た行      99年夏以降 劇場で観た新作映画の感想です(基本的にビデオ・DVD鑑賞した作品は含みません)
ダーク・シャドウ 
ダークナイト 
ダーク・ブルー

ダージリン急行
ターミナル
タイタス 
題名のない子守唄
大統領の執事の涙 
大統領の理髪師
タイフーン
太陽
たそがれ清兵衛 
ダ・ヴィンチ・コード
タロットカード殺人事件
単騎、千里を走る。
ダンサーインザダーク 









チアーズ 
小さいおうち 
小さな中国のお針子

チェイサー

チェ 28歳の革命
チェンジリング
地球が静止する日
父親たちの星条旗
父、帰る
 
血と骨
 
チャーリーとチョコレート工場

チャプター27
厨房で逢いましょう
長江哀歌
長州ファイブ 
チョコレートドーナツ 
 
ツォツイ
月のひつじ
 
つぐない
椿山課長の七日間
冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
釣りキチ三平
釣りバカ日誌15
蝶の舌 
ディア・ドクター
ディープ・ブルー
 
Disney'sクリスマス・キャロル
ディナーラッシュ 
ディパーテッド
手紙
デッドプール 
デトロイト・メタル・シティ
デビルズ・ダブル 
テラビシアにかける橋
テルマエ・ロマエ 
天国の口終わりの楽園 
天使と悪魔 
電車男
 
トイレット
トゥーウィークスノーティス
トウキョウソナタ
東京タワー 
東南角部屋二階の女
トゥヤーの結婚
トーク・トゥ・ハー
 
図書館戦争 
トスカーナの休日
友へチング
 
扉をたたく人
ドラゴン・タトゥーの女 
トランスフォーマー
ドリーム・ガールズ
トレーニングデイ 
トロイ 
トンネル
トンマッコルへようこそ








2016/6/3 【 デッドプール 】

デッドプール」を観た。
マーベルコミックスの破天荒ヒーローを実写映画化。
世界120カ国でナンバーワンを記録、R指定映画としては史上最高記録を達成。そうこの映画はアメコミのヒーローものなのになんと15R指定。
オープニングクレジットで雑誌peopleに掲載されたのライアン・レイノルズ自身の写真と”I’m a hot chick”「世界1セクシーな男」だの”produced by asshats””directed by an overpaid tool”「監督はギャラが高いだけで役立たず」etc・・・ブラックジョークを敢えて爽やかな♪Angel of the Morning の曲に乗せるギャップに苦笑。
噂のクソ無責任ヒーローは、おしゃべり好きで自己中で強すぎるけどテキトー過ぎるというありえないほど規格外。
観客に話し掛ける演出もさることながら、演じるライアン・レイノルズの自虐ネタや他の映画「X-MEN」「127時間」「96時間」etcなどをイジっているので知っているネタに関してはたまらなく楽しめる。
あの赤いコスチュームにたどりつくまでや‘deadpool’という名前が決まるまでの‘そもそも’の過程もしっかり描いているので初心者に優しい。
というのも、数ヶ月前に鑑賞した「
バッドマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」が、ファンにしかついていけないあまりに説明不足の展開だっただけに、アメコミに何の知識がなくても問題がない‘門戸が広い’というのは(但し15歳未満はおあずけ)単純に嬉しい。
時系列を前後させているのも効果あり。
ヒーローものならではの戦いやらのアクションに加えて、恋人とのロマンスあり、ホラー?あり、に大人のおふざけコメディがmixされているのも魅力。
メロウな「CARELESS WHISPER」♪by WHAM!の曲がこんなに効果的に使われたのも想定外でポイントup





2014/7/17 【 チョコレートドーナツ 】
チョコレートドーナツ」を観た。
1970年代アメリカの実話を基に、母親に見捨てられたダウン症の少年と一緒に暮らすため、司法や周囲の偏見と闘うゲイカップルの姿を描く。冒頭のハンディカメラ映像で映されたのは、人形を抱いて夜道をさすらう少年の後姿。それが何だったのか後半に同じ映像が流れ判明し胸がつまる。
今でこそゆるくなったとはいえ70年代の差別と偏見の中、行政がマイノリティであるゲイカップルが障害者と暮らすなんて認めるわけがない。四角四面に型枠に入れて物事を進め決め付けるその不条理によって犠牲となった子供がいたことは忘れてはならない。
マルコはチョコレートドーナツが大好きでストリートダンスの天才、そして眠る前にはハッピーエンドのお話を聞くのが好きな子供。実の親でさえ知らないマルコの素顔を知っていたのは他ならないこのゲイカップルだけ。
血はつながっていなくてもここには確かな家族があったのに・・・。
原曲でボブ・ディランが冤罪で囚われた男を歌ったという「I Shall Be Released」を、ショーダンサーのルディを演じたアラン・カミングが怒りや悲しみといった心情を重ね魂から熱唱している。





2014/1/31 【 小さいおうち 】
小さいおうち」を観た。
日中戦争開始時代から太平洋戦争にのまれていく市井の人々を描く。
当時ののんびりした暮らしを語る年老いたタキ(倍賞千恵子)に、若い青年(妻夫木聡)が『そんなハズはない』と批判するシーンが何度も登場し、(まぁなんでこの妻夫木青年が教科書知識とはいえそんなに詳しいの?っていうのはあるにせよ)それはまさに平和ボケしているいまの時代と当時を重ねて、山田洋次監督はいまの時代への危機感に警鐘を鳴らす。安部政権になってからの秘密保護法案をはじめとする政策路線に真っ向から反対している監督の確固とした政治的メッセージを反映した作品になっている。
奉公先の主婦(松たか子)の華やかさと比べても女中タキ(黒木華)のあまりに地味な役どころの対比が大きいのにその存在感に圧倒される。世界3大映画祭のひとつ、第64回「ベルリン国際映画祭」で最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いたというのも納得の演技だった。
この先に待ち受けるきな臭い事柄など想像もつかないような、赤い屋根の昭和モダンの小さなかわいらしいおうちの2階の窓から顔を出す平和なシーンも秀悦。





2013/8/16 【 大統領の執事の涙 】
大統領の執事の涙」を観た。
LAで観た時の原題は「the butler」。う〜〜ん日本公開でのこの邦題はなんともセンスがない。「the butler」=執事で良いと思うのだけれど…。
ホワイトハウスで1950年代から80年代に7人の大統領に仕えた黒人執事がいたという事実に基づいて製作されたという。
一人の黒人執事の人生を描くことで、1920年代からの黒人差別、公民権運動といった、アメリカの負の歴史にスポットライトを当てたオバマ大統領が誕生するまでの現代史としても、そこに父と子の確執を絡めた人間ドラマとしても見応えあった。
なんといってもカラーパープルで強烈な印象を残し今やアメリカのトーク番組の女王となったオプラ・ウィンフリーが主人公の妻役で出演というのでオプラ目当てでの鑑賞。仕事一筋の主人公(フォレスト・ウィテカー)と息子の板ばさみになる妻役は絶妙でさすがの存在感。
歴代の大統領が実名で有名俳優が多数登場するオールスターキャストともいうべきメンツが顔を揃えている。鑑賞当時はアカデミー賞の有力候補となっていたのにオバマ大統領のシンパ的要素が逆に政治色として嫌われたのかアカデミー賞の時期にはノミネートを逃した外のは残念。





2013/5/8 【 図書館戦争 】

図書館戦争」を観た。
予告編の段階から図書を守る為日本人同士が命をかけ銃撃戦をするのかぃ?という違和感でスルーのつもりが、なななんと意外にも評判がそこそこ良いらしいので、期待値ゼロで鑑賞することに。
よくよく考えたら戦前も戦時下も検閲が当たり前に行われ本を自由に読むことができなかったし、戦後の昭和30年代でさえラジオや新聞は検閲で骨抜きにされていたため実態がよくわからなかったというから、この映画の架空の「メディア良化法」自体は、一笑できるものではないのかも。
だとしても最終手段として図書隊vsメディア良化法側の戦争というのならまだしも、のっけから武力闘争ありきの検閲の設定はどうもすんなり入ってこないし説明不足のような・・・。
銃撃戦はかなり見応えあるけれど、何度もある絶体絶命シーンでもお約束の展開が待っているので安心して観れた(-_-;)
それにしても何より意外だったのが、鬼教官を演じた岡田准一。岡田クンといえばジャニーズだしアイドルグループV6だしイケメンオーラ放っているし・・・なのに、女性から「チビ」と罵られるような役はアリ???もしかして低身長なのかもしれないけれどここは触れていけない空気というものが業界全体にありそうなのに・・・。この映画で低身長のイメージが定着していいのぉ?というような驚きが・・・。
原作では岡田クンが演じた図書隊の教官は‘怒れるチビ’で165p、榮倉奈々が演じた図書隊員は‘熱血バカ’で170pという設定だとか。因みに岡田クンだけでなく、榮倉奈々と栗山千明の身長差もかなりで、改めて栗山千明が小柄なことを発見。
図書隊の創設者祖、稲嶺指令には原作者の強い希望で故児玉清をキャスティングしていたのはイメージ的にはど真ん中。
サントラもなかなか良かった。
それにしても訓練生と教官という設定から思い浮かんだのが「スチュワーデス物語」。1983年だから30年も前?我ながら古っ。





2012/5/26 【 ダーク・シャドウ 】
ダーク・シャドウ」を観た。
ティム・バートン監督の定番俳優であるジョニー・デップがヴァンパイアを演じる。白塗りでアメリカ文化についていけない時代遅れな吸血鬼という設定の発想は面白いと思うのだけれど、これはいくらんなでもまるでドタバタコントを見ているよう。
カーペンターズなど選曲も意外性はあるけれど、なんかティム・バートン監督のやりたい放題が度を越しているような。
渋い色調の映像は健在ながら、クライマックスの魔女とヴァンパイアの戦いもどこかで観たような戦いで中途半端で特筆すべきものはなかった。





2012/5/5 【 テルマエ・ロマエ 】
テルマエ・ロマエ」を観た。古代ローマ帝国の浴場設計技師が現代日本の銭湯にタイムスリップするという人気コミックを実写映画化。発想は面白いのだけれど、楽しめたのは外国人目線からの日本の銭湯を面白く紹介している前半のみ。だんだんテンポ悪くなって後半はなんと寝てしまった。これって眠くなる映画だったとは・・・(-_-;) 阿部寛、北村一輝、宍戸開、市村正親という日本屈指の顔の濃い役者陣を揃えて古代ローマ人を演じていることも話題となっているけれど、果たして本場のイタリア人からもローマ人として見えたのでしょうか。もし顔の薄いイタリア人が日本人を演じたら日本人に見えるか???というのも気になるところ。ヒロインの実家の旅館の経営危機という付随するドラマも中途半端。っていうか実際に半分うとうとしていたからなんだかよくわからないまま鑑賞終了。




2012/4/7 【 デビルズ・ダブル‐ある影武者の物語- 】
デビルズ・ダブル-ある影武者の物語-」を観た。
イラクのフセインの息子、ウダイの影武者だったラティフ・ヤヒアの自伝を映画化した作品。これまで色んなタイプの実話に基づいた翻弄された人生を描いた映画を見てきたけれどこここれは想定外。こんなことで人生を翻弄されるような落とし穴がこの世にあるなんて・・・。
2003年のイラク戦争からまだ10年・・・戦争とは別の次元でこんなとんでもない境遇を背負わされたのはつい十数年前だとは・・・。
顔が似ているということでラティフが影武者として選ばれてしまったウダイとは?次々に明らかになる常軌を逸したエピソードに稀代の悪魔ウダイの本性が明らかになり唖然。非常な独裁者として知られる父フセインが息子ウダイに向ける厳しい目は極めてまともで「生まれた時に殺しとくべきだったな」と呆れるほど。このウダイの欲望むき出しの暴走を目の前に従うしかないとは生き地獄。 壮絶な人生に言葉を失う。
何よりもどちらかが登場するとそれがどちらかすぐ分かるほどで、同じ顔をしながら別人格のウダイとラティフを完璧に演じ分けた、12役を演じたドミニク・クーパーが圧巻。
後日談として、ラティフは亡命後もCIAへ協力を拒んで拷問にあったという。そのようなアメリカに対しての複雑な思いから、この映画はアメリカではなくベルギー映画として制作されている。




2012/2/11 【 ドラゴン・タトゥーの女 】
ドラゴン・タトゥーの女」を観た。
世界的ベストセラーを映画化したスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の3部作の中で最もおもしろかった1を、デビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイク。1に関してはオリジナルが良かっただけにこちらのハードルもかなり高い・・・が、まずオープニングでかの名曲♪「移民の歌」をバックに作品を象徴するかのような不気味なCG画像がスタイリッシュで一気に引き込まれる。(ツッペリンではなくカレンOによるもの)。
allスウェーデンロケということでオリジナルの空気感を損なわないままパワーアップさせたという意味でも良かった。エンディングが少々異なった点についても、このミステリーをわかりやすくしたという意味でまったく違和感なく受け入れられた。主人公リスベット像はあまりにアナーキーで強烈だったせいもあって今回のルーニー・マーラはオリジナルをなぞった感もあるものの、ミカエル役のダニエル・クレイグはフツウのおじさん像からはるかにグレードアップ。
さて気になる続編は??? オリジナルは第2作以降でリスベットの秘密など明らかになっていくものの出来としてはイマイチだっただけに逆にハリウッド版に期待できるかも。





2010/11/9 【 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 】
冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」を観た。
ジョニー・トー監督の香港とフランスのフィルム・ノワールの強力タッグにノックダウン。
フランスからやってきた娘一家を犯罪組織に殺された初老の男の復讐を描く。主人公と絡む香港の殺し屋の‘仁義’にすっかり魅せられた。
当初フランス人おやじ役はアラン・ドロンで進行していたながらを脚本に失望したということで「列車に乗った男」のジョニー・アリディになったという。このジョニー・アリディの痩身のスーツとサングランス姿はいかにもさまになっていてアジアの混沌の中での異邦人という意味でも存在感ばつぐん。
香港の裏組織の3人アンソニー・ウォン、ラム・ガートン、ラム・シュの生き様もダンディズムでな〜んてcoolなことか。
冴えない長い邦題のタイトルは原題の「Vengeance」のまま「復讐」の方がずっとスマートだと思うし、女性警察官の存在感・捜査の進展・敵からの差し入れ・ボスへの忠誠心・ビックママの変装etc・・・なんか奇妙でアレレレって箇所は多い。それでもそれを払拭させるのに充分な至高のハードボイルドに仕上がっている。
月明かりや降りしきる雨の効果を最大限に活かしたカメラワークや食事をしながらの銃談義・従兄のゴミ収集場・自転車への射的・圧縮梱包のキューブの紙ゴミなどの各シーンも見応えあって大満足。




2010/11/8 【 トイレット 】
トイレット」を観た。
もたいまさこのあの独特の存在感を海外バージョンの中で活かしたかったのだろうけれど、ただただ違和感しか感じなかった。孫たちが一生懸命話し掛けて来るのに、それを無表情で対応するのはいくら、もたいまさこの味であろうと変でしかない。
外人の孫+英語がわからない祖母+エアギター+おたく+引きこもり+ピアノ+日本のトイレetcなんとなくネタは豊富なのになんとも中途半端。バス亭の奇妙なおばさんをあの「西の魔女が死んだ」サチ・パーカーが演じているというのにその存在もビミョウ。
ただ全編カナダロケということでかわいらしいトロントの街並みは良かったけれど、あちらの暮らしの中で住宅にはやはり夢があるので‘小じんまりした家’ という設定でせっかくの欧米自宅が日本の住宅メーカーのようなせこせこしたステレオタイプの家だったのがちょっとつまらない。
タイトルが「トイレット」だけあってTOTOの宣伝としては上出来。




2009/11/30 【 Disney'sクリスマス・キャロル 】

Disney'sクリスマス・キャロル」を観た。 

チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」といえば、これまで何度か映画化されている中で、「ミッキーのクリスマスキャロル」は子供が小さい頃に繰り返し観た。なので馴染み深いものの、今作は3D鑑賞ということもあり予想以上の半端ないバージョンアップとなっていた。臨場感たっぷりで画面も暗いこともあってく幼児向けからも脱却し大人が楽しめる。
ロバート・ゼメキス監督は「ポーラー・エクスプレス」でも素晴らしいパフォーマンス・キャプチャー&CGアニメーションの技術を見せてくれたものだけれど今回3D映像となり更に極まった。
「ポーラー・エクスプレス」ではトム・ハンクスが1人5役分の声を演じたと話題になったが、今回はジム・キャリーが17役だという。私の観たのは日本語吹き替え版だったので、代りに山寺宏一の見事な声優ぶりを堪能できた。ジム・キャリー以外にもゲーリー・オールドマンも3役を演じるというのも見どころだったのだけれど、実際にはあまりにデフォルメされていて誰が何をやっているかよくわからなかったので、そこらへんも楽しみにしている方はあらかじめ情報を入れてから鑑賞したほうが無難かも。
空を飛ぶシーンなどはまるでディズニーのアトラクションそのもの。ただ3D映像も驚かされるのは最初であとは慣れるものらしく、観終わって‘疲れた’という感想があるのも納得。
『今のあなたは、昔‘なりたい’と願っていたあなたですか?例え今は「Yes」と答えられなくても、人は変わることができる』というメッセージは160年前も今も変わらず切々と心に響く。
ロバート・ゼメキス監督が「ポーラー・エクスプレス」に続きまたしてもクリスマスの名作を生んでくれた。





2009/10/11 【 扉をたたく人 】
扉をたたく人」を観た。
ある移民との出会いが社交的とは対極にある男に変化をもたらすという意味では「グラン・トリノ」に通じていて、今回は不法移民にスポットを当てる。偶然とはいえ異民族のシリアとセネガル出身者との出会いがあるというのが多民族国家アメリカらしい。
何といってもこの邦題に感心。
原題は「the Visitor」とあるので主演の大学教授を演じるチャード・ジェンキンス宅の訪問者というのがストレートなんだろうけれど、Visitorは移民のことでもあり、扉は9.11以降に不法滞在者に不寛容になったアメリカそのものであり、また無気力で閉ざした主人公の心そのものとも言える。
果たしてそれぞれの扉は開かれるのでしょうか・・・。世の中には開かない扉もあるけれどラストの主人公の姿に何かつきぬけたものを感じた。
心を通わせるきっかけになったジャンベ(アフリカンドラム)の音色は当初ノリノリで軽快だったけれどラストになんとも言えない哀愁を帯びたように思えた。





2009/8/19 【 ディア・ドクター 】
ディア・ドクター」を観た。
あの完成度の高かった「ゆれる」の西川美和監督の新作だということで期待大。
突然失踪した医師 伊野(笑福亭鶴瓶)の謎を、2ヵ月前に赴任してきた研修医 相馬(瑛太)からの目線も絡め「過去」の回想シーンと、警察の捜査を中心とした「現在」とを交差させながら真実に迫っていく。
鶴瓶の持味のあの柔和なあたたかさが活きて存在感となっているのでキャスティングは良かった。
のどかな田舎の風景と人々を丁寧に描くことで伊野の人物像を浮かび上がらせ、謎めいた空気感を深めたいのはわかるけれど、どうにも引っ張り過ぎ感があり途中うとうとしちゃいました。(-_-;)新米研修医の志・事務的な都会の医師像・資格など考えさせられるものを織り込んでいるものの予定調和な話なので ぬるい感が否めない。
ラストシーンは「ゆれる」同様にこの作品のテーマがぎゅっと凝縮されていて印象的で、これぞまさに西川監督色と思われる。





2009/7/4 【 チェイサー 】

韓国映画「チェイサー」を観た。
陰惨な狂気殺人事件を追うってことで思い浮かぶのが「殺人の追憶」。こちらは、10か月に21人を殺害した疑いで逮捕された、韓国で殺人機械と言われた連続殺人鬼ユ・ヨンチョルの事件をベースにしている。すさまじく緊迫感あふれてショッキング・・・監督・脚本のナ・ホンジンはこれがデビュー作というから驚く。
最初うさんくさい金の亡者だったのが次第に嗅覚鋭く変わっていく主演の元刑事(キム・ユンソク)も、一見フツウな外見の奥に潜む狂気も得体の知れない不気味な犯人(ハ・ジョンウ)もはまり役。警察に勾留されようが取り調べ最中だろうがまだこの犯人の一挙一動がコワイ。
これがハリウッドでリメイクされるらしいけれど、ディカプリオがこの味を出せるのかなぁ。だいたい、ソウルの路地の坂道を舞台にしているからこそシチュエーションに泥臭い雰囲気と迫力が出たと思うのよね。
チェイスシーンはこれまで何度も観てきたけれど、ハラハラドキドキで、これぞ`名チェイス‘と言えるかも。血どばっの凄惨なシーンが多いので苦手な方にはきついと思うけれど完成度が高い。





2009/5/21 【 天使と悪魔 】
ダ・ヴィンチ・コード」の続編となる「天使と悪魔」を観た。
今回もトム・ハンクス演じる宗教象徴学者ラングドンが大活躍。っていうか謎解き映画なのに、矢次早に教授が解読しちゃうのは前回同様だし、実行犯があまりに緻密に計画を遂行していく件は出来過ぎで、つっこみどころもあるけれど、見方を変えるとスリリングで展開が速いので実際の上映時間より短く感じた。
ヴァチカンに、400年前に弾圧された秘密結社「イルミナティ」が復讐を開始するというストーリーなので、知らざる
サン・ピエトロ寺院内の宗教儀礼をはじめとしてヴァチカンの様子を垣間見れたし、ローマ市内の旧跡もてんこ盛りという意味では興味深かった。場所が場所だけに映像も重厚で綺麗。
「宗教と科学」という対比がタイトルの「天使と悪魔」という対極を想像させて、実行犯のゆがんだ行動の基本には、神への確かな信仰心があるっていうのも表裏を描いているという意味ではリンクしているのかも。





2009/3/31 【 釣りキチ三平 】
釣りキチ三平」を観た。
かつて一世を風靡した矢口高雄によるコミックを、原作登場から35年の月日を経て実写映画化したもの。アカデミー外国映画賞で時の人となった滝田洋二郎監督で出演者は須賀健太・渡瀬恒彦・塚本高史・香椎由宇etcと豪華。
原作者の矢口高雄の故郷 秋田での全編ロケ。マタギ小屋・のどかな田舎道・吊り橋・山の深さ・夜空の深さ・美しい渓流etcの秘境の美しい映像はもちろんのこと、岩魚の塩焼・骨酒・タタキ(刺身)はそ〜とうに美味しそうで当地の良さを改めて実感。
釣りを背景に家族内での確執から絆を得るまでを描いていた中で、何気ないシーンでの姉の愛子の変化の描き方がよかった。
「釣りとはただのくだらない遊び」と言いながらも祖父である釣り竿師・有名な海外のプロの釣り師・未だ何にも縛られない純粋無垢な三平の三者三様を比較するのも面白い。





2009/2/27 【 チェンジリング 】
イーストウッド映画「チェンジリング」を観た。
当初非道に迫害される主人公をいくらなんでもアクションのスーパーヒロイン且つ世界のセレブのアンジェリーナ・ジョリーを何故にキャスティングしたのか・・・という気持ちもあったけれど、意外にも不憫さがよくにじみ出ていた。
オープニングとエンディングの色の彩度を落とした街並みの映像がなんともクラシカルな1920年代の雰囲気を出していてため息がでるほど美しい。ここらへんがさすがのイーストウッド色なのかもしれない。
身の毛もよだつ猟奇殺人に引けをとらないほどに、純粋なハズの子供が・・・正義なハズの警察が・・・ 理不尽な裏切りは救いがない。
マルコビッチ牧師の長老派の助けがなかったら一体どうなっていたかと思うと戦慄が走る。辣腕弁護士の起用も含め、この強力な味方の存在感なくしては成り立たなかったかも。
疲れ果て絶望になるのではなく、それでも希望を失わないのが母親のゆるぎない愛だと描いている。





2009/2/2 【 チェ 28歳の革命 】
チェ 28歳の革命」を観た。
南米の伝説的革命家チェ・ゲバラの半生を描く2部作の前編。
キューバ革命の英雄といってもここで描かれるのはあくまで地道なリーダー。こう描くことがソダーバーグ監督の意図だとしたら相当肩すかしで、「彼を銅像にしないよう努めた」という監督の弁だけれど、淡々と描くことで全体的に盛り上がりに欠けていたような。
映画ではキューバ革命と1964年のNYでの国連総会でのゲバラの姿を交差して描いている。国連総会での批判への反論の鋭さはゲバラの頭脳明晰さが如実に表れていてさすがのカリスマ性だけに何故に逆に‘伝説のヒーロー’としてもっと劇場型に描かなかったのかと残念。
美男過ぎるゲバラを演じたベニチオ・デル・トロが実物には敵わないけれど良い線で似ていた。
ゲバラの同志で何度も出てくるフィデルはフィデル・カストロのことで、これは「ぜんぶ、フィデルのせい」という作品で既にインプット済。さて後編は・・・今回盛り上がりに欠けたせいかなんとも38歳編への鑑賞意欲をそがれるくらいテンションが下がっちゃった。





2008/12/21 【 地球が静止する日 】
地球が静止する日」を観た。
キアヌ演じる宇宙人クラトゥが地球を救いに来る。その「地球を救う」という意味がどーいうことか後々わかるようになってくる。
冒頭キアヌが遭難して、未知との遭遇あたりはなかなか良かったのだけれど、巨人が出てきたあたりで既に失速。
科学者のヘレン(ジェニファー・コネリー)がラストにクラトゥを説得するという大役を担うワケですが、な〜んも意味ある説得をしていないにもかかわらず、クラトゥがあっさりと気を変えてしまう展開には はっ???説得力無くこれが最大のマイナス。
環境破壊がテーマなのに継母と子供の親子愛やらりアメリカ政府の身勝手さを盛り込んだのがあまり活かされていなかったような。子役はウィル・スミスの実息ということで可愛いビジュアルとは反対の自己中な役柄で今回は損な役回りだったような。壮大な予告編以上のものはなかった。




2008/11/29 【 東南角部屋二階の女 】
東南角部屋二階の女」を観た。
主人公は死んだ父親の借金を背負い、古アパートが建つ祖父の土地を売ろうとしている若者(西島秀俊)で、主人公も住むそのアパートに成り行きで若者2人が転がり込んでいく。
いとも簡単に会社を辞めてしまう若者像は職のないこの不景気にはあまりに現実味がなく余計な心配をしたくなる。あくまでも描くのは「なんとかなるさっ」というばかりのふわふわした自由な若者像。
対して香川京子、高橋昌也、塩見三省のベテラン勢が生きざまを通して人生の重みのようなものを教えてくれる。
この映画の本当の主人公は古アパートの持ち主の藤子さん(香川京子)。楚々として品があって若く美しいので、相手役?の台詞のない高橋昌也とはバランス的にどうかな・・・。どちらかというと外野から支える塩見三省とのツーショットの方が断然ナチュラルな気もする。
特に何が起こるというわけでもなく、若者達が年配者の心の内に触れることで何か気持ちが少しずつ上向いていく様子を淡々と描いていた。




2008/11/8 【 トウキョウソナタ 】

第61回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で、審査員賞を受賞した「トウキョウソナタ」を観た。
一見ごくフツウな佐々木家のそれぞれが体面するフツウじゃない出来事をそれぞれの立場で描いていく。
父親のリストラにまつわるエピソードはあまりに哀しい。ある日を境に築いてきたものがあっけなく崩れていくサマはショッキングとしか言いようがない。これは映画だからの誇張ではなくまさにノンフィクションの世界だとしたら、自分たちがいかに紙一重の身にいるかという意味では恐ろしい。
家長であることの威厳を保とうとする父親は体裁ばかりだし、一見ドーナツを揚げるような家庭的に見える妻も地に足がついていないふわふわ感いっぱいでなんだか子供を気にかけているようでいながら実は表面的。この夫婦は問題に気がついていないわけでもないのにどっか逃げている。子供もそんな親を冷静に見ていて、それぞれの複雑な思いが交差しながらもなんとなく家族という形を保とうとしているのが痛い。
そして・・・あることでめちゃくちゃになった家の中は家族の心も表現している。それでもその場所があるというのが家族ということなのかな。
ありそうでなさそうな数々のエピソードの中、最後まで違和感が残ったのは何といってもこの家族の希望となり得ている次男のピアノ。いくら天才という設定とはいえ3か月でこれは・・・う〜ん無理あり過ぎでしょ。加えてピアノ教師が離婚経験者という設定は何の必要性が・・・?登場人物全員に何か背負っている負を表したかったのだとしたらこれにも無理やり感があり中途半端。なんかもやっと感が残った。





2008/9/3 【 デトロイト・メタル・シティ 】
若杉公徳のコミック原作の「デトロイト・メタル・シティ」を観た。
オシャレ系ポップミュージシャン‘根岸崇一’と悪魔系デスメタルバンドDMCの‘クラウザーU世’の1人二役を松山ケンイチが見事に演じている。
松山ケンイチの役に入り込む見事さといったら・・・もう半端ない。大分の農家で育った青年が東京でもまれて成長する過程での葛藤も丁寧にそれでいておもしろおかしく描かれていた。
いくつもあるバンド対決に関しての勝ち負けはなんだかよくわからないながら(-_-;)、松山ケンイチが即興でライブパフォーマンスができてしまったというライブシーンの完成度も高く酔えた。
世界制覇を目指すアメリカのブラックメタル界の帝王でDMCに宣戦布告するジャック役をなななんとKISSのベーシストでボーカルも担当していたジーン・シモンズが演じていたことをエンドロールで知ってビックリ・・・。そういえばジャックの歌は貫禄あって圧巻だったゎ。ジーン・シモンズとはねぇ うわぁ得した気分。
無駄なくコンパクトに104分に仕上がっていたのも良かったけれどもっと観たかった感さえ残るほど楽しめた。
映画が終わるなり本屋で原作コミックをまとめ買い。大人買いだゎ。原作で根岸君が毎日家で紅茶を飲みつつ加藤ローサのブログをチェックするというシーンがあるので、ヒロイン役の加藤ローサはこれが関係しての出演になったのかな・・・。DMCのドラムのカミュ(ロバートの秋山竜次)は原作ではやばい台詞だらけのせいか映画では「ブルマ〜」くらいしか台詞がなかったのがなんだか寂しい。
それにしても原作はかな〜り下品なだけによく映画化できたなぁと感心。




2008/8/29 【 ダークナイト 】
ダークナイト」を観た。
米国では興行収入で「タイタニック」に継ぎ上映期間が長く続けば「タイタニック」の記録を塗り替えることも不可能ではないとされる大ヒット作品。
Dark Night」かと思ったらラスト近くで「Dark Knight」が正解だったと知った・・・。
ヒース・レジャーのあの優しい顔立ちから想像できない口裂けピエロのキモい形相といいゆるぎのない悪魔の所業は徹底していて鬼気迫る役作りは主演のバットマンを食っている。冷酷な悪人なのにお見事というしかない。正義のかたまりのような人間が悪に染まっていく様子も見事に証明してくれちゃうし考えるスキもないほどの存在感に圧倒されっぱなし。今年(20081月に若干28歳で亡くなったことが残念でならない。
キーパーソンの検察官デントがいつもコインの裏表で選択していたのが伏せんとなっていて、バットマンのヒーロー映画というよりあらゆるシーンで究極の‘二者択一’(バットマンの素顔or市民の命、2人のうちどちらを助けるか、1人の命or病院の爆破、市民の命or囚人の命etc・・・ )を問う濃い作品だった。
さてみなさんならどちらを選ぶでしょうか?どちらが正しくどちらが間違いかということがないだけにその葛藤たるや・・・まさにコインの裏表。バットマンとジョーカーの関係ともリンクしている。
唯一残念だったのがバットマンの元カノ役のレイチェル(マギー・ギレンホール)で、なんかバットマンへの理解もイマイチだし2人から愛される美味しい役にしては魅力に欠けるような。
あ〜それにしてもヒース・レジャー!!素晴らしい演技をありがとう。ご冥福をお祈りします。




2008/6/12 【 つぐない 】
ベストセラー小説「贖罪」を映画化した「つぐない」を観た。
助演女優でノミネートされていたシアーシャ・ローナンを含め3人の女優が3世代のブライオニーという一役を演じているが、観終わって思ったのは、このブライオニーが助演ではなく主役だってこと。自分のせいで姉とその恋人の運命を狂わせたという‘一生かけて償わなければならない罪’と葛藤を描く。
イギリスの裕福な家の演出は美しく、姉妹それぞれの時代を感じさせる白いスイミングキャップと水着も目に焼きつく。進んでは戻るという展開は姉・妹・恋人の3者からの視点を描くのに効果的。
ただ従姉を襲った犯人は最初の登場時の表情で察しがつくし、当人自らの告白という形の‘台詞’で知らせるという手法が嫌いな為、この作品の見所になっている‘ある真実’を描く展開が意表を突くとまではいかなかった・・・。そーいう意味では「幻影師アイゼンハイム」の方が勝っているし、同日に観た「君のために千回でも」が‘罪の意識’‘作家’‘戦争’とこの映画とリンクする箇所が多くアチラがあまりに良過ぎたせいかこの作品はかすんでしまった。
でもこの映画で一番良かったのはイギリス軍のダンケルクの撤退のシーン。この疲弊しきった空気感は見応えあった。




2008/5/11 【 トゥヤーの結婚 】
2007年ベルリン国際映画祭金熊賞グランプリ受賞作トゥヤーの結婚」を観た。
内モンゴルで下半身不随の夫と2人の子供を支える主人公トゥヤーの物語。内モンゴルの厳しいながら雄大な自然と遊牧民の生活をリアルに描いていて興味深かった。
前半は家族を養うために一身に背負い血の出るような苦労重ねるをしながら黙々と働くトゥヤーを描く。黙々と働く妻、それを寡黙な夫が優しく見守る。それだけでどんなに生活が苦しくてもこの家族は幸せだと伝わってくる。
自分自身が倒れどうにもならなくなった時に「家族と一緒に暮らせることが一番大切なこと」という信念の中、決断したこととは・・・・・。
それが正しいかどうかは映画を観終わっても判断がつかなかった。妻の苦しみも相当だろうけれど、それ以上に夫は妻にその決断をさせてしまった自分の不甲斐なさと悲しみで苦しんでいる。この先その苦しみは癒えることがあるのだろうか?
冒頭と同じシーンがラストでも登場するが、息子の喧嘩とトゥヤーの涙の意味がわかった上で改めて観るとなんとも切なく複雑な気持ちになってしまう。




2008/4/2 【 ダージリン急行 】

ダージリン急行」を観た。
本作の前に15分程の短編映画「ホテル・シュバリエ」が上映される。終わったハズの元彼女との再会で翻弄される男(ジェイソン・シュワルツマン)のはっきりしない心情がユーモラスに描かれている。
この男が本編では3人兄弟の末子で登場し、ちゃんと本編とリンクしているのがなかなか・・・。
3兄弟のビミョウな距離感がこの作品の雰囲気を示している。育児放棄のばっくれ母親も一癖ありで、母親のDNAを一番多く受けついだワンマン長兄(オーウェイン・ウィルソン)にマイ・ペースな次兄(エイドリアン・ブロディ)、そしてとぼけた末弟による3兄弟のインドの旅があくまでもゆる〜く淡々と描かれている。ある意味このロードムービーは脱力系に入るのかも。
インドはハードルが高くなかなか自分の足で踏み入れるには勇気と決断がいる国ではあるだけにリアル映像には興味津々。有名観光名所のタジ・マハールやガンジス河ではなく、人々の暮らしや風景を軸にしているようだ。
兄弟が持ち歩く10個のオレンジ色の旅行バックには動物とヤシの木が描かれていて印象的。なんとこれはこの映画のために作ったルイ・ヴィトン特注品だそうで、ラストに待ち受けるこの高級旅行バックの運命をお楽しみに・・・。





2008/3/22 【 チャプター27 】

チャプター27」を観た。
1980
128日に起きた、元ビートルズのジョン・レノンを射殺したマーク・デイヴッド・チャップマンの殺害に到るまでの3日間を描いている。タイトル「チャプター27」は、現場にいた時に手にしていた「ライ麦畑でつかまえて」が全26章からなっており主人公がNYを3日間放浪するという話でチャップマンとリンクしているところからつけられたその次の章ということらしい。198011月にリリースされ遺作となった♪ダブル・ファンタジーは私も何度も何度も聴いたものだが、このジャケットにチャップマンはジョン・レノンからサインを貰い犯行は同日の数時間後というのがなんとも理解できない。熱狂的なジョン・レノンの1ファンが何故・・・?この映画を観ても決してジョン・レノンは何故殺されたのか?の謎は解明できない。ヨハネの福音書JOHN(ヨハネ=ジョン)の所にLENNONと書き込んだり、インタビュー記事を読み裏切られたと思い込んで次第にとり憑かれていく様子を描いているが、あまりにチャップマンの頭の中は混乱していて殺害理由が理由になっていない。この理解できない主人公の闇を細身のイケメン俳優ジャレッド・レトが体重を30キロも増やしチャップマンになりきって演じている。これは凄い。太鼓腹と白いブリーフ姿からはイメージが違い過ぎてただただビックリ。





2008/2/3 【 テラビシアにかける橋 】

テラビシアにかける橋」を観た。
昨今ファンタジー映画が続々公開されているが、原作はファンタジー小説ではなく、児童小説の名作だという。現実に根ざした子供達の冒険ドラマ。
現実がなんとも痛烈で、主人公ジェスの家庭は日々生活に追われる労働者階級であり、学校もトイレに行くのにお金をまきあげられるのが氷山の一角で然り・・・。この救いのない中で出会った転校生の少女と自分達だけの空想の王国を守り育てていく様子が描かれる。
二人が作った秘密基地や広がる想像力の世界は決して遠いものではなく、自分もかつて経験した子供の頃のワクワクした秘密基地ごっこの延長。
子供特有の世界観と現実の厳しさを対比させる中で、怒ってばかりの先生や父親etc大人の描き方もとても丁寧で良かった。
ラストに「テラビシアにかける橋」のタイトルの意味が明かされる。テラビシアの姫への展開はちょっと不可解ながら懐かしさに共感できた。





2008/1/6 【 長江哀歌 】
2006年ベネチア国際映画祭金獅子賞グランプリ受賞作「長江哀歌」を観た。
中国の一大国家事業の三峡ダム建設で沈みゆく街とそこに生きる市井の人々を描いている。中国の今を知るという意味では大変参考になったが、ストーリーは添え物程度で、淡々としたドキュメンタリー映画を観ているようであまりのゆるいテンポについうとうとzzz。眠ってしまったため見逃したシーンを影武者さんに聞きたら、影武者さんも寝てしまったとかで解明できず(-_-;)
撮りようによっては大河長江の素晴らしい景観を楽しめることもできただろうけれど、全体的な色彩トーンがなんとも地味なのが残念。途中全く意味不明な抽象的なシーンがあり、それがわからないままになっているので、全体的にう〜〜〜ん難しい。




2007/11/9 【 厨房で逢いましょう 】

厨房で逢いましょう」を観た。

ドイツでレストランを営んでいる天才シェフのグレゴアが平凡な主婦に恋をするほろ苦い物語。料理絡みの話というと最近の「幸せのレシピ」など他にも沢山の作品がある中で、異例ともいえる鴨の毛をむしったり鹿の皮を剥ぐという生々しいシーンまでみせてくれる。この器用な手さばきに期待はふくらむ。
「美食と料理が生きがい」という太っちょのシェフの来年の2月まで予約でいっぱいだという6席までしかないテーブルに座れたお客の顔のなんて幸せそうなことか。芸術的なお料理の数々を見せられて、拍手でシェフを迎えるお客達と気持ちは一体になりそう。
この厨房にグレゴアの料理の虜になった主婦エデンが夫の不在の晩を見計らっては味見をしにやってくる。一言でいうと「図々しい食いしん坊主婦が2人の男の運命を変えた」ってとこでしょうか。このエデン夫妻は似た者同士なのかともにもっと後先考えて行動してほしかった。
ってことで太っちょシェフのグレゴアだけが大人に見え、料理に拍手グレゴアの人柄に拍手 の作品だった。





2007/10/30 【 題名のない子守唄 】

伊映画「題名のない子守唄」を観た。
かの「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督最新作。
あるウクライナ女性の哀しい秘密を巡るサスペンス。この監督の「「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」とは大違いで、回想画面のショッキングなフラッシュバックで描かれる過酷な現実に言葉を失う。人身売買をさせられた若く美しい頃・家政婦時代・そして老年までを見事に演じた主人公イレーナを演じたロシア人女優クセニア・ラパポルが素晴らしい。残酷で悲劇的な人生をじっと耐え忍び淡々と演じきっている。エンニオ・モリコーネの音楽もこの映画のオリジナルだという子守唄も良かった。
映画のオープンニングで「結末は誰にも話さないで下さい」というメッセージが出るので何事かと思うが、結局大したオチがあるわけでもなかった。イレーナにかすかな一筋の光をあてたのではと思わせるが説明し過ぎることなく結論を観客に委ねている。わざわざ断り書きをつけなくても良かったような・・・。





2007/10/29 【 タロットカード殺人事件 】

ウディ・アレンの「タロットカード殺人事件」を観た。
原題「SCOOP」なので、この邦題はいかにもアガサクリスティを思わせる色を出している。「マッチポイント」に続いて再びロンドンを舞台にした犯罪ミステリー・コメディ。ウディ・アレンは監督脚本に加えマジシャンとして出演。「マッチポイント」に続き出演のスァーレット・ヨハンセンとの息もぴったりで、2人の丁々発止のやりとり漫才コンビのよう。貴族階級への憧れや交通規則の違いなど・・・etcアメリカ人の抱くイギリスのイメージがよく描かれていた。ウディ・アレンが出演というと本人は恋の張本人というパターンが多かったが今回はとうとう保護者に回ったのがミソ。冒頭とラストに出てくる三途の川のシーンも死者の人間くささをユーモラスに描き可笑しかった。
ちょっと残念だったのは犯人自らの告白と予想がついたオチ。
全体的には70歳を過ぎても老いを感じさせないところはGood





2007/9/29 【 ツォツィ 】

2006年アカデミーで外国語映画賞作品「ツォツィ」を観た。

アフリカ映画としてアカデミー賞ではじめて外国語映画賞を受賞したこと以外に、少年の更生物語なのに、映倫が少年が見られないR15指定にしたことで物議をかもし話題になった。
タイトルの「ツォツィ」=不良。
自分の過去も名前も捨てて「ツォツィ」と呼ばれる主人公が南アフリカの劣悪な境遇の中生き延びるために身についた冷たい目と鋭利な存在感に圧倒される。
ツォツィが住む家やそのコミュニティは、撮影セットではなく、実際に人々が生活しているヨハネスブルグの一角の場所だというのも驚くが、95分という短い時間の中に、土管で暮らす身寄りのない子供達・犯罪に手をそめる少年達・貧困・エイズなどこの国がかかえる問題をこでもかと画面は映し出し、ところどころにはさまれる子供の頃の回想シーンに胸がつまる。
その中でも特に印象的なシーンは、足の悪い物乞いとの「何故生きたいのか」という会話。そしてもうひとつ、授乳するシングルマザーに母を、赤ちゃんに自分を重ねたツォツィの表情だ。
どんな過酷な現状でも人間にとって大事なのは、「DECENCY(品位)」でその先には希望があると信じさせてくれるパワフルな作品だった。





2007/9/17 【 トランスフォーマー 】

スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、マイケル・ベイ監督の、SF超大作「トランスフォーマー」を観た。

CGのすごいものは過去にもあったので今更何を観ても驚くことはないという予想は見事に覆る程映像が凄い。

こんなCGとアクションを観てしまったら今度こそもう何を観ても驚かないかも(-_-;) 携帯やラジカセや車がロボットになるところなんて面白すぎて目が釘付け。

ベタと言ってしまえばそれまでだけれど、さえない少年がマドンナをgetするのも、ジャンク食で太ったハッカーも、「24」を彷彿させるCTUまがいの情報部etc。これでもかというくらいアメリカ一色カラーは多分にマイケル・ベイの持味と思える。
ラストの善悪の戦いはどっちがどっちがわらないくらいに作ったのは制作サイドの意向なのか・・・凄すぎておいてけぼり。つっこみ所としては、悪サイドが飛んでくるのに対して、善サイドは地道に車で道路を走っているとか・・・(-_-;) 細かいことはまぁいいかぁ。





2007/5/12 【 長州ファイブ 】

幕末、外国を排斥するだけでは何も変えられないと敢えて敵を知るためイギリスへ行った若き長州藩士を描いた「長州ファイブ」を観た。

1863年、山尾庸三(松田龍平)、井上勝(山下徹大)、伊藤博文(三浦アキフミ)、井上肇(北村有起哉)、遠藤謹助(前田倫良)は高い技術を持ち帰るため幕府の禁を犯して荷物と化して英国へと旅立つ。

「生きた機械」となるという決意はなんという強い志だろう。

ロンドンに到着した彼らのカルチャーショックを観て、初めて海外へ行った時を思い出す。着いた時の空気の違いに、はっとしたものだったが当時のそれは空気感どころか比べられないくらいの衝撃だったことだろう。

造幣、造船、鉄道、手話等の技術を日本に持ち帰りこの日本の発展の礎を作った彼等にただただ頭が下る。長州の方言が聞き取り難かったが、140年前の日本とイギリスの描写も良く、まるで特番の「その時歴史は動いた」を観ているよう。鑑賞前にこの5人の‘その後’を頭に入れておくのも良いかもしれない。

進路で迷う学生にも、留学生にも、そして無気力なサラリーマンにも是非見て欲しい。モチベーションが上がるのでもちろん子ども達にも観て欲しいだけに、遊女とのシーンがあるのが残念。





2007/4/15 【 東京タワー 】

210万部を売り上げたリリーフランキーの自叙伝の映画化「東京タワー」を観た。
原作、TV連続ドラマ、TVスペシャルとすっかり馴染んだストーリーで、今更映画化までするかという感ではあったが、それでもやはり胸に沁みた。この物語はリリーフランキーだけのものではなく、この母子を自分とだぶらせられる、1人1人にある「オカンとボクと、時々、オトン」の話だからだ。
オダギリジョーはどーしようもないけれどフツウな主人公を、小林薫は自由奔放で晩年はひとまわり小さくなった父親を見事に演じていた。
そして予想を超えたのがオカンだった。樹木希林はボクからの本が届いた時「(明るく)ありがとうね」の台詞を、涙ぐみながら「ありがとうございました」と頭を下げるように台本を換え、また、体の不調を告げるシーンは茹でた栗と包丁を持参して臨んだという。見舞いに来るオトンとの再会や病気と闘うシーンもボクに手をひかれ歩く横断歩道のシーンも圧巻だ。
夫に頼らず子育てをし、そして子どもを東京へ送り出し、あの年齢で息子以外知り合いのいない東京へ出てくるということがどんなに大変なことか・・・さりげなく優しくたくましく誰からも好かれるオカン像にただただ「ありがとう」と言いたい。





2007/2/18 【 ドリーム・ガールズ 】
本年度アカデミー賞に最多(6部門)8ノミネートされ話題の「ドリームガールズ」を観た。
ブロードウェイでは伝説のミュージカルの映画化。
1962年ダイアナ・ロスら4人から誕生した「シュープリームス」がモデル。ジェームス・ブラウンをモデルにしたと思われるエディ・マーフィを始めみんな芸達者。これでもかというくらい贅沢なステージはまるでライブ会場にいるように堪能できる。さすがにショービジネスを描いたらハリウッド映画はすごい。
ダイアナ・ロスを演じたと思われる主演のビヨンセは確かに綺麗でショーも楽しめるけれど、対比されるエフィを演じるジェニファー・ハドソンはもちろん、エディ・マーフィにさえ比べても存在感が足りない。加えてプロモーターのジェイミー・フォックスもかなりのクセ者だけに、濃いキャラクターの中で主演のキャラが薄いのがなんか違和感。
ベテラン勢の中、主演をくっているジェニファー・ハドソンが新人とは畏れ入るばかり。ブラックカルチャーや人種差別もきちんと描きながら、心情をこれぞプロというしっかりとした歌で訴えてくるのは圧巻。それにエフィの子どもに関しても余計な台詞での説明を省いていたことも好感が持てる。




2007/2/17 【 ディパーテッド 】
「ディパーテッド」は香港映画「インファナル・アフェア」のハリウッドのリメイク版。評価も分かれどうやらオリジナルのファンには酷評らしい。(因みに私はインファナルの大ファン)。
で、観終わった感想としては・・・情緒も哀しみも絡み合う人間模様も剥ぎ取ってオリジナルをすっごく分かりやすいようにう〜んとシンプルにした感。こんなに単純な話だっけ?
ディカプリオのギブスの意味にも触れていないし、女医に渡した茶封筒のその後もないし、あのラストは一体何?だし、おまけに何故か三角関係にした恋愛も大味でで、どうしてもオリジナルを軽〜くなぞっているとしか思えない。
一番言いたいのはアンディ・ラウとトニーレオンという目に優しい眉目秀麗なキャストから、ディカプリオ・マットディモン・マークウォールバーグまでall猿顔のキャストになっているとは・・・なんなんでしょう。




2006/12/05 【 椿山課長の七日間 】

椿山課長の七日間を観た。

「いつか死ぬ予定のある方は参考まで是非ともご覧下さい」というサブタイトル。主要な三人は所謂死ぬに死ねない状況で現世に心残して死んだという人々。じんわり死に近づく人もいればいきなりという場合もあるから、また現世戻ってみたいという気持ちはすごくわかる。天国の案内人が言うように、戻った場合良いことばかりではないということも・・・。でも観終わってどうもしっくりこなかった。嫌なこともあった分良いこともあった だから まっ良いか みたいなまとめ方も?だし、たまたま選ばれた3人がご都合主義にうまく絡み合ってのハッピーエンドもどうなんでしょう。

だいたいこの椿山課長の奥さん像がつかめなかったのが気持ち悪い。なんなんだろうこの人は・・・。旦那の死を悲しんでいる風でもなく良心の呵責に悩んでいる風でもない。なんか不気味でコワイ。

西田敏行が被さって補っているから助けられているものの主演の伊藤美咲は「海猫」もまさにそうだったように美人というだけで力不足で残念。

たまたま一緒に映画館を出た初老の紳士に「原作読まれましたか?浅田次郎は良いですね。あっ突然話しかけてすいません。大変失礼しました」と話かけられた。なんて丁寧な方なんだろー ちょっと嬉しかった(^^)





2006/12/1 【 父親たちの星条旗 】

ジェイムズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ著のベストセラー「硫黄島の星条旗」原作でクリント・イーストウッド監督。製作にはスピルバーグの名前もある。

それにしても硫黄島が日本ではあまり知られていないことを実感。日本の約23千名に対し25万の兵力で米軍がB29に護衛戦闘機をつける為など日本本土爆撃の効果をあげる為に足がかりとして硫黄島を奪取にかかったという。

これはアメリカサイドからの作品にもかかわらずお金(国債)の為英雄を仕立てる社会や星条旗を利用しようとする政治家など、アメリカには戦争を必要とする政治機構があるということを描いている点がすごい。

結局お金でも名誉でもなく戦った兵士は、ある者は命を落とし、残った者は自分の意思とは関係なく国に利用されていく。真実を語れないことや英雄とされてしまったことの苦悩や、兵士達のその後の人生を通して戦争がいかに個人の人生を狂わせていくか伝えている。冒頭の「戦争に行った人は戦争について語りたがらない」という言葉に重みを感じる。これは日本サイドからの「硫黄島からの手紙」が楽しみ。PS硫黄島って英語でも「イオウ アイランド」ではなく「イオウジマ」でした〜。





2006/11/25 【 手紙 】
原作は東野圭吾。無期懲役の犯罪者の兄とそのたった一人の家族の弟を軸に、被害者の身内、そして周囲のそれぞれの立場の苦悩を描き、どう生きていったらいいのかを圧倒的な迫力で問いかけている。
兄にとっての手紙は唯一の希望であり、また般若心経だったのに対して、弟にとっての手紙は途中から重荷にしかならなかった。
犯罪者の家族というだけでこれでもかと不条理な差罰を受け続けることは現実にあることと思うとやりきれない。何度目かの職場の会長の「差別は当たり前。差別のあるこの場所で1から始めて生き抜きなさい」という台詞が突き刺さった。
タイトルに沿うように弟と獄中の兄、妻と獄中の夫、施設の娘と父、匿名と会長、主人公を想う女性と主人公の兄etc色々な手紙のエピソードがつまっている。
手紙を読み書きするシーンがほとんどながら兄の玉山鉄ニの演技は凄い!特に最後は迫真で圧巻。お笑い芸人を夢見る主人公の山田孝之も体当たりで良かった。マシンガンズが監修したという芸はプロ並でとっても楽しめた。そして、泣いた。
小田和正の♪言葉にできないを聞きながら 言葉にできないほど胸がいっぱいになった。




2006/11/23 【 太陽 】

地下商店街の一角にある今時珍しいレトロというより場末っぽい映画館のシネ・パトスでロシア映画「太陽」を観た。ここでしか上映しないという理由で前回来たのは、確かデニーロの「フローレス」なのでなんと6年ぶり。

昭和天皇を描いているという内容の繊細さから日本での上映は難しいと言われていたとか。なかなか評判も良いようなので期待していたのですが、退屈な日常をこれでもかというくらい淡々に描いていて始まって間もなく寝てしまった。目が覚めてからも近くでスースー寝息が聞こえたので眠くなるのは私だけではないみたい。

昭和天皇を演じたイッセー尾形はとても似ていて良かった。

発音などにここまでこだわったのが監督の意向だとしたらすごい。

米人の写真撮影に応じた天皇が、チャップリンに似ていると言われながらポーズを取ったり、口癖?の「あっ、そう」をユーモア交えて描いたり、神とされてきた天皇がどのように「人間宣言」に行き着いたのか日本人じゃないから映画化できたのかもしれない。そう考えると観る価値があるかもしれない。





2006/10/28 【 トンマッコルへようこそ 】

2005年韓国での代表作、国民の6人に1人が見るNo.1ヒットとなった「トンマッコルへようこそ」を観ました。

トンマッコルとは、「子どものように純粋な村」という意味の架空の村名。

音楽が久石譲だしイノシシも登場(もののけ)ということで宮崎アニメ実写っぽい雰囲気のある作品。最近シブリ映画(ハウル・ゲド)が面白くなかっただけにそっちと比較しても楽しめました。

少女はともかく村人の無垢さが度を越していてちょっと引いてしまった部分もありましたが、連合軍の米兵・韓国軍・人民軍という三様の立場を超えた関係と、「トンマッコル」という平和なユートピアと現実の戦争のギャップが戦争の罪の大きさをうまく表しています。

韓国映画ってどうしても北との関係が絡んでくるので、「別の場所で出会っていれば仲良くなれたかも」というどこかで聞いたような台詞をはじめどこかで観たようなというシーンという感じはありましたが、それでも同一民族が戦う悲しさがあふれていました。ふと思いつきで出た台詞の「南北連合軍」という言葉はなんとも重い。

そういえばボスニア兵とセルビア兵の「ノー・マンズ・ランド」でも同じような意味あいから反戦を描いていたように、このテーマは何度観ても見飽きることがなく悲しくやりきれない。

ラストの兵士の表情が素晴らしい。あれを観れただけでもちょっとだけ救われたような・・・。





2006/6/10 【 ダ・ヴインチ・コード 】

バチカンがキリストを冒涜していると非難し、信者に映画をボイコットするよう指示したことが逆に宣伝になったような何かと話題の「ダ・ヴィンチ・コード」を観ました。

映画公開前に、タケシのTV番組で「最後の晩餐」の謎等核心に触れるネタ晴らしとも思える説を既に観ていたので、映画としての面白みは半減。っていうか公開前のこーいう特番に疑問(←この番組を自ら観ておきながら言うことではないけれど(-_-;))。
聖書の中身についての会議でキリスト以後の権力者が都合の良いものを集めて作成している様子、ルーブル美術館・テンプル教会・ロスリン教会・ウエストミンスター寺院などの建築を見られたことは収穫。「子午線」と「ローズ・ライン」関係の真偽はわからないけれど原作者ダン・ブラウンが注目したサン・シュルピス教会を一例として着眼点はすごい。
でも、トムハンクスの謎解きもいくらその道「象徴学」の権威とはいえご都合良過ぎなのと、キーパーソンのソフィは暗号解読官ながら一つも解読できてないし、肝心の「最後の晩餐」の聖杯の謎解きを主人公とは対極の立場の人間がするし、しかもそれを聞いている主人公の表情も驚くでもなくビミョウetc・・・となんだかなぁ・・・。全体的にテンポがとにかく速いので、こちらが謎解きに感心したり余韻に浸る間もなく、簡単に?答を出していくという感じでなんとなく、観客に優しくない作品という印象でした。
と私は辛口感想でしたが、一方影武者さんは楽しめたようで鑑賞後にその足で「最後の晩餐」のポスターを購入←単純。それにしてもどこに貼るんじゃい(-_-;)
  




2006/4/12 【 タイフーン 】

韓国で観客動員新記録を樹立した「タイフーン」を観ました。韓国映画史上最大の制作費をつぎこみ タイ、韓国、ロシアを舞台に10ヶ月という長い撮影期間を経て完成した大作でハリウッドメジャーによる北米での公開も決まっているそうです。確かにハリウッド映画かと思うような驚くほどの迫力とスケールでした。主演の海賊のシンを韓国四天王の大人気のチャン・ドンゴンが演じているせいか映画館は満席状態。このチャンドンゴンは一目見てアレ?と思うほど痩せていていましたが なんでも7`の減量したそうで精悍になって更にパワーup。目力も凄くて主人公の犯罪行為の奥にあったあまりに悲しい辛い過去から生まれた怒りを力強く物語っています。対する軍人役セジョン役のイ・ジョンジェの存在感も良いです。あまりにあまりな任務等や人間関係に何箇所か泣きそうになるシーンもありました。と、ここまで褒めてきましたが内容的にはつっこみどころはいっぱい。未見の方はこの先は読まないで下さい。

細かいところつつくのは止めますがこれだけは言いたい。まるで ‘特攻隊’ とも言えるセジョンは片道の燃料だけで飛んだはず。飛んだ後に知らされたアメリカの潜水艦等の計画変更はあったとはいえ、そこらの詳しい説明を省いている為に で、何で生きてんの?何で死んでないワケ?とギモ〜ン。突撃前に死を覚悟した母への手紙で涙を誘っておいてこれはないよ〜(-_-;)




2006/2/22 【 単騎、千里を走る。 】

ここんとこエンターテイメント路線も手がけてきていますが、昔からのチャンイーモウ監督ファンの期待を裏切る事のない大陸系ヒューマンドラマ作品。好きな路線なのでとっても期待して観ました。寡黙で頑固な役柄があまりにもぴったりで、監督が前から高倉健の映画を作りたかったという熱い思いがよ〜く伝わってきます。

雲南省をはじめとする壮大な風景と人々の暮らしも、素人とは思えない現地の人々の豊かな表情もとても見応えありますが、唯一不満を言うと、予告編やTV放映されたメイキング「張芸謀 高倉健 心の旅」で既に観ていた以上のものはありませんでした。この映画に限らず予告編で良いところ惜しげもなく見せちゃうのはサービスといってもある意味考えものかもしれません。ところで、エンドロールを見て判明したのですが、「辺ぴな漁村に逃げやがって」と息子に言われたその漁村とは、なんと なんと秋田の男鹿でした(-_-;) 地元では高倉健が撮影に来ていたのに話題にもならなかったのは、「辺ぴ」と言われたせい?




2005/10/10 【 チャーリーとチョコレート工場 】

長女の希望で「チャーリーとチョコレート工場」を観にいきました。全国で4館だけは映像に合わせてチョコレートの香りを放っているとか。いいなぁ。近かったら絶対その映画館で観るんだけど・・・
さて、ジョニーデップとティム・バートン監督のコンビというだけで怪しい不思議世界はお約束。チョコレート工場の見学はディズニーランドのアトラクションを思わせるので観ていてとても楽しいのですが、実はティム・バートンは「イッツ・ア・スモール・ワールド」が大嫌いだとか。そのせいかおバカな子供とその親が次々にトラブルに合いお仕置きされるというブラックユーモアが展開されて痛快。ジョニー・デップのウォンカも怪しいけれど更に怪しい1人で20人役を演じたウンパ・ルンパの存在感はすごい。おバカなガキンチョをこき下ろす歌詞は絶妙でした。工場で働くリス達はなんと本物のリスを調教した賜物だとか。あまりに可愛いので我ままなイギリス人少女がどーしても欲しがった気持ちわからなくもないワ。お決まりのパターンですが家族愛もテーマになっています




2005/8/21 【 大統領の理髪師 】
1960年代に大統領のお抱え理髪師に抜擢されてしまった一市民の12年にわたる家族をまきこんだ話。 韓国四天王とは両極にいる名優ソン・ガンホと、作品ごとに驚かされる実力派のムン・ソリのコンビでこのキャストだけで期待が膨らみました。 前半の親の出会い、子の命名、大統領の専属になるまでのエピソードなどはとっても楽しめました。 が・・・下痢=マルクス病 のあたりから密告や拷問などのブラックユーモアがどうもだめ。 いくら豆電球パチパチでシーンを和らげたとしてもやはり子供をだしにした作品になってしまったように感じて最初思ったほど胸に響きませんでした。 朴正熙(パク・チョンヒ)大統領時代の圧制やベトナム戦争などの時代背景の中の激動の 時代と愚直な父親に翻弄された子供があまりに真っ直ぐで誰を恨むでもない姿に救われるのですが、あまりに良い子過ぎて現実離れかも。



2005/7/15 【 電車男 】

2chのスレッドの映画化。 原作を読んだ時は不覚にも感動してホロリときました。 さて映画は・・・キャストが良い。 大人の女性の気品と気配りを備えた中谷美紀はエルメスのイメージにピッタリでした。 山田孝之の秋葉系ファッションのモデルは宅○郎?というくらい似ていたような。 スレッドの住人の励ましで成長していく電車男が必ず「おまいらありがとう」ときちんと感謝するところは本当に好感持てます。 告白シーンが原作と違って、あの人混みの秋葉原で偶然?再会って あり??で違和感あったので残念。 原作のままで良かったかも。あーそれにしても、一体どういう育て方をすればエルメスのように清楚で優しく品があるような女性になるのでしょうか。 と、今からでも娘たちをなんとかしてエルメスもどきにしたいとマジに思ってしまいました。 電車男はドラマ化もされるので、ドラマ版の伊藤淳史と伊東美咲もラストにちょっとだけ登場していますが、ドラマは原作にないエピソード入れ過ぎてかけ離れている上に、映画のキャスティングが良すぎたせいかしっくりこないワ。



2005/1/27 【 父、帰る 】
突然帰ってきた父親と2人の息子の一週間。 「何故不在だったのか」「何故帰ってきたのか」「何をしていたのか」「箱の中身は何なのか」etc・・・一切説明がないまま終わるのですが、そーいったことって実は重要な要素ではないのかもと初めて考えさせられた映画でした。 それでもあの子供達のその後が気になります。 監督の狙いは心にひっかかるものをつくりたいということなので観終わって時間が経つにつれ印象が深くなってきたのはまさに監督の手中にはまったということでしょうか。 こーいったことを計算してこの作品ができているのであればものすごい新人監督が出てきたと思わずにいられません。 ロシアのめまぐるしく変化する天気は私の居住地とよく似ているのは発見でした。 背景に旧約聖書「アブラハムのイサクの犠牲」の神話の支えがあるということですが、この部分はよく分かりませんでしたので わかる方は是非教えて下さい。 余談ですが長男役の少年は、撮影後に撮影場所のひとつで事故で溺死したということです。

     

2004/12/28 【 トゥーウィークス・ノーティス 】
ユナイッテッド航空の機中で観ました。 2003年に既に公開が終わっています。 ヒュー・グラントが出演するラブコメってどれもこれも似たような感じに思えますが、今回もその域。 何を観てもかわり映えしなくどっかで観たような・・・っていう内容。 ラブコメでのキャラがここまで固定されているのってファンには良いかもしれないけど、そーでもない私のような身には初めての作品を観たという感覚すら沸きません。 相手役のサンドラ・ブロックの役柄は、頭が良くてちょっとドジで、おっちょこちょいな感じで、これまたよくあるパターン。 安心してフツウに楽しめますが劇場でお金払ってまで観る作品ではないと思うのでレンタルで十分でしょう。

 

2004/12/18 【 ターミナル 】
祖国でクーデターがおこりパスポートが無効になった為入国も帰国もできなくなりターミナルで待ち続けた男の話。 フランスのシャルル・ドゴール空港には実際空港で暮らす人物がいるとかでこの映画もある程度実話に基づいたものというのが驚きです。 加えてスピルバーグ監督まで驚いたという実物大の空港のセットや、ターミナル内になる多数のレストランや店舗従業員の研修まで行ったというエピソードにはビックリ。 「キャスト・アウェイ」でもそうでしたが、逆境に置かれた役といえばトム・ハンクスなのかもしれません。 デート?での食事のシーンが良かった。 ひとつ違和感を感じたのは、スッチーが職場関係の人がゴロゴロいるようなターミナル内で人目はばからず堂々と不倫相手に抱きつくもんなのかってこと。 これは単に国民性でしょうか? ジャズクラブのシーンではテナーサックスのベニー・ゴルソン本人が出演しています。

  

2004/11/11 【 トスカーナの休日 】
アメリカ国内だけで200万部の売り上げを記録した世界的ベストセラー「イタリア・トスカーナの休日」を原作にした作品。 ‘トスカーナ’と言えばProfileの my favorite Movieにも載せている「踊れ!トスカーナ」というそれはそれは素敵な映画があるので待ちに待った上映でした。 でもやっと上映されたと思ったらなんとDVD発売が来週だとか。 ったく・・・。都内では盛況だったようですがこちらでの観客は私を含めて4人。 離婚の傷心旅行でトスカーナ出かけたアメリカ人女性が主人公。 自分の場所を探してアメリカからイタリアへ移住するとはなんというスケールの大きな話でしょう。 築300年という家を衝動買いしてしまうあたりがとっぴだし、もうアメリカには戻れないという発想も私には理解できないけど、イタリア男対するイメージは日米共通なのに苦笑。 離婚したことで大きく前進できたのだからホント物事の良し悪しなんてわからないもの。 度々出てくる「汽車が必要な時の為に、予め線路だけ敷いておく」という台詞は主人公の家造りの伏せんになっています。 古い伝統が残る街並みのトスカーナは素敵ですが影武者さんに「ヘビや虫がいるから絶対runeちゃんは暮らせないわね」と言われて速攻納得。

 

2004/11/9 【 血と骨 】
1998年出版後山本周五郎賞31万部を売る梁石日ベストセラー小説の映画化。実在の父親をモデルにしていて梁石日本人の半生記「修羅を生きる」も内容的に被りますが読んでいて圧倒されたものです。話題になっている激しい暴力シーンや鈴木京香の濡れ場もそれほどとも思えなかったのですが、ラストの寒々としたシーンがやけに引きずってしばらく席を立てませんでした。さて今回も影武者さんに感想をお願いしました。(以下by影武者)
最近でこそ韓国ブームで韓国俳優に夢中になる日本女性が現われていますが、私の子供時代には 誤解を恐れずに言えば、朝鮮人は差別と畏怖の対象でした 近所に 朝鮮学校があり朝鮮部落があり 実際に見たことはなくても、まことしやかに伝え聞くイメージからすれば、それほどの物とは思えません、この映画をみて凄いとか感じる皆さんは、それほどまでにぬるま湯にどっぷりつかっているのでしょう。ただ 最後まで殺されること無く、皮肉にも北朝鮮で天寿をまっとうした生命力には感歎せざるにいられません。

  

2004/8/13 【 釣りバカ日誌15 】
秋田は豊かな自然と歴史のある文化遺産が一杯です。 あの「思えば遠くへ」「寝盗られ宗介」「たそがれ清兵衛」のロケ地の角館しかり、しかしこの映画、ちょっと秋田に詳しいならすぐ分かるほど、地理関係を無視しています。 架空の場所設定ならいざ知らず、男鹿の先っぽから 田沢湖、角館まで瞬時に通勤とは。内容はどうでもいいんでしょう。 第二のフーテンの寅さんをめざしているのでしょう。 観光バスのなかで暇つぶしに流されるビデオでしょう。 一緒に観た母は’77年の「ジョーイ」以来の映画館と言っていました。 へっ?27年ぶり?でもその類の方が多いらしく秋田では「10年に1本、20年に1本というお客さんで連日大盛況」だとか。 実際秋田でロケしたから 入場料は1000円なんだってと喜んでいる秋田の皆さ〜ん、全国一律 1000円と知ってもまだ観にいきたいですか? どうせ すぐテレビでやりますよ。 もっと秋田のよさを秋田県民は理解すべきでしょう。

   

2004/6/8 【 トロイ 】
最近の豪華絢爛ハリウッドムービーはCGで何でもできる時代になってから、どうも興ざめなんだけど、この映画、主役はやはり アキレス、こんどの戦にいけば 死ぬと予言されていながら、平然と死地に赴くのは ラストサムライか? ひたすら 後世に語り継がれる 死に場所を求めるアキレスは、 いや 金はある、女は飽きた あとは 死後に残る名声のみとなれば アルカイダのビンラディンかと思うのは私だけでしょうか。40歳のブラピの肉体改造がやったら話題になていますが、ヘクトルを演じたエリック・バナのほうがはるかにgood! ほれぼれする胸板の厚い肉体美を観て巨乳女がもてはやされるワケが一瞬だけわかったような。ほんの一瞬だけね。

  

2003/08/26 【 トーク・トゥ・ハー 】
アカデミー最優秀脚本賞受賞。 TVでおすぎが「100年分の涙を流した映画はこれが初めてです」と宣伝していたのですが例によって何処で泣ける?だったのが残念。 でも全編を流れるアコーステックな音楽はとっても良かった。 内容では泣けなくても唯一泣けそうなくらい良かったのがブラジルのカタエーノ・ヴェローゾの切ない歌声。 これは凄い。 パートナーがサントラ買いました。 ドイツの舞踏家のサイレントな舞台や映画を交えていて芸術性も高い。 この映画は孤独な恋をしてしまった二人の男の物語。 昏睡状態の女性に一方はショックで打ちひしがれているんだけど片方は嬉々として献身的な介護をする対比が面白い。 愛する者への気落ちを断ち切ることも愛と考える一方の男性の眼差しにいつも孤独が感じられて切なかった。 未見の方には詳細はひかえるけどこれと同じ事件って欧米で実在するのよねー。 ところで昏睡状態になった女性陣ですが、バレリーナーは確かに美しいけど女闘牛士は・・・設定では33歳になっていましたが53歳の間違いじぁないでしょうか。 いくらスタイルよくてもその老け顔じゃお話になりませんわ。 禿げてはいても相手の男性がなかなかgoodなだけにオンナのレベルが・・・ってのが残念でした。 

  

2003/02/18 【 小さな中国のお針子 】
中国語での仏映画。監督自身が文化大革命時に反革命分子(知識階級)の子供として再教育として辺境の山奥に送り込まれた経験があり原作者も兼ねています。 毛沢東が共産党系以外の出版物を排他したことを考えると何でも知ることができる今の時代は恵まれていると同時にクリエイディブではない状況だと痛感。 だってほら欲しい欲しいと思っているうちは身も心もそればっかりだけど一端手中に収めたら安心して色褪せちゃったりするじゃない。 文学どころか時計も字も知らなかったヒロインが知識階級の2人の青年によってバルザック・デュマ・スタンダールにふれ自分の世界を広げていくって話。 私は高校時代に一度読んだきりで記憶にもないから ヒロインが陶酔していくのをみてそんなに面白かったっけ??ってなってしまった。 舞台となった山奥の自然の雄大さと鮮やかさは良かったけど ストーリーはあんまり面白くなかった。 3人とも10代の設定で幼い印象のこの女優さん実は'74生まれ ってことはげぇーっ三十路なのね うっそ〜 。 危げな三角関係なんだけどこの少女が恋していたのはどちらの少年でもなく少年が語る物語だったのかも。 よくあることよ。それにしても中国の山奥の暮しは過酷だぁ。 今46歳の主人公達が27年前に経験した労働には頭が下がります。 ここでもうんこ運びが見られて今年は何故かうんこシーンに縁があるわい。

  

2002/11/20 【 たそがれ清兵衛 】
 藤沢周平原作で山田洋次監督初の時代劇。劇場は案の定とってもとっても年齢層高かった。 東北の方言も自然もあたたかいし何より清兵衛の人柄がすんばらしい。 「清貧」というのはこの人の為にあるような言葉ではあーりませんか。 アナタが幸せになれなきゃ誰も幸せになってはいけない気がする。全国の奥さんに先立たれたor逃げられ男手一つで幼い子供、ボケありの老母の世話を薄給でいっぱいいっぱいして上司には逆らえないコ汚いそのこのお父さん!この映画は見失いがちな大切なものを教えてくれるよ。 無欲であれ〜。 そこいらのスケベオヤジとは違う何かがきっと舞い降りるわよ。 アナタの良さは必ず運命の誰かがわかってくれるよん。  「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる」って相田みつをも言ってるしね。 こんなに主人公に感情移入しちゃうのは周囲がまるでどくだみ煩悩の塊みたいな人が多いせいかもしれない。 つうかアタシもクリスマスプレゼントの選定に余念が無いから顔向けできないけどね。 パートナーに「清兵衛になれ〜」と言ったら「ブランド物欲しがる人に言われたくない」とスパーと切られました。 なるほどでがんす。 んだばしかたねべな。 んだどもまんずそれで円満になれば安上がりだしべ。 買ってけれ〜

  

2002/11/20 【 ダーク・ブルー 】
 スタジオジブリ第1回洋画提供作品。 宮崎駿監督の 「観るに値する良い映画です。21世紀になってようやくこういう映画がつくれたんだと思いました」 という強力なお墨付きだし本国チェコでは10人に1人が観て興行新記録を作ったというだけあって初日に行ったら満席でした。 だけどぉナチス占領下の回想と粛清後の時代の交錯がつかみにくかったし英国をからめたチェコの歴史の状況がすーっと頭に入ってこなかった。 そういえば満席のわりには前半くらいで途中退席する方もけっこういました。 まぁアタシと大違いで近現代史に強い方や上空の戦闘シーンや飛行機に興味のある方には楽しめたかもしれないけど…。それにしてもチェコってここまで時代に翻弄された国だったのね。祖国のために戦ったはずの人々が戦後は収容所にいれられ、しかも1991年までそこに収監されていたと言う事実はあまりにつらい。 肝心の映画のテーマは 第二次大戦中の1人の女性をめぐっての年の離れた2人のパイロットの愛と友情なんだけど、いくら明日の命がわからない戦争中とはいえ女のこととなると友情ももろいもんだわねぇ。 しかもこっちがダメならあっちにしよう的発想には思いきり引いてしまいました。 人生アンタが考えてるように都合良く運ばないものよ。 ってことで節操のなさが鼻についたパイロットの片割れ(どっちか一目瞭然)には個人には同情もわかなかった。

 

2002/09/18 【 ディナー・ラッシュ 】
 NYのトライベッカで監督自身が経営する実在するレストランを舞台に撮影も行ったという作品。 いきなり話は変わるけどそういえばロバート・デ・ニーロのイタリア料理のお店がトライベッカグリルっていうくらいだからご近所さんのライバル店だったりして・・・なーんて根拠もなく想像を膨らませて観ました。 猫の手も借りたいというパニック状態の厨房で斬新な料理ができあがっていく過程が見れるのでスピード感があってとてもスタイリッシュ。 が、これまでにもレストランを取り巻く人々の世代交代、恋愛、嫉妬、殺人etc・・っていう様々な人間模様の映画は数多くあるので今回のも含めてパターン化しているなぁってのが感想。 どれも似たり寄ったりなら「悦楽晩餐会」の方が面白かったなぁ。 ところで絶賛されていた ‘オマール海老の蒸焼 フライド・ヌードル添バニラ風味シャンパン・ソース’ ですが(ネーミング長すぎ)見た目派手だけどあんなの美味しいのかな??横浜の赤レンガ倉庫で同じものが食べられるそうなので食通の方は是非どうぞ。アタシはパスタを油で揚げたのを見た段階で辞退でしたが・・・。 場所柄か料理だけじゃなくお客も個性豊かなのがいかにもNY。日本じゃあの濃さあり得ないんだけどぉ・・・

 

2002/09/02 【 天国の口、終りの楽園 】
 2002年ゴールデングローブ賞最優秀外国語映画賞ノミネート、本国では2001年度年間興行収入収入No.1を記録しメキシコ最大のヒットとなり アメリカでの公開でもメキシコ旋風をまきおこした作品。 2人の少年と人妻が伝説の海岸「天国の口」を目指してメキシコを南下するロードムービー。 これ筑紫哲也が今年の夏イチオシと言ってました。頭の中魂胆だらけのサカリのついたメキシコのドラ息子に飛んで火に入る夏の虫のような人妻の登場。 しくじったり上手くいったり若いっていうのが良く出ていてがさつな感じがなかなか新鮮。 差はあれどこーいうことをやらかすのも青春。 私も20代に(あー懐かしい)アメリカ人の友人と二人でメキシコを旅行したんだけど刺激的な国だってのは感じました。詳細は避けますけどね。 高層ビル、物乞い、青い空、乾いた空気、テキーラ、ライムの香りetcがまぶしい太陽と思い出されます。 ところで恵比寿の上映館は満席でした。あそこは場所柄か客層がなべて小金持ち風。せっかく恵比寿に行ったんんだからと入ったビアホールでは年配のお客からの冷たい視線が・・・恵比寿はあくまでお上品にってことでしょうか。そぐわなくてすいません。何したかは内緒ネ(笑)

 

2002/08/12 【 月のひつじ 】
 1969年世紀のアポロ11号はオーストラリアの片田舎に立つパラボラアンテナが月面歩行を中継していたという誰も知らなかった秘話に基づくストーリー。 おすぎの「夏休みお子さんと観る一押し映画」っていうのを信じたんだけど私は半分寝ました(笑) これ言っちゃおしまいまんだけどだいたいどこが中継しようと元々興味ないし(す す すまんです)専門技術者の台詞が右から左。 笑いのテンポもほのぼの過ぎて全く笑えない。 ただ良かったのは宇宙飛行士ニール・アームストロングの"これは人間の小さな1歩だが、人類にとっては大きな1歩である"の言葉を当時の世界中の6億人と共に実感できたこと。 文部科学賞推薦だけあってかなーり勉強にはなりました。 ところで原題は「TheDish」なんだけどなんでまるで子供が主役のようなメルヘンっぽい邦題つけたんだろー。いくらなんでもこれ違うでしょ。
 

2002/07/15 【 トンネル 】
 1961年8月13日一夜にしてベルリンの壁で分断された東西ドイツで愛と自由を求めトンネルを掘った人々の話。本国では国民の10人に1人が見たという大ヒット作。監督は主人公のモデルとなった人物と何度も面会し主人公に関しては90%事実に基づいているということですがこのタフな主人公がいいわぁ!タフといえば代名詞がダイ・ハードのブルース・ウィリスなんだけど禿げで毛深くてデブでとても水泳選手と思えない外見もまるでそっくり(笑) 暗くて寒くて狭くて危険を伴う145mのトンネルを掘る作業は当時の人々の心情を実感できるんだけどトンネル堀りに必要な道具や資金の入手や音を漏らさない工夫とか土の処分についてどーしたのか疑問。 こーいう部分って映画が終ってから妙に気になるのよね。はしょってはいけないんではないのでしょうか? これに反してとても良かったのが壁越しの恋愛。もし自分の身にに起きたらパートナーはそーいう運命なんだってとっとと諦めちゃうんじゃないかと思ったりしておばかな私は勝手に想像して勝手に不機嫌になっちゃいました。 この映画恋愛部分があると思わなかったので小学生の子供と一緒に観たんだけどナニのシーンは困りものでした←私ってまともな親

  

2002/04/14 【 友へ チング 】
 800万人を超える韓国映画史上最大観客動員数を記録したという割に映画館はガラガラでした。 隣がアカデミーとった「ビューティフルマインド」の上映だってことも原因しているかしら。 チングとは「新旧」と書いて‘長く親しい友’という意味とのこと。 前半は30歳以上の年齢には(含私)見過ごせないノスタルジック漂う日本に通じる駄菓子屋、おもちゃ屋、ベータビデオetcの生活アイテム満載で郷愁を疼かせられ見入ってしまいました。 蛇足ですが教師の体罰だけは「うっそー信じらんなーい」なのはまだ私の方が若いから??と思いたい(笑)  この監督の半自伝的映画と言われていますがそれぞれ違った人生を歩み始めた男の友情がテーマとなっています。 後半では裏社会を舞台に しびれる程の男気を見せてもらいました。 「俺たち遠くに来すぎたよ」っていう名台詞はクサイと言えばクサイかも。 なんでも 韓国版「スタンドバイミー」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」と言われているようですが「仁義なき戦い」「スリーパーズ」にも近いしどっかで観たようなないような・・・一言でまとめると 「よくある話」 って感じでしょうか。

 

2001/11/01 【 トレーニング・デイ 】
 高い理想を持った新人刑事がむかえた麻薬課での初日(トレーニングデイ)とは・・・一日の出来事にしてはめいっぱいてんこもり。 彼をむかえたベテラン刑事役のDワシントンについては 観る前に悪役と聞いていたものの 中盤までは荒っぽいなりにポイントを抑えた辣腕に‘根は良い人じゃないかしら’と頭を過らないでもなかったのですが・・・甘かった。 ま、ま、まさかこんなに飛ばしてくるとはねぇ 予想以上の裏切りにウハウハしちゃいました。 これまでのイメージを逆手にとったこの路線も良いではないですか。 この独自の正義感は「狼が羊を守る為には自分も狼にならなくてはいけない」という台詞そのもの。 怖さを伴った重圧感の中エンドロールで流れてきた♪this is not America♪というラップの歌詞に妙に救いを求めちゃいました。

 

2001/9/17 【 蝶の舌 】
 スペイン映画。 決して奇麗事だけではない大人の世界をまっさらな少年の瞳はどう見たのか気になるところですが 8歳の少年と老教師の世代を超えた友情が大自然をバックに優しく丁寧に描かれています。 授業で先生が生徒に教えた自然の不思議さの中のひとつに蝶の舌がゼンマイ状になっているという話がありこれがあまりに悲しく痛烈なラストシーンのキーワードになっています。 時代は辛くもスペイン内戦。 この時代にそれぞれの立場で直面していかなくていけないのが切なくて・・・ 卑怯でも生きていかなきゃいけない哀しさに胸がつまります。 さて皆さんは生きるため自分を偽ってでも守る方を選びますかor信念を貫きますか?

  

2001/8/10 【 チアーズ 】
 先日子供が出場する体操大会に応援に行って来たばかりですがそれと比較しても技術面で圧倒されっぱなし。体操を続ける子供にはかなりの刺激になったみたい。バック転、バック宙、ひねりも加わった体操の醍醐味に加えてダンス・・・チアリーディングってお飾りではなくスポーツなのね。男女混合チームの演技は中国雑技団を彷彿させる程の高レベル。ハイスクールファッションも見応えあるしこれは期待しなかった割にはなかなかでした。ティーンエイジャーの皆さん勉強だけじゃなく部活に打ち込もうよ。振り返ると私の高校時代って何だか薄っぺらかったなぁ・・・後悔先に立たずでありんす。 さてさてともかく爽快感と元気を貰うこと請け合いだしエンドロールと共に流れるNG集も笑えるしこれぞ青春。

  

2000/12/27 【 ダンサー・イン・ザ・ダーク 】
カンヌ映画祭パルムドール受賞。 アイスランドの人気歌手ビョークが主演のミュージカル作品です。 母親役とはいえあどけない表情のビョークが実年齢35歳とは信じ難いです。 心の叫びともいえる歌声やミュージカルシーンは素晴らしいのですが ストーリーは悪い予感的中でした。 理不尽なことで窮地に追い込まれながらも母の愛を貫く主人公には同情できますが映画を観終わった後味が悪くて気分がへこみます。 これが現実なんだろうけれどフィクションならせめて映画の中だけでも苦労は報われて欲しいのよね。 ビョーク自身が「もう映画はこりごり」と言ったそうですが私もこの手のストーリーはこりごり。 少なくても繰り返し観たくなる映画とは思えませんでした。

  

2000/12/1 【 タイタス 】
 前評判が残酷の極限だの驚愕でショッキングだのグロそうな雰囲気だらけで結構覚悟して観たのですが・・・ストーリーはまさにそうなんですが描写はそれほどでもなくて(予告編の域止まり)全然平気でした。 残酷さで言うなら戦争映画系にこれにまさる描写はいくらでもありそう。何が正気で何が狂気がわかりませんが復讐ってそれだけでも話としては面白いから時間があっという間。 シェークスピアにオートバイ、オープンカー、背広、パンクetcですか?この古代と現代をマッチさせる意表をついた演出が世間では絶賛されているのかもしれませんがもっと正当でシンプルなものでも観てみたいです。 ところで上映直後からラストまで館内に響き渡るイビキが気になりました。 お目覚めに“ミートパイ”あたりはいかがかしら(笑) 味の決め手はお肉の調達段階から手をかけ気持ちを込めるってことですね。

   

1999/10/19 【 ディープ・ブルー 】
 夕方急に思い立ってディープ・ブルーを観てきました。平日ということもあってガラ空き状態。私達以外10人いたでしょうか? もうすぐ公開されるシックス・センスを観る為にも少し心臓を慣らしておく必要もあったので・・・
 どうしても「ジョーズ」を思い浮かべますが二番煎じとは言わせないとばかりの迫力です。 人間顔負けの知能を持つサメがノンストップで容赦なく襲いかかってきます。 観終わるまでの間まるでずっとジェットコースターにでも乗っている気分でドキドキの連続でした。 一定の人数が1人また1人と消えていき誰が生き残るかの先が読めないところがまた面白かったです。 実は劇場で子供と観た初の洋画となります。 ビデオでは慣れているとはいえ劇場で観たのは先回で「ポケモン」でしたからそろそろおこちゃま映画からの脱皮時期でしょうか? 

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