本命視されていた「ブロークバック・マウンテン」を破って、アカデミー作品賞に輝いた「クラッシュ」を観ました。
どこかの保守的な映画監視団体には「今年最も俗悪な映画」賞として選ばれたそうですが、ここまで暗部をえぐっているのは見事。色々な人生が交差しそれが連鎖していくという群像劇は見応えあってさすがにアカデミーで脚本賞を受賞しただけあります。
LAの黒人・白人・ヒスパニック・アジア・アラブ系etc人種差別を軸に、ののしり傷付け合う人間の醜さ怒り哀しみ憎しみ孤独を描きながら、みんな本当はふれあって何かを実感したい と絶望だけで終わっていないヒューマンドラマでした。ロスに降るあの雪には希望を象徴したいという監督の意図があるそうです。人間は他人を自分のものさしで判断しがちだけれどそれがどれだけ曖昧なものか・・・史記の「禍福は糾える縄のごとし」ってのが人間性にも言えるというところでしょうか。