さ行     99年夏以降 劇場で観た新作映画の感想です (基本的にビデオ・DVD鑑賞した作品は含みません)
最高の人生の見つけ方
最強のふたり 
最終目的地 
サイダー・ハウスルール
サイドウェイズ
再見
 
ザ・ウォーカー
THE 有頂天ホテル
ザ・カップ
さくらん
ザ・ダイバー 
サトラレ
ザ・ハリケーン 
サバイバー 
砂漠でサーモンフィシング 
ザ・ビーチ
サマーウォーズ
ザ・マジックアワー
ザ・マスター 
サラの鍵 
サルサ
ザ.ローリングストーンズ シャイン・ア・ライト
SAYURI
さよなら。いつかわかること
さよなら、さよならハリウッド
サンキュー・スモーキング
サンシャイン・クリーニング
サン・ジャックへの道
サンピエールの生命 
しあわせの隠れ場所
幸福のスイッチ
しあわせの場所
 
幸せのレシピ
幸せはシャンソニア劇場から
シークレット・サンシャイン
シーサイドモーテル 
ジェイソン・ボーン 
シェフ〜三ツ星フードトラック始めました〜 
シカゴ 
自虐の詩 
ジゴロ・イン・ニューヨーク 
沈まぬ太陽
7月24日通りのクリスマス
シックス・センス
 
疾走 
ジヌよさらば〜かむろば村へ〜 
シベリアの理髪師 
ジャージー・デビル・プロジェクト
ジャージー・ボーイズ 
シャーロック・ホームズシャドウ ゲーム 
灼熱の魂 
ジャッジ! 
シャッターアイランド
シャンドライの恋 
ジャンパー
しゃべれどもしゃべれども
13歳の夏に僕は生まれた
13人の刺客
12人の怒れる男
重力ピエロ 
シュガーマン 奇跡に愛された男 
JUNO/ジュノ
シュリ

ジュリー&ジュリア 

純喫茶磯辺
小説家を見つけたら
 
ショウタイム 
少年は残酷に弓を射る 
少年メリケンサック

ショコラ
 
ジョンQ 
シリアの花嫁
白バラの祈り 
白ゆき姫殺人事件 
白雪姫と鏡の女王 
シン・ゴジラ 
親切なクムジャさん
人生、ここにあり! 
人生の特等席 
人生はビギナーズ 
酔画仙 
SweetRain死神の精度
スウィニートッド
スープ〜生まれ変わりの物語 
スコア
スコルピオンの恋まじない 
スターウォーズエピソード3
スターダスト
スターリングラード
  
スタンドアップ 
STAND BY ME ドラえもん 
ステルス
ストレイト・ストーリー  
スナッチ
スノーホワイト 
スペース・カウボーイ 
スポットライト 世紀のスクープ 
スラムドッグ$ミリオネア
スリーデイズ 
スリーピー・ホロウ 
スウィングガールズ
 
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
青天の霹靂 
世界最速のインディアン
世界にひとつのプレイブック 
セックス・アンド・ザ・シティ
セックス・アンド・ザ・シティ2 
セッション 
絶対の愛
蝉しぐれ
007 スカイフォール 
007 スペクター 
007カジノロワイヤル
007/慰めの報酬 
ゼロ・グラビティ 
ゼロ・ダーク・サーティー 
ゼロの焦点
戦場のピアニスト  
潜水服は蝶の夢を見る

千と千尋の神隠し
セントアンナの奇跡
 
千の風になって
ZEN禅
ぜんぶ、フィデルのせい
宗家の三姉妹
草原の椅子 
象の背中
ソウルガールズ 
ゾディアック
その土曜日、7時58分
空を飛ぶ夢
ソルト
それでも恋するバルセロナ
それでもボクはやってない






2016/9/13 【 ジェイソン・ボーン 】

ジェイソン・ボーン」を観た。
旅先のTorontoで時間的にパーフェクトだったのでたまたまの鑑賞。
それにしてもカナダでCAD$20ってなんでそんなに映画代高いのよって思いながら向かうと、VIPシアターだった。超おされなbarラウンジあるしシートもお一人様用でっぷり型?でリクライニングも。これは字幕無しでついていけなかったら寝心地良い最高のbed。まぁそれもいいかぁ(^_^;)

さて、9年振り復活だというジェイソン・ボーンは変わらずのムキムキでストリートファイター姿で登場。マット・ディモンは猿顔だしこの身体に台詞少ないしますますゴリラ系に近くなったかも(^_^;)
今回もスピード感とバイク&カーチェイスは期待を裏切らなくアクションは年齢を感じさせない。
これまでの協力者ニッキーに変わるように登場するのが、ボーンを追跡する側に回るアリシア・ヴィキャンデル演じるCIA長官の下で働くアナリストのヘザー・リー。魅力的だし彼女が敵か味方が最後までわからないというサスペンスの緊張感はあるけれどキャスティングとしてちょっと若いかなぁ。
記憶を失っているという背景において衝撃の事実として自分の父親は「分析医」と聞かされていたが、実はそうではなかったことが判明するのがミソ。
こーいう映画で言うことじゃないけれど銃弾受けた後も動ける姿はたくましいにもほどがある。それこそが孤高の最強〜〜の暗殺者ってことだろうけど。
次作はジェイソン・ボーンvsヘザー・リーかな?





2016/8/24 【 シン・ゴジラ 】

シン・ゴジラ」を観た。
日本発のゴジラとして初めてフルCGで制作。怪獣同士のバトルではなく、今回はゴジラvs人間、もっと言えばゴジラvsニッポン。これが期待以上。
余計なものを排除して、現在の政府・自衛隊なら未確認生物に対してどう対処するのかというシュミレーションになっている。今どきSFチックにど派手な攻撃シーンはいくらでも作れるのに敢えて現実路線。
見慣れた風景を一瞬にして破壊尽く巨大生物像は未曾有の被害をもたらした東日本大震災とリンクしてしまう。霞ヶ関では非常事態でもすぐに動けない体質になっているってことはあの東日本大震災でもそうだったんだろうなって思われるのがなんだかねぇ。
今年の話題作「君の名は。」の映像が話題になっているけれど、こちらの映像もリアルさではひけをとらない。実によくできていて現実の世界観の中、虚構なのはゴジラだけ。
英知を集めて一丸となって向かっていく状況の中、役者さんの苦労が想像できるくらい台詞は専門用語が多く早口でついていけない。でもまぁこれも含めて緊迫感と臨場感がいっぱい。
核攻撃を使いたがる某国と使わせたくない日本サイドの攻防もよく出来ている。ゴジラに凝固剤をゴクゴク飲ませるヤシリオ作戦以上に印象深かったのが、ゴジラにかかればひとたまりもないハズの電車による攻撃でその大活躍には唸った。
キャストの中、米国大統領特使を演じる石原さとみのハイテンションぶりだけが妙に浮いていた。華を添えたかったのかもしれないけれど、エモーショナルともいえる存在感はシンプルなプロットにしただけに余計な違和感となったのが唯一残念。





2016/4/19 【 スポットライト 世紀のスクープ 】
スポットライト 世紀のスクープ」を観た。
アカデミー賞作品賞受賞。昨年の受賞作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」は万人向けとは思えずちっとも面白くなかったけれど、本作のオスカー受賞も納得かというと少々言葉に詰まる。
カトリック聖職者による子どもたちへの性的虐待というスキャンダラスな内容ながら全体的にあまりに地味。
あくまでも過剰な演出は避け事実に忠実にという狙いなのでエンターテイメント性は低い。
ただただストレートに4人の記者が過去の関連記事や資料から地道に取材をし関係者に連絡を取って核心に近づいていく様子を描く。
地元ボストンっ子の4人の記者にひけをとらない存在感だったのがフロリダからやってきた新任局長。そもそもこの問題を提起した人物だし渋く静かながら強い佇まいにその有能さが伝わってくる。
タイトルの‘スポットライト’とは、ボストン・グローブ紙の独自調査に基づく特集記事欄のこと。
この記事が世の中に出るまでには、途中2001年の9.11テロ事件も起こり、社会的にも社内としても混沌としていたのを経ての20021月に全米を震撼させる記事が掲載され、まさに世紀のスクープ報道となった。
こーいう一途な正義感と最後までやりぬいた“スポットライト”取材チームの記者魂には敬服。派手さはないけれど見るべき作品。





2016/3/13 【 スティーブ・ジョブス 】
スティーブ・ジョブズ」を観た。
スラムドッグ$ミリオネア127時間」のダニー・ボイル監督というから期待したのに・・・完璧に期待ハズレ。
主演はマイケル・ファスベンダー。同じタイトルの映画(アシュトン・カッチャー版)もあるし、亡くなったのが2011年と新しいしアップルのカリスマとしての記憶も新しいだけにステーブ・ジョブスの人生や関わりのある人たちについては今更説明も不要というスタンスで制作した映画なのかしらないけれど、さほど知識がない身には、登場人物の誰が誰なのかもわからないし、名前しか出てこないダニエル・コトキやガイ・カワサキに至ってはましてチンプンカンプンで一言で言えば不親切。
1984年のMacintosh発表会直前、88年のNeXT Cube発表会直前、98年のiMac発表会直前のドタバタした舞台裏を描いている。1984年はMacintoshが「ハロー」と言わないだので怒鳴っているし、1988年はアップルで追い出された経過でもめてるし、1998年はスタッフへの謝辞を言う言わないで責めてるし、各年代に絡む娘との関係性の変化も特筆すべきものはない。
スティーブ・ジョブズの片腕としてマーケティング担当者を演じたケイト・ウィンスレットがアカデミー助演女優賞でノミネートされたけれど、彼女の台詞からは仕事でもプライベートでも何に対してどう思っているのか伝わってこないのも含め総じてわかり難い。
アップルの知識がない方は予習が必要。





2015/12/27 【 007 スペクター 】

007 スペクター」を観た。
オープニングは女性とタコがぐにゃぐにゃしていてグロいんだけれどアーティスティック。なんでタコ?の謎はタイトルにもある悪の組織スペクターのマークということで後ほど明かされていく。
サム・スミスによる主題歌は前作「スカイホール」のアデルの歌声と同様に今回もとってもダイナミックでスタイリッシュな世界観へ誘う。
なにはともあれ最初の舞台のメキシコの‘死者の日‘のシーンが迫力満点。ゾンビ風に化粧した群衆で埋め尽くされているお祭りをクレーンと空撮で丸ごと収める映像に圧倒された。ここがあまりにすごくてその後、ローマのカーチェイスやオーストリアの雪山アクションやモロッコの列車アクションがフツウに見えてしまったような。
ダニエル・グレグは相変わらず華麗でまた再会できてそれだけでもうれしいんだけれど、細かいところでつっこみどころも気になる。
脳への拷問シーンはいくらなんでもいただけない。ダメージあり過ぎてその後のアクションには?だし、本作の2人のボンドガールが微妙。最年長というモニカ・ベルリッチの出番が一瞬で後の展開に絡んでこないし、もう一人のボンドガールがなんだかイマイチ印象が薄くこの人に惹かれるのが理解できなかった。
今回ボンドが対峙していくのが自分の過去なのでこれはやはり前作「スカイホール」の流れを汲んでいてそれが本作で完結していることや、ラストシーンでボンドが取った行動も相まってやはり噂通りに本作でダニエル・クレイグ版007は最後になるのかもしれないと思わされた。





2015/11/23 【 サバイバー 】
サバイバー」を観た。
ロンドンの米国大使館で働く女性外交官が爆破テロの濡れぎぬを着せられた上に、国家と警察と殺し屋から追われながらもアメリカに迫るテロに向かっていく。
主人公がきわどいところをかわしながらきちんと逃げていくのは逃亡サスペンスでは予定調和のストーリー。
主人公を演じるのがミラ・ジョヴォヴィッチだからなのかイメージそのままのスーパーウーマンぶりはいつも通りなんだけれど、よくよく考えると査証発行業務という外交官が何故こんなに強くて殺し屋に立ち向かえるものなのか疑問。
友人を9.11で失っているという設定やNYをテロから守るという大義名分はあからさまでちょっと狙いすぎなような。
ラストの舞台をを大晦日のNYタイムズスクエアのカウントダウンのボールドロップにしていたので、思わずロマンティック・コメディ「ニューイヤーズ・イブ」を思い出した。
今年も残り少ないし一足先にあの一大イベントの喧騒を味わえたのは良かった。
今年も無事にカウントダウンを楽しめますよ〜に。





2015/8/1 【 セッション 】
セッション」を観た。
名門音楽校に入学した主人公と伝説の鬼教官の師弟関係を描く。
原題「whiplash」は実際映画で練習されるジャズの曲名でもあり「鞭で打ちまくる」という意味もあり、この映画の‘狂気’を示す似た発音のタイ語の「whip pa laad」もあるというのでそのままでも良かったかも。
教官フレッチャーを演じたJ.K.シモンズがアカデミー賞で助演男優賞受賞。確かに有無を言わせない悪魔的役作りで申し分なく、同時に驚いたのが、主人公ニーマン演じたマイルズ・テラーの熱演も素晴らしいし、若きデイミアン・チャゼル監督が長編一作目というのも驚くに値する。
今までの観念を覆すとんでもないぶっとんだ作品。
とかく師匠が弟子をしごきまくるというのは敢えて憎まれ役の鬼になってつき離しその悔しさから学ばせて成長させその根底には愛情があってこそだし、音楽という崇高なものを極めようとする人は感性が鋭く人間的にも感受性豊かというイメージがあるのだけれど、ととととんでもなかった。
ここにあるのは虐待・パワハラ・極悪非道・暴虐無人・復讐etc 本当にコワ〜い。でもでも本当は良い人かも という淡い期待も望みも救いも通用しない。こんなの嫌〜って内容なんだけど全く予想できないラストは鳥肌もので圧巻。
全てが昇華されるかのような音楽のすごさに打ちのめされる傑作。




2015/4/12 【 ジヌよさらば〜かむろば村へ〜 】

ジヌよさらば〜かむろば村へ〜」を観た。
「ビッグコミック」で連載された、いがらしみきおの漫画「かむろば村へ」を映画化。
もともと漫画が原作だからそれに忠実なのかもしれないけれどせっかく良い材料がそろっているのに全体としてとっちらかった感があり軸がなくぼやけた印象。
良い材料というのは‘触れない使えない欲しくない‘お金から逃げるように田舎へやってくるという設定やワケありの登場人物なのだけれど、展開が途中から暴走していく上に、キャラの作りこみがあまりに漫画チックでコントのようでどうも浮いている。
監督・脚本そして謎の男として主演までしている松尾スズキ色を出す為なのか一癖も二癖も加えたために逆に迷走したような。
お金に固執しないというのはできそうでできないことだけにもっと胸に響く問いかけをくれるような作品であって欲しかった。





2015/3/30 【 シェフ 〜三ツ星フードトラック始めました〜 】
シェフ 〜三ツ星フードトラック始めました〜」を観た。
2015年に、マイアミ・ニューオリンズ・ロスと行ってきたばかりということもありズバリこの3地点を押さえたロードムービーというのはそれだけで運命的なものを感じてしまう。
何もかも失った料理人の再出発をアメリカ南部の各地域性も入れながら父息子の距離感の変化も描く。
主人公の元妻がラテン系で自身の故郷マイアミが再出発の地点となるだけあり、全般的にラテンの明るさに溢れているのが良い。
ボロボロのトラックを洗ってペイントしてのフードトラックの新たなスタートにワクワク。
‘キューバサンド’ってあまり一般的じゃないけれど、マイアミではキューバレストランがめちゃ多くそして大人気。なのでネーミングにキューバと付くこと自体が美味しそうなスパイスになっている。
製作・監督・脚本・主演を務めたのがジョン・ファヴローで、その経歴ゆえの人脈か他のキャストも豪華。
今どきの話としてBlogTwitterYoutubeが絡んでくるのがミソ。
この映画ではレストランやシェフが料理評論家や一般人による批評に敏感になっていることが、実は監督自身のいる映画界にそのまま当てはまるだけに、主人公カールの「傷つくんだ」という台詞も切実に伝わるような。
人知れず10歳の息子が制作した思い出のつまった動画にジ〜ンとなってしまった。
元気をくれる前向きな明るい作品。




2014/10/29 【 ジャージー・ボーイズ 】

ジャージー・ボーイズ」を観た。
1960年代に数々のヒット曲を生んだ4人組ザ・フォーシーズンズの軌跡をクリント・イーストウッド監督が描く。
劇中に時代考証も含めてか当時のイーストウッド出演の「ローハイド」が映るというサービスシーンもあり。 
「地元を出る方法は3つ。“軍隊に入る“でも殺される。“マフィアに入る“それも殺される。あるいは“有名になる“......俺たちはあとの2つだった」という冒頭の語り口でぐっとつかまれる。
ショービズ界の成功者にありがちな仲間の裏切り・家族との溝・生い立ち絡みでかかわってくる裏社会は、まぁお約束ともいえる展開で謂わば業界の‘あるある話’。
メンバーが入れ替わりながら当時の背景や心境をナレーションで語らせる演出が効果的。
メロディアスな曲にフランキー・ヴァリのハイトーンヴォイスが響き♪シェリー・恋はヤセがまんetc珠玉の名曲に酔い そして♪君の瞳に恋してる の誕生秘話に思わずジンとなる。
1990年ロックの殿堂入りになりオリジナルメンバーが25年ぶりに集まるシーンも色々あっただけに感慨深い。
エンドロールでは舞台のカーテンコールさながら出演者が衣装のまま往年のヒット曲を歌って踊る中、今回マフィアのドンを演じハンパない存在感のクリストファー・ウォーケンがこのラストで軽快なステップをみせてくたのは嬉しいサプライズ。





2014/9/3 【 STAND BY ME ドラえもん 】
STAND BY ME ドラえもん」を観た。
藤子・F・不二雄の生誕80周年を記念して製作された「ドラえもん」初の3DCGによる映画化。
お馴染みのドラえもんもTVで観なくなってどれくらい経つのか…? 特に声優が一新して、新ドラえもんの声が水田わさびになってから10年間は無沙汰だったので月日の流れに自分でも驚く。
冒頭から馴染みのあるドラえもんのひみつ道具の登場にわくわく。
いつものび太が難なく使いこなしているタケコプターも慣れるまでの様子が3D映像もあいまって危なっかしさがスリリングで一気に引き込まれる。あこがれの空飛ぶ夢も3Dだからこそ実感できるのが新鮮。
このままだと借金まみれでぱっとしない未来なのを、ずっと好きだったしずかちゃんと結婚し幸せになるよう変えていけるのか?というのがテーマ。
のび太は、ドジで、意気地無しで、勉強が嫌いで、運動神経が悪くて、泣き虫で、面倒くさがりで・・・だけど、自分よりしずかちゃんの幸せを願うところがミソ。出来杉君にしずかちゃんのことをお願いしたり、自らは嫌われようとしたり、ジャイアンに一人立ち向かう様子も、なんか不器用だけど一生懸命でのび太らしい。もう泣かせるよねぇ。
時代設定が1970年半ばという昭和の時代設定もうれしい。なんでも八木竜一監督と「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴が共同監督だそうで、そりゃ昭和の描き方はさすが。
まぁそれから14年後があまりに近未来都市になっているのが突っ込みどころだけれど、描かれている首都高や街並みはワクワクするほどダイナミックでそれだけでも楽しめる。
もちろん子供は楽しめるだろうけれど、もしかしたらなんか酸っぱい気分になってしまうもうドラえもんを卒業したつもりの大人向けの映画なのかもしれない。





2014/7/18 【 ジゴロ・イン・ニューヨーク 】
ジゴロ・イン・ニューヨーク」を観た。
てっきりウディ・アレン監督作かと思いきや・・・主演のジゴロを演じたジョン・タトゥーロが、監督、脚本をこなしたという。
映画は粋でシニカルな台詞やしゃれた街並みの映像にJAZZの名曲とまるでウディ・アレン作品を見ているような気分。
NY
ブルックリンを舞台に、不況のあおりを受けた本屋と花屋の凸凹2人がジゴロ業をはじめる。
ポン引き役のアレンのマシンガントークが絶好調で、対するジゴロ役が寡黙でこの2人の醸し出す絶妙な間がたまらなくおかしい。
1957年生まれで若くもイケメンでもないフィオラヴァンテがなぜか人気に・・・実はダンスも料理も得意で物静かで女性にそっと寄り添いこの年齢ならではの哀愁が漂いetc…新たに発掘した側面は本人たちも目からうろこであったろうと思われ、歳を重ねていればこその渋さが魅力になるっていう男性の特権にスポットを当てたところがなかなか。
よりによってジゴロが厳格なユダヤ教宗派の高名なラビの未亡人に恋をするというのも 奇天烈な発想の延長なのかもしれない。
小粋に都会をスケッチするように描いたなんともおしゃれで粋な作品。





2014/5/26 【 青天の霹靂 】
青天の霹靂」を観た。
劇団ひとりが「陰日向に咲く」に続き発表した自身の小説を基にした映画監督デビュー作。
ぱっとしない人生を送る不遇のマジシャン晴夫(大泉洋)が、40年前にタイムスリップして、若き日の父と母に出会う。
ペペとチンのコンビは笑わせてくれるし昭和のディテールも素晴らしい。何よりマジシャンとしての大泉洋の芸も見事で、この時代に溶け込んでいてソツがないのも良かった。
紙で作った白いバラの粋な演出には「ALWAYS 三丁目の夕日」の‘エア指輪’と並ぶくらい胸がつまった。お涙頂戴演出かと思いきや押し付けがましくなく自然体で作りこまれていたのも、全体的に90分とコンパクトに仕上げたのも拍手。
ラストの10分の父子のシーンが良い。何もかも上手くいかず自分の価値を見つけられない主人公がこうなったのも「浮気をした父を捨てて子供を置いて出て行った母」によるところが大きかったのが、実は・・・。ここがこの映画の核心をついているだけに、主人公が 「命かけて子供産むような母親じゃ辻合わねぇんだょ」と叫ぶシーンは予告編には使わず本編までとっておいて欲しかった。1番の見せ場を予告編で見せちゃ台無しでしょ。唯一の不満。





2014/4/2 【 白ゆき姫殺人事件 】
白ゆき姫殺人事件」を観た。湊かなえ原作の映画化。湊かなえの原作はかなり毒もあっていつの間にかその世界に引き込まれがちながら過去の映画化をみても、その出来悪しは監督の力量によりところがかなり大きいような。「告白」の中島監督くらいの独自性があれば世界観は何倍にもなるけれど「北のカナリア」のような原作をなぞる程度だと面白みも皆無。今回はその意味では残念ながら「ちょっと惜しい」部類に入るかも。
美人OLの殺人容疑者への噂や憶測がツイッターや報道メディアを媒体に無責任に一人歩きというより暴走していくようすは、リアルなだけに確かに怖い。何かの事件が起きると容疑者はその家族を含めあんなことこんなことまでこれでもかと暴かれて世間にさらされる。渦中の人物は本当に犯人なのか・・・それとも というネット社会に一石を投げかけるサスペンスは着眼点が素晴らしい。
何人かにある人物についてインタビューすればするほど一体どんな人物だったのか謎めいてくるというプロットはまるで有吉佐和子原作の「悪女について」を思い出させる。
けれど、致命的なのが終盤に合わさっていくパズルが強引すぎること。結果オーライであってそんなご都合謝儀に物事が進むことに疑問が残るし、失踪した理由となったミュージシャンの転落もとってつけたようで説得力がない。
ただ疑われたヒロインを演じた井上真央は孤独で空想壁のある女性像を上手く演じていた。





2014/2/28 【 ゼロ・グラビティ 】
ゼロ・グラビティ」を観た。
宇宙空間に放り出され残った酸素もわずかで地球との交信も建たれるという絶対的な絶望状況で果たして生還できるのか?
負の連鎖がハンパないながら、ISS(国際宇宙ステーション)中国の宇宙ステーションにたどりつきながらのサバイバルは正の連鎖もパンパない。次々に起こる極端な負の連鎖は圧巻ながら一方で宇宙服を脱いじゃうし、なんのかんのとクリアできちゃう正の連鎖は極端に雑。
どーいうわけがどこに行っても他の乗組員がいないため、ほぼサンドラブロックが一人出ずっぱりで4歳の娘を亡くしたという背景もリンクさせてまさに自分自身の生還も含ませている。
共演のジョージ・クルーニーがユーモアのセンスに満ちた完璧な人間性の宇宙飛行士を演じていてこれはかなりおいしい役どころ。
全体的には細かいとこはさておいて、どうやって撮影したのかというくらいリアルな宇宙浮遊感を楽しめた。宇宙の神秘や美しさ以上に怖さを植えつけられたので、宇宙旅行なんてとんでもないって感じだわ。





2014/1/22 【 ソウルガールズ 】
ソウルガールズ」を観た。
差別エピソードの中で色の白いアボリジニが政府の方針で家族から離され白人として育てられたというのは衝撃的。
タイトルからしてついつい「ドリーム・ガールズ」と比較してしまうのも何ですが・・・オースラリア版VSアメリカ版 ん・・・差別・パワフルな歌・成功までの苦悩etcやはり重なる点も多いながらこちらは全体的に散漫。一言だと全体的に「惜しいっ」。
ガール・グループ「ザ・サファイアズ」のアボリジニの三姉妹と従姉妹のそれぞれの子供や元カレを絡めた背景がイマイチ説明不足だし、ロマンスも過程が中途半端。実話ベースだというから映画化に値するに十分な材料があり素材は良いのに仕上げが雑という印象。
歌そのものは確かにソウルフルで白人アイルランド系マネージャーの歌も半端なく聴き応えあって素晴らしい。





2014/1/17 【 ジャッジ! 】

ジャッジ!」を観た。
CM業界を舞台としたドタバタコメディ。所謂ギョウカイの世界にありがちな露骨なイメージを逆手にしているのが笑える。
なんとも頼りないけれどこのギョーカイに染まっていない広告マン(妻夫木聡)以外の面々はいかにもの曲者揃い。「テレビ業界」特有の、カタギの世界ではない独特の雰囲気の強烈なキャラに囲まれて仕事しなきゃなんない主人公には同情からついつい感情移入。
ギョウーカイの事情というか大人の事情に無茶ぶりされて右往左往する頼りなげな主人公が、サンタモニカ国際広告祭になってからの数少ない英語力だけで思いをつたえる奮闘振りには苦笑。
悪しき風習を描きながらも、デキレースのこの審査会で人々の心を変えたのは良心に従って良いものを作り出そうという本来のあるべき広告マンの精神だという着地が上手い。





2013/5/19 【 世界にひとつのプレイブック 】
世界にひとつのプレイブック」を観た。
心が壊れた二人の再起と全財産を賭けたダンス大会の結果というのが見どころだろうけれど、精神病というシリアスなものを扱っていながらのドタバタのコメディ要素の側面の方が断然楽しめた。
主要登場人物がフツウじゃない。「躁うつ病」になった状況は気の毒ながら根拠のない復縁を信じて夜中だろうが病院だろうが大騒ぎして暴れる男(ブラッドリー・クーパー)、喪失感を埋めるためなら何でもありで外食先だろうがブチ切れると大声を出しテーブルの上をひっくり返す不機嫌なやさぐれ女(ジェニファー・ローレンス)、それにこの親にしてこの子ありの思い込みが激しくギャンブル依存症の父親(ロバート?デ?ニーロ)・・・こういう面々が家族や職場にいたらと思うとウンザリ。
だけれどこのイタい面々があまりに非常識でしょーもないので観る側としてはハードルが下がって困った系人間の可笑しさを一歩さがったところから楽しめる。
ただイケメン過ぎるせいで病んでいる感じを出すために着ているゴミ袋姿もさほど違和感なかったのは計算外かも(笑)。エキセントリックな両人だけに何に魅かれたのがわかりにくいのと、裏切った奥さんの非をぼかしていて立ち位置がどうにもスッキリしないのは残念。
原題は「Silver Linings Playbook」でSilver Linings は希望の光playbookとはアメフトの作戦図だとか。
主人公がたちまち情緒不安定に陥るトラウマ・ミュージックはStevie Wonderのメローなバラード♪My Cherie Amour♪。主人公は不機嫌になるけれど甘酸っぱくやわらかいメロディが何度も登場するのはうれしい。







2013/4/22 【 シュガーマン 奇跡に愛された男 】

シュガーマン 奇跡に愛された男」を観た。
第85回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞受賞作。
なんかすっごぃものを観たぁ〜。
オスカー獲得の「アルゴ」も良かったけど、こちらがアカデミー賞の作品賞でも良かったかもというくらい大満足。
アメリカでは6枚しか(正確な数字ではないと思うけれど)売れなかった無名ミュージシャンのロドリゲスが、南アフリカで50万枚も売り上げ大ブレイクしていたという。いやぁこういうサプライズがあるから人生って面白いっ。
デトロイトの場末のバーで歌うロドリゲスと大物プロデューサーとの出会いをへて、商業的には成功せず姿を消すも、関係者の知らないところで海賊版として海を超えていく。折りしも、70年代の鎖国状態の南アフリカで反アパルトヘイト運動をするリベラルな若者が感化されて、なんと国を変えるほどのムーブメントを牽引する。
南アフリカでは ‘ドラッグの過剰摂取で死んだ’‘ステージで焼身自殺など…都市伝説のごとくが行きかっていた死亡説の‘死の真相’を調べているうちに想像を超えた展開が。
物語の終わりと思ったら始まりだったというこの一連の流れを映し出す中、挿入されるロドリゲスの曲があれもこれもそれもどれも良いっ!!!
感動的な話+心に残る曲 ということ以上に魅かれるのがこのロドリゲスの人間性。
家族を養う為肉体労働者として働く中、半信半疑で南アフリカに降り立つと待っていたのはリムジンとスィートルームと5000人の大観衆。そしてステージに立った時の最初の一言が「生きていたよ」とは・・・。Cool
アメリカに帰国後は何事もなかったようにいつもの生活へ戻り、公演で得たお金は家族や友人へ。ありゃ〜〜〜参った。
誰にも聴かれなかった曲が回りまわって世界のためになるって・・・まるで大大大好きな邦画「フィッシュストーリー」のノンフィクション版そのもの。まさに奇跡。

後日談として「奇跡体験アンビリバボー」によると、アカデミー賞の会場に現れなかったことを聞かれ「俺には映画の賞なんて関係ないからさ。仕事の方が大事だろ」と、世界的に注目されるようになっても決して浮かれることなく謙虚な生き方は変わらない様子を放送していた。生き様自体がカッコいい!
85分とコンパクトなのも良いっ。
スタンディングオベーション!!!





2013/4/21 【 ザ・マスター 】
ザ・マスター」を観た。
マスターと呼ばれる新興宗教の教祖(フィリップ・シーモア・ホフマン)と戦争体験や酒などによりメンタル面でかなり問題のある元兵士フレディ(ホアキン・フェニックス)の出会いからやがて離れていくまでの人間の結びつきを濃密に描く。
この教祖は、トム・クルーズやトラボルタなど有名人に信者の多い新興宗教サイエントロジー創始者をモデルにしたものだというけれど、この映画では、この宗教の是非はあまり問題にはしていない。
ホント〜にフレディは屈折していてかなり人間として壊れかかっている。こんなアブナイ人物に対して見捨てる方が良いという周囲の意見にもかかわらず、マスターは「見捨てれば、救えなかったことになる」と独特の療法で寄り添っていく。
結果それで何がどう変わり何が起きたのか?などというような劇的な結末がなく、催眠療法のようなカルトちっくな治療シーンも加わり、全体的に解り難い感も否めない。
フィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスはアカデミー賞の主演男優と助演男優に共にノミネートも納得の圧巻の演技で、この2人にばかり目が行っていたけれど、本作が「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のトーマス・アンダーソン監督が脚本から作ったものだという視点から考えると、その色がよく出ている。感情移入できない人物を登場させ、宗教を絡めながらその対極の人間をうきぼりにして、人間の不可解さを突き放して骨太に描いているため、観終わってぐったりとなるもの前作と同じだった。





2013/3/1 【 草原の椅子 】

草原の椅子」を観た。
どこにでもいるような50歳のサラリーマンの主人公を中心に大人たちが傷ついた少年と出会って新たな人生に踏み出していく。
鍵となるのが知り合いのフリーカメラマンのパキスタン・フンザを写した自費出版写真集。
それにしても前日に鑑賞した「ゼロ・ダーク・サーティー」で描かれるパキスタンとは大違いなのがなんとも。片やビン・ラディン討伐だし拷問だし(-_-;)こちらは“世界最後の桃源郷“だし・・・。
主演の佐藤浩市が「決して説教くさい映画でないので是非」と宣伝していたけれど、出演者が何から何まで全て台詞で語っているたいへんな雄弁ぞろい。唯一フンザの仙人のような長老の「正しいやり方を繰り返しなさい」という言葉が抽象的な分印象的だった。
草原の椅子はフンザにもあるのだけれどタイトルのものは障害者に合わせた世界でたった一つの椅子で場所は瀬戸内海だった。
人が良いキャラ設定が多いだけに、心が病んでいる親を演じている中村靖日と小池栄子の怪演は異常さが際立っていて見もの。
遠間(佐藤浩市)と富樫(西村雅彦)と貴志子(吉瀬美智子)の大人3人が場所を変えお酒を飲むシーンが多用されていて意外なことに本筋と離れているのに実はそれが一番良かったかも。





2013/2/28 【 ゼロ・ダーク・サーティー 】
ゼロ・ダーク・サーティー」を観た。
一人のCIA情報分析官の目を通したオサマ・ビン・ラディン殺害作戦の背景を描く。
関係者への綿密な聞き取り調査を元にしたというけれど、全世界に衝撃を与えたニュースの背景だけに、映画のための脚色を含むことに加えてアルカイダとの戦いはまだ終わっていないため信憑性に関してはどうもすっきりしない感は残る。
上映時間が158分と長く、前半はうんざりする拷問と尋問とよく理解できない人脈図でたるかったけれど、潜伏先を特定してからは一気に臨場感があふれ後半40分の特殊部隊によるビン・ラディンの隠れ家急襲作戦は息をもつかせない。
それにしても特殊部隊シールズの手際良い作戦実行と撤収はお見事。とはいえ、「テロに屈しない」アメリカの正義のためとはいえ、娯楽映画ならともかく、他国に乗り込んで拘束ではなく殺害しまくった挙句に証拠隠滅して去っていくって是でしょうか?パキスタンで上映禁止というのも、当事国として許せるものじゃないってことなんでしょう。
目の前で血縁者を殺された子供達の傷は計り知れなく、決してこれが終わりではないだろうと報復の連鎖を考えると複雑。
ラストの主人公の涙はキャスリン・ビグロー監督の前作「ハート・ロッカー」の爆発処理班の男が戦地から戻ったスーパーマーケットで感じる空虚感とぴったりとリンクしている。ということで今更ながら超ハードな張りつめた非日常をドキュメントタッチで描く手法がこの監督の味だと再認識。
ちなみにタイトル「ゼロ・ダーク・サーティ」は米軍の用語で午前0時30分、要するに特殊部隊の突入時間を指すとのこと。




2013/2/21 【 最終目的地 】
最終目的地」を観た。
主人公は自殺した作家の伝記を書くために作家の家族の許可をもらおうとウルグアイに向かう。
この未知のウルグアイっていうのがミソで作家の自宅周辺の牧歌的な田園風景がなんとも心地良い。そこに暮らすのは作家の妻・愛人と幼い娘・兄・兄のパートナー。弱味を見せない妻・ふわっと捉えどころのない愛人・若いパートナーを解放しなくてはと思う兄・自然に寄り添うその恋人の描き方は極めて淡々としていて、大きな盛り上がりもないので全体的にスローで地味。兄にアンソニー・ホプキンスそのパートナーに真田広之というキャスティングも興味深い。
それぞれが絶妙な距離感で静かに暮らしているだけに、アメリカからやって来た主人公の恋人のそのストレートさが対照的に際立つ。
それぞれが行き着いた最終目的地は、誰もが自分の居場所をみつけ収まるべきところに収まった感があった。




2012/1/27 【 砂漠でサーモン・フィッシング 】
砂漠でサーモン・フィッシング」を観た。
無理難題な「中東のイエメンに鮭を泳がせろ!?」という切り口がコメディタッチで期待大。水産学者のジョーンズ博士の「ばかばかしいっ」から始まりいつの間にかビジネスパートナーのハリエットと国家プロジェクトとして取り組んでいく前半あたりはかなり面白かったけれど、後半は恋がからんでくるのは良しとしても肝心の2人がこのプロジェクトのために何をしたのかがかなりぼやけて失速気味。
支持率を上げる為なら何でもやります的首相広報担当官のマクスウェルのどたばたが強烈で笑わせてくれるものの、
中東のきな臭い情勢も絡めていて全体的にコメディとは路線が離れてしまったような。
この映画の最大の収穫は、アラブの大富豪シャイフ役のアムール・ワケド。超がつく程ハートも良くイケメンで非の打ちどころなく目の保養。主役のユアン・マクレガーが真面目で不器用でちょっと野暮ったい博士という役柄のせいかシャイフ首長に比べてオーラ薄っ。




2012/1/16 【 007 スカイフォール 】
007 スカイフォール」を観た。007シリーズ誕生50周年記念作品にして23作目。
オープンニングでまず見せ場がある。ハンパないアクションが続いた後でボンドが誤射されて川の中へ。ええっと思わせるこの展開に重なるタイトルバックが実にスタイリッシュ。やがて上司のM(ジュディ・ディンチ)の話に繋がっていく。ハビエル・バルデム扮する敵役シルヴァがボンド同様Mに仕えていた‘もう一人のボンド’という設定も良い。
今回ボンドガールの登場もごくわずかで存在感は非常に薄く、実質のボンドガールはMだった。敵を倒しボンドガールと仲良くするプレイボーイのジェームズボンドではないというのもこれまでの定石を覆している。
タイトルの‘スカイフォール’はスコットランドのボンドの生家がある土地の名前でボンドの生い立ちも紹介しており、確かにこれまでの集大成の作品となっている。
主題歌♪ Skyfall (byアデル)もドラマチックでイメージにぴったり




2012/11/25 【 白雪姫と鏡の女王 】
白雪姫と鏡の女王」を観た。
今年「スノー・ホワイト」を観たし何故にまたも「白雪姫」と思ったら、グリム生誕200年とのこと。
「スノー・ホワイト」があまりにもイマイチだったのでこちらもそれほど期待しなかったら・・・。なんとすっごく面白いではないですか。
「スノー・ホワイト」のシャーリーズ・セロンの女王が鬼気迫るだけにジュリア・ロバーツは悪としてのインパクトは中途半端感はあるものの、随所にずっこけヘラヘラしたユーモアをちりばめ全体的にはすっごく楽しくスマートなアレンジになっている。
フィル・コリンズの娘という白雪姫演じたリリー・コリンズは当初違和感を感じたあのぶっとい眉毛が何故かだんだん気にならなくなりそのチャーミングさに魅了されちゃった。それに何と言っても7人の小人にきちんとスポットを当てているのが嬉しい。「毒りんごには、もう騙されない。」というキャッチコピーの通り現代風なアレンジも見てのお楽しみ。
エンドロールはまさかのボリウッド風。なんでもターセム・シン監督はインド人だとか。納得。これが楽しくて楽しくて。意表をつく演出で最後の最後まで楽しませてもらった。




2012/11/23 【 人生の特等席 】
人生の特等席」を観た。
クリント・イーストウッドが「グラン・トリノ」に続きまたもや頑固で不器用な昔気質な男を演じる。どういうワケかあのしゃがれ声と気難しい表情に再会すると安心した気持ちになれるのは82歳のイーストウッドここに見参って存在を実感できるからなのかも。
地味ながら奇をてらわない古き良きアメリカの心の風景が映しだされる。都会でキャリア志向の娘との対比、コンピューターのデータ分析による今時のスカウトとの対比も見事。
疎遠な2人がどう距離を縮めていくかというストーリーは王道で予想通りなのだけれど、安心感とじわっとした感動。ガスの長年の友との関係もなかなか良いし、話題のルーキーのいやったっらしさも効果的。
ただ、野球自体に興味がなくても大丈夫な内容とはいえ、野球愛に感情移入できなかったのは残念。
タイトルは、ガスが言った「おまえに苦労をさせたくなかった、こんな三等席の人生で」に娘が答えた「三等席じゃない。目覚めるといつもパパの野球を見て…。人生の特等席だった」というセリフからと思われる。原題は「Trouble with the Curve」。




2012/11/9 【 最強のふたり 】
最強のふたり」を観た。
事故で首から下が麻痺し車イス生活の大富豪フィリップの介護者として雇われた犯罪歴もあるスラム出身の青年ドリスという2人の人種や貧富の差も超えた人間関係が描かれている。
冒頭の猛スピードでのスリリングなドライブシーンでノリノリで歌うEW&Fの♪Septemberでもう一気に引き込まれる。無鉄砲な悪乗りにしか見えなかったこのドライブシーンが後半に再び登場する時、「俺に任せろ」と言ったドリスの台詞の重さも伝わって胸がいっぱいになった。
対照的な2人だけに一生の中でこれほどウマが合う人との出会いはまさに運命のいたずらというか奇跡。形は違っても自分の人生に先の見えない閉塞感が満ちていた2人だけに、人との出会いで人生はこんなにも良くなれるって前向きになれるような映画だった。
気を遣うということを知らないドリスのあけすけで奔放な言葉や行動はある意味ストレート過ぎて、すれすれのきわどさながら、逆にそれを楽しんでいるフィリップの表情に何度も苦笑させられた。常に紳士で冒険心旺盛で偏見をもたないフィリップと天真爛漫で同情も遠慮もないドリスだからこそお互いを思いやれた深い絆。
EW&Fboogie wonderlandのダンスシーンも、パラグライダーのシーンもどれもこれも嬉しいサプライズ。お屋敷で働く他の面々もドリスへ心を開いていく過程もとてもナチュラルに描かれていく。ラストの、泣きそうになりながら震えるフィリップと、レストランの外から手を振るドリスのシーンは圧巻。
この後のふたりが気になるだけに実際の映画のモデルになったご本人たちの映像と後日談のテロップが流れたエンディングも秀悦。




2012/10/1 【 スープ〜生まれ変わりの物語〜 】
スープ〜生まれ変わりの物語〜」を観た。
死んでしまった父を演じる個性派俳優の生瀬勝久がとにかく良い。冴えない中年男、死んでも死にきれない父親像がはまっている。
思春期の15歳の娘と父親との関係は難しくぎくしゃくしがちだけに、そんな中での突然の身内の不幸は双方にとって悔やんでも悔やみきれない心残りとなっていく。
この映画では苦悩するのをこの父娘に絞り、その他の登場人物も死後の世界もケロッと楽しく描いているので、本当に死後の世界がこの映画のようであったらと思わずにいられない。
生まれ変わる時、前世の記憶がなくなるというスープを、飲むか飲まないかがこのタイトルに繋がっているけれど、前世の記憶を持ったまま生まれ変わった人と、前世の記憶がないほうを選んだ人の再会のタッチがかなり面白く、その中に親子の絆をきっちり描いていた。




2012/8/7 【 少年は残酷な弓を射る 】
少年は残酷な弓を射る」を観た。
これってホラー?怖すぎるぅ。
冒頭スペインのトマト祭りがまるで血にまみれるようにおどろおどろしく映し出される。全編にこの赤の扱い方がミソで、ペンキ・ジャム・洋服・ボール・扉・ライト・芝刈り機・スーパーに積まれたトマト缶詰・ブラインド・ネイルetcと形を変えながらの様々な赤に共通するのは不穏な空気感。
赤以外でも落書きされた壁紙・投げつられた卵・ケーキに押し込まれたタバコetc次々と気分が悪くなるようなシーンも加わって、まぁよくここまで徹底して毒気のある世界観を描いたものと感心。
ノー天気な父親と無邪気で天使のような娘までが、逆に母と息子の尋常じゃない関係を色濃くさらにショッキングにあぶりだし、この母親の心理描写を細部まで伝える。
母親を演じたティルダ・スウィントンの狼狽の演技は圧巻。後半の母からの問いに息子からは明確な答がなかったのは、もやっとしたまま。でも、この作品の場合はそのあいまいさがどこまでもつかみきれない息子像とうまくリンクしているような。
ラストシーンには意表をつかれエンドロールが終わってもしばらく席を立てなかったほど衝撃的。
唯一の不満は邦題。サスペンスだけにこれはダメでしょう。原題は「We Need to Talk About Kevin」。




2012/7/7 【 灼熱の魂 】
灼熱の魂」を観た。
いやぁ久しぶりに観終わって席が立てないほどの大傑作だった。
原作はレバノンから亡命して現在カナダのケベック州に住むワジディ・ムアワッドの戯曲「INCENDIES(火災)」とのことで邦題もこれに由来しているのかも。
カナダとレバノンを舞台に、母親が双子の子供に託した2通の手紙がキーポイントとなり、1通は存在しないハズの兄へ、もう1通は会ったことのない父へということで母親のルーツを巡る旅が始まる。
レバノンの乾いた空気感と母親がたどった筆舌に尽くしたいほどの不条理に圧倒されながら、悲劇の正体に迫っていく。断片的な事柄がラストで1本の線になって繋がっていくミステリー仕立ての構成力は圧巻。その真実を知らされた時の衝撃度はハンパなく打ちのめされた。なんて強烈で完成度の高い映画なんでしょう。
というわけで2010年第83回アカデミー賞の外国映画賞は「未来を生きる君たちへ」より本作に受賞して欲しかった。




2012/6/16 【 スノーホワイト 】
「スノーホワイト」を観た。
白雪姫のダークなアレンジバージョンということで映像に重みはあるのだけれど・・・まったく面白くない。
何より美しいハズのプリンセス スノーホワイトを演じたクリステン・スチュワートが魅力なさ過ぎる。「鏡よ鏡鏡さん世界で一番美しいのはダ〜レ〜」の女王が嫉妬するのも説得力なし。だいたい女王演じたのがシャーリーズ・セロンで今回もハンパなく美しいんだもん。このオーラを前にクリステン・スチュワートには気の毒だけれどこのヒロイン役は無理があったとしか思えない。
ハイホーハイホーの小人達に期待するもこちらも中途半端。ラストの甲冑姿の戦闘シーンはまるで「ジャンヌ・ダルク」ばり。が、本家のミラ・ジョヴォヴィッチの足元にも及ばない。ということでシャーリーズ・セロン意外は見どころなし。





2012/5/3 【 サラの鍵 】
サラの鍵」を観た。
1942年ナチス占領下のパリでユダヤ人一斉検挙ヴェルディヴ事件と、2009年に事件を調べ始めた女性記者の話を並行して描いていく。
弟の安全のため納戸に隠し「必ず戻るから」と鍵をかけたサラの苦悩と強い想いに胸がつまる。収容されたユダヤ人が味わう地獄は何度観てもショッキング。この悲劇のサラの少女時代を演じたメリュジーヌ・マヤンスは10歳が背負うには重すぎるものを見事に演じ圧巻。冒頭ベッドで幼い弟と戯れる無邪気なシーンがあることで、その後の暗転の対比がより衝撃的。
60年という年月を超えて、女性記者が仕事とプライベートが重なって導かれるようにサラに近づいていく様子はスリリングに描かれ、自身の妊娠問題がこの思いを馳せる悲劇の少女サラと知らず知らずに絡み、新たな人生のステップにつながっていく感動的社会派ドラマだった。




2012/3/10 【 シャーロック・ホームズ シャドウゲーム 】
シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」を観た。
ホームズ(ロバート・ダウニー・ジュニア)とワトソン(ジュード・ロウ)の掛け合いが魅力とはいえマシンガントークは無駄に長く感じたし、ホームズがあれよあれよという間に真相を説明しちゃうので観客に推理させる間もなくというか観客置いてけぼり状態なのでスピーディーな展開にもかかわらず眠気が・・・。
推理物というよりほとんどアクション映画の域。とはいえホームズは不死身のヒーロー化しているのでまぁ安心して観ていられる。
森の中を敵の銃撃が飛んでくる様子をスローモーションで描いているシーンやホームズの綺麗とは言い難い女装も含むカメレオンのような七変化は楽しめた。




2012/3/9 【 人生はビギナーズ 】
人生はビギナーズ」を観た。
本作で第84回アカデミー賞助演男優賞をクリストファー・プラマーが歴代の受賞者では最高齢である82歳で受賞。
予告編の「75歳の父親がある日息子にゲイをカミングアウトしてきたら・・・」の件を観てかなり面白そうだと期待も大きかったのだけれど・・・う〜ん その部分以外は淡々としていて何度も眠気におそわれた。
カミングアウトした解放感いっぱいの前向きなお父さんと、内気で殻に閉じこもるような息子の対比はわかりやすいながら、息子のナイーブでもんもんとした姿に関してはちょっと不自然に深刻ぶり過ぎているような。父の人生を謳歌するシーン・父の病床シーン・父の死後息子が人生を歩みだすシーンが時系列を入れ替えて交差しているのもなんだかわかりにくい。




2012/2/15 【 人生ここにあり! 】
人生ここにあり!」を観た。
2008年イタリアで公開されるなり54週ロングランの大ヒットを記録し、イタリア・ゴールデングローブ賞を受賞。
1983年のミラノを舞台にバザリア法の制定によって精神病院が廃止され社会的変化を強いられた元精神障害患者とその協同組合を任された健常者のリーダーを描く。
かなりシリアスな内容をイタリアなならではの切り込みでドタバタとユーモアを絡めている。挫折や大きな悲しみも、合言葉の“SI PUO FARE!(やればできるさ!) の精神で何事も享受して進んでいく。
この映画で特筆すべきは何と言っても元患者による組合を任されたネッロのリーダーとしての資質。“元”患者とは言ってもどーみてもかなりの症状の部下達に、上下関係ではなく、どんな場合でも努力を惜しまず同じ目線で対等に振る舞いその一途さでみんなをまとめていく姿には胸をうつものがあった。「人を動かす」ってこういうことなのね。
この舞台がもし日本だったら奔走しているネッロに対して世間の目は厳しくどんな失敗でさえ見過ごさず容赦なく弾劾するかも・・・それに比べ、カリカリ尺定規に物事をとらえないこのラテンの空気感というのは、なぁんて良い意味でゆるくてほっとさせてくれるんだろう。
商品というより作品の寄木細工の床のクォリティは素晴らしい。ブラボー!




2012/2/8 【 スリーデイズ 】
スリーデイズ」を観た。
2008年フランス映画の「すべて彼女のために」という作品のリメイクだという。オリジナルは未見ながら、テンポの良いスリリングな展開はかなり楽しめた。妻の無実を信じ真犯人に迫るという話かと思いきやそうではなく、脱獄させるというのがポイントで、あくまで真犯人がどうこうより妻の無実を信じる家族の話。まぁファミリー版「プリズンブレイク」。
万策尽きかけながらそれでも命をかけ奮闘する夫を演じたラッセル・クロウの熱さは言うまでもないものの、ある意味必死過ぎて本当にうまくいくのか観ていてハラハラ。ほんのわずかながら登場のリーアム・ニーソンのセリフが、この無謀な計画に後々効いてくるのもGOOD。
ラストでの刑事が手がかりをつかみかけるシーンで気になる真相の謎は観客にゆだねるたままだけれどそはストレスにはならなかった。




2010/10/1 【 13人の刺客 】
13人の刺客」を観た。
三池崇史監督による1963年のオリジナルのリメイク作品。三池監督+「斬って斬って斬りまくれ」で浮かぶのが、同監督の「IZO」。なんかIZOの時の無茶ぶりが予想されて果たしてどうかなと不安ながらの鑑賞だったけれど、オリジナルがあるせいなのか意外にもオーソドックスな作りだった。
涼しい顔をした非道な将軍の弟斉韶をSMAPの稲垣悟郎が演じている。巷ではかなりこの悪役ぶりが好評のようだけれど、決して上手いとは言えない棒読みの台詞も冷血漢にはぴったり合っていてアイドルが演じる役柄としてはギャップが良かったということかも。
13人の選ばれし刺客達の半分くらいまでしか把握できなかったけれどそれでもラスト50分のえいえんと続く死闘の迫力は相当なもの。13人の刺客vs300の明石藩軍勢の行方は・・・!!宿場全体に仕掛けられた迷路・爆薬・炎の猛牛・弓矢etcの様々な罠が興味深い。と、それにしても・・・仕掛け攻撃が終わってからの刀での死闘は、相手が130人くらいなので1人当たり10人で済むハズなのにどー見てもそんな数じゃなく斬っても斬っても、無傷の敵がわんさか現れるのは計算が合わないような・・・。
13人の中でも松方弘樹の太刀捌きがずば抜けて上手い。野人の伊勢谷友介の不死身ぶりは無茶ながらあのラストには何か暗示があったのでしょうか?
チャンバラ大活劇の魅力に満ちた見ごたえあるエンターティメントだった。




2010/9/3 【 ソルト 】
ソルト」を観た。
最初はトム・クルーズを想定して書かれた脚本を女スパイに変更したという。二重スパイの容疑をかけられたCIAエージェントが、CIAの追跡をかわしながら真犯人を探し出すまでを描く。真相はよくわからないけれど「ロシアの美人スパイ事件」も記憶に新しくタイムリー。とにかくアクションに次ぐアクションで、文字通り息つく暇もない。
男顔負けの大活躍を見せる中でもトラックの屋根から屋根へ飛び移りやエレベーターの飛び降りは超人化の域でまるでアメコミのヒーロー映画のよう。現代版変装術は女性ならではのポイントを押さえてある。
正体については二転三転してそれなりに楽しませてもらっただけに、どうやら続編がありそうな終わり方が気になる。本作でソルトの正体がわかったためもう本作のテーマの「彼女は、何者なのか?」が使えない。
余計なお世話かもしれないけれどこの手のスパイ映画は「007」「ボーン」シリーズがあるだけに二番煎じとならないことを祈ります。




2010/7/1 【 ザ・ウォーカー 】
ザ・ウォーカー」を観た。
文明が崩壊した世界で‘ウォーカー’と呼ばれる男が30年間、世界でたった1冊だけの本を西へ運ぶ孤独な旅を続ける謎を描く。何はともあれその濃淡を強調したメタリックな色彩の映像に魅了された。光と影が織りなすその退廃した世界観はかなり好き。
さまざまな武器を使いこなす主人公イーライ(デンゼル・ワシントン)の悪党との死闘はまるで西部劇や日本の時代劇のよう。あの荒廃した中で悪党のボス(ゲイリーオールドマン)のキャラもかなり異彩を放っていて、知的で美意識のあるクールさがただならぬ存在感を出していた。
本の正体は途中で気が付くもののラストで明かされるイーライの秘密も本のオチも確かにビックリだれど・・・あの本の価値というのは日本人には伝わり難いものかも。
あっ最後まで謎だったのが「西」・・・絶海の孤島のあの場所に何か宗教的な意味でもあるのでしょうか?わかる人いたら教えて下さい。




2010/6/10 【 シーサイドモーテル 】
ヒューマントラストシネマ渋谷」にて「シーサイドモーテル」を観た。
海もないのに「シーサイド」という名の山奥のさびれたモーテルを舞台っていうだけで何やら怪しげ。
4つの部屋で起きるそれぞれの騙し合いを11人の豪華キャストで描く群像コメディー。宿泊客が朝を迎える時、「無事チェックアウトするのは誰だ」というのが鍵でそれが極上のラストシーンにつながっている。
借金取りは喘息持ちだし、セールスマンはインチキだし、etcそれぞれの事情に小ネタをちりばめた上に、温水洋一や古田新太でお約束の笑いを取って、ラストのオチも良かった にもかかわらず、何故か全体的になんとなく散漫で何か物足りないのは4つの部屋のつながりが‘絡まり合う’と言えるレベルではなく中途半端なせい。
主題歌♪ランナウェイ♪byシェネルズはいつ聴いても良いっ!




2010/6/9 【 セックス・アンド・ザ・シティ2 】
セックス・アンド・ザ・シティ2」を観た。
前作同様、品川プリンスシネマでのレイトショー。やっぱ仕事帰りと思われるおしゃれな女性が圧倒的に多く、しかも上映中、熱狂的ファンは歓声やら拍手まで・・・。ここは日本???
それはそうとして、今回はアブダビのホテルオーナーに無料招待され、同国を訪問するというまさに夢のようなストーリー。
何はさておきコンパートメント風ファーストクラス・1人1台のリムジン送迎・専用バトラー付きのロイヤルスィートホテル・砂漠でのピクニックetc確かに不景気を吹っ飛ばすこれでもかというゴージャス三昧シーンがてんこもり。あのファーストクラスは「エティハド航空」のものでエミレーツ航空と並ぶ中東を代表する航空会社だそうで映像で堪能できたのは収穫。ライザ・ミネリやベネロペ・クルスの登場も豪華さに一役。
砂漠をハイヒールでというオバカさも抑圧された中東の女性もブランド大好きみたいなくだらないオチもまぁ許せるものの、この話でやっぱり違和感がぬぐえないのが我儘奔放な女性に対して物分かりの良すぎる男性陣。けたはずれの豪華アブダビ旅行はアラビアンナイトの夢物語だとしても、男性陣のささやかなる抵抗が中途半端で甘いっての。




2010/5/9 【 ジュリー&ジュリア 】
ジュリー&ジュリア」を観た。
50年前に仏料理を一般のアメリカ家庭に紹介したジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)と、そのレシピを1年で全部作りBlogに公開した現代に生きるジュリー(エイミー・アダムス)の2人を交差して描く。
実物とそっくりと話題になったというメリス・ストリープの役作りの中で、デカ女の外見も大らかでいてパワフルな人柄も良かったとは思うけれど、酔っぱらい?と思えるような独特の台詞まわしは違和感があり、何度も言われる「ボナペティ」が気に障ってしまった。(-_-;)
ただ、時代を問わず大奮闘しながらお料理することも、美味しいものを食べる人々の笑顔もそれだけでほほえましくで気持ちがなごむ。
お互いのかけがえのない旦那様との夫婦愛もきちんと描いていた。まっ‘料理は愛’ってことでしょう。ジュリアの最大の理解者の夫役を演じているのが記憶に新しいラブリーボーンの殺人鬼スタンリー・トゥッチだったのが印象的。
ラストにビターなシーンを入れたのは賛否両論かもしれないけれど、ある意味甘いだけじゃないってことでそれはそれで良かったかも。




2010/4/29 【 シャッターアイランド 】
シャッターアイランド」を観た。
スコセッシ監督とディァプリオのコンビという意味では前作の「ディパーテッド」がアカデミー作品賞にも関わらず個人的には不満タラタラだったけれどさて今作は・・・?
主人公が時々見る回想シーンも幻想的だし、切り立った崖・船着き場・洞窟・廃墟・暴風雨etcがこの隔絶された孤島の得たいのしれなさを妖しげに映すし、薄暗い病棟内はまるで「羊たちの沈黙」の医療刑務所を思い出す程不気味な閉塞感がダークでミステリアスに重く描かれている。
と映像面ではかなり楽しめたけれど肝心の謎解きは・・・、上映前の‘これからご覧になる方へ’の注意事項が逆効果。
「この映画のラストはまだ見ていない人にはけっして話さないでください」が出るのは、まっ本作が「衝撃のラスト」という触れ込みでの宣伝だけに特に意外ではないけれど、今回はご丁寧に「人間の脳は都合の良いことしか解釈しない。登場人物の表情や手の動き目線や仕草にも注目しましょう」という旨まで。で、このテロップのお陰であのラストもさらに二重三重の展開があるのかもな〜んて深読みしちゃうもんだから意外にあっけなく肩すかしって感じ。
映画館を出てから中に携帯電話を忘れてきたという影武者さんと探しに戻ったらどこにもない(;_;)この次の上映回はお隣の劇場に変更になる為「シャッターアイランド」の看板が移っていたのに気が付かず鑑賞したお隣の劇場を探していたらしい。仰々しいテロップが余計だと文句言ったそばから「人間の脳は都合の良いことしか解釈しない」を実感することになるとはねぇ 人間は思い込みから逃れることはできないのネ。とほほ。




2010/3/30 【 しあわせの隠れ場所 】
エア・カナダの機中にて「しあわせの隠れ場所」を観た。
裕福な白人一家に助けられたが貧しい黒人少年がフットボールの才能を開花させていくというサクセスストーリーが、ななんとラストにわかったことながらこれは実話だそうで逆にビックリ。
あまりに美談として話が出来過ぎで途中から引いてしまった。あの家族はすんなり過ぎて本当にこの少年を家に受け入れるのに葛藤がなかったのでしょうか?
主演のサンドラ・ブロックはアカデミー主演女優賞受賞。まぁ他の作品と比べ何が突出していたかはよくわからないけれどめちゃくちゃ良い人を演じたのは確か。っていうかこの作品は、白人一家だけじゃなく関係者が総じてみ〜んな良い人なんだけど・・・。マイケル君も劣悪な環境にも関わらず悪に染まらず優しく純粋そのもの。
事実だとしても良い人のオンパレードに嘘っぽさを感じてしまう自分って・・・複雑。エンドロールで流れる写真にだけは素直に感動。




2009/11/17 【 ゼロの焦点 】
ゼロの焦点」を観た。
松本清張生誕100周年を迎えて名作が蘇る。アカデミー賞女優3競演ということもウリのようで「夫の足跡を追う妻」「秘密を守る受付嬢」「夢に挑む社長夫人」だけれど、実力の差が明白で、表向きの主人公とは別でこの映画の主人公はどう見ても中谷美紀でしょう。存在感と渾身の演技は圧巻。加えて脇役の木村多江も少ない出番ながら申し分なく実力を発揮。ということで不満はやはり主人公。他の2人が上手いだけにナレーションまんまの棒読み台詞まわしの物足りなさが目立つ。
原作は既読ということで展開は読めるものの、原作とはラストを変えているというので楽しみに鑑賞。が・・・原作に手を入れた箇所が活かされていないような・・・(-_-;)
ラストの室田社長の行動が唐突。犯人による告白シーンも真相にたどりつくということを台無しにして先を急ぎ過ぎ。そして中谷美紀の弟役ははっきりいって不要。
それに加えて、表情が分かりやすいようにドアップになるカメラワークや、いくら人物像がそうだからと言ってもやり過ぎ感のあるハデな衣装etc強調したかったんだろうけれど逆効果で過剰演出になんとな〜く 古臭さを感じた。
鉄道に詳しい人によると、東京〜金沢間を結ぶあの蒸気機関車C11は、地方のロ−カル線など距離が短いところを走る小型の機関車で特急列車を引っ張るという設定自体があり得ないとのこと。詳しくはよくわからないけれど昨今鉄道ブームもあるから観客の目線は思いのほか厳しいということで。

エンドロールの中島みゆきの♪愛だけを残せ ってどーなんでしょう。力強い歌詞ではあるけれど朗々とした歌い方も曲全体も大げさでどーも好きになれない。





2009/11/6 【 サイドウェイズ 】
サイドウェイズ」を観た。
200477回アカデミー賞脚色賞受賞作の「サイドウェイ」を日本映画としてリメイク。ハリウッド版のオリジナルはレンタルで鑑賞したのだけれど劇場公開を見逃したのを後悔させるに十分な面白さだった(サンドラ・オーの大ファン)。
今回リメイクに当たりユーモアを入れたかったのかもしれないけれどオリジナルからぬくもりや哀しみを取り去ってまるでお子様向けにしただけのよう。
オリジナルでは一番のとっておきのワインを飲む主人公の姿にやるせなくなったものだけれど、あのほんのり渋くてほんのり漂う哀愁はどこにも見当たらない。
小日向文世・生瀬勝久・菊池凛子・鈴木京香はオリジナルのイメージを大切にしてのキャスティングというのは伝わるけれど、総じてハイテンションで浮いていた感があるしワイナリーで働く痲有子(鈴木京香)はヒステリックなくらい気が強く魅力に欠けていたような・・・総じて‘たで食う虫も好き好き’ってとこか。
決してはスマートとはいえない情けない大人の悩める姿は、それなりの面白さはあるものの、リメイクに当たり変えたのは日本人のキャストだけということに意味はあるのでしょうか。これだったらはるかに出来の良いオリジナルを観れていれば良い話。
ワインのうんちくを語るについても違和感があって、ここも上っ面をなでた程度。
オリジナルでは「今日開けたワインは別の日開けたら別の味がするハズ」「ピークを過ぎたら枯れはじめていくその味もたまらない」とワインを人生になぞった台詞が印象的だったが、本作でも「どんなワインを飲むかではなくて、誰と飲むかが大切だ」というとても素敵な台詞があったのは救い。





2009/11/1 【 幸せはシャンソニア劇場から 】
幸せはシャンソニア劇場から」を観た。
コーラス」の製作者ジャック・ペランとクリストフ・バラティエ監督が再タッグを組みスタッフ・キャストが再集結したもので本国フランスでは130万人を動員し大ヒット。
1930年代の世界恐慌の影響を受けたシャンソニア劇場にまつわる人間模様の中で、主人公ピゴワル(ジェラール・ジュニョ)と息子ジョジョ(マクサンス・ペラン)の親子愛を描いている。

ピゴワルの‘the庶民’という風貌がいかにも味があって応援せずにはいられないし、ジョジョ君は「ニューシネマ・パラダイス」でトトを演じたジャック・ペランの実息だとかで活き活きと奏でるアコーデォオンの音色はパリの下町にとっても合う。世界観はまさに「ニューシネマ・パラダイス」路線でじんわりあったか〜い作品だった。
登場人物の 飲んだくれのだらしない父親ピゴワル・ストを扇動するうさんくさい男ミルー・あやしげな者まね芸人ジャッキー・ラジオ男こと引きこもりの音楽家 という面々が徐々に愛すべき人情味あふれる違った側面を見せていくという描き方が秀逸。
似たようなタイトルの「今宵、フィッツジェラルド劇場で」では舞台そのものがつまらなかったけれど、こちらの舞台はなんて夢のようで楽しいことか。ここでも登場人物の描き方と同じく、最初客受けの悪いダメダメステージを見せておいた上で後半の夢のようなみんなキラキラ輝いているミュージカル仕立ての舞台を見せてくれるので感慨もひとしお。♪パリ〜パリ〜のドゥース役ヒロインも魅力的。
舞台以外では、近所迷惑かえりみずピゴワルの家の下で、ジョジョがアコーディオンを弾きジャッキーとミルーが歌うシーンが特に好きで 笑わせて泣かされた。
原題は「FAUBOURG 36」で、ファブールとは街外れという意味とのこと。冒頭のピゴワルの台詞で「出身はフォブール」「フォブールはひとつしかない」とあり劇場そのものを指していると思われるので、タイトルはこのままの方が良かったかも。





2009/10/30 【 沈まぬ太陽 】

沈まぬ太陽」を観た。
山崎豊子原作の途中休憩を挟む上映時間3時間22分という長編大作でしかもずっしりとした重厚作品。
一応「フィクション」とはなっているけれど会社から理不尽な不当待遇される主人には実在したモデルがいたというし「御巣鷹山の墜落事故」や会社経営陣vs労組 の図から、モデルとなった国民航空=JALだということは明らか。
社内部の派閥やら政治家や官僚との絡みが赤裸々に描かれる。
日本航空の経営問題がクローズアップしているまさに渦中だけにとても興味深い。しかも日航が映画制作の中止を求め拒否反応したという‘おまけ’つき。
10年近くもカラチ、テヘラン、ナイロビと赴任させられ家族を巻き込んでも、それでも会社の意向をそのまま受け入れる主人公恩地演じる渡辺謙は不思議な透明感をかもし出していた。
今の時代ならさっさと見切りつけちゃうでしょ・・・ しかも東大法学部出だし・・・。その胸の内を ‘矜持’と言って理不尽なことでも受け入れる主人公は昭和ならではの企業戦士なのでしょう。世代が違うこともあってその生きざまは全肯定はできないけれど、こーいう人材が会社の宝だとJALは気づいて膿を出すべき。
上映に圧力かけるなんてナンセンスだしそんなことしているなら再建も無理でしょう。





2009/9/28 【 それでも恋するバルセロナ 】
ウディ・アレン監督の「それでも恋するバルセロナ」を観た。
ウディ・アレン監督もすぐに気に入ったという「♪バルセロ〜ナ」と繰り返し流れる主題歌のまさに「BARCELONA」という曲は一度聞いたら忘れられないくらい印象的で、まさにこの映画にぴったりの曲。
登場人物の性格や心情を第三者のナレーションでわっかりやすく語る演出はウディ・アレンらしさ。
タイプの違う親友が同じスペイン男を好きになるっていうことだから友情どころじゃない泥沼バトルになるかと思いきやひとひねり加えているところが面白い。まぁこの二人の性格は違えどもアメリカ女ってのは一般的にストレートで感情的なイメージが強いんだけれどスペイン女はその比じゃないってのがミソ。自分はどのタイプなんて考えながら見ても面白いかも。
スペイン男女の両人の「成就しない愛だけがロマンティック」との意味深な台詞はストーリー展開の伏せんになっていたような。バルセロナという魅惑的な土地で情熱のバカンスを過ごした2人からはなんとなく大きな‘ため息’が聞こえてくるような気がした。
アメリカ女もたじたじになるくらい激情的でエキセントリックなスペイン女を演じたペネロペ・クルスはアカデミー賞助演女優賞を受賞したけれど う〜ん それほどかなぁ。オスカーはやっぱり先日観た「レスラー」のマリサ・トメイに軍配あげちゃうなぁ。




2009/9/26 【 セントアンナの奇跡 】
セントアンナの奇跡」を観た。
人種問題を鋭く描き、黒人社会を代表する社会派監督、スパイクリーの初めての戦争映画。これは2時間43分という時間を感じさせない力強さで骨太作品だった。
冒頭の不可解なNY郵便局での殺人事件と犯人宅から見つかった貴重な彫像で謎を投げかけ 一気に惹き込む‘つかみ’は最高で、その後彫像が消えた40年前のイタリアへ遡るという展開もお見事。
戦闘最前線の
黒人兵だけで組織されたバッファロー・ソルジャーの4人が中心なんだけれど、‘チョコレートの巨人’以外の3人は見分けがつかなかったのが残念(-_-;)
この4人の目を通し、米軍の上官・ドイツ軍の上官・トスカーナの人々・アメリカ南部の白人と様々な視点から単なる敵味方では割り切れない人種差別も浮き彫りにしていくのはこれぞまさにスパイク・リー色。
イタリアで起きたセントアンナの大虐殺を背景にトスカーナの村やパルチザンを絡ませ凄惨な戦闘シーンも多いけれど、トスカーナの素朴な風景と人々や‘チョコレートの巨人’になつく少年の様子も印象的。
冒頭の謎が繋がってむかえたラストはちょっぴりファンタジックでもあって感動的で爽快。





2009/9/21 【 サンシャイン・クリーニング 】
サンシャイン・クリーニング」を観た。
ラストのはっちゃけが爽快で愉快だった「リトル・ミス・サンシャイン」のプロデュースチームが再び集結したという触れ込みの本作にかな〜り期待したのだけれど・・・盛り上がりに欠けユーモアも半端で肩すかし。
姉妹の事件現場のクリーニングの仕事自体は怖いもの見たさも手伝って面白くなりそうな設定にもかかわらず、孤独死した故人の娘とのエピソードにしても、母の自殺にしても、華やかな高校時代とのギャップにしても、どれもが中途半端で上手くかみあっていない。
終盤に姉妹が「TV画面で見る若き日の母」は重要なシーンなんだろうけれど 心象がイマイチ伝わってこないのもマイナス。
やはり「リトル・ミス・サンシャイン」にも出演していたメアリー・リン・ライスカブの仏頂面が、ドラマ「24」のクロエ・オブライアン役にそのままリンクしてここだけちょっと苦笑。





2009/9/6 【 サマーウォーズ 】
細田守監督のアニメ「サマーウォーズ」を観た。
観客動員100万人突破の異例の長期興行展開となっている。正直それほど期待していなかったけれど、劇場も混んでいて確かな人気を実感。
アニメといえば重鎮は宮崎駿なんだけれど、宮崎アニメにはないデジタルの世界観まで見事に表現されていて斬新。
そういえば鳩山夫妻も鑑賞したと話題になって「友愛だね。デジタルの時代になってもね、一番大事なことは人間のきずな、愛だなと思いましたね。」との感想を言っていたっけ。「友愛精神」にも通じてタイムリーということか。
古き良きこれぞ正しい日本ならではの普遍的慣習と家族像vsバーチャルの世界という対極の対比がお見事。おばあちゃんを中心にした普遍的な親族の集まり・夏の風物・大勢で囲む食卓・田舎の風景・現代っ子の孫達・ネット上での危機・シャープな頭脳 と「セカンドライフ」を彷彿させる仮想都市OZがとても上手く絡み合っていて完成度が高い。
忙しいだの遠いだの言いながら親族が一堂に会するって大切だなぁとノルタルジックな気持ちになった。
今やアニメーターの憧れの第一人者細田守監督は半端ないですね。今後も大注目。





2009/5/27 【 重力ピエロ 】
伊坂幸太郎原作の「重力ピエロ」を観た。
今年観た「フィッシュストーリー」があまりにストライクで良かっただけにこちらも期待。ただ先に原作読んじゃってるので映画に辛口になりがちなのが心配。
兄役の
泉水加瀬亮と弟役の春の岡田将生のも父の小日向文世のキャストも申し分なし。
この作品の魅力は何と言っても印象的な台詞にある。冒頭とラストにも登場する「春が二階から落ちてきた」 「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」 「おれたちは最強の家族なんだ」 「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんてなくなる。」 「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」etcこれらの珠玉の台詞がさりげなく実はとても深い意味を持って語られている。
おっとりした兄と実はとんがった弟の偉人の名言がちりばめられた博識な会話も魅力。ということで大幅にカットされていたものの原作の空気感を基本的には損なっていなかった。
ただ・・・これを言っちゃお終いなんだけれど、登場人物の苦悩は理解できても、ここまで回りくどいやり方をするに至ったことにはなんとなく違和感が残る。タイトルは、どんなに悲しくてもどんなに重いものを背負っていてもいつも笑っているピエロに自分たちを重ねている。





2009/4/27 【 スラムドッグ$ミリオネア  】
スラムドッグ$ミリオネア」を観た。
イギリス人ダニーボイル監督が有名スターを誰も出演させずインドを舞台に1500万ドルという低予算で製作。にもかかわらず200981回アカデミー賞で作品賞をはじめ最多8部門を受賞。
青年ジャマールの半端ない生い立ちが回想されて「スラム育ちの少年がなぜミリオネアの難問題に答えることができたのか。」が解明されていく。
インドの最下層の過酷な暮らしの中、スラムの路地を縦横無尽に駆け抜ける子供達のなんてエネルギッシュなことか。スラムのトタン屋根が引きながら広がり無数に立ち並ぶ風景・ヒンズー教徒によるイスラム教徒への襲撃etcよくここまで描いたというくらい強烈なシーンが続く。どんな状況でも生き抜くその底抜けな力強さにこれぞ生命力というものを見せつけられる。
インド・・・半端なくマジすごっ!
子供時代いつも行動を共にしていたジャマールとその兄のサリームがいずれ対極の人生を歩んでいくことになっていく過程を平行して描くとともに、幼い頃知り合った少女ラティカへの純愛が軸になっていて、この三者三様の生き様も見どころ。
兄サリームが弟のことを「決して諦めない男」と言っているとおり一見ひ弱そうなジャマールのバイタリティあふれた行動には不屈の精神がみなぎっている。
エンディングはいかにもインドらしい踊りでサービス満点。




2009/4/25 【 シリアの花嫁 】
シリアの花嫁」を観た。
岩波映画を近所の映画館で観れるってのは嬉しい。イスラエル占領下のゴラン高原を舞台にささやかな結婚式の1日を描く。
このゴラン高原は、もともとシリア領だったのが、第三次中東戦争でイスラエルが占領後、この高原の住人がイスラエル国籍取得と拒否した為、無国籍となっているという。シリアに嫁ぐことは、2度とイスラエル領地の故郷に帰ってこれない為、家族との今生の別れになるとは・・・なんとも不条理な話。
不安な花嫁モナ・警察に目をつけられている反イスラエルの父・温かい母・夫との関係が悪い姉・ロシア人と結婚し父に勘当されている長男・イタリア帰りのお銚子者の次男・その次男の元恋人の国連事務所職員etc多国籍の人々の微妙な感情が特殊な国情と絡まって描かれる。軍事境界線をはさんでの国が、いかに頭が固くばかばかしいものかをユーモアを交えている。
こんな複雑でも‘お祝い事’の元で人々の気持がつながれていくのだから結婚式ってステキ!
ラストの意外な展開で、腹をくくって自分から人生を踏み出したモナはなんともたのもしく当初の不安な表情が消えていた。お幸せに。





2009/3/10 【 ZEN禅 】
道元禅師を描いた「ZEN禅」を観た。
規制仏教に疑問を抱き‘只管打座’ を説きその時代を導いた曹洞宗の開祖道元の生涯を描いている。まず驚いたのは日本人俳優の中国語。笹野高史も然りでどんだけ苦労して習得したことやら・・・特に主演の中村勘太郎にいたっては台詞の3分の1が中国語だったとか。その台詞がどれほどの完成度かはわからないけれど、それでも重厚感たっぷりで全く違和感がなかった。
歌舞伎界の伝統芸能で生きているだけあって中村勘太郎は映画初主演とは思えない存在感であの声の張りはさすがだった。
禅語は難解だし専門用語も多いけれど道元という人物の凛としたぶれない生きざまに心が洗われるような気持ちになり映画を通じて成長できたような・・・。
「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪冴えてすずしかりけり」と詠んだ代表的な和歌にリンクする映像美も見応えあった。たまには日頃の毒を消してくれるような映画も良いものです。
おりん役の内田有紀絡みで寺を去る俊了役の高良健吾が、この数日後に観た「フィッシュストーリー」でも抜群の存在感があった。





2009/3/4 【 ザ・ローリングストーンズ シャイン・ア・ライト 】

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」を観た。
ミック・ジャガーとはお互いrespectしあっているマーティン・スコセッシ監督。
「ライブ以上の興奮を体感できる」というだけあって映画は最高!!いやぁ良かった。
2003年のストーンズの東京ドームコンサートでは豆つぶ大の大きさにしか見えない席だったにもかかわらず大興奮したものだけど+スコッセッシ監督の凝ったカメラワークでもう目が釘付け。
曲順どころか曲名さえ知らされていないスコセッシ監督の困惑顔の奮闘振りも、コンサート前に時間を設けられたクリントン大統領一家をはじめお偉いさん方との挨拶シーンも映し出す。

このライブの2006年当時、ミック・ジャガー63歳・キース・リチャード62歳・ロン・ウッド59歳・チャーリー・ワッツ65歳だというから驚き。顔は皺だらけで、まんま歳を重ねていながらパワフルでセクシーなのは驚異。そして見るからに歳相応のスコッセシ監督(64歳)とミック・ジャガーが1歳違いというのも思いきり驚かされる。
若き日のメンバーの映像も織り込みながら60代になっても変わらないカッコ良さがあふれている。若きミック・ジャガーが「60歳になっても、バンドを続けていますか?」という質問に、当然のごとく「続けているよ」と答えるシーンがあるけれどまさにこの映画の為の貴重なワンシーン。
カメラはライブの全体像から舞台裏までを映しだしていて、ドラムのチャーリー・ワッツが曲が終わってふぅふぅしているサービスシーンも見ることができて笑ってしまった。
メンバーから「ライブコンサートではなく、これは本当にマーティンの映画で、僕らは単なる主役にすぎないんだ」と言われちゃうなんて監督冥利につきると思われる。





2009/3/3 【 少年メリケンサック 】

少年メリケンサック」を観た。
宮藤官九郎の、「真夜中の弥次さん喜多さん」に次ぐ監督2作目。はっきり言って1作目はひどかった(-_-;)
でも今回パンクバンドだし、去年鑑賞したのデスメタルバンドのDMCが思いきりストライクだったので、そっち系に通じるものがあるかと期待しての鑑賞。
アキオ役の佐藤浩市は「ザ・マジックアワー」以上の変役が良かったし、ジミー役の田口トモロヲは実際にパンクバンドのボーカリストだけあって上手い!!宮崎あおいは「篤姫」と平行しての撮影と思えないほどはじけていたし、ガクトっぽい田辺誠一のTELYAも相当のインパクトだし、宮崎あおいと彼氏とのバカップルぶりも笑えたし、♪ニューヨークマラソン♪も何度も聞くうちに馴染んだし、パンクとエンディングの♪守ってあげたい のギャップ・・・要所要所は「真夜中の弥次さん喜多さん」に比べて雲泥の差。
なんだけど・・・な〜んか詰めが甘いかも。ハルオ演じた木村祐一の牛舎時との態度の変化の説明がないし、ジミーの突然の復活に関しても??のままというのはルール違反でしょ。
というワケで何でもご都合良くアリになってしまい展開が荒かったのがとっても残念。





2009/2/1 【 007/慰めの報酬 】
007/慰めの報酬」を観た。
ダニエル・グレイグのボンドになって2作品目で、近作は前作「カジノ・ロワイヤル」のエンディングから1時間後という設定なのでまさに続編的作品。
前作を観て久々に007が面白く感じただけに今回もかなり楽しめた。
ロンドン→中米のハイチ→オーストリア→イタリアのトスカーナ→ボリビア→ロシアと次々に怒涛のように舞台が変わりスタイリッシュな冒険とアクションは飽きることがなく、しかもダニエル・クレイヴはリアリズムにこだわり、全編にわたりほぼスタントを使うことなく、実際に過酷なシーンを演じ切っているという。
ただ、従来の007といえばお楽しみの「改造新兵器」もなく、どちらかというとシリアスなアプローチだったので、似たようなスパイ映画やアクション映画と「007」との差別化を出すのは難しくなってきているのかもしれない。砂漠に建つ現代建築も違和感。
でもこの濃さでなななんと106分とコンパクトにまとまったのはお見事。邦題の「慰めの報酬」は原題「Quantum of Solace」をほぼ直訳したものらしい。
ボンドとボンドガールに共通するのが‘復讐’。その復讐が果たして慰めになるのか、それにより何の報酬を得るのか・・・となんともわかりにくいけれど、ラストのボンドの台詞「死者は復讐など求めない」に、それでも復讐を果たすボンドに抑えきれない強い感情を感じる。
たまたま歯医者の待合室で手に取ったGQ Japanが「007の秘密」という特集だった。007シリーズ全22作にわたっての、ボンドが愛したホテル、シャンパン、ファッション、クルマ・・・。
ボンドの徹底したライフスタイルを紹介していて興味深い!!




2008/12/4 【 その土曜日、7時58分 】
その土曜日、7時58分」を観た。
数ヵ月前に観て良かった「12人の怒れる男」の監督(シドニー・ルメット)だというし、フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホーク出演というので期待大。
失敗するハズのなかった宝石強盗計画が、偶然の悲劇が重なってやがて浮かび上がる兄弟・父息子の確執をえぐり出していく。
原題は「before the devil knows you're dead(お前が死んだのを悪魔が知る前に)」でなんとも強烈。邦題の「その土曜日、758分」とはまさにその事件の時間。一見不思議なタイトルだけれど相当考えたものだと思う。
過去をカットバックさせるのは「十二人の怒れる男」にもあったのでこの監督の特徴かもしれない。「強盗当日」「強盗3日前」「強盗4日前」と時間軸をずらし、徐々に明らかにしていく手法はさすが。
サスペンスであり、人が落ちていくとはこういうことかと人間の弱さを見事にえぐり出したずっしり重い作品だった。




2008/10/7 【 純喫茶磯辺 】
純喫茶磯辺」を見た。
今どき横文字のカフェ時代にセンスない「純喫茶」だもんね。ミラーボールにテレビゲーム用のテーブル。なんだか何から何までベタでイケテないのが懐かしい感じ。
この「純喫茶磯辺」を舞台にイマイチだる〜い人々の日常を描く。
やる気なしのテキトーなダメ親父にイライラする女子高生の娘の仏頂面にめちゃくちゃ共感。仲里依紗という女優はこれまで知らなかったのだけれど反面教師というのかしっかり者のようでいてまだ世間知らずの高校生の危うさやもどかしい感情を上手く出していたなぁ。
これに絡む‘もっこ’なるキーパーソンを演じた麻生久美子の同姓には圧倒的に嫌われる微妙なかげんもなかなか上手い。同性だからこそ分かるうさんくさい相手を嗅ぎ分ける臭覚の描き方も絶妙。
恐ろしく低予算ながら人情の機敏さがうまく出ていてなんか切なくてあったかい映画だった。
廃れる一方の秋田の商店街とは明らかに違う街並みが気になった。典型的な東京の私鉄沿線駅前の商店街。エンドロールで確認するとロケの商店街「和泉多摩川」らしい。小田急+南武線で何度か利用した「登戸」のお隣?へぇっ こんな商店街にこんなお店があったらそれなりに需要があるのもなんとな〜く納得。




2008/9/24 【 セックス・アンド・ザ・シティ 】 
セックス・アンド・ザ・シティ」を観た。
ジャパン・プレミアムは女優やモデルを集めてハデハデに行われたらしく、先行上映ではドレスにクラッチバックで決めキメの女性が多かったという。都心の映画館は平日にかかわずほぼ99分がた女性でいっぱいだった。
ドラマSATCファンは評価が極端に二分されているらしい。私はドラマ未見なので何が女性に受けるのか全く予備知識なしで鑑賞。
「女性がふたつのLを求めてNYにやってくる。肩書きの‘LABEL’と愛‘LOVE’」という冒頭で始まった。
肩書きLABELに関しては既に手に入れた4人の贅沢好きで派手好きで買い物好きの女性のセレブな日常を基盤にした愛と友情の話だった。こここれが とーっても薄っぺらい
この仲良し4人の年齢は4050歳という設定だったのだけれど、ヒロインの彼も含めてとにかく行動が大人とは思えない。
主演のキャシー演じるサラ・ジェシカ・パーカーはセレブを鼻に掛ける嫌な性格ではないし、ブランドに囲まれ好き奔放に生きているというのが女性に支持されているのかもしれないけれど、「指輪よりクローゼット」を語りそれをスンナリ叶える彼氏にゲンナリ。目玉となっている1000着の服もハデなだけで羨ましいとは思えなかった。
唯一アシスタント役のジャニファー・ハドソンのほうが等身大で好感が持てた。
12R指定では甘いくらいでちりばめられたユーモアはやたら下品。




2008/9/24 【 12人の怒れる男 】 
1957年のアメリカ映画をリメイクしたロシア映画「12人の怒れる男」を観た。アカデミー賞外国語映画賞にもノミネート。
チェチェン人少年の継父殺人容疑をめぐる12人の陪審員の審議。体育館を舞台にした密室会話劇。
一部屋の中で、二転三転しながら事件の真相に迫ろうというストーリーは大好きな邦画「キサラギ」と共通している。

12人のおじさん(ビジネスマン・ユダヤ人・芸術家・タスシー運転手・TV会社社長・カフカス出身の医師・芸人・墓地の管理責任者・建築家etc)のそれぞれの人生経験の吐露から現代ロシアの問題点を浮き彫りにしてこれが有罪無罪判断への分岐点となっていく(ミハルコフ監督自身が陪審員の1人として出演)。
今回は最終的な展開はおよそ察しがつくものの
160分という長い上映時間が気にならないほどグイグイ引き込まれた。
独房の中の少年・体育館に迷い込んだ鳥の羽ばたき・少年の悲惨な記憶のフラッシュバックを何度も挿入しているのが一種のリズムとなっているのに加えて、ピアノ演奏・ナイフさばきのシーンの挿入が効果的。
日本で2009年から陪審員制度がスタートすることを思うと1人の人間を裁くとはこんなに重い意味を持つということを改めて考えさせられる作品だった。




2008/9/21 【 シークレット・サンシャイン 】

韓国映画「シークレット・サンシャイン」を観た。
かの衝撃作「オアシス」の監督ということだし各国の映画賞も受賞しているというのでも〜〜〜のすっごく期待していたのだけれど・・・。
心を病んだヒロインが主役で、それを受け止める見守る男という構図が、先日観た邦画「ぐるりのこと。」と重なる。
タイトルの意味が映画の冒頭の台詞で明らかになる。「密陽」という地方都市の名前そのもの。そしていずれ明らかになっているのだけれど、壊れかけた女性にとっていつもどんな時も近くで観ていてくれる人の存在そのものが‘シークレット・サンシャイン’という伏せんがついている。
チラシに「すべての悲しみを癒す日射しそれはあなたんだったのですか?」とあるのでてっきり恋愛映画かと思っていたのだけれど違っていた。
韓国の地方都市って日本と似ているもんなのねぇとか宗教に目覚める過程とか面白くなくはないけれどなにせこの映画は2時間22分以上に長く感じる。主人公の心を丁寧に描きたかったのでしょうけれどうんざりするほどダラダラ感が残りなんかぐったり疲れた。
主人公を演じたチョン・ドヨンにどよ〜んとさせられたって感じ(-_-;)





2008/6/17 【 JUNO/ジュノ 】

わずか7館での上映が口コミhitしアカデミーで主要4部門ノミネートした「JUNO/ジュノ」を観た。
10代の望まない妊娠をめぐる一連のことが、驚くほど淡白に描かれている。
よくわからないけれど多分にギャル語チックなスラング満載なのと、責任を自分で背負い人に押し付けずイジイジしない主人公の前向きさがアメリカでは受けたのかも。
でも、妊娠を取り巻く環境も日本と違いがあり過ぎることと、何より周囲の物分りの良さに戸惑ってしまった。
父娘の会話の後、何を思ったかこれまで隠していた気持ちにJUNOが気付くシーンがあるけれど、「腹を見ないで顔を見てくれる」というあの優柔不断のボ〜ッとした彼にはドン引き。加えてアノ里親の旦那はなんじゃい・・・子供じみていて呆れるばかり。
どよ〜んと重いテーマをいかにライトに描くかがこの作品のテーマなのかもしれないけれど、こんなんで良いワケないじゃんというのが正直な感想。





2008/6/9 【 ザ・マジックアワー 】

三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」を観た。
正直前作の「THE有頂天ホテル」はそれほどでもなかったので話題性ばかり先走っているのかと期待せずに鑑賞したら・・・これが結構笑えた。
「マジックアワー」とは夕暮れのほんの一瞬でもっとも美しく見える瞬間だとか。ここで描いているのは「誰の人生にも輝く瞬間=マジックアワー」があるというのがテーマとなっている。
まずは練られた脚本に感心。
コメディに佐藤浩市が出演したというより今回佐藤浩市自身がまるでコメディアン。よくここまで演じたし、これをやらせてしまう三谷幸喜って・・・いったい。佐藤浩市は「こんなに愛される役は始めて」と言っているようにこの映画で高感度upしまくり。
主演はもちろん全体的に‘クサイ’映画でそこが面白い。脇役陣の中でも小日向文世・寺島進・伊吹吾郎はさすがのキャスト。
リアリティのない中で逆に裏方の照明さん・スモーク屋さんetcが実にリアルな職人の技を見せてくれたのが印象的。エンドロールにオールセットのこの街が完成するまでが早送りで映し出される。まさに裏方さんの仕事というものをみせてもらった。





2008/6/3 【 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 】

今年のアカデミー賞でダニエル・デイ・ルイスが主演男優賞を受賞した「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を観た。
いやぁこの主人公はすごい。揺るぎない+迷いがない。冒頭からサイレンのようなオーケストラの不協和音の中、主人公が油まみれでその身を挺して全身全霊で格闘しているシーンから目が釘付け。この音楽効果はかな〜り効果的。
アメリカンドリームというが身を挺した姿は半端ない。なんでもかんでも詰め込む作品が多い中、この作品に女性は登場しないのも良く、あくまで主人公の石油を求めた生き様を癒しの類とは無縁に描いているのに圧倒される。油まみれというか油ギッシュな人生なのよ。
対立するのがカルトめいたイーライ牧師。これを演じたポール・ダノつながりの出演作「キング罪の王」で登場する偽善者の牧師(ポール・ダノの父親役)とダブルくらいこの映画では宗教者の偽善も描いている。きれいごとを言っている牧師と手段を選ばない主人公を見比べても本能むき出しの主人公の方がなんだかまともとに思えてしまう。

終盤に映る主人公の豪邸にボウリング2レーンがあったのに目が釘付け。今でも1レーン1,000万円と言われているものだけれど自宅にボウリングレーンとは・・・。この演出にも参りました。
Blood’とは石油のことでもあり血という意味も含む。石油だけではなく宗教や血縁にも一石を投じるようなアメリカのタブーに取り組んだ作品だった。





2008/5/13 【 最高の人生の見つけ方  】

最高の人生の見つけ方」を観た。
余命6ヶ月と宣告された人生の終わりを迎えつつある2人が最後の冒険を体現したドラマ。この2人とは、夢を諦めても家族の為にささやかに正直に家族と暮らしてきた男と、家族を省みず強欲に仕事で財を成した男。モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンの共演ということでも期待大。
残された時間は諦めた別の自分の人生を「棺おけリスト」を実現することで果たしていく。「スカイダイビング」「マスタングを乗り回す」「ライオン狩」「最高級のレストラン」「タトゥー」etcなんだか少年のような2人の表情にこちらも嬉しくなった。余談ながらマスタングつながりで思い出したけれど20代での初めて購入したマイカーは「マスタング」。たった400ドルのボロ車だったけど・・・(-_-;)
片方が巨額の富を持っているのでお金で解決するものは糸目をつけずガンガン実現していく。プライベートジェットで世界を飛び回る様子にお金で買える夢もあるなぁと思った()一方お金で買えないリストもあるわけで、特に「世界一の美女とキスをする」は予想外の展開でなんかとても幸せな気持ちになれた。
ある意味豪遊はケタ外れで現実離れしているのでなんだかしっくりこないけれど、この2人の組み合わせだからこそお互いの夢を実現でき半年で一生分笑えたんだと思う。人生のラストこんなに笑えるっていいな。





2008/5/12 【 さよなら。いつかわかること 】

さよなら。いつかわかること」を観た。
戦争で母親を失った家族の物語。アメリカの現役兵士の14.3%が女性で、そのうち約40%が子供がいるそうだ。
訃報を聞いた父親がそれを受け入れられないままに子供達にそれをどう伝えるか悩む姿を描いてる。ジョン・キューザックが中年らしいちょっとくたびれた体格は役に合っているけれど、歳取ったなぁと思った。眼鏡が似合ういかにも賢そうな12歳の長女はその父親の不安定さを察知し気遣いをみせるのに対し、8歳の次女は何も知らず無邪気。本当のことを知った時、一番受け入れるのが難しい年齢なだけにこの天真爛漫な笑顔は痛い。
かつては自分も志願しそこで出会った妻が出兵している主人公と対照的なのが、定職も持たず戦争反対だけを論じる弟。その弟との葛藤や子供達との旅を通してやっと「家に帰ろう」という気持ちになった時にひとつの壁を越えたのかもしれない。
家族を失った喪失と再生の映画といえば最近観て圧倒された「悲しみが乾くまで」が浮かぶ。喪失感に関しては私にはあっちの作品が数倍堪えた。
母親を失ったこの子供達が直面した現実はあまりに悲しいけれど、こーいう辛い経験は人を成長させる。この後も続く心の悲鳴と向き合っていくことは人の痛みがわかるようになるハズ プラス 強くなれるょ。





2008/4/18 【 潜水服は蝶の夢を見る 】

潜水服は蝶の夢を見る」を観た。
身障者を内側からとらえる映像。
先日観た
「クローバーフィールド HAKAISHA」も体験型映像だったけれどこちらも主人公目線。こーいう映像はダメな方にはダメだろうけれど臨場感は圧倒的。
実在したファッション誌「エル」の編集長ジャン・ドミニク・ボビーが脳梗塞で片目のまぶた以外の自由が効かなくなってしまった。天国から地獄とはこのこと。アタマがしっかりしているだけにこの置かれた状況には言葉を失う。
20万回にも及ぶまぶたの瞬きだけでアルファベットの中から単語を選び書き上げた自伝の映画化。世界31ヶ国で出版されフランスでは14週連続1位を記録した大ベストセラーだという。
この変わったタイトルの意味は映画を観ているうちに次第に理解できる。主人公の言葉では「身体は‘潜水服’を着たように重くても、ぼくの想像力と記憶は、‘蝶’のように自由に羽ばたく―。」とある。なんて奥深い意味があるタイトル・・・胸がつまる。
年老いて家から出なくなった主人公の父親・愛人との会話の手助けをする妻・あきらめずコミュニケートする言語療法士などを絡め、奇跡の人生を死と向き合いながら過ごした凄まじい主人公の人生を愛・夢・ユーモアでありのまま描いている。





2008/4/11 【 ぜんぶ、フィデルのせい 】

ぜんぶ、フィデルのせい」を観た。
1970年代初頭のパリで裕福に何不自由なく育ってきた9歳のアンナが主人公。自分の知らないところで両親が社会運動に傾倒していくことで否応なく大人の都合でこれまでの生活がみるみる変わっていく。それもこれも「ぜんぶ、フィデルのせい」なのだ。このフィデルとはフィデル・カストロ。そうあのカストロのことだとは・・・。なんとも面白いタイトル。
この映画ではアンナが仏頂面で反抗する。このアンナの膨れっ面が可愛い。プラス暮らしが一変しようとも、いかにもパリに暮らす子供らしくファッションセンスは終始楽しめた。
親の都合という意味での社会背景はかなり難しい。70年代のフランス・スペイン・チリ・ギリシャ・ベトナムの時代背景も分からないし、アンナが言う「キョーサン主義」のフランスの反体制(共産主義や社会主義)運動やアジェンデ政権・人工妊娠中絶の権利を求めるウーマンリブ運動に関しても知識がない。
この映画を理解するのはかなり自分のレベルが低いということになるけれど、難しいことはさておいて大人の都合で子供の環境を変えるというのはまさに実体験。どこの国でも子供の立場は弱いもので子供はそれに適合していくしかない。この作品はその子供が大人の都合を自分なりに理解して受け入れていくという柔軟性を描いていた。





2008/4/2 【 SweetRain死神の精度 】

Sweet Rain 死神の精度」を観た。
金城武が人が死を迎えるまでの7日間を観察し死の執行or見送りをジャッジする死神を演じている。
人間に興味ゼロという死神の役故からかあまりに棒読みなのも役作りなのか?人間への反応がないのは良いとしても会話のズレは笑いどころなんだろうけれど笑えない。(-_-;)仕事の合間に大好きなミュージックを聞くのが唯一の楽しみという死神はターゲット3人のそれぞれの時代(1985年、2007年、2028年という設定らしい)にミュージックを楽しみそのシーンでそれぞれの時代考証を描いている。
この映画は3つの話がオムニバスのように展開していき実はリンクしているというもの。
が、それにしても・・・3つ目に登場の富司純子はミスキャストではないでしょうか?人の人生には色々あって性格もその中で変化するとしても、もう少し伏し目がちで気配りがあっておどおどしているカケラでもないとしっくりこないのよね。3つ目に登場するロボットも違和感ありまくりで無いほうがマシ。しかもロボット以外で20年後を想像するのは難しいし・・・。映画は消化不良ながら、これは映画ではなくTVドラマでシリーズものとして細切れにした方が正解かも。





2008/3/7 【 ジャンパー 】
ジャンパー」を観た。
凝った予告編で相当の期待をもっての鑑賞・・・が、何これ?主人公が軽薄なアホな犯罪者なので魅力ゼロ。
‘ジャンパー’vs‘パラディン’の構図。ジャンパーはイケメン俳優(ヘイデン・クリステンセン)が演じパラディンはいかにも悪人顔のサミュエル・L・ジャクソンが演じているので、パラディン=悪かというとそうではない。好き勝手やっているジャンパーに問題があるので、ある意味追われるのは当然かも。ということで一体どっちが悪なんでしょう??
世界中をロケした観光名所巡りだけは確かに面白かった。エジプトのスフィンクスの上・ロンドンのビックベン・オーストラリアでのサーフィン・ローマの遺跡etc・・・なんと日本の銀座・新橋・秋葉原・渋谷にもジャンパーが出現していたのには驚いた。
オバカな若者が次第に自分の能力を個人的にではなく崇高な目的に使っていくようになるというアプローチとしての1作目ならまだしも なんか今後が心配。




2008/1/20 【 スウィニートッド フリート街の悪魔の理髪師 】

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」を観た。
ジョニー・デップとティム・バートン監督の名コンビの本作は「スプラッター・ミュージカル」。
猟奇的なシーンが多いので好き嫌いが分かれそう。とは言っても血が多い割にはサクっサクっと殺していくのであまり怖さもグロテスクな感じもしなかった。
あくまで冷静に切なさと狂気を演じるジョニー・デップは歌も初披露。ミュージカルといっても出演者の歌は、特別上手いという程ではないにしろそれぞれ安心して聞く事ができた。
スウィーニー・トッドにひけをとらないアクの強い不気味さをかもし出している女優のヘレナ・ボナム=カーター演じる恋するラベット夫人の妄想シーンがあまりに乙女ちっくでクスクス。
ダークな世界に血の赤が一段と鮮やかで、この作為的な色彩がホラーとは違う美意識を感じさせるバートンワールドへいらっしゃいませ。そして、永遠にさようなら。





2007/11/10 【 自虐の詩 】

業田良家のベストセラー漫画が原作の「自虐の詩」を観た。

いつもとても役に立つ漫画を教えていただいているありがたたい方から薦められた漫画がついに映画化になった!!4コマ漫画をの常識を覆した‘日本一泣ける漫画’をどう映画化されるのかとても楽しみにしていた。原作で印象的なのは何度も登場する幸江の「私は私が嫌いよ」の台詞。
前半には日常にちゃぶ台をひっくり返す暴虐なイサオに耐える幸江を描き、後半にはこの2人の馴れ初めと中学時代の回想シーンとなりこれが前半の謎解きの役割を果たしている。
個人的には、幸江と熊本さんのエピソードが好き。駅での別れのシーンと再会には胸がつまった。後にこの熊本さん役で登場するアジャ・コングははまり役。
予告編で目にやきついている漫画のイサオに似ているパンチパーマの阿部寛はともかく、中学時代の幸江と友達の熊本さんまでもがイメージにぴったり。と、よくよく考えると総じてキャスティングは申し分ない。
「幸も不幸もないんだ。生きていることには明らかに意味がある」という幸江の言葉に救われた。





2007/11/2 【 スターダスト 】

冒険ファンタジーの「スターダスト」を観た。

様々な困難にあいながら流れ星を探すため、壁の外に広がる魔法の国を旅する青年の冒険を描いている。

頼りない青年が冒険を通してたくましくなっていくのはまぁお約束ながらもヒロインに華やかさが足りなく、この主演の2人にあまりにオーラがない。何故か主演をくっている超豪華な脇役は見応えあった。若さと美貌を手に入れようとする魔女役のミシェル・ファイアーの容貌が醜く崩れていく過程はリアル過ぎ。っていうかつい先日「ヘア・スプレー」を見たあの美貌のイメージをかなぐり捨ててここまでやるかと畏れ入った。そして空飛ぶ海賊のロバート・デニーロもやってくれた!ということでこの2人のユニークな存在感ばかりが印象に残った。





2007/11/1 【 象の背中 】

秋元康が新聞に連載した小説を映画化した「象の背中」を観た。
タイトルは、死期を悟った象が群れを離れ死に場所を探す旅に出るという言い伝えに由来。
久し振りに不愉快な映画を観た。
これまで一流企業の一線でバリバリ働いて、円満家庭で、愛人までいる恵まれた?サラリーマンが突然死の宣告をされるのだが、有り得ない程話が綺麗過ぎ。あまりに主人公に都合の良い妻・子供・愛人etcなので安っぽいセンチメンタリズムにしか見えない。現実離れした出来過ぎた妻、キレイ過ぎる不倫etc数々の恋愛本の筆者でもある秋元康の理想世界かぃ。
甘すぎるっ!





2007/10/20 【 幸せのレシピ 】

ドイツ映画「マーサの幸せレシピ」をハリウッドリメイクした「幸せのレシピ」を観た。書評ではオリジナル以上にアニメ「レミーの美味しいレストラン」との比較がなされているみたい。こーいうのは映画に限らずTVドラマでもよく登場するテーマなので新鮮味はないものの、料理を目で楽しむという意味合いでは外れはない。
思いがけず荒川静香のイナバウアーの曲プッチーニの♪トゥーランドットbyパバロッティで聴くことができたシーンがあった。
「リトル・ミス・サンシャイン」の子役のアビゲイル・ブレスリンが愛らしく、相手役のアーロン・エーカットの陽気さも心地よかった。
それにしても美味しかったら伝えるのはシェフではなくてもお店のスタッフで良いし、まして不味かったら何も言わずもう2度と行かないというスタンスだけに、美味しかったらシェフに挨拶とか、気に入らないとクレームをつけるというのは国民性なのかちょっと驚いた。





2007/8/4 【 絶対の愛 】

韓国映画「絶対の愛」を観た。

整形をして好きな人と新しく出会いたいという思いはわからなくもないけれど、っていうかその気持ち現実的かはさておいてフツウにわかる って言うか とってもわかる

TV「ビューティコロシアム」でも整形後に告白なんてのもよく見るパターンだし・・・。

但しこのヒロインのあまりのひとりよがりの気性の激しさにはドン引き。彼氏がこの性悪に振り回させているだけ にも見えた。ってことでまとめると 極度のヒステリー焼きもちやき女と青年の風俗映画。是非内面も磨きましょうネ。ビューティーコロシアムだったら和田アキ子に一喝されているかもよ。

山本文緒の文の「愛は人を壊す」ってのが浮かぶ。

何度も登場する喫茶店でこのカップルがどんだけ店の迷惑になったことか・・・それでも何度も来店する神経をまず疑うし、顔に布や写真を貼り付けて歩くのも、整形がばればれの派手なマスクも違和感あり過ぎ。彼氏に近寄る女性がトイレで見たものはさて何だったのかも最後まで謎。

監督自身は「顔が変わったら愛は変わるのだろうか?」あるいは「愛というものは永遠のものだろうか」問いかけをしたものと主張しているようだけど、全体的に否定的な作品に仕上がっている為、どうしてもアンティテーゼの感を受けてしまう。

大統領もやるくらいの整形王国の韓国で、ヒロイン演じたソン・ヒョナはなんと自らの整形をカミングアウトしている。なんとまぁ 潔い女優じゃないの。パチパチ。がこの作品の全顔整形が一般ピープルの成人にできちゃう金額のものなのかはかな〜り疑問。リアルな整形手術シーンはインパクト大で、キム・ギドク監督らしい展開が読めないというか一筋縄ではいかない面白さはあったかも。





2007/7/16 【 サン・ジャックへの道 】

仏映画「サン・ジャックへの道」を観た。

フランスからスペインまでのサンティアゴ巡礼路の1500qの旅。「サンティアゴ」と何度も出てきてアレ?と思ったが、フランス語では「サンジャック」と言うそうだ。

メンバーは仲の悪い3兄姉・若い女の子2人組・アラブ系移民の少年2人・単身参加の女性1人・ガイドの9名。

冒頭の郵便物が仕分けされ3兄姉にこの旅の通知が渡るまでのテンポ良いシーンから引き込まれた。その3兄姉の救いのない持ち味は強烈で楽しめた。

まとまりのなかったメンバーだったが、言葉に問題をかかえ「頭が弱い」と見られていた少年の無垢さが見えてくるようになったり、最初見えていなかった内面の痛みが見えるかのように眼差しが優しくなっていく。

日常で背負っているそれぞれの背景やトラウマが「夢」という形で描かれていて抽象的でちょっと分かり難いシーンもあったがスパイスになっている。

あれもこれも詰め込んだ重いリュックから余計な荷物が捨てられて、その分得たものは・・・到達した先には達成感や連帯感という言葉以上の何かがあった。生き方や考え方って自分次第でどうにでもなるってことをこの9人の愛すべきメンバーから教えてもらった。





2007/6/30 【 ゾディアック 】

実在したアメリカの犯罪史上初の劇場型殺人事件を描いた「ゾディアック」を観た。
犯人から新聞社へ暗号文書を送ったりとマスコミを翻弄したこの事件は未だに未解決。
予告編では「その暗号を解いてはいけない」と、一体どんな難解なものだろうという印象を与えているのに、本編ではあっさり暗号は解読されている(しかもたいした暗号ではなかったというオチ付)(-_-;)。またしても予告編の影響でゾディアックと名乗る犯人は一体どんな猟奇殺人犯かと思いきや・・・そこらへんも期待外れで、犯人そのものよりこの事件に関わった男たちに重心を置いて描いている。
つかまりそうでつかまらない壁にあたりながら、新犯人かという人物の登場の場面ではドキドキ恐怖感を煽ったのは良いけれどよくよく考えるとあれは意味があったのかかな〜り疑問。それでいて科学捜査でも断定できなかった犯人をエンディングで「容疑者は○○」と言ってしまう映画を製作してしまうのはある意味すごいことかも。
登場人物の中で特筆すべきは刑事役のマーク・ラファエロ。寝込みを訪ねてきた主人公にファミレスで説明を聞き終えた後に、淡々としたハスキーボイスで「いい朝食だった」とお金を置いて立ち去るシーンが印象的。
主人公を演じたロバート・ダウニーJr.が若い頃のアル・パチーノに似ていると思ったのは私だけ?





2007/6/14 【 しゃべれどもしゃべれども 】
97年「本の雑誌」ベスト1の小説を映画化した「しゃべれどもしゃべれども」を観た。
東京には400人以上の噺家がいる中で寄席は4軒のみだという。いかに厳しい世界かということだ。
私が初めて行った寄席は新宿末広亭。自分の誕生日を選んで行ったものだ。当日誰が出番か知るよしもなかったのにTVで見たことがある噺家さんがいてしかもぬぁんと柳家小さん師匠がいたことは今振り返ってもラッキーだった。
うだつのあがらない二つ目の落語家三つ葉を演じるのはTOKIOの国文太一。そしてそこの話し方教室に集まる生徒は、無愛想な美人、学校に馴染めない関西から転校してきた小学生、会話が苦手な野球解説者の元プロ野球選手。下町を舞台にばらばらな人々が心を通わせていく。
本作に出てくる落語は「まんじゅうこわい」と「火焔太鼓」。「まんじゅこわい」は子役と鼻歌代わりの八千草薫、そして「火焔太鼓」は師匠役の伊東四郎と国文太一と香里奈の3者が演じる。
圧巻なのはさすがの伊東四郎!そして予想外に国文太一凄い!レギュラー番組いくつもかかえ一体どんな練習をしてきたのだろう。本当に感動モノ。
見所はここに限らず、ほおずきとおみくじのシーンにはじ〜んとなった。参りました!!心が温かくなり、寄席に行きたくなった。




2007/3/29 【 世界最速のインディアン 】

21歳で「インディアン」という名のバイクと出会い63歳で世界最速に初挑戦した実話を描いた「世界最速のインディアン」を観た。
ニュージーランドからやってきたバート・マンローを演じるのはアンソニー・ホプキンス。資金も心臓もガタガタな中、アメリカユタ州へ向けてのロードムービーでもある。世界記録を出す夢を追い続ける主人公は少年の心そのままで純真で、人懐っこく、人々に愛される。やっぱり人間は人柄よねぇ。こーいう歳の重ね方って素敵。
旅の途中、出会う人々があまりに絶妙なタイミングでしかも良い人ばかりだったのが出来過ぎな感はあるものの、人間としての温かさがあふれている。
それにしても廃品利用で時速288キロというスピードを出し今でも破られていないとは驚くと共に希望を与えてくれる。





2007/3/25 【 さくらん 】

江戸吉原を舞台に花魁を描いた「さくらん」を観た。

原作は安野モヨコ。写真家の蜷川実花監督とあり、映像だけは最高にきれい。特に赤が印象的でどこれもこれも写真集の1ページのよう。
8
歳で吉原へやってきた少女が花魁にのぼりつめる中で味わう裏切りや陰謀を絡めて描いている。

「てめぇの人生、てめぇで咲かす」という人に媚びず真正面な主人公を演じているのはヤンキーさではピカイチの土屋アンナ。さすがにモデルだけあってショットショットはとても綺麗 なんだけど・・・、演技がずっと一本調子で半端な印象。しかも椎名林檎の歌は主張が強くて映像の邪魔に思えた。ベルリン国際映画祭に出品されたそうだが、この音楽じゃ受け入れられなさそう。

映像は濃いけど内容は薄いってとこでしょうか。





2007/3/22 【 千の風になって 】

千の風になって」を観た。

客層は年齢層が高く満席状態だった。

タイトルを聞くだけで「♪私のお墓の前で泣かないで下さい。そこに私はいません♪」の同名の曲がリンクする。

死んだ人はお墓にいるのではなくほらそこにいるのだ。秋には光になって・冬は雪になって・朝には鳥になって・夜には星になって・千の風になって吹きわたっています の歌詞のように大切な人はいつでも傍にいるのだ。この映画はまさにこの曲そのもの。エンディングに流れるこの曲の意味の大きさに胸がつまった。

人生避けて通れないものが身内の死だ。これはある意味精神的にかなりのダメージがあるとともに生活そのものを変える場合もある。だけれど「人生に無駄なことはない」という言葉もあるようにこの痛みを乗り越えることは強烈なバネになる。悲しみを知った人は知らない人より器もでかくなると思われる。

幸せって何?死って何?が息子を失った母親・自らの過ちで親を失った子ども・病に倒れた夫を看取った妻の3話を通し生前に伝えられなかった手紙と来るハズのない天国からの返事で綴られていく。

子どもから大人まで生命のルフラン・バトンタッチを堪能できる作品だった。





2007/1/21 【 それでもボクはやってない 】

Shall We ダンス?」(1996年)以来の周防正行監督作品の「それでもボクはやっていない」を観た。

痴漢冤罪事件を通して見えてくるのは日本の問題あり過ぎる裁判。

周防監督は実際に200回も裁判を傍聴し、経験者等からの取材を元にしただけあって、リアリティーあるシーンの連続。主人公と一緒に戦っている気持ちになった。

刑事事件で起訴された場合、裁判での有罪率は99.9%だそうだ。ろくに調べようとしない警察、投げやりな調書、検事の証拠隠蔽、そして極め付きはあの裁判官。駅員も警察官も検事も裁判官もみんなに腹が立つ。これに問題提起をした周防監督の勇気はたいへんなものだ。

無駄な時間とお金をかけても無罪を主張するか or やってもいない罪を認めて簡単に済ませるか?どっちの選択もこの嫌な現実に失望感でいっぱいになるけれど、それでもこれは観るべき作品。

後日、顧問弁護士にこの映画の話をした時に「無罪を多く出すような所謂人権派の裁判官は出世しない」という更に落込むような話を聞いた。2年後に始まる裁判員制度で何かが変わってくれたらいいのだけれど・・・。





2007/1/7 【 幸福のスイッチ 】

長女ちょこと一緒に「幸福のスィッチ」を観た。

サブタイトル「家族の絆はプラスとマイナス。くっついたり、離れたり」とあるように、反発したり認め合ったりのよくある家族を描いた作品。

何が良かったってこのヒロインなる次女の怜(上野樹里)のキャラが、隣でこの映画を一緒に観ている長女像とかな〜りの割合で重なったこと。これは笑える。ふてくされては騒ぐところ、「最悪」「もうヤダ」が口癖なところ、自転車を爆走しているところ、そして極め付きは父親の「長女は何も言わんでもしっかり、3女は言うと直した、ケド、次女(ヒロイン)はいくら言うても電気はつけっぱなし水は出しっぱなし」という台詞。そのまんまじゃん。上野樹里=ちょこ?いえいえ 稲田怜=ちょこ でした。更にヒロインの着ていたチェックのシャツまでが本日のちょこの着ている服と檄似。

不器用な親子関係をユーモアを交え優しく描いている。父親役の沢田研二もガンコ親父像がマッチしていて、主人公との台詞の応酬は楽しめた。舞台となった和歌山ののどかな風景も地元の人々も含めなんとも温かい愛すべき家族映画でした。





2006/12/10 【 007 カジノロワイヤル 】

現代を舞台にしながら、ジェームズ・ボンドが007になるまでの話を絡め、これまでのボンド像を作り上げた、‘ルーツ’とも言える物語。

近年007シリーズが面白くなくなったのは一体何作目からだったろう。ピアース・ブロスナンにいたってはあまりにボンド役とイメージがそぐわなくて観ようとも思えなかった。が、6代目となる今度のダニエル・クレイグは良い。007ってこ〜んなに面白かったっけという感想。ボンドが初めて人を殺すシーンや本気での恋愛をみせてくれる。人に歴史あり。冒頭のアクションシーンは高所恐怖症気味の身には本当に心臓バクバクでものすごい迫力。次々各国でのシーンはまるで旅行気分だしカジノの心理描写は目が離せなく全編楽しめる。ボンド流マティーニの「ジン3+ウォッカ1+キメイ・リレ1/2+薄切りレモンの皮」は是非試してみたい。

ただヒロイン役のエヴァ・グリーンだけはかな〜り不満。この女優さんが着飾るのに比例する化粧の濃さには辟易。他の映画同様今回もしかり・・・(-_-;)。化粧落ちたシャワーのシーンの顔の方がよっぽど良い。ってことで次回以降のボンドガールに期待。





2006/11/24 【 サンキュー・スモーキング 】
日比谷シャンテ・シネで「サンキュー・スモーキング」を観た。
愛煙家には住み難い時代になり、たばこ関係の訴訟も多いアメリカでシニカルと支持されているという作品。
オープニングに色々なたばこのパッケージが次々使われて興味深い。
たばこ関係のロビイスト(広告マン)対最強の嫌煙家軍団(癌患者、医療関係、議員etc)という構図を見ても最初から結果は見えていると思いきや、まぁびっくりするような主人公の弁。鍛え上げられたディベートのプロというものを見せ付けられたよう。
週一回のたばこ、アルコール、銃のロビイストが集まる会合(死の商人merchant of deathの頭文字をとってモッズ特攻体)は笑えた。後に加わる軍需産業やファーストフードも高カロリーのチーズも総じて売る人間やPRする人間が悪いのではない。
要は禁止するのではなく自分で選択する自由を持とうということ。
父子の関係も描きながら子どもに対しても決め付けるのではなく考えろというメッセージを織り込んでいる。
けっこう全体的にドタバタ感があって笑えた。「仕事はローンのため」って台詞が一番説得力あった。
が、が、「太陽」「カポーティ」に続きまたしても途中うとうと・・・。微熱ある中での鑑賞が災いしたみたい。




2006/11/5 【 7月24日通りのクリスマス 】

予定していなかったものの「フラ・ガール」までの時間に間に合いそうということで急に観ることになったのが「724日通りのクリスマス」。
電車男でエルメスを演じた中谷美紀による女版「電車男」ということで気になっていた作品。
素が素なのでダサイとまでは言えず構わないというか磨いていないだけですがあのエルメスがイケテない・・・。そしてMOTE(モテ)服を身に付け華麗なる変身!!地味な色合いから真っ白い服へというのも効果倍増で気合いの入った中谷美紀はエルメスを彷彿させる以上にキラキラ。
と私はまさに「電車男」とダブらせていたのですが、長女は妄想好きなヒロインを「アメリ」と重ねて観ていたそうです。なるほど・・・。
クリスマスに王子様と結ばれるっていう発想はまさに漫画チックで恋に恋する夢見る乙女そのもの。甘〜〜〜い!

教会のシーンにアレ??ということもあり無理な展開が残念だったものの、現実となると乗り越えなきゃいけない山で押しつぶされそう。そんなヒロインに一喜一憂しながら、エールを送りました。脇役陣はクスクスッと笑え、佐藤隆太のパラパラ絵には胸がつまった。
長崎と交差するリスボンの街並みも素敵で「724日通り」に是非行ってみたい。BGMALLクリスマスソングの王道♪メリークリスマス!!





2006/10/9 【 13歳の夏に僕は生まれた 】

伊映画「13歳の夏に僕は生まれた」を観ました。
オープニングが♪ルビーズ・アームズ by TomWaits で、エンドロールには落ち着いたピアノの音色。どちらも作品を表していて良い。

少年を表現するものが裕福な実業家の家、クルーザー、バイク、そして周囲からの深い愛情で、対する不法移民の兄妹?を表現するものは、ぼろぼろの密航船、腐った果実、一杯の水、収容所、そして誰も信じないこと。

キーワードの「生まれたからには、もう逃げも隠れもできない」というアフリカの言葉に生きていかなくてはいけないという想像を超えた重い叫びが感じられるよう。

純粋、無垢、無邪気な善意が通用しない現実と無力さを知ることが大人の階段を昇るということに通じていくのはやり切れなさ過ぎて、その少年の気持ちをそのまま表しているようなエンディングが秀悦。

唯一この分かり易いようでいて冴えないっていうかダサイ邦題だけは残念。(原題はOnce you’re born





2006/6/24 【 白バラの祈り 】

本年度アカデミー賞の外国語映画賞ノミネート作品「白バラの祈り−ゾフィー・ショル、最後の日々」を観ました。
反ナチスのレジスタンス運動「白バラ」のメンバーであった21歳の女子学生ゾフィー・ショルが兄と共に捕らえられてからの5日間を描いた実話。

予告編とこの丁寧な邦題からあらかた察しがついたので、内容的には本編は予想通りでした。ゾフィーを取り調べる尋問官ムーアのやりとりは心理的駆け引きがあり緊迫感に溢れていて良かった。嘘も本当も含めて全編にヒロインの聡明さが伝わります。裁判での兄妹の一貫した全うな態度、立ち向かう姿のなんて清々しいことか。この親にしてこの子ありという凛とした親子関係も秀悦。それに対比する裁判官がヒトラー狂信者で聞く耳持たずのまるでステレオタイプのナチ派。  狂っているこの状態での通常49日かかるものが1日で終わってしまった裁判の異常性もよく描かれています。ラスト近くの煙草のシーンが良かった。ただ残念なのはやはりこのわかり過ぎる邦題でしょうか。な〜んかダサいのよね。





2006/5/25 【 スタンドアップ 】
上映会で実話に基づいたという「スタンドアップ」を観ました。
夫の暴力に耐えかねて実家のあるミネソタに戻ってきたものの10代で父親のわからない子どもを生んだ主人公を見つめる周囲の冷たい目からして、先行きが案じられ、そして鉱山という男社会の閉鎖的な環境で待っていた執拗な陰湿なセクハラ・・・。まだ「セクハラ」という言葉が一般的でなかった時代もちろんセクハラが法律で禁じられる前とはいえ今や権利を守ることでの先進国アメリカでここまでひどいことが1975年というそんな昔じゃない時代に起きていたことに改めて驚きます。これはイメージしていたセクハラの観念を遥に覆すくらいの壮絶ないじめと暴力。それに耐えて口をつぐんででも収入が必要だった女性達がいても不思議じゃない。生活がかかっているんだもの。
そんな中で立ち向かう主人公をシャーリーズセロンが演じていますが、シャーリーズセロンの母親が自分と娘を守るため暴力をはたらく夫を殺害した(正当防衛)という背景があるだけにこの役柄はあまりにリンクします。家族を守る為一歩を踏み出した精神的な強さはたいへんなもの。ただ、自分のせいでいじめにあったりしている子どもを見て、自分を責めるような弱い面を見せてくれたらもっと感情移入できたかも。同じ鉱山で働く主人公と確執がある父親が仲間の前で言う台詞が良い。親ってこーいうものなのね。
原題は「North Country」ですが台詞にもある「スタンドアップ」という邦題が、より内容にマッチしたタイトルになっていると思います。




2006/3/25 【 疾走 】

直木賞作家、重松清の原作を映画化。
「運命とは双六盤であり、そのマス目のどこに停まってどこを飛ばすかが人生であり、さいころの目がほんの1つ違ったために不幸せになってしまうことがある」という神父の台詞がこの映画を物語っているよう。
随所に聖書の言葉をからませながら拠り所にしていますが、主人公の15歳の少年はとにかく悪いマスにばかり停まり続けます。この堕ち方があまりに容赦がない。ナレーションが主人公を「おまえ」という2人称で呼んでいる存在がずっと気になっていたのですが、神父の言葉を借りた神の声のようにも受け取れました。

小さな店のシャッターに「私を殺してください090-XXXX-XXXX」「誰か一緒に生きてください090-XXXX-XXXX」と書くシーンは痛すぎ。映画後に原作を読みましたが難しい内容をかなり忠実に描いていたようです。主人公の手越祐也はジャニーズのNEWSのメンバーだとか(知らなかった(-_-;)その意味では原作の過激シーンのはしょりは仕方なかったかも。加えて原作ではラストが途中から予想されますが映画ではそこを上手くかわして意外性を感じられる終わり方にしているのが逆に良かった。





2006/1/16 【 THE 有頂天ホテル 】

半年に1度くらいにある胃痛で数分おきに胃がきりきりしながらの鑑賞。このくらい体調が悪くてもコメディだからいいかと思ったのですが・・・具合悪い時のドタバタコメディは疲れたぁ。多くの出演者それぞれにエピソードがあり上映時間と同じく年が明けた2時間後にはそれぞれ輝いていたというハッピー気分をもらえそうな内容だけに何故大晦日を狙った年末あたりの公開にしなかったのでしょう。ホテルというひとつの建物の中で人がひしめきあいドタバタやっているのを観るのは、まるでターミナル駅のコンコースの雑踏をかきわけ歩くような疲労感でした。クスッとする箇所は多いのですがオダギリジョーや唐沢寿明や西田敏行や伊東四朗がやるから面白いというように、これは台詞より豪華俳優陣によるところが大きいかも。





2006/1/13 【 親切なクムジャさん 】

パク・チャヌク監督の『復讐三部作』の第3作の「親切なクムジャさん」を観ました。
なかなか面白いタイトルです。「復讐者に憐れみを」は未見ですが「オールドボーイ」がけっこう凄かったので、期待していたのですが、う〜ん 3部作のトリとしてはイマイチ。ひっかかりとして、クムジャさんは全然無実じゃない・ペク先生の通訳が余裕ありすぎ・待ちに待った復讐時にとどめを刺せないetc・・・なんだかなぁ。
第一に美女の復習劇としてはなんといっても数年前のインド映画「アシュラ」(副題は‘地獄曼荼羅’)があるだけにインパクトはこれより弱かった。イ・ヨンエが美女とはいえインド美人の比ではないでしょう。そういえば事件的にリンクする点もある宮崎勤の最高裁判決の時期です。「復讐」をしても達成感や満足感が得られるのではない上に無くしたものは戻ってこないと分かっていても、殺したい程、人を恨んだ経験があるならそう思うのは自然な感情。悲しいけれどどうしようもない。さて、皆さんはそこまで人を恨んだことはありますか?
  






2005/12/17 【 SAYURI 】
原題「Memoirs of a Geisha(ある芸者の思い出)」。スピルバーグ製作、リブ・マーシャル監督、主演チャン・ツィイーのハリウッド映画「SAYURI」を観ました。ヒロインは伝説の芸者という割には花街のしたたかな女性陣の中でも強さが感じられなく存在感が中途半端。それに比べ本音むき出しでヒロインに敵対心を抱く芸者役のコン・リーの存在感の方が遥かに上回っていました。ラブストーリーとしても波乱万丈の半生としても日本人でさえ謎の芸者にスポットを当ててもどれも弱くて物足りなく、映画の焦点が合っていたのは本音むき出しで嫉妬と憎悪うずまく花街の女同士でした。ただ外国から見た日本のイメージそのままの絵葉書のような映像の数々は申し分なく美しかった。





2005/10/25 【 ステルス 】

さてみなさん「ハロハロ」ってご存知ですか?

タガログ語が堪能な影武者さんがこの映画を称して「まるでハロハロムービーだわ」と言いました。

ハロハロってデザートがあるらしいですが、‘なんでもかんでもごちゃまぜ’という意味のようです。

CGのステルスの飛行シーンはそれなりに楽しめましたがそう言われてみると、戦闘、アクション、恋愛、泣かせ、内部の裏切り、2001年宇宙の旅、トップガン、対アラブ、対ロシア、極めつけは対北朝鮮も・・・。ビルの崩壊シーンは911を思い出させましたが、余分に思えたタイでの休暇シーンももしかしてスマトラ沖地震を意識したものでしょうか。と確かにどこかで観たようなシーンとあれもこれも取り入れたごちゃまぜ映画は親切なのか不親切なのかわかりませんが、全体的にはマイナスかも。  




2005/10/20 【 蝉しぐれ 】

藤沢周平原作の映画化。 何がすごいってオープンセット。 黒土監督が原作者との映画交渉から13年かけただけあって山形・羽黒町の1万坪の広大な土地に1億円かけて主人公たちが暮らす組屋敷のセットをゼロから作り出し、更に1年の月日をおいて自然の風合いを再現させたそうです。 なんでも正式に保存が決定され一大観光名所となっているとか。

良くも悪くもこれこそ日本だという映像美はまるで「日本の四季」というカレンダーでも眺めるよう。

ラストで泣けたという方が多いようですが、私は中盤のリヤカーのシーンが1番ぐっときたマックスでした。実は主役の市川染五郎が苦手で、特にスーツ姿などは全くダメなのが心配だったりしたのですが、時代劇でかつらをかぶっていたせいか想像したよりはオーケーでした。船のシーンの演出にはかなーり疑問が残りますが今田耕司やふかわりょうも豪華出演陣の中で違和感なかったのは良かった。影武者さんによるとNHKのドラマの印象が強いということです。NHKつながりでおふくの子役はまるで「おしん」のようでした。





2005/9/5 【 空を飛ぶ夢 】
アカデミー賞外国映画賞ノミネートやゴールデングローブ賞最優秀外国映画賞受賞等で話題になっていたのが印象的だったのか興味を示した長女には初めてのシアタープレイタウンで一緒に鑑賞。25歳で事故で四肢麻痺の身となりそれから26年間家族の献身的介護で過ごしながら望んだこととは・・・
主人公が素晴らしい。どっかで見たような・・・と思ったら前に
シネマライズで観た「夜になる前に」で迫害を受け続けた作家を演じていたバビエルバルデムじゃないですか。20代から50代まで見事に演じています。
自殺が多い中(秋田県は全国自殺率連続10年No.1)一市民としてもなんとか自殺を防ぎたいという気持ちもあり、死を望む人間に倫理で問題を解決することは簡単ですが、それだけじゃ片付けられないことがテーマになっていて、私には何が正しくて、何が間違いなのか答えがでません。「ミリオンダラーベイビー」といいこの作品といい自分の望みを叶えてくれる人を実感した時幸せそうだったのが印象的でした。




2005/8/26 【 さよなら、さよならハリウッド 】
「おいしい生活」や「スコルピオンの恋まじない」の流れのエスプリの利いたウディアレンらしい映画。 ハリウッドとパリってことは、アカデミーとカンヌをリンクしているのかな 程度に感じたのですがもっと伏線があるようなので、今回は影武者さんに感想をお願いしました。
(以下 by影武者)
主人公の台詞にあったのですが、「曲はコールポーターを使う」ですって これでもうピンとこなければなりません。 ウディ・アレンでしょ。 まだピンとこない? jazzです。 jazzは誰が何と言おうとアメリカが生んだ偉大な音楽です。 しかしワークソングと言われたアフリカ奴隷歌からヨーロッパの音楽を取り入れマイルスに代表される黒人知識層の音楽となりついにクラシックの枠を飛び越え前衛となっても、そのフリージャズを一番に誰よりも理解し受け入れたのはパリの人達でした。 これはデクスターゴードン演じるラウンドミッドナイトで映画に表現されています。 フリージャズがアメリカで幼児が楽器をいたずらしているだけと受け入れらないときに、数多くのジャズミュージシャンがパリへ移住しました。 ハリウッド映画は大好きですがウディアレンのさよならハリウッドを「ふーんなるほどね」と理解したあなたは立派なアバンギャルドです。 そう、この映画の息子のように・・・




2005/7/17 【 スターウォーズエピソード3 】
STAR WARSという一大カルチャーがあることは知っていました。 自分でも過去の作品で一度は映画館に行ったことはあったのですがチンプンカンプンで寝てしまいました。 SFモノは自分には理解できないと思い込み避けていましたが、シリーズ最終回公開前には毎週のように過去のシリーズを放映していてその盛り上がりに今回騙されたつもりで劇場へ。 ダースベーダーがなんであの仮面つきヘルメットを被って言葉にならない声を発していたのか理由がわかります。 最高のラブストーリーです。 ストーリーもよくわかりました。 前に観た時は、京極夏彦の「姑獲鳥の夏」で関口がやらかした見えているものが見えていない状態だったのでしょう。 スターウォーズ完敗です。 ルーカス万歳!





2005/1/18 【 酔画仙 】
2002年カンヌ国際映画祭で監督賞受賞作。ってことは同じチェ・ミンスクが主役を演じてカンヌ審査員特別グランプリをとった「オールドボーイ」が2004年だからこの映画の方が製作は先だったようです。 李朝末期に貧民の出から宮廷画家に上り詰めた実在した天才画家チャン・スンオプ(張承業)の伝記物です。 かの岩波ホールでの上映作ということでもお墨付きのセレクト作らしく、文芸色が濃いのですが 岩波系作でもR18指定があるのは驚きでした。  清軍や日本軍の軍事介入や朝鮮の不安定な時代の流れに関わることなくひたすら精進して描いた絵はどれも息をのむほど素晴らしい。 酒を飲みながら大作を作れたのもハンパじゃない努力と苦悩あってのものだということを美しい映像とともに静かに描いています。 ラストに疑問が残るようなシーンがありますが、「仙人」になったと伝えられることを考えるとそこらへんは謎で良いのかな。

  

 

2004/9/27 【 スウィングガールズ 】
前作「ウォーターボーイズ」とほぼ同じパターンで、二番煎じなんだけど、お約束の感動は期待通り。エンドロールまで席を立つ人がいなくてしばし余韻に浸っていました。女子高生が主役だけあってアルバローザを着ていたり と前作より高校生像が今風。脱線しますが秋田にはまだ「CECIL McBEEの店舗がないにもかかわらず軒並み女子高生がCECILのショップの紙袋を持ち歩いています。不思議に思っていたら紙袋だけ700円くらいで売りに出ているとか。それを聞いてから上京してCECILで買い物した時は紙袋を多めにもらってくるようになりました。500円で売りに出したいワ。アルバつながりで関係無い話を・・・失礼すますた。
さて映画ですが練習していなかった他のメンバーがいきなりセッションできちゃうような?のシーンもあちこちあるけれどいいなぁ若いってってのが実感。高校生に戻って何かこう打ち込めるものを経験したくなっちゃう。タイムリーなことに下の娘の文化祭でも吹奏楽部がJAZZやるべってことで「シング・シング・シング」を見事に演奏していましたがちゃんとスウィングしててこちらも良がった。一時はサックスでプロを目指したこともある影武者さんの弁によればここまででできるようになるには3年くらいかかるらしいです。短期間の練習で吹き替えなしの完成度の高い演奏もいぐね?いぐね?

 

 

2003/12/12 【 再見 】
副題「また会う日まで」 という中国映画。 なんでも北京で公開されるや、当日のメディアによると観客の涙で 「北京は豪雨=v になったとか。 離れ離れになった4人兄弟が20年後に再会するというストーリーなんだけど、確かに泣き所は随所にありました。 子役が素晴らしく、特に長男が弟妹の貰い手に奔走するところでは涙ポタポタどころかドバァ〜状態。 家族のきずなや幼い生命力に脱帽なんだけど・・・、問題ありはラスト。 主人公の仕事のプロ意識が理解できない。 そりゃ仕事より優先するものは世の中にいっぱいあると思うけど脚本演出もっとなんとかならなかったのかな。 つまり展開が甘すぎってことに尽きます。なんちゅうか白けちゃいました。

 

2003/05/12 【 シカゴ 】
アカデミーで最優秀作品賞をはじめ最多6部門受賞作。 ほとんどどの映画評で豪華絢爛な歌と踊りのカッコ良さや迫力を誉めるコメントばかり目にするのですが、歌や踊りより強烈にインパクトあったのは主演女優の見事な貧乳。 なんじゃあれは…ステージ女優役だからそれなりのセクシー衣裳を着るのわかっていてあのペタンコはないでしょう。 こっちと違って収入も相当おありでしょうに人に見せてなんぼの仕事なんだからちょっと考えてよね。 ハリウッドは特殊メイクの本場でしょ。なんとかできたでしょうに。 だいたい貧乳ちゅうか粗乳に関してはその道で極めている?アタシに言われるようじゃお終いよ。 片や一時このままデブおばさん路線突入かという時期もあったけれどもともとミュージカル経験者のゼタ=ジョーンズは肉厚ながら本領発揮でかなり見応えあったのはさすがです。 あれだけ歌えて踊れる役者さんがいくらでもいるハリウッドはやはり奥が深いだとか、日本じゃできない作品だとかというご意見もよく聞くけど、この映画を見て頭をよぎったのがお正月恒例の「スターかくし芸大会」。 あれもかなりのレベルのもの演じてくれるから芸能人はやっぱ芸達者ってことで見直しちゃうって点では近いものあると思うのですが・・・

 

 

2003/02/18 【 戦場のピアニスト 】
2002年カンヌ パルムドール作品。 自らゲットーで過ごし収容所で母を亡くした経験を持つ監督がポーランドの名ピアニストの実体験をもとにした渾身の一作。 TVでの 「おすぎです。58年間映画を観て来てこんな素晴らしい映画に出会えたことはひとつの奇跡です」 というのが耳から離れないし題材がホロコーストの悲劇ですから観る前から感動がお約束されたようなものですが・・・ 。観終わった感想はひたすら寒々しかった。 治りかけていた風邪がぶり返しそうな感じ。 気になるのはこの映画の脇役で戦後、戦犯となり、ソ連の戦犯収容所で心身を病み若死にしたドイツ軍の大尉。 まともなドイツ人登場はこの手の映画にしては貴重だけにこの男を、なんとかして救ってやれなかったのかってこと。 戦争が人を変える中でベートーベンの月光ソナタとショパンで侵略される者とされる者の心が通い合う場面でのこの将校に残っていた一瞬の人間性が忘れられない。 主人公は何の情報も届かないアパートの一室で、いつ訪れるとも分からない戦争の終結をただじっと身を潜めて待つ役柄を14キロもダイエットして臨んだそうだし映画全体圧倒的な迫力がありますが・・が・・・私もシオニズムにオルグされがちとはいえ今敢えてこの映画を素直に受け入れられない現実に思いを馳せてしまいます。「あ〜感動したっ」なんて手放しで誉めていられないワ。 この21世紀のどこかの国の大統領殿(そこの国を牛耳っているのは皮肉にもユダヤ人ってのが・・・)に見せてやりたい作品でした。 勝ち負けなどどうでもいいの。戦争は始めてはならないのです。

 

2003/02/06 【 スコルピオンの恋まじない 】
67歳のウディ・アレンがあの冴えない外見で美女にもてまくるといった無理な?展開を催眠術という最高の口実で運んでいくというロマンチック・ラブコメディ。 お決まりの趣向といえばそれだけなんだけど40年代の懐古趣味の豪奢やセピアっぽい色合いがレトロなかんじ。 ただ「おいしい生活」のポンポンとした夫婦トークバトルに比べるとあの時ほど笑えなかったし応酬がトーンダウンしたように思えたのが残念。 お国柄なのか晴れてめでたしだとしても社員の見守る中で社内不倫していたカップルが堂々と旅立とうとする設定がすっごーく不思議。 思わぬところで私って小心者だわと実感しちゃいました。

 

      

2002/12/30 【 ジョンQ 】
 子供の命を救う為父親がとった最後の決断は・・・という作品で、痛烈なアメリカの医療保険制度のへの社会批判が根底にあります。 予告編から話の流れは予想ついていましたが苦悩する親の気持ちが切ない。 子を持つ立場で「自分ならどうする」って思わず考えてしまう。 世の中にはこのような親ばかりじゃなく家庭を顧みない親失格人間があっちにもこっちにもいるから家庭不和の真っ只中にある方はこの映画を観て考えて欲しい。 主人公と比較してダメ伴侶のダメさ加減が再認識できるだろうし、親になる心構えみたいなのも再確認できそう。 アメリカに限らず全世界的に「金で買える幸せがある」ってのも事実。 金持ちは優遇され貧乏人は冷遇されるっていう現実が痛いなぁ。 そんな厳しい社会の中皆さんは子供の為ならどこまで捨て身になれますか?

 

 

2002/11/20 【 ショウタイム 】
 一度は観てみたいロバート・デニーロと、エディーマーフィのコンビのアクション・コメディー。この2人が共演したらどーなるか予測つくけどハイその通り良くも悪くも予想通り。 お約束通り笑えてお約束通りの役柄でした。 地味だけど辣腕のデニーロとカッコだけのエディマーフィーのどたばたコンビってことだけがウリで内容はどっかで観たようなありふれたもの。 なんだけど まぁデニーロがあのお歳でバリバリ元気なアクションみせてくれたからファンとして安心。 「リーサルウェポン」「ラッシュアワー」だってメじゃないぜというふれこみは確かにその通りで、大きなハズレもなくそこそこそれなりに安心して見られるから気楽に無難に楽しむにはこのコンビの娯楽映画もシリーズ化してほしい。

 

 

2002/01/30 【 しあわせの場所 】 
 ’98年母国で大ヒットしたにもかかわらず 狭い住まいの中でスペース確保をめぐる新婚カップルの騒動等から 「中国は住民の生存権も確保できない国と思われる」 という理由で国外への持ち出しについて許可がなかなか下りなかった作品です。 昔ながらの長屋たったニ間で暮らす6人家族が 一家を支える人情味溢れる長男を中心に暖かい視点で描かれています。 この暮らしはTVで何度も観ている ‘貧乏なんかに負けないぞ大家族スペシャル’のまるで中国版。 半端じゃない狭さとつましい暮らしでもちょっとしたことにちゃんと幸せはあるってことが嬉しい。 現代中国へ変化を遂げていく中で忘れてはいけない大切なものを提示してくれました。 「みんながいて少しでも陽射しが差し込んでいれば、きっとそこが‘しあわせの場所’」という言葉をしみじみ実感。

 

 

2001/10/01 【 スコア 】
 Mブランド・デニーロ・Eノートンの3大アカデミー賞スター競演。 ストーリーはスタンダードなのにここまで作品に深みが出たのはやはり演技派によるキャスティングの勝利かな。 とは言ってもMブランドに関してはデカすぎる体型ばかり印象的。 タイトルのスコアは獲物っていう意味あいのようです。 デ・ニーロはクールで独自の理念を持つ完全主義の超一流の金庫破り。 しかも表の顔がジャズクラブのオーナーという嬉しい設定のお陰でその美学とジャズボーカルに酔いっぱなしでした。 素敵な店内の様子にも目を奪われちゃった。私も店の片隅でスコッチ飲みたいよー。 さてどデカいスコアに挑むにあたって厳重なセキュリティーをかいくぐるスリリングなプロの仕事に興奮。 デ・ニーロみたいな渋い人と身を焦がすような恋をして「最後に笑うのは・・・・・アタシ」(笑)

 

2001/8/10 【 千と千尋の神隠し 】
 この夏の「A.I.」の大ヒットが続く中、動員・興行ともに日本記録を樹立し今後も記録更新が期待される宮崎駿監督の4年ぶりの作品。 チケット買うのに一体どれだけの時間並んだことでしょう。 家族を代表して並んだ私の機嫌をとって缶ビールの差し入れが2回もありました。ここの劇場は持ち込みにうるさい方だけどそんなこと気にしていられない異常な混雑。 さて内容は不思議の町に入り込んだ10歳の少女の物語です。日本という基盤をしっかり感じさせつつ立体感のある映像も堪能できました。この世界では宅地開発で埋められた川の精(神様)が魔術の修行をしていたり、人間の廃棄物で汚れた神様も登場したりして社会風刺も加わっているところはさすがです。宮崎作品にありがちなエンドロール後に出る後日談シーンを期待して席を立てなかったのですが・・・それだけが残念です。

 

2001/6/28 【  ザ・カップ(夢のアンテナ) 】
 ブータン映画。 監督も出演者も実際の僧でチベット仏教の僧院でのロケという珍しい作品。 親とも離れヒマラヤ山麓の僧院で戒律厳しい修行する僧侶達の実話です。 サッカーを見たくてもテレビのない僧院生活なのに少年僧達は生き生きしていてとっても輝いています。 僧侶って禁欲生活に徹していて近づき難いお堅いイメージがあるだけに修行そっちのけでサッカーに熱中する様子に何だか楽しくなってきました。 僧侶も人間だ!なのね。 ワールドカップとは違次元の宗教一色の世界に暮らす人々からここまでサッカーの魅力を教えられるとは・・・ 今後ワールドカップをTV観戦する時にはブラウン管の向こうにこの映画の面々をきっと思い出すことでしょう。

 

 

2001/6/04 【 JSA 】
 韓国で映画史上最大の興行収入を得たという話題作。 南北分断の歴史背景自体よく把握していない私には板門店の緊張感と逆らえない宿命に切なくなるとしか安っぽい表現しか見つからず これはかなり恥ずかしい。 朝鮮戦争以後いわばアメリカとソビエトの代理戦争として敵対するようになったことに日本も関わっているのですから単に悲しがっていてはだめよね。 敵対する国間での恋愛や友情のタブーは今更という感ですがこの映画の良さはラストに集約されているように思います。 中立国の美人調査役が完璧主義で性格的に苦手ですが感じたであろう衝撃を私達も考えていかなくては・・・  それにしてもこの映画製作をした側からのメッセージは果たして届くのでしょうか?

 

2001/6/04 【 ザ・ダイバー 】
 人生を諦めている人(私?)必見。 今の自分に必要なのはこーいう映画です。 人種差別に負けずどんな困難にぶつかっても乗り越え歴史を変えた不屈の精神に感動しました。 こんな強い人生と比べ自分はなんて薄っぺらいんだろうと考えさせられます。 誰がつけたのか「ザ・ダイバー」という邦題が気に入らない。原題 「MEN OF HONOR」 やっぱこっちでしょう。 実在するってのが驚きですが海軍初黒人マスターダイバーになったカール・ブラシアがモデル。 真っ直な生き様と男らしさは学ぶ点だらけです。 反目しあう差別主義で鼻持ちならない鬼教官の心理の変化をデ・ニーロが心の闇も含めて演じています。 山あり谷ありの夫婦の絆っていうのも勉強になるよー。こんなはずじゃなかったと結婚した相手にお悩み中の方にもお薦めです。 

 

 

2001/5/06 【 ショコラ 】
 2001年アカデミー5部門受賞。 挿入曲が心地良くエンドロールも楽しめました。 「昔々・・」から始まる大人向けおとぎ話です。 舞台となっている50年代のフランスの保守的な田舎町はシックな情景が絵に描いたように素敵なんだけど↓のスターリングラード同様にここでも会話が英語なのが減点。しかもヒロインのビノシュはフランス人でしょ。 食べ物で心が開くっていうのはありがちなパターンですがお約束のほのぼの感を味わえるしカップル向けなので上映時期がバレンタインディー頃なら尚betterだったかも。 辛党の私もワインのお伴にホワイトディーにゲットしたGODIVAのチョコを開封しました。 脱線ついでに言うと この高級チョコのGODIVAってレディゴディバという女性の名前に由来していますが何をなさったか簡単に言うとストリーキング・・・並ではできない自己犠牲の心です。


 

2001/4/23 【 スターリングラード 】
 ソビエト連邦が崩壊して何年になるのでしょうか。 何故今ごろソビエト映画なんてという向きが大勢でしょうがこれはソビエトの映画ではないのですね。 実際にはベルリン(うろ覚えですが)だかで撮影されたそうで何で全員英語をしゃべるのでしょう。 大日本帝国のバンザイ突撃も真っ青の赤軍兵の使い捨て感覚には憤りを感じますが決して戦争を美化していないジャンジャックアノー監督は流石です。 やがてはスターリンに粛清されるフルシチョフとかが出てきたりしてやはりある程度歴史の事に詳しいとこの映画の魅力もより分かるかもしれません。 定員の半分にも満たない映画館には何故かそっちに疎そうなご婦人が一人で鑑賞なさっているのが目立ちましたがジュード・ロウのラブシーンだけでも感激できたことでしょう。


 

2001/4/01 【 サトラレ 】
 周囲の泣きに集中力奪われ私は泣けないのが尾を引き整理できません。っつう訳で影武者さんからの投稿をいただきなんとか感想upにたどり着けました。ご協力ありがと。  以下投稿文 → いやー久々の邦画を観ましたわ。お涙頂戴とは聞いていましたが思わず周りからもらい泣きしました。やはり見所は周りからまるで化物を見るような目で見られ忌み嫌っていたサトラレ君のお祖母さんへの愛ですね。 病院やSPの人達がサトラレ君の心の葛藤を知ってしまってもらい泣きするんですの。 今思い出してもうるうるきてしまいますわ。 主人公が雑誌から出たような今どきのイケメン過ぎるのが気になったし 無人島に二人きりで行ってあの運びは出来すぎだし確かにもうひとひねり欲しい気はしますが邦画はやはり感情移入しやすいですね。 全然泣けないという人に限って鈴木京香の恋愛感情とかを問題にしがちのようですがそんなのは本質を誤解しています。 寺尾聰と鈴木京香の会話にあったように本当に本能のまま生きられたらどんなに良いか、一番辛いことは自分自身に嘘をつく事だということ そしてギリシャ神話のメドゥサの本当の結末は観る方の為に内緒にしておきます。 以上   PS 私用にオネエ言葉にまでして下さる気の使い用に日常を感じるわ。これも愛かしら(笑) 

 


2001/3/14 【 小説家を見つけたら 】
 歴史に残る1冊を出したきり社会から姿を消した伝説の作家と文才のある16歳の黒人少年との交流の話。 こーいうかけがえのない出会い話は好きなんだけど後半「セント・オブ・ウーマン」に酷似だし閉鎖的な生活を送るようになった作家の理由がいまいち説得力に欠けていて全体的に小さいなぁ。 驚いたのはこの作家と相反する立場として登場する先生。 貧しい黒人少年に才能があって良いはずがないとばかりここまで生徒の才能をつぶそうとするとは・・・曲がったプライドってこわいわぁ ところでこの少年ですが冷静で無表情っぽく見えるけど賢いし性格良さそう〜。 是非お友達になりたーい。 


 

2001/3/14 【 スナッチ 】
 「ロック、ストック&スモーキングバレルズ」の再来風ですが今回はあくびの連発。 86カラットのダイヤを中心にひとくせふたくせありのアブナイ登場人物は面白いのですが・・・この映画のウリでもある抜群のテンポとスピード感についていけずこんがらがっちゃいました。多くの登場人物が頭で整理できない状態でどんどん進んじゃうんだもん。 自分の鈍い頭を実感。 でもこの映画を観る上でのルールなるものに「一度で充分、二度は観るな」 とあるのでこの混乱も監督の狙いなのかな。 イケテル映画は感覚で観ろってか・・・これを楽しめるのが若さなの? 観終わって満足気な若者の中に「わかんねぇー」とぼそっと言った方がいて思わず好感持っちゃいました。 年齢関係ないってことよね。ほっ。

 


 

2000/11/22 【 サンピエールの生命 】
 ルコント監督。19世紀末のサンピエール島での死刑囚と死刑を施行する側の軍隊長夫妻の3人がおりなす切ないラブストーリーです。 善悪で言ったらまちがいなく善なのにそれが悲劇を引き起こすなんてやってられないわ。 何がすごいってこの3人とも自分を犠牲にしてまで相手を思う究極の愛なのよー。 家も理想的カップルと自負しているものの参りました。 今後の学習にさせていただきましょう。 今まで素敵な男性像を数多くの映画で観てきましたが今回の夫役は完璧です。 最小限の言葉ながら相手をどれだけ尊厳し深く愛しているかが悲しい程伝わってきてまさに理想の夫像です。 気高く生きるっていう意味を教えてもらいました。 観終わってかみしめるほどにしみじみできます。

 

 

2000/11/05 【 スペース・カウボーイ 】
 初日だけあって満席。 そうそうたる名優がもう70歳っていうのも驚きだけど良い歳のとり方をいているとあんな風に魅力的なおじいちゃんになれるものかしら・・・  諦めていた宇宙への夢を叶えるチャンスへの奮闘ぶりとセンスの良いユーモアには拍手です。 よーく考えるとアレ?っていう場面もこの際気にしなーい。 さすがJAZZに造詣が深いクリントイーストウッド様だけあってラストシーンに流れる曲に参りました。 今後♪Fly Me To The Moon♪を聞くたびにこの映画を思い出すことでしょう。 70歳バンザイ!

 

 

2000/10/01 【 シベリアの理髪師 】
 19世紀ロシアを舞台にした大河メロメロドラマ。 観るまでは可能な限り情報を得ないよう心がけたので「髪結いの亭主」のような理髪師が主人公のラブロマンスかと思ったのですが大違いでした。 いやぁ久々にもうボロボロに号泣しました。 が・・・あまりの感動も観終わって時間が経ってよーく振り返るにつれ???となってきのは自分でも驚きです。 冷静になるとロシア人のあの仰々しい振るまいは鼻についたし笑いをさそう場面でもちーっとものれなかったし 第1男性の一途さに比べあのヒロインは謎が残るし一枚上手のようでつりあわないし 純愛と言っているわりにはやっていることがそれはないでしょうだし・・・ 私の涙はなんだったのでしょう。

 

 

2000/9/07 【 サルサ 】
 クラシック界のピアニストとして約束された将来を捨ててまでサルサを選んだ主人公が美形。 キューバ人になりきったあの鋭い眼差しにはくらくら。  でもその主人公以上に音楽とダンスを愛する老いた人々が光り輝いてみえました。 「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」にはまったなごりかも。 初心者のあっという間の上達ぶりも納得できないし無理を感じるストーリーだけれどピアノを弾く場面やサルサを踊る場面は血が騒いでしまったわ。 堅物の地味なヒロインがサルサに目覚め髪を振り乱し踊りまくるのを呆然と見ている恋人には苦笑。 踊れない男性にとっては悪夢よねぇ 老いも若きも魔法のリズムのサルサが踊れたら情熱的な恋愛も手中かも。 血は入ってないけれど死ぬまで音楽、ダンス、恋愛をしてラテンののりでやっていく生き方もいいかもよー。  

 

 

2000/7/02 【 ザ・ハリケーン 】
 これは人生において観る価値ある作品です。すばらしいです。 冤罪で30年投獄されたボクサー「ハリケーン」の実話です。 「事実は小説より奇なり」・・・。 理不尽なことへの怒りからやがて絶望へと移る過程を役作りに27kg減量したD・ワシントンが見事に演じています。 どうしてこれでオスカーを取れなかったのか全くわかりません。 生きる手段が「何も望まないこと」と悟るしかなかったのが悲しすぎます。 自ら離婚を申し出る場面・自ら文通を止める場面の孤独と強さが ボブ・ディランの「ハリケーン」の曲と重なって言葉がありません。 真実はどんなに隠してもいつか何かの形で必ず出てくるのものですから地獄の中での少年との出会いは偶然ではなく必然です。 今苦しみを背負っている方の他に隠し事のある方?必見。

 

2000/7/02 【 サイダー・ハウス・ルール 】
 アカデミー2部門受賞作 派手な演出がない映画の基本ともいえる文芸作品です。 孤児院から旅立つ主人公を悲しみを堪えて送り出す人々やひとつひとつの経験を通しての成長ぶりが丁寧に描かれています。 タイトルの和訳(リンゴ収穫人宿舎の規則)を例として私達は必ずしも現実にそぐわない数限りないルールで囲まれています。 でも生きるというのは多かれ少なかれそのルールを破るということなのよね。 この映画を観た子供は涙をためていました。 私もいつか巣立つ子供を送る側になりますがどんな経験も人を成長させるのだからモチロンとっとと送り出すわよ〜ん

 

 

2000/5/07 【  ジャージー・デビル・プロジェクト  】 
 ビデオの感想なのでネタが古いかな。 でもご覧になっている方が少ないようなので敢えて・・・
 『ブレアウィッチ(魔女)』か『ジャージデビル(悪魔)』か!? NYポスト紙にブレアウィッチの前に製作されていたことや類似点の記事が掲載され大論争の呼び水となりました。 評論家は「身震いする驚愕の真相」「ブレアウィッチの数倍の恐さ」と大絶賛・・・ですが ラストのどんでんがえしが??で3回もビデオを巻き戻したわ。実はブレアウィッチが全て貸し出し中でしょうーがなくこっちを借りたんだけどこれより恐くないブレアウィッチって観る価値ありですか?

 

 

2000/4/28 ザ・ビーチ
・・ ディカプリオ演ずる主人公も相手役のヒロインもしたたかだし自分の快楽に邪魔なものを排除しようとするビーチをとりまく人々も不快。 自己中の人々に自然の美しさなど語ってほしくはないのです。 役柄とはいえ失望だわ。 ゲーム・オーバーと言うのはこっちの台詞。


 

2000/4/07 【 宗家の三姉妹 】
  ・・ 99年度おでかけナビ(ミニシアター系口コミ人気)で「バッファロー’66」を上回る1位をとったこの作品を遅れ馳せながら観て来ました。  冒頭の 「一人は冨を愛し、一人は権力を愛し、一人は祖国を愛した」 が全てを物語っています。 三姉妹はそれぞれ中国3千年の歴史に残る要人孔子の末裔大財閥 権力を愛する野心家の蒋介石 革命家孫文を人生の伴侶に決めます。結婚は人生最大の賭けであるとはよく言ったもので 自ら選んだパートナーの色に染まっていくのがよーくわかります。思想の違いから起きる宗家一族間での政治的確執や抗日戦でやっと結び付いたシーンにこんなスケールの大きい実話があることに驚きました。 ラストの回想シーンで三姉妹の母親が言いかけた「男に運をもたらす女は、自分が不幸になると・・・」が気になる〜。これって女は自分をさておき身を削ってまで男に運を与えるってこと? ってことは私の貧弱な体は身の削りすぎかいな? (爆)

 


2000/4/07 【 ストレイト・ストーリー 】
  ・・ 実話をもとにしたロードムービーです。 仲互いしている兄に時速8キロのトラクターで6週間かけて会いにいく主役のおじいちゃんは自力で成し遂げようとする強さと出会う人々をあったかい気持ちにさせる魅力がいっぱい。 無駄な台詞のない抑えた演出がいいです。 果てしなく続く大地とどこまでも伸びる1本の道にアメリカを感じます。 20代前半に南部のど田舎で値切って買ったぼろい車で“もしひとけのないハイウェーで故障したら・・”と不安を抱えながら祈るようにドライブしたことを思い出します。戦場に比べたら野宿さえ恐くないと言うおじいちゃんとなんたる差でしょう。 長年音信不通でも探して会いに来てくれる人がいるくらい誰かのかけがえのない存在になるって素敵・・・ 皆さんが満天の星をみる時隣にいて欲しい相手は誰ですか?

 

 

2000/3/11 【 スリーピー・ホロウ 】
 1時間前から並び満席での鑑賞となりました。 「月夜の晩はなくした首がすすりなく」というコピーに飛び付いたのはコワイ系大好きな下の娘でした。 そうなの。 そっちが苦手な私は本当は気が進まなかったけど親切なばっかりにつきあってあげたのよ。 でもでも・・・これは面白かったです。 何よりあの昼夜を問わないダークな色彩が幻想的で不気味で美しい。 アメリカにあるオランダ移民の村といってもハロウィーンのかぼちゃ以外はヨーロッパの香りだらけの映像でした。 ホラー・ミステリー・ファンタジーと見所がいっぱい。 謎解きはもっと科学的にスパッとやってくれると思いきや・・・まぁ世の中は科学では解明できないこともあるということですね。 「バッファロー’66」にも出演していたクリスティーナ・リッチは存在感あります。 相変らず豊満なbodyがお見事で貧相な私はそれ以上言葉がありません。

 

2000/3/01 【 シュリ 】
 ・・ 好みがわかれる作品のようですがラブを主に友情ありアクションあり政治色ありと沢山のことがテンポよく予想通り進んで行きます。 韓国は北問題もあり徴兵制度もありでのほほんとしている私達と一線を引いています。 仕事のぼやきなんて考えられない彼らのプロ根性には敬服です。観終わって友達が 「あーんなに水槽だらけのオフィスって超不自然」 た.たしかに・・(笑) 迫力シーンが満載でこれで制作費3億円だけとは恐れ入ります。 激しいストーリーと対照的なラストの穏やかな景色と切ない曲が心にしみます。

 

2000/3/01 【 シャンドライの恋 】
 ・・ 女性を撮らせたらピカイチというベルトリッチ監督でシュリとは全く違うタイプのラブ・ストーリーです。 必要最小限の会話がかえって二人の息遣いや気持ちを伝えてくれます。 希望のない恋愛の為に1番大切なものまで捧げるってすごーい。 それが人の心を動かすのも当然でしょう。 「シュリ」と「シャンドライの恋」の共通点はシュリでは「韓国人に北朝鮮の何がわかるのか」でありシャンドライでは「イタリア人にアフリカの何がわかるのか」っていう点でしょうか。 国に翻弄された苦しみを分かった気になるのもおこがましいですが生まれ変わったら国際結婚するぞ〜なーんてもう気軽には言えない気分だわ。 ところでこのラスト・・・気になるところで終わっちゃってぇ も〜 続きを知りたーい

 

1999/10/30  【 シックス・センス 】
 シックスセンスを観てきました。 初日ロードショウで長蛇列を覚悟していきましたが劇場内は八割ぐらいの入りでした。 怖い系は大の苦手ですがハローウーィーンも近いことだしと無理に自分を納得させての観賞です。 同行した私以外の方々は「新聞で宣伝されている程 恐いシーンもそれほどでもない。怖さで言ったらリングのほうがよっぽど・・」だそうです。 怖がりでしがみついて観ていた長女までも終わった途端「全然大丈夫だったね〜」です。 私1人取残されてしまいました。 お〜い・・・   しっかり観た方ほど全然怖くないと言っています。
 まさかこれで終わりではないだろうと思っていたら案の定 最後の十分で どんでん返しがありました。映画の冒頭でのブルース・ウィルスの「決してこの映画の秘密を未だ見ていない方には言わないで下さい」という意味がその時わかります。 新聞の批評では 感動の巨編だということでしたが 何よりも情けない事に私はほとんど目をあけていられなかったのでラストのその展開がしばらくのみこめませんでした。 予想外だったのは愛であふれていたこと。
ねぇねぇ本当にブルースウィルスが〇〇〇いたのでしょうか???
わたしにはどうしても信じられません(おっと これは秘密でした) 言っちゃたぁ ブルースウィルスさんすみませんです。 もう一回観てみないとわかりません のでビデオを待ちましょう。皆さんのご意見を 掲示板にかきこしてね。

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