フィンランドのアキ・カウリマスキ監督の「街のあかり」を観た。
「浮き雲」「過去のない男」に続く『敗者三部作』ということだ。この監督の特徴ともいえる、無表情の出演者の面々・最小限の台詞・独特の間・美人がいないetcは今回も健在。
主演のヤンネ・フーティアイネンはそれなりの外見ながら、何故か同僚から相手にされず、バーでも鼻つまみで、銀行でもまともにとりあってもらえず、人に利用され といった『負け組』として徹底的に救いがなく描かれる。
監督によると「ラストシーンは希望で光輝いています。」ということだが、う〜ん ラストのあのワンショットだけではそれは大袈裟かも。光輝くといいうよりほんのり灯りがともった程度でしょうか。
これが現代の不条理というものかもしれないけれど、お人よしで不器用で非現実的な夢ばかり追っているという主人公の人物像は決して否定はしないけれど、自分の身に何が起きても受け入れるだけという意味ではあまり共感できなかった。でも、この監督の作品では珍しく主人公が笑うシーンが一箇所ある故に、逆に主人公の悲哀と孤独が大きく伝わってきた。
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