上言えないけど先祖孝行、家孝行の結末はがあれじゃぁねぇ。 家がなんだっていうのよ。すいません。つい熱くなってしまいやした。 他人の目を気にせず生きたいように生きればいいよね。 この映画ゲイカップルを取り上げているだけあって新宿2丁目のロケもありますが去年私もこの辺りで女性禁止の数々のお店を目にしました。 今回その内部を覗かせてもらってテンションの高い話術の巧みさに感服。お見事!これはまさに芸です。 勝手気ままなこの女性への切りクチがすんばらしい。海外にこのモデルは実在するということですが日本がそのレベルになるにはまだまだゲイへの理解も低く封建的だから前途多難。

   

2002/04/23 【 ビューティフル・マインド 】
 アカデミー作品賞受賞作。 1994年ノーベル経済学賞を受賞した天才数学者ジョン・ナッシュの狂気の苦しみを繊細に描いています。 夫婦愛については彎曲し美化し過ぎとバッシングもあったそうですが それはそれとして名台詞がいっぱい。 結婚後次第に変わっていく夫に対して妻は「出逢った頃の彼を思い出せば自分もその時に戻って愛せる」と言っています。 こんな悩みあんな悩みもなくただ純粋に好きだった頃の自分に戻ることって大切なのよね。 しみじみだわぁ。 また フツウなら見捨てるだろーって夫への ‘義務感と見捨てることへの罪悪感’ が両存したという妻の台詞から添い遂げる大変さが伝わりました。 妄想が強い程相手にパワーを与えるとマーフィーの法則にあるような教訓もありました。私も多かれ少なかれ主人公が見るような妄想に悩まされることがあります。 どうしても逃れられなくてそれに怯えて自分を壊しそうになるけれど そんな時どうしたらいいかこの映画は導いてくれたみたい。 頭から離れられない妄想は否定できないけれど無いように無視することなのね。 さて自分への教訓はこれくらいにして・・・ 「一緒になること(結婚)ってこんなにもこんなにもこんなーにも重みがあるんだけど大丈夫なのかしら 影武者サン!」とプライベートに置き換えて叫びたくなるようなタイムリーな?内容でした。チャンチャン!!

  

2002/04/10 【 ブラックホーク・タウン 】
 アカデミーでリドリースコットは監督賞ノミネート。 10年前の1993年に内戦が起きたソマリアで市街戦の中にたたきこまれた米軍特殊部隊の実話をドキュメンタリータッチで再現しています。 すさまじい臨場感があるし主人公が突出していないし余計なラブ面無し、オンナ気無し、埃と砂と血まみれの兵士姿etcは本当に戦争ってこーいうものだと圧倒的迫力で迫ってきます。 アメリカ人19人に対しソマリア人は1000人以上が犠牲となったそうですがご多分にもれずアメリカ兵の視点で展開される為ソマリア人民兵はただのゾンビのように描写されています。 この異常さが戦争の本質なのでしょう。 一貫しているヒロイズム、尊い犠牲、アメリカの正義は世界の警察≠自認するブッシュ大統領がいかにも喜びそう〜。 ここで何故か 踊る大捜査線の織田裕二の台詞が浮かびます。 事件は現場で起きているんだよねー・・

  

2002/02/08 【 ピアニスト 】
 カンヌ映画祭でグランプリ・主演男優・主演女優の3部門受賞した話題作。 抑圧された生活を送るニコリともしない偏屈な中年のピアノ教師の心の闇が描かれています。 過干渉の母親との関係が異常な程屈折している。 書評ではこのヒロインの欲望についても歪んでいるとありましたが 昨今何でもアリの時代だから性の趣味嗜好に関して何が正しいかなんて断言はできないわ。 「ボルトとナットのようだ」という愛の告白は初めて聞きましたがなかなかインパクトあるわねぇ(笑) 想いは通じているはずなのにこの二人の愛には甘さのかけらもない。 所謂初体験のシーンにいたっては彼女の表情に心が痛くなっちゃう。 彼も十分苦しんだのはわかるけどこの時の彼女が何を感じたのか果たして彼には伝わっていたのでしょうか。 優しいようでいて実は残酷な愛。 ラストの男性の笑顔と後姿なんてみてらんない。 このままじゃ彼女は壊れちゃうよってところで映画は終っちゃうもんだから余計あとをひくのよねー。 これで終わりにしないでぇ〜

  

2002/01/30 【 バスを待ちながら 】
 新ラテンアメリカ映画祭でグランプリ/最優秀脚本賞受賞。 今年はとことんついてないとダウン気味の気持ちを晴らしてくれるのはこれしかないとすがる思いで観てきました。 キューバの田舎町のバス停留所が舞台。 長距離バスはいつ来るかも分からず来ても満席で乗れない状態にイラついていた人々の間に生まれた奇妙な連帯感。 このおそるべき事態を 「こんなこともあるさ」 と笑い飛ばしてくれるキューバ人の心意気。 自分の国をこれほど愛していなければこんな楽しい映画は作れないぞーってことも 人間が八方ふさがりの現実をどう乗り越えるかどう明日を信じるかも教えてくれる映画。 心がホクホクしてきちゃう。 だっから好きなのよー ブラボーキューバ!!

   

2001/12/12 【 ハリーポッターと賢者の石 】
 世界35ヶ国に訳され出版界空前の大ブームを興し社会現象にまでなっている「ハリーポッター」。 前売り券で過去最高の売上を記録らしいですが私もその一役かっています。上映中の映画館のチケットブースは1ヶ所だけ ‘ハリーポッター以外の作品’ あとの窓口は全部‘ハリーポッター用’になっていたのもただ事じゃないわねぇ。 で・・・肝心の映画ですが なんかものすごーく長く感じて寝ちゃいました(爆) まぁ私は下の「アメリ」でもうとうとしたぐらいなので寝不足と疲れで体がまいっていたのが原因かもしれませんが・・・。 原作を越える映画にはほとんどお目にかかったことがないし話の展開も楽しみなので本より映画を先にという派なのですが今回は例外。 もしこれから映画を観る予定がある方は先に原作を読まれることをお奨めします。 魔法学校の建物の重厚感等見応えあるシーンもありますが予告編で既に目にしていたので驚くこともなかった。 でも子供は大満足のようで興奮していました。 なんか取り残されちゃったわ(悲) 

    

2001/10/01 【 ブリジットジョーンズの日記 】
 32歳独身ヒロインがキュート。この年代の女性心理をうまくついています。 冒頭でブリジットが男性の悪趣味な服のセンスにがっかりするシーンがありますが人一倍人生経験が乏しい私でさえ友達の紹介で初めて会った相手が‘トナカイ柄のセーター’ならぬ‘甚べえ’を着ていたのを見た時「だめだこりゃ」って思ったもーん。 女性ならひとつふたつ心あたりあるんじゃないかな。いかがでしょう・・・? ところで恋愛って計画通りには運ばないものよね。 女癖悪いズルイ男と頭ではわかっていてもつい甘い言葉やセクシーさによろめいてしまうのが女性の悲しいところ。 でも思うんだけど恋に傷ついて泣いて怒っても良いじゃない。 「人生は赤い糸が結ばれた人に出会う為の修行」 とは私の近くにいる人の言葉。 孤独も絶望も経験してこそ見えてくることがありそう。 ありのままの自分を受け入れてくれる人って思わぬ所にいるのかも。

   

2001/9/17 【 ビバビバ・キューバー 】
 「ブエナビスタ・・」にはまったせか楽しみにしていた作品だったので意気込んで初日に観てきました。 嬉しいことにマグカップ&ポストカード&カロリーメイトの特典付き(何故カロリーメイトなのかは今でも疑問)。 ‘トロピカーナ’というハバナに実在する老舗キャバレーに関わる人々のはちゃめちゃなお話。 なんでも本国では全国民の8人に1人が観たという大ヒット作らしいけど魅惑のステージシーンも薄れる程これが日本だったら泥沼地獄三面記事もびっくりだろうなという口あんぐり逸話の連続。 恐るべしキューバ。 もしかしてあちらには貞操とか節操とかいう言葉は無いのかしら。 濃い人々は変わり身も早いし直情型なのね。 ってわけでこのコミカルさは普段着の異国の生活というよりまるで漫画の世界でした。

  

2001/7/20 【 パール・ハーバー 】
 こんな 批評を新聞でよみました。駄作である。展開も何も陳腐きわまりない。しかも人物像はそろって薄っぺらである。最大の見せ場 真珠湾攻撃はゲーム感覚である。仮想世界の出来事の様に思えてくる。皇国、尊王の垂れ幕を張り巡らせた屋外の軍議の場面など、さたの限りだ。;;;;;;;前評判の割には楽しめました。去年の夏頃の予告からずっと楽しみにしていた甲斐がありました。 最初に出てきた 真っ赤な複葉機、あれはKIDにも出てきたレッドバロンではありませんか!真珠湾攻撃の話だけかとおもいきや話題てんこ盛りで、3時間の長丁場も苦になりませんでした。 たしかに大日本帝国の描きかたは、毎度おなじみのチャイナスタイルです。 でもいいんです、アメリカ人は日本の事など何も知りません。 貴方だってアメリカの事など何も知らないでしょう。 ソニーはメイド、イン、アメリカと思われているんですから・・・ しかし 画面に登場してくる3機のゼロ戦は、アメリカが巨額を投じて復元したものなのです。 しかも1機は世界にただ一機の当時のエンジンのままのゼロ戦なのですから。 真珠湾攻撃は素晴らしい出来です。 殺戮と破壊がこれでもかと続く場面に、最後にはいまだに何処かで続いている戦争という、人間の業の深さを感じ、涙を禁じ得ませんでした。 ラブストーリーが陳腐ですって?60年前のあのヤンキーのおおらかさは何と素晴らしいのでしょう。 あれでは戦争に勝てるはずがありません。 無理やり神国教育をされ天皇陛下万歳と特攻を強要された日本よりあの B−17の空母から発進という無謀な突撃に志願した兵士たちの方がよっぽど純粋でしょう。 久しぶりの名作でした。

  

2001/6/04 【 ベンゴ 】
 現役の天才フラメンコダンサーやミュージシャンによる本物のフラメンコ映画でストーリーは添え物程度。 主人公のダンスシーンがないのが残念ですがフラメンコの既成観念が変わりました。 濃い化粧やあでやかなドレスではなく普段着の日常に根ざしたフラメンコの素の表情です。 歌に関しては胸をえぐられるような叫びともいえる声量に圧倒されます。 意表をついて途中日本の歌が流れます。♪あなた〜だけが生きがいなの〜ラブユーラブユー涙の東京♪調べたら68年の「ラブユー東京」by黒沢明とロスプリモス らしいです。 観終って沈んだ気持ちになる魂の苦悩こそがフラメンコの原点なのでしょうが私には高度過ぎたみたい。

  

2001/6/04 【 15ミニッツ 】
 TVの映画紹介でデ・ニーロの結末を聞いたので興味が半減でしたがそれを払拭するくらい面白い。 テンポ良くストーリーが2転3転するサスペンスアクションです。 展開が読めなく緊張感が持続するのがたまらない。 ロシア人犯人に一人殺せば犯罪者、大量殺人だと有名人になれる国と言われるアメリカっていったい・・・殺人者にファンができる状況は尋常じゃない。 高視聴率を撮るため過激なスクープ映像を流すのがマスコミの倫理なのかしら。これは痛烈なメディア批判ですね。 カメラの前では誰もがタガが外れてしまうっていう怖さを思い知りました。 デ・ニーロの共演E・バーンズがリチャードギア似で本物より素敵! 

 

2001/4/10 【 ハンニバル 】
 「羊達の沈黙」から10年を経てあのレクター博士が帰ってきました。 今回ラストの晩餐会は「タイタス」で免疫できているしなんと人間的な‘愛’もかいまみれてレクター博士への圧倒的な怖さは薄らいじゃいました。 ハンニバル・レクターに顔を剥がされた人物でさえ前作の女装趣味死体愛好者の犯人ほどのインパクトがなかったです。 尤も前作は 「サイコ」「悪魔のはらわた」等の映画にもなったエドゲインという実在の人物がモデルになっていたことの恐怖もありました。 今回構想を練りすぎてちょっと離れちゃったかなぁ でもいいの。 それでも好きなの。 「善と悪が互いに求め合い絡まり癒しあう」というテーマは良くも悪くも予想外だったし オペラが似合うダークな色調の古都フレンツェの街と芸術的殺人には酔えたもん。 史上最高のサイコパスに投げキッス〜

   

2001/3/14 【 バガー・ヴァンスの伝説 】
 1930年代南部を舞台にした町をあげてのゴルフ大会イベントにまつわる話です。 南部の町並みも家もファッションも雰囲気あって良いわ。次第に戦争で負った心の傷が癒えていく様子が丁寧に描かれています。 派手な演出も衝撃もないけれどじんわり心が穏やかになれました。 タイトルにもあるくらいだからバガーヴァンスが主役かと思ったのですがそうではないのよね。 キャディーさんならずも人生においてこんな風に導いてくれる方って必要よね。 謎めいているのに加えて登場の仕方と消え方がまさに伝説ってかんじ。 誰かの伝説になりたい場合は去りぎわが肝心ってことかしら。

   

2001/02/18 【 ペイ・フォワード 】
  「この世はクソ 」だけれど身近なところで良いことをしていけば世界を変えられるのでは・・・という少年の発想は少しずつ周りの人間に影響を与えて行きます。 この少年の考えたペイフォワード(先送り)のネズミ講式の裾野の広さは日本でも実証済みだしね。 意外なラストはいくら頑張っても「結局世の中はクソ!」だということを言っているようで一瞬腑に落ちなかったのですが 次第に この少年は現代版救世主イエスキリストだってことじゃないかと思うようになりました。 そう考えると全て納得の筋書きだし・・・あのオチの必然性が見えてきます。 頭使って疲れたわ(笑) 所詮私も宗教には疎い日本人 この分野が強かったらもっとこの映画の主旨を理解できたでしょうけれど残念。 

   

2001/01/04 【 ベニスで恋して 】
 昨年のイタリアアカデミー賞9部門受賞作。 ごく平凡な主婦が休暇先のベニスで新しい人生を発見していく話です。 生きる意欲をみつけていく登場人物とともにベニスの街も輝いてきます。 主人公を囲む人々が個性的でクスクス笑えます。 幾つになっても恋する気持ちって素敵だけれど これがもし日本なら 「人妻への禁断の愛」 とか 「家族を捨て恋に走る」 とか演歌の世界へようこそなんだけど ちっともドロドロじゃなくてカラッと陽気に描いてなんだか幸せな気分にさせてくれたのはお国柄かしら。 とにもかくにも恋のない人生ってつまんなーい。

 

2001/01/04 【 初恋のきた道 】
 40年前の中国農村での両親の馴れ初めの物語。 上映開始直後からもう涙腺ゆるみっぱなしでヒロインが笑ってはグスン泣いてはグスンで泣き通しでした。 誰かを好きになった経験がある方ならこのときめきを自分と重ねることができるはず。  好きな人の為なら何をやっても嬉しくて嬉しくて会いたくて会いたくて…ヒロインのひたむきさは恋の持つ無限のエネルギーを感じさせてくれます。 あーーもう1度初心に帰って人を好きになりたくなっちゃう。 出会った頃のときめきをもう1度復活しましょう。 そしていつか娘がこんな一途な恋をしたらこのヒロインの母親のように見守ってあげたいわ。

  

2000/12/14 【 ホワット・ライズ・ビニース 】
湖畔に建つ豪邸が恐怖の館に・・・ヒッチコックを意識しているだけあって恐怖感のあおりかたは的を得て 音がいかにもでドキドキでした。 隣の仲良しおばさん組がドッキリ映像が映る度に「あらぁ怖いわねぇオホホホホ」とお喜びになるもんだから 「ここで来るぞー」っていうシーンでは思わず横目でおばさんを観察。 バスタブシーンでは特に喜んでいただけたようです。 おかげで超怖がりの私でもきちんと観ることができて感謝感激雨あられ。 恋愛は結構なことですが別れ方が悪いとこうなるという教訓ですね。 お気をつけあそばせ。

    

2000/9/07 【 フローレス 】

オカマと超保守派男性の交流
 待望のデ・ニーロの新作が何故にミニシアターなの? ここ1館のみの上映とあって平日でも混んでいました。 男同士? の友情が良いのよ〜。 保守的で堅物の頑固者と 性転換で女性になりたいと願いコテコテに女装するドラァグクィーンとの水と油と思われる人間同士のかけあいが面白い。 随所で笑わせてくれるのだけれどその奥に潜む孤独や悲しみが痛いほど伝わってなんとも切なくなっちゃう。 本当に 「この世に完璧(フローレス)な人間などいない」 のよね。 その先行き暗い2人から人生はまだまだ捨てたものじゃないと教えてもらいました。 人間って素晴らしい! デ・ニーロ最高!

 

2000/7/29 【 パーフェクト・ストーム 】
 暑さをふっとばすには最適だもんねー満席で立ち見も多く超混み。 「自然は人間など愛していない」か…確かにねー ここまでしなくてもいいんじゃないのと言いたくなる心境です。 1991年に実際あった史上最大急の嵐はおよそ10階建てのビルに相当するらしくその迫力には奮えがきます。 後半は緊張の連続で足元がすくんでくるようでした。これCGなんですが なぁーんとこの映画に出てくる魚も1匹たりとて本物は使っていないというから驚きです。 船出がいちかばちかという危険を伴う漁も苛酷ですが同様に驚かされるのは救助隊です。 いくら仕事とはいえ究極の命懸けの救出には感動します。 全員根は善い人で勇敢でという人物像はどの程度脚色されているかわかりませんが嵐の中弱音を吐かない船長は流石というよりハイすぎるテンションは理解を超えています。私なら1分たりともあの場にはいられないわ。 今後は強風の音を聞く度にこの嵐の情景がよぎりそうです。

 

2000/7/28 【 ボーイズ・ドント・クライ 】
 アカデミー主演女優賞をはじめとしてヒラリースワンクが各賞総ナメにした問題作。 1993年に実際に起きた殺人事件です。 性同一性障害を病気と認め理解を求める声も出てきていますがまだまだマイナーでありそれを排除しようとする閉鎖的な人々がいるのも事実です。 そう生きていくしかないほど主役の彼の精神は100%男です。 それなのに身体は女だったら・・・ つきたくもない嘘をつかざる負えない状況で自分が悪いのだからと苛酷すぎる仕打ちを受けた主人公の悲劇には実話だけにやりきれない思いで言葉がありません。 隣がやはり一人で来ていた男性で号泣していました。 決して後味の良い映画ではありませんが多くの方がご覧になることで偏見や差別がなくなっていくことを願います。

  

2000/5/19 【  橋の上の娘  】
 ルコント監督作品。 「くちづけさえ交わさない二人の濃密な愛の行為」が時代も時間も現実離れしたノスタルジックな雰囲気の美しいモノクロームで描かれます。 一定の距離は保っているもののプラトニックラブと呼ぶには抵抗あるなぁ。ナイフを投げる男と的となる女の二人には命をかけた恐怖の奥の官能の陶酔感を感じます。 死と紙一重の愛ですね。これ観たらお手軽な恋愛の味気なさがわかるかも。
 二人でいることが宿命なのよね。 一緒じゃないと生きている理由さえなくなってしまう・・・。 皆さんはこんな究極の愛を分かつ相手を見つけられましたか? やっぱ愛は一刀真剣勝負でいかなくっちゃね。

  

2000/4/28 フェリシアの旅
・・ 劇場前で友達が「映画名が違うんじゃない?」ときょとんとした表情。そういえばどんな映画と聞かれて“ロリコン男が出る映画”とだけしか伝えてなかったわ… ってことで友達はてっきり『ロリコン男のナントカ』というタイトルだと思っていたそうです。 「runeさんに『ロリコン男のナントカ』という映画に誘われた」と告げられた友達のご主人は「そういう映画はこういうチャンスでもないと観ないだろうから楽しんでおいで」と送り出してくれたそうで・・・ 思わず絶句。ごめんね(笑)  感想は ♪男は狼なのよ〜気をつけなさい♪ につきます。 狙いのためならどんな姑息な手段も使い少女の純真な心を利用するなんて許せないわ。私も純粋さではフェリシアといい勝負だから毒牙にかからないよう気をつけなくっちゃと言ってみたかった(笑)

  

2000/4/28 ボーンコレクター
・・ まるで火曜サスペンスドラマ。犯罪の手口はなかなか見物なのに肝心の犯人の動機がわかりにくくて消化不良だわ。 犯人が“予想外”ってことだけはいいとして・・・・・映画の後店頭で一杯100円のビールを売ってたのにつられて入った定食屋さんは予想外に内装がモダンで予想外に競馬新聞持った方が多くて予想外にBGMがJAZZで新鮮だったわ。 主演のDワシントンが有能な利れ者路線っていうのが予想通りだったのがマンネリ。やっぱりぐっとくるのは新しい発見よね。

   

2000/3/01 バッファロー’66
 ・・ な.な.なんと上映20分前に約250席の場内に入ったらアタシ一人だけ。 うっそ〜 もし作品がホラー系だったら即刻退散だわ。 それでもちらほら観客が来て総勢6人の貸し切り状態。これってラッキーなの? そういえばこの作品去年の公開でした。注目のヴィンセント・ギャロの監督、主演。 どう見ても悪人とは見えないけれど欠点ばかり目立つダメ男を見事に演じています。 クリムゾンやYESの曲が流れヴィンセント・ギャロ偉い! 感性が合うっていうのか変に几帳面でお人好しな性格と台詞のひとつひとつが私のツボにはまります。 本人さえ気付いていない長所を見抜いてくれるパートナーを得るって素敵。相手役の 「アダムスファミリー」でお馴染みのクリスティーナ・リッチのグラマーbodyにはため息です。 自分をまるごと愛してくれるたった一人に出会うために皆生きていくのかもしれません。 皆さんはもう出会えましたか?

  

2000/2/04 【 ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ 】




不遇の老後を送っていた
キューバの名シンガー
イブライム・フェレール
1927年生(73歳)

 ショック状態が続いています。 すんごい映画です。 TVでおすぎとピーコが興奮し過ぎて何をどう誉めているのかよくわからなかったのも分かります。 首都圏では唯一の上映が渋谷。 しかもスペイン坂を上りきったPARCOの前というこれ以上ないという場所にある劇場でした。 客層がこの場所に尤も似つかわしくない高齢層。老年カップルやライ・クーダーのファンかと察せられるおじ様が大半で劇場で牧師服の方を見かけたのも初めて。 すべてが異例でした。
 出演者が1907年生まれ90歳以上を筆頭にもう社会から忘れ去られた枯れたジイ様達。NYではカメラ片手に初めての大都会に右往左往してはしゃぐジイ様達が一旦楽器を手にし歌い始めると・・・カーネギーホールの観客を総立ちにして魅了するキューバの名ミュージシャン達。 ひっそりと靴みがきなどで老後をすごしていた人もいるこの老ミュージシャン達のドキュメンタリーに終始熱くなっていました。  鳥肌がたつくらいカッコイイじい様にただただ泣きました。
 ふと思い出したのがニューオリンズにある「プリザベーションホール」です。狭くて歴史を感じる小屋でジャズを演奏するのはやはり老ミュージシャン。職人芸です。素敵です。やはり90歳の現役に会えます。
 どうでもよくなったミーハーとしての渋谷ですが・・・上映前に時間を潰したサテンで駅前留学のNOVAの昔のCMで機械的な英語を話す鈴木さんというサラリーマン(わかる?)を演じていた方をみかけました。あとは大槻ケンジ。あの短時間でこの収穫はまずまずかな。
 音楽の楽園ハバナの空気と愛しいジイ様達の生き様にブラボー!

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